【映画まとめ】6月10、11日公開 映画紹介&予告編 「64-ロクヨン-後編」「マネーモンスター」「サブイボマスク」「夏美のホタル」「シークレット・アイズ」「白鳥麗子でございます!」

「64-ロクヨン-後編」 前編で仕掛けた伏線を見事に回収 原作とは異なる結末に好感

佐藤浩市が主演 映画「64-ロクヨン- 後編」予告編

 作家、横山秀夫さんによる長編ミステリーを映画化した「64-ロクヨン-後編」(瀬々敬久監督)が、5月11日に公開される。先月7日に公開された前編では、昭和の最後の年に起き、その後、迷宮入りとなった少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」を端緒に、当時事件に関わりながら真犯人を見つけられなかった刑事や被害者遺族らそれぞれの思い、警察とメディアのあつれき、刑事部と警務部の反目、さらに地方(県警)と中央(警察庁)の確執などが描かれていた。今作では、前編から委ねられた、「ロクヨン」を模倣した誘拐事件の捜査がいよいよ佳境に入っていく。

 14年前の「ロクヨン」を模した誘拐事件が発生したことが、刑事時代に「ロクヨン」の捜査に関わった、今は警務部広報官の三上義信(佐藤浩市さん)の耳にも入る。三上は、秘密裏に捜査を進める刑事部から情報を引き出そうと、かつての上司で、ロクヨンの捜査に共に関わった、今は捜査1課長の松岡勝俊(三浦友和さん)に近づく。松岡からなんとか承諾を得た三上は、松岡らが乗る捜査指揮車に乗り込み、情報を部下の諏訪(綾野剛さん)らに流していく。やがて捜査線上に、一人の人物が浮かび上がる……という展開。

 以前、前編を「周囲固めの章」としたが、後編はそれら仕掛けた伏線の“回収編”だ。前編を見ながら浮かんだ疑問の数々が、見事に回収されていく。それも、てきぱきと。前後編を見終えて感じたのは、かつての警察の隠ぺいが、とてつもなくセコい行為で、警察内部の権力闘争が、いかにくだらないことかということ。それによって14年間、閉じ込められ、苦しんできた人がいた。その事実に、事件に関わった人々それぞれが向き合い(向き合えない人間もいるが)、ある者は己の不始末を恥じ、ある者は心の傷を癒やしていく。その姿に心を打たれた。三上の娘が家出中であることが、ロクヨンの被害者の父、雨宮芳男(永瀬正敏さん)と、今回の被害者の父、目崎正人(緒方直人さん)に対する距離を縮め、物語を一層感慨深いものにしていた。原作とは異なる結末にも好感が持てた。

 ちなみに、映像化するにあたり瀬々監督は、脚本家の久松真一さんと何度も意見交換をし、22回の改稿の末、脚本を仕上げたという。出来上がった映画の上映時間は、前編121分、後編119分。合計すると4時間ちょうどになる。このバランスのよさにも感服した。11日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「マネーモンスター」 フォスター監督の才媛ぶりが光るクルーニー&ロバーツ共演作

ジョージ・クルーニー&ジュリア・ロバーツが出演!監督はジョディ・フォスター 映画「マネーモンスター」予告編

 女優としても活躍するジョディ・フォスターさんの4作目の監督作「マネーモンスター」が5月10日から公開される。ジョージ・クルーニーさんとジュリア・ロバーツさんという屈指のスター俳優を起用し、展開の速いプロットで見せ切る。久しぶりにハリウッドらしい映画を見たという感想を抱かせる作品に仕上がっている。2人の“大物”を相手に“犯罪者”を演じるのは、アンジェリーナ・ジョリー監督作「不屈の男 アンブロークン」(2014年)などで主演し、最近、存在感を高めているジャック・オコンネルさんだ。

 上場したばかりの企業の株が急落し、損失額が8億ドル(約850億円)に及んでしまう。財テク番組「マネーモンスター」でパーソナリティーを務めるリー・ゲイツ(クルーニーさん)は、生放送中の番組で、その企業の責任者に株価急落の理由のインタビューを試みる。一方、番組のコントロールルームでは、ディレクターのパティ・フェン(ロバーツさん)が、毎回、アドリブで暴走しがちなリーの言動を、冷や冷やしながら見守ってた。そこへ、配達業者を装った若い男(オコンネルさん)がスタジオに侵入。男はリーを人質に、無謀な要求を突きつける……という展開。

 格差問題、金融取引の闇、ジャーナリズムの質の低下など、今どきの話題をすべて盛り込んだ社会派サスペンス劇。とはいえそこはハリウッド映画。重たく、小難しい内容ではない。クルーニーさんとロバーツさんという二大スターを起用し、娯楽作としての面白さを追求している。物語がほぼリアルタイムで進行することが、また、緊迫感を高めている。その一方で、見る者の、金に対する価値観を揺るがせ、情報に踊らされる視聴者、熱しやすく冷めやすい、社会に無関心な人々への警告もうかがえ、さすが、才媛のフォスター監督を実感させられた。10日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「サブイボマスク」 ファンキー加藤が初主演 主人公が歌う熱い気持ちに心が目覚める

ファンキー加藤「変えられない明日はない」 映画「サブイボマスク」予告編

 元「FUNKY MONKEY BABYS」のメンバーでミュージシャンのファンキー加藤さんが主演した映画「サブイボマスク」(門馬直人監督)が5月11日に公開される。映画は、閑散としてしまった商店街の活気を取り戻すべく、覆面レスラーだった父親の形見の覆面をかぶり、シンガーとして歌っていくことを決意した青年の奮闘を描くコメディー作。加藤さんが主人公・春雄役で初主演をしているほか、主題歌「ブラザー」を書き下ろしている。マイクを片手に人々に歌うことで訴えかける主人公を、加藤さんがその歌唱力を生かした熱演ぶりは注目だ。共演には小池徹平さん、平愛梨さん、温水洋一さん、いとうあさこさんらが顔をそろえる。

 近隣の巨大ショッピングモールに客を奪われ、今やゴーストタウン化した地方都市・道半町(みちなかばまち)。消滅可能性都市に認定された田舎町の商店街で生まれ育った春雄(加藤さん)は、さびれていく一方の地元に活気やにぎわいを取り戻すために奮闘するも、盛り上がってくれるのは幼なじみの権助(小池さん)だけで、元カノの出戻りシングルマザーの雪(平さん)にはあきれられていた。ある日、覆面レスラーだった父の形見のマスクをかぶり、ミカン箱の上でマメカラ片手に自作の応援歌をひたすら歌う“一人ライブ”を始め……というストーリー。

 高齢化や過疎化といったネガティブなイメージを抱いてしまいがちな地方のシャッター商店街が今作の舞台だが、映画を見ていると、およそ人ごととは思えなくなってくる。元気がないという点で考えると、シャッター街ではなくても、何事も徒労感やあきらめのような負の感情に支配されてしまえば、それこそ活気が失われてしまう。そんなリアリティーあふれる題材に、今どきといわずともあまり関わりたくないような熱血過ぎる男が立ち向かう物語が展開するのだが、序盤こそイタさを感じるものの、次第に街や登場人物たちを応援したくなっていく。そして主人公が自作の歌で訴えかけるという手段をとるのだが、さすが歌手の加藤さんが演じているだけに歌の説得力は申し分ない。アニメーションを多用した演出もエッジが利いていて、笑いながらも心がほっこりする作品だ。11日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「夏美のホタル」 有村架純が将来や恋愛に悩む微妙な心情を好演 切なく温かい物語

有村架純の主演映画「夏美のホタル」予告編が公開 主題歌は新人歌手のUru

 女優の有村架純さんの主演映画「夏美のホタル」(廣木隆一監督)が5月11日に公開される。映画は、森沢明夫さんの小説(角川文庫)が原作で、将来の夢や恋人との関係に悩むヒロインが、父との思い出の森で出会った親子との交流を通して、成長していく姿を描く。有村さんが主人公の河合夏美に扮(ふん)し、恋人の相羽慎吾を工藤阿須加さん、夏美が出会う親子を光石研さんと吉行和子さんが演じるほか、小林薫さん、村上虹郎さんらも出演。メガホンをとった廣木監督と有村さんのコンビは、「ストロボ・エッジ」(2015年)に続き2作目となる。

 写真家になる将来の夢と、恋人の慎吾(工藤さん)との関係に悩んでいた夏美(有村さん)は、父の形見のバイクで思い出の森へと向かい、小さな商店を営む通称“地蔵さん”と呼ばれる店主・恵三(光石さん)とヤスばあさんことヤスエ(吉行和子)の親子に出会う。そこに居候することになった夏美は、恵三の友人・雲月(小林さん)の不遜な態度に腹を立てながらも、自然の中で自由にシャッターを切るなど充実した日々を送る。ある日、夏美は恵三が別れた家族との間に埋められない溝を抱えて苦しんでいることを知り……というストーリー。

 将来や恋人の関係に思い悩むというのは、きっと多くの人が通る道だろう。今作の主人公・夏美もそんな人生の転機を迎えるのだが、それを表に出さず、明るく振る舞いながらも迷っている雰囲気を絶妙に表現している有村さんの演技に、一気に作品の世界観へと引き込まれる。千葉県大多喜町で撮影された風景がとても美しく、物語に彩りと深みを与えている。夏美が乗る初期のヤマハSR400の車体が自然とマッチし、バイクが主役ではないが、懐かしさを演出している。夏美と恵三のやり取りをはじめ、さまざまな出会いからは人と人の絆が感じられ、さらに夏美と慎吾の関係など、いろいろな形の愛情や切なさがひしひしと伝わってくる。雲月の「才能は覚悟だから」というせりふがあるが、心に響き、仕事をするということを改めて考えさせられた。思わず目頭が熱くなる場面もあるが、しいて言うなら、泣けるというより心に残る映画だ。11日から新宿シネマカリテ(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「シークレット・アイズ」 オスカー受賞作をジュリアとニコール初共演でリメーク

ニコール・キッドマン、ジュリアロバーツら出演!映画「シークレット・アイズ」予告編

 ジュリア・ロバーツさんとニコール・キッドマンさんという二大女優が初共演した映画「シークレット・アイズ」(ビリー・レイ監督)が、5月10日から公開される。13年前に迷宮入りした殺人事件の再調査によって、驚がくの真実が浮かび上がるサスペンスミステリーで、過去に米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品をハリウッドがリメークした。再調査に乗り出す私立探偵を、「それでも夜は明ける」(2013年)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたキウェテル・イジョフォーさんが演じいる。

 13年前のFBI捜査官時代、ある殺人事件で苦い思いを味わった私立探偵レイ・カステン(イジョフォーさん)は、迷宮入りとなったその事件を執念で追いかけていた。そして、ついに犯人につながる手がかりを見つけたレイは、被害者の母で、親友でもあった検察局捜査官のジェス・コブ(ロバーツさん)と、当時捜査に関わった検事クレア・スローン(キッドマンさん)の元を訪れる。再調査に乗り出した3人だったが……というストーリー。

 愛する者を失い、13年間、悲しみと憎しみの中に閉じ込められてきたジェスと、その絶望から彼女を解放させてやりたいと願うレイ。さらに、正義と愛のために2人をサポートするクレア。この三人三様の思いが、緊迫するストーリーと相まって、じわじわと胸に迫ってくる。透き通るような肌に凜(りん)としたたたずまいで、際立った美しさを見せるキッドマンさんと、ほぼすっぴんで憔悴(しょうすい)しきった姿をさらすロバーツさん。その対比が、ジェスの被害者の母という立場を浮き彫りにし、一層の哀れを誘う。ちなみにロバーツさんは、同時期公開の「マネーモンスター」では、テレビ局のやり手ディレクターを演じている。その差の著しさに、当然ながら「さすが女優」と実感させられた。

 ベースとなったのは、米アカデミー賞外国語映画賞に輝いた、スペイン・アルゼンチン合作映画「瞳の奥の秘密」(2009年)。オリジナルで強めに出ていたロマンス色が控えられていたこともあり、驚がくのラストに、さらにひねりを加えた今作には、別の感慨とカタルシスを味わった。10日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「白鳥麗子でございます!」 ハマリ役! 河北麻友子が3代目・白鳥麗子に

河北麻友子が“超お嬢様”に!主題歌&挿入歌はボイメン 映画「白鳥麗子でございます!THE MOVIE」予告編

 モデルで女優の河北麻友子さんが主演する映画「白鳥麗子でございます! THE MOVIE」(久万真路監督)が5月11日に公開される。累計発行部数1700万部を誇る鈴木由美子さんの人気マンガが原作で、河北さん演じる「おーほほほほほほ!」という高笑いがトレードマークのお嬢様、白鳥麗子が主人公。高飛車で奥手な麗子は、子供の頃から思いを寄せる哲也に対し、プライドが邪魔して素直になれず、さまざまなドタバタが巻き起こる……というラブコメディーだ。

 同マンガは1989年にドラマ化され、鈴木保奈美さんが麗子を演じた。また93年のドラマと95年の映画では松雪泰子さんが麗子を演じ、河北さんが3代目となる。河北さんの主演版は今年1月からドラマが放送された。

 相手役の哲也役は、テレビ版に続き、東海エリア発の男性10人組ユニット「BOYS AND MEN」(ボイメン)の水野勝さんが演じる。また哲也のライバルで、麗子に政略結婚を提案する御曹司の桐生希一を同グループの小林豊さんが演じ、哲也に思いを寄せる“男前女子”役でグラビアタレントの久松郁実さんも出演する。

 「ボイメン」メンバーは、ほかにドラマ版で麗子にアタックする吉本龍之介を演じた田村侑久さん、哲也が所属している大学のバスケットボール部員を演じた辻本達規さん、田中俊介さん、吉原雅斗さんが引き続き、出演。さらに同グループの楽曲「Forever and Always」が主題歌に採用され、挿入歌にも同グループの「With…」が採用されている。

 映画はドラマ版から1年後が舞台。哲也と楽しい同居生活を送る麗子は、哲也の家族と会うことになり、大はしゃぎする。しかし麗子の実家が関わるリゾート開発が、哲也の父親をはじめとする漁師たちから反対されていて……と展開する。

 ニューヨーク育ちの“リアルお嬢様”という河北さんが演じる麗子が、思い込みや勘違いを繰り返しながらも、哲也のために懸命に奮闘する姿が可愛らしく、まさにハマリ役。場面ごとに変わる華やかなファッションや、麗子の代名詞「おーほほほほほほ!」の使い分けも見どころだ。また哲也が麗子のために見せる男気や、“哲也の最大のライバル”として登場する桐生にも注目したい。小林さんが、いつもの明るく楽しい“ゆーちゃむキャラ”を封印してクールに演じている。映画は、11日からシネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(MANTAN)

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