「人生の約束」 竹野内豊主演 富山・新湊の美しい景色と人と人との絆に心震える

竹野内豊が出演 映画「人生の約束」予告編

 俳優の竹野内豊さんが主演し、ドラマ「池中玄太80キロ」シリーズなどで知られる石橋冠監督が初めて手がけた映画「人生の約束」が1月9日に公開される。360年の歴史がある富山県射水(いみず)市新湊地区「新湊曳山(ひきやま)まつり」を題材に竹野内さんが演じるすべてを失ったIT関連企業のCEO・中原祐馬の再生を描く。祐馬に敵対心を抱きながら徐々に打ち解けていく新湊の漁師役で江口洋介さんが出演。西田敏行さんやビートたけしさんも出演するなど豪華な顔ぶれがそろっっている。

 会社を拡大することにしか興味がないIT企業CEOで・中原祐馬(竹野内さん)は、共に起業しながらも会社を追い出す形で決別したかつての親友・航平から携帯電話に何度も着信があることに気づく。胸騒ぎを覚えた祐馬は航平の故郷の富山県・新湊を訪れるが、航平は既に亡くなっていた。町内会長の西村玄太郎(西田さん)に話を聞くと、病で余命わずかだった航平は、最後に曳山につながりたいと故郷に戻っていた。会社を追い出した揚げ句、航平からの電話を無視し続けた祐馬を許すことができず、航平の義兄で漁師をしている鉄也(江口さん)は祐馬に殴りかかる。そんな中、航平の忘れ形見の少女・瞳(高橋ひかるさん)は、祐馬にある頼みごとをする……というストーリー。

 名作といわれる「池中玄太80キロ」シリーズもそうだったが、石橋監督の演出は、日本の原風景といわれる景色と人と人とのふれあいのバランスが絶妙だ。今回も新湊の赤い灯台と青い海の色、人と人とがつながる曳山(山車)など、自分の故郷でなくても懐かしいと思えるモチーフがちりばめられている。都会のスタイリッシュなIT企業の社長という役柄がぴったりの竹野内さんは、親友の思いを継いで曳山を引いているうちに、いつの間にか「イヤサーイヤサー」と町の人と一緒に大きな声を出し、最後には温かい涙がほおをつたっていた。その心の変遷を、見ている方も一緒にたどることができ、最後は祐馬と一緒に心を震わせることになる。

 今作は西田さんやたけしさんら日本を代表する俳優が数多く出演しているが、中でも江口さんの日焼けした顔に角刈りの漁師姿が意外にも似合っていて驚いた。また、親友の娘役で出演している高橋さんの昭和の香りのする存在感も光っていた。西田さんや竹野内さんら共演者もそのピュアな存在感に太鼓判を押し、これから伸びる逸材かもしれない。美しい景色を見ながら、いつのまにか人と人との絆を感じ温かい気持ちになるハートウォーミングな会心作だ。9日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほかで公開。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

「ブリッジ・オブ・スパイ」 スピルバーグとハンクスで実在の弁護士の活躍を描く

トム・ハンクス主演 映画「ブリッジ・オブ・スパイ」予告編

 スティーブン・スピルバーグ監督が、実在の米国人弁護士の活躍を描いた映画「ブリッジ・オブ・スパイ」が、1月8日から公開される。弁護士を演じるのは、スピルバーグ監督とは「プライベート・ライアン」(1998年)以降3本の映画でコンビを組んでいるトム・ハンクスさん。それだけでも注目を集めるが、さらに関心を高めさせるのが、劇作家のマット・チャーマンさんとともに、ジョエル&イーサンのコーエン兄弟が脚本を担当しているということ。なるほど、コーエン兄弟らしいサスペンスと、スピルバーグ監督らしいヒューマニティーが絶妙にブレンドされた見応えある作品に仕上がっている。

 舞台は、米国とソ連が冷戦状態にあった1950、60年代。ジェームズ・ドノバン(ハンクスさん)は、保険法を専門とする米国人弁護士だったが、「誰しも等しく公平な裁判を受ける権利がある」という信念のもと、ソ連のスパイ、ルドルフ・アベル(マーク・ライランスさん)の弁護を引き受ける。それをきっかけにドノバンは、ソ連に拘束された米国人パイロット(オースティン・ストウェルさん)とアベルの交換交渉を任されることに。交渉の場は、ソ連の占領下の東ベルリン。ドノバンは命懸けで交渉場所へと向かう……という展開。

 タイトルからスパイ映画を想像していたが、実のところはスパイを助けるために尽力した実在の弁護士の話で、米国やソ連、さらに東ドイツの政府要人の思惑が入り乱れる中、公平、正義を信条に交渉を繰り広げるドノバンの姿が熱く描かれていた。ときおりユーモラスな場面もはさみ込み、一見、取っ付きにくそうなストーリーを、スピルバーグ監督がエンターテインメント寄りに描いた。ハンクスさんの、信義に厚い弁護士像も好感が持て、夫として父親としての素顔を見せることも怠らない。一方、ソ連のスパイ、アベルを演じたライランスさんも、スパイにはおよそ見えないスパイをひょうひょうとした雰囲気で演じ、しかし時折、祖国に見放された男の寂しさを垣間見せ、共感を誘うことに成功している。その2人の間に芽生える友情も今作のポイントだ。アベルがドノバンに語る幼少期の体験は、のちの感動を深める伏線となり、終盤のアベルとドノバンのやりとりには涙腺を刺激された。ドノバンこそが“懸け橋”だと悟ったとき、タイトルの「ブリッジ・オブ・スパイ(Bridge of Spies)」が、がぜん輝いて見えた。8日からTOHOシネマズ スカラ座(東京都千代田区)ほかで公開。(りんたいこ/フリーライター)

「ガラスの花と壊す世界」 人類滅亡後の世界で繰り広げられる少女たちの物語

劇場版アニメ「ガラスの花と壊す世界」予告編 原案公募の異色作

 人類滅亡後の世界を舞台に、ウイルスと戦う2人の少女が、記憶を失った1人の少女と出会う劇場版アニメ「ガラスの花と壊す世界」(石浜真史監督)が1月9日に公開される。2013年にアニメのアイデアを公募して話題になった「アニメ化大賞」の大賞作品「D.backup(ディー・ドット・バックアップ)」を原案にした異色作だ。

 「知識の箱」では、パソコンのハードディスクのように、地球上のさまざまな時代が記録されているが、データを侵食するウイルスに悩まされていた。デュアルとドロシーの2人の少女は、そのウイルスを駆除するアンチウイルスのプログラムという設定で、そこに突然現れたのが謎の少女・リモだった。デュアルとドロシーは最初、任務だけを忠実に実行しているだけだったが、リモと共同生活を続けるうちに、仲間意識が生まれて、次第に感情が豊かになっていく。ところが並行して、2015年を起点にした別の物語が始まる。16歳のピアニストの少女・スミレと、娘のダイアナへと話が展開していく。2060年には地球の環境破壊が進み、2100年にはダイアナが制作した環境管理プログラム「マザー」が開発され、人類の管理が始まる。

 一見すると複雑で、理解するのが大変と思える作品設定だが、アニメを見ると、意外にもストーリーがすんなり入ってくる。文字からは想像しづらい「知識の箱」の世界も、アニメで見ると「百聞は一見にしかず」のことわざがしっくりくる感じで、仕組みが理解できるはず。さまざまな謎はあるものの、最も気になる謎はリモの正体になるからだ。そして二つの世界の接点が徐々に明らかになり、中盤以降は「2100年に人類は滅亡!?」の意味が判明する。

 企画当初から、アニメ化に向いた作品を原案に選び、製作時から観客の感情を揺さぶることを狙っている通り、思わずホロリとするシーンも用意されている。「けいおん!」など多くのテレビアニメを手掛けたポニーキャニオンが「総力を結集した」と自負する通り、深夜のテレビアニメファンに向けて丁寧に作ったことが分かる意欲作だ。特に全編を通して変化する「知識の箱」のアニメ描写は一見の価値あり。9日から新宿バルト9(東京都新宿区)、シネマサンシャイン池袋(東京都豊島区)ほかで全国で公開。(河村成浩/毎日新聞デジタル)

「KING OF PRISM by PrettyRhythm」 ボーイズユニット「Over The Rainbow」が主役の物語

劇場版アニメ「KING OF PRISM by PrettyRhythm」予告編

 2014年3月に終了したテレビアニメ「プリティーリズム・レインボーライブ」に登場したボーイズユニット「Over The Rainbow」を主人公にした劇場版アニメ「KING OF PRISM by PrettyRhythm」(菱田正和監督)が1月9日に公開される。13年4月~14年3月に放送された「プリティーリズム・レインボーライブ」は、現在放送中の「プリパラ」の前身となったアニメで、神浜コウジ、速水ヒロ、仁科カヅキの3人によるユニット「Over The Rainbow」はサブキャラクターとして登場したが、熱い支持を受けて劇場版が製作された。4年に1度開催される「プリズムキングカップ」に向けて奮闘する姿を描いている。

 華々しくデビューした神浜コウジ(声・柿原徹也さん)、速水ヒロ(声・前野智昭さん)、仁科カヅキ(声・増田俊樹さん)によるユニット「Over The Rainbow」。プリズム界の頂点に上り詰めた彼らを目指し、エーデルローズに続々と新入生が入学してくるが、突然、「シュワルツローズ」という対抗勢力が現れ苦境に立たされる。さらに“天才作詞・作曲家”としてユニットを支えてきたコウジに米国から映画音楽制作のオファーが舞い込む中、4年ごとに開かれる「プリズムキングカップ」に向けて練習を重ねるヒロたちだったが……というストーリー。

 アイドルを扱った劇場版アニメは数あれど、まさかサブキャラクターとして登場したユニットが主役のスピンオフとは、その人気の高さはまさに推して知るべしだ。しかも基本は女児向けアニメだが、複雑な背景や展開で驚かせるという珍しくも衝撃的な手法は劇場版でも健在で、Over The Rainbowの3人がさまざまな試練や困難を乗り越えていく姿には、思わず胸が熱くなる。特に作品の要となるであろうプリズムショーの数々は素晴らしく、とくに冒頭のOver The Rainbowによるプリズムショーは初見の人ならずとも圧倒されるはずだ。登場キャラクターが思春期の男の子になるなど趣が少し変わっているが、根幹をなすものは継承されているので、シリーズファンも戸惑うことなく世界観に入っていける。新キャラ7人によるエンディング曲ほか完成度が高く、バラエティー豊富な楽曲の数々が物語を彩る。9日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「鉄拳 Kazuya’s Revenge」 ケイン・コスギのハリウッド初単独主演作

ケイン・コスギが主演!映画「鉄拳 Kazuya’s Revenge」予告編

 アクション俳優のケイン・コスギさんのハリウッド初単独主演映画「鉄拳 Kazuya’s Revenge」(カオス監督)が1月9日に公開される。映画は、人気格闘ゲーム「鉄拳」を基にしたバトルアクションで、2度目の実写化となる。今作ではゲームのメインキャラクターを主人公に新たな物語が展開。記憶を失った主人公が葛藤を抱えながらも戦いに身を投じていく姿を描く。特集上映「未体験ゾーンの映画たち2016」の作品の一つとして上映される。

 記憶喪失で自らの素性すら分からない三島一八(ケインさん)は、いつしか断片的な過去の記憶と、ある男の姿が脳裏に浮かぶようになる。やがて一八は、自分が地下犯罪組織に誘拐され、冷酷な暗殺者として育てられたことを思い出す。暗殺の標的となっていたブライアン・フューリーの手を借り、一八は自分の身元を探り始める……というストーリー。

 昨年公開されたスコット・アドキンスさんとのダブル主演映画「ニンジャ・アベンジャーズ」でも鍛え上げた肉体で生身のファイトシーンを熱演していたケインさんだが、今作でもアクションは迫力満点で楽しませてくれる。スピードは抑えめだが、重量感を感じさせる打撃など、アクション俳優の面目躍如といえる圧巻の完成度だ。新たなストーリーが繰り広げられるだけに、「鉄拳」としての要素は薄めかもしれないが、アクション好きなら見逃せない一本といえる。ケインさんが演じる主人公の葛藤も織り込まれ、アクションだけでなくストーリーも見応えある内容に仕上がっている。9日からヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほかで公開。(遠藤政樹/フリーライター)

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