【映画まとめ】5月13、14日公開 映画紹介&予告編 「世界から猫が消えたなら」「殿、利息でござる!」「ヘイル、シーザー!」「シンドバッド」「マクベス」

「世界から猫が消えたなら」 佐藤健と宮崎あおいが初共演 かけがえのないものを巡る愛の物語

佐藤健が主演!ヒロインは宮崎あおい 映画「世界から猫が消えたなら」予告編

 俳優の佐藤健さんが主演する映画「世界から猫が消えたなら」(永井聡監督)が5月14日に公開される。余命わずかと宣告された郵便配達員が、自分と同じ姿をした悪魔と「世界から何かを一つ消すことで、一日の命を得る」という取引をしながら、かつての恋人や親友、家族との絆を確かめていく愛の物語。佐藤さんが主人公の郵便配達員の「僕」と「自分と同じ姿をした悪魔」の2役で、佐藤さんと初共演となる宮崎あおいさんが「僕」のかつての恋人「彼女」を演じ、「僕」の親友役で濱田岳さん、「僕」の両親役で奥田瑛二さんと原田美枝子さんも出演している。

 原作は「モテキ」や「電車男」などを手がけた映画プロデューサーの川村元気さんのベストセラー小説で、2013年の本屋大賞にノミネートされたほか、マンガ化やラジオドラマ化もされた。映画は「ジャッジ!」の永井監督がメガホンをとり、「イグアナの娘」「君の手がささやいている」「ちゅらさん」などで知られる岡田惠和さんが脚本を担当。音楽は「スワロウテイル」「リリイ・シュシュのすべて」の小林武史さんで、主題歌「ひずみ」は、米ロサンゼルス生まれの新人女性歌手HARUHIさんが歌っている。

 愛猫「キャベツ」と暮らす30歳の郵便配達員の「僕」は、ある日の午後にひどい頭痛に見舞われ、自転車で転倒。病院で診てもらったところ脳腫瘍が見つかり、余命わずかと宣告されてしまう。事実を受け入れることができないまま家へと戻った「僕」の前に現れたのは、自分と同じ姿をした「悪魔」を名乗る男。「僕」は「悪魔」に言われるまま「世界から何かを一つ消すことで、一日の命を得る」という取引を交わしてしまう。最初に電話を世界から消すことにする「悪魔」。電話を消すことで一日の命を得た「僕」だったが、かつて一本の間違い電話をきっかけに出会った「彼女」との思い出も電話とともに世界から消えてしまったことを知る。「悪魔」は映画や時計を次々に消し、さらに猫さえも世界から消そうとするが……というストーリーだ。

 「悪魔」が消そうとする“もの・こと”はすべて、「彼女」「映画マニアの親友」「時計屋を営む父さん」「僕と猫に優しかった母さん」といった「僕」のこれまでの人生にとって大切なものへとつながっていき、この世界は「かけがえのないものでできている」という事実と、それでも「命よりも大切なものはあるのか?」という疑問をくっきりと浮かび上がらせていく。とりわけ「映画マニアの親友」が「僕」のため人生の最後に見る一本を懸命に探し出そうとするシーンと、「母さん」から「僕」へと向けられた無償の愛が語られるシーンが胸を打つ。「僕」の2匹の愛猫、初代の「レタス」と二代目の「キャベツ」も、“どうしちゃったの?”と思うくらいおとなしく従順、文字通り「借りてきた猫」状態で、猫好きとしてあまりの可愛らしさに“キュン死”にしそうにもなった。

 淡い色彩でカメラに収められた北海道の函館・小樽の町並みをはじめ、バックの風景はどれも絵画のような美しさで、ブラジルとアルゼンチンにかかる世界遺産「イグアスの滝」も「僕」と「彼女」のその後を暗示するかのように、雄大な姿のまま画面に登場する場面も見どころだ。映画は14日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。(山岸睦郎/MANTAN)

「殿、利息でござる!」 阿部サダヲ主演 実話を基にした笑って泣けて心温まる時代劇

羽生結弦選手、“殿様姿”の映像が初公開 美しすぎるマゲ姿で「重村である!」 映画「殿、利息でござる!」予告編

 俳優の阿部サダヲさんが時代劇で初主演した映画「殿、利息でござる!」(中村義洋監督)が5月14日に公開される。映画は、磯田道史さんの著書「無私の日本人」に収録されている一編「穀田屋十三郎」が原作。江戸時代中期の仙台藩吉岡宿を舞台に、年貢の取り立てや労役で困窮する宿場町を守るため、十三郎(阿部さん)ら庶民9人が藩に千両を貸し、毎年の利子を全住民に配分する「宿場救済計画」を立てて奮闘する姿を描く。瑛太さん、妻夫木聡さん、竹内結子さん、松田龍平さんら豪華キャストが集結し、「ゴールデンスランバー」(2010年)などで知られる中村監督が本格時代劇に初挑戦した。

 財政が厳しい仙台藩は百姓や町人たちに重税を課したため、破産と夜逃げが相次ぎ、小さな宿場町・吉岡宿はすっかりさびれてしまっていた。街の将来を案じる造り酒屋の主・穀田屋十三郎(阿部さん)は、町一番の知恵者・菅原屋篤平治(瑛太さん)から、藩に大金を貸し付けて利息を巻き上げるという秘策を聞かされる。明るみになれば打ち首必至だが、十三郎と弟の浅野屋甚内(妻夫木さん)をはじめ宿場町の仲間たちは、私財を投げ打ち計画を進め……というストーリー。

 実話を基にした物語ということも興味深いが、なによりも主演の阿部さんをはじめとした実力派キャストたちによる演技のアンサンブルが随所で光っている。映画タイトルのテイストからコメディータッチの痛快時代劇を想像していたが、もちろん笑えるシーンもありつつ、人情や絆といった要素がちりばめられ、心温まる物語で爽快な気分にさせてくれる。悪党との殺陣勝負などといった分かりやすい時代劇要素はなく、庶民が藩に大金を貸し付けて利息を取るという興味深い設定や町人らが宿場を守るため金策に走り回る姿を描いた“無私”の精神には深く考えさせられ、素直に感動する。仙台藩の藩主・伊達重村役でゲスト出演している男子フィギュアスケートの羽生結弦選手が、思っている以上にはまっていて驚いた。14日から丸の内ピカデリー(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「ヘイル、シーザー!」 コーエン兄弟最新作 ハリウッド黄金時代に起こった誘拐事件を追う

コーエン兄弟作品 映画「ヘイル、シーザー!」予告編

 ジョエル&イーサン・コーエン兄弟監督の最新作「ヘイル、シーザー!」が、5月13日から公開された。ハリウッドの黄金時代を舞台に、スタジオの“何でも屋”が大スターの誘拐事件を追うコメディー作。ジョージ・クルーニーさん、ジョシュ・ブローリンさん、スカーレット・ヨハンソンさん、チャニング・テイタムさんら豪華キャストが集結した。

 1950年代。ハリウッドのスタジオで、命運を懸けた超大作「ヘイル、シーザー!」の撮影中、主演俳優で世界的大スターのベアード・ウィットロック(クルーニーさん)が突然、姿を消した。スタジオには誘拐を匂わせる脅迫状が届く。スターの不祥事をもみ消したり、監督の怒りを鎮めたりするスタジオの“何でも屋”エディ・マニックス(ブローリンさん)は、若手女優(ヨハンソンさん)のお色気を使って秘密裏に身代金を準備したが、双子の記者(ティルダ・スウィントンさんが一人二役)がスクープをかぎまわっており……という展開。

 ハリウッド黄金期への愛情と皮肉もたっぷりで、映画製作の裏側を見ているような面白さでまったく飽きさせない。勇壮なローマ軍の行進、投げ縄の西部劇、とことん明るいミュージカル劇、大輪の花が咲いたような水中ダンス、男女の修羅場がいかにものメロドラマ……華やかな撮影風景が、流れるようなカメラワークで展開され、見ていて心が躍る。大きな機材とセットに囲まれながら人々が集まってわいわい言いながら作る当時の映画製作の現場が再現されており、熱気とともに“銀幕のスター”を生み出し人気を維持するための必死の努力もうかがえる。1950年代といえばテレビの急激な台頭で、映画業界は相当焦っていたに違いない。「これが映画ですよ」とばかりに作り上げた、色彩豊かな表の顔があるかと思えば、裏では、巨大なスタジオという「組織」の歯車となって働く人々の姿が見られる。トラブルをもみ消そうと奔走するフィクサーの“何でも屋”マニックスもその一人だ。彼は気が休まるときがないが、それが映画人として、仕事人間としての誇りなのだろう。

 誘拐事件というとっつきやすい話が軸になっているため、映画通でなくても楽しめる。娯楽産業での赤狩りという当時の世相を反映した内容も盛り込まれ、事件のてん末が、「人をだまし切る=映画」という装置の暗喩にもなっている。ただ楽しいだけでなく、ピリリと心に刺さる笑いがくせになりそうだ。TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほかで13日から公開。(キョーコ/フリーライター)

「シンドバッド」 大冒険もラスト航海へ 1&2話ダイジェストに新作エピソード追加

映画「シンドバッド」予告編

 劇場版アニメ「シンドバッド」(宮下新平監督)が5月14日に公開される。今作は、アニメ「世界名作劇場」シリーズや「未来少年コナン」などを手がけてきた制作会社「日本アニメーション」の40周年記念作品として製作された劇場版3部作の完結編。第1弾「シンドバッド 空とぶ姫と秘密の島」(2015年)と第2弾「シンドバッド 魔法のランプと動く島」(16年)のダイジェスト版に、完全新作のストーリーを追加し、魔法族の姫・サナと出会ったシンドバッドたちが繰り広げる大海原での大冒険を描いている。

 母親と猿のミミと暮らす少年・シンドバッド(声・村中知さん)は、空から落ちてきた伝説の魔法族の姫・サナ(声・田辺桃子さん)と出会い、船員仲間のアリ(声・永澤菜教さん)らバハル号の仲間たちと大海原へと乗り出す。シンドバッドたちは、秘密のベールに隠された島、水の上を走る謎の青い馬、巨人、動く島など、行く先々で不思議な出来事に遭遇し冒険を繰り広げるが、謎の敵・ガリプ(声・石田彰さん)一味に狙われる。やがてたどり着いた“真昼の夜”の中に浮かび上がる“不思議の門”で、世界が変わる恐るべき秘密が遂に明らかになり……というストーリー。

 3部作の完結編は、これまで公開された第1話、第2話のダイジェストも盛り込まれているので、劇場版を追い続けてきたファンも、今作から見る人も、どちらもシンドバッドの大冒険を存分に楽しめる。胸をときめかすような冒険譚(たん)も、いよいよクライマックスに向けて盛り上がり、普通の男の子であるシンドバッドが出会いや別れ、苦労や失敗を経験し、生きていく上でぶつかるであろう壁を仲間とともに乗り越え、成長していく姿に目頭が熱くなる。サナとの関係性だけでなく、アリやダールといったキャラクターたちのドラマも見応え十分で、大人が見ても楽しめる愛と感動、そして夢が詰まった物語だ。14日からイオンシネマ板橋(東京都板橋区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「マクベス」 燃えたぎるような「赤」と権力者の狂気に圧倒される

映画「マクベス」予告編

 ウィリアム・シェークスピア没後400年を記念して「英国王のスピーチ」(2010年)の製作チームの元で作られた「マクベス」(ジャスティン・カーゼル監督)が、5月13日から公開された。マイケル・ファスベンダーさんとマリオン・コティヤールさんがマクベス夫妻に扮(ふん)している。燃えたぎるような赤の背景と迫真の芝居にくぎ付けになる。

 中世スコットランドが舞台。反乱軍から国を守ったマクベス(ファスベンダーさん)は、戦友のバンクォー(パディ・コンシダインさん)とともに荒野で3人の魔女と出くわす。魔女たちはマクベスがスコットランドの王となり、バンクォーの子孫が未来の王になると予言。その後、マクベスはコーダーの領主となり、妻(コティヤールさん)から国王ダンカンの暗殺をけしかけられる。実行して王位についたマクベスだったが、次第に心をむしばまれていき……という展開。

 とにかく、主演のファスベンダーさんの芝居が絶品だ。かぶりものをしたミュージシャンを演じた「FRANK-フランク-」(2014年)や、「スティーブ・ジョブズ」(15年)のジョブズなど、常人ではない人物の心の内を繊細に演じることにたけている俳優だが、その力量がいかんなく発揮されている。「ハムレット」「オセロー」「リア王」とともにシェークスピアの4大悲劇と呼ばれる「マクベス」。日本では、黒澤明監督作「蜘蛛巣城」(57年)の原作として、また、12日に亡くなった蜷川幸雄さんの舞台でも有名だ。人間の欲望の奥底がえぐり出され、権力についた者の孤独と猜疑(さいぎ)心が浮き彫りにされる内容もさることながら、今作ではスモーキーな色合いの戦場や、血なまぐさい赤などの色彩が強烈で印象に残る。野望に燃えるマクベス夫妻の心の内だけでなく、戦争にあけくれ、おびただしい数の命が失われていった時代がリアルに胸に迫ってくる。

 権力を得て人の心を失ってしまう人間の弱さを、ファスベンダーさんがジワジワとした狂気とともに演じ、見ていて圧倒されっ放しだった。照明もわざとらしくなく、城や衣装なども重厚。スコットランドの荒地の引きの風景も印象的で、顔と顔が近い対話のシーンとのメリハリで見せる。オーストラリア出身のカーゼル監督は、人気ゲームの映画化である次回作でも、再度ファスベンダーさんとコティヤールさんをキャスティングしている。TOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで13日から公開。(キョーコ/フリーライター)

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