「日々ロック」 入江監督がYJ連載マンガを実写化 二階堂ふみのロックな演技に注目

映画「日々ロック」予告編 二階堂ふみが“凶暴”トップアイドルを熱演!

 俳優の野村周平さんが主演で、売れないロックミュージシャンと凶暴なトップアイドルの物語を描いた「日々ロック」(入江悠監督)が11月22日に公開される。今作は「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中の榎屋克優さんの人気マンガが原作で、ライブハウス界隈(かいわい)のリアルな熱気や売れないロッカーの苦悩などが描かれている。野村さん演じる主人公の貧乏ロッカー・日々沼拓郎をはじめとするミュージシャンたちの熱い演奏シーンが見どころ。破天荒な行動を繰り返すトップアイドル・宇田川咲に扮(ふん)する二階堂ふみさんのロックな演技にも注目だ。

 金も風呂も彼女もいない売れないロッカー、日々沼拓郎(野村さん)はライブハウスで住み込みで働きながら、自身のロックバンド「ザ・ロックンロールブラザーズ」を率いて客の少ないステージに立たせてもらうという悶々とした日々を過ごしていた。ある日、ライブ中に酔っ払って乱入してきたトップアイドル・宇田川咲(二階堂さん)と出会い、「自分には時間がない」という咲から曲を書いてくれと依頼される。だが、ある出来事をきっかけにライブハウスはなくなり、バンドは崩壊。一方、咲の「残り時間」もわずかになっていき……というストーリー。

 映画は血しぶきが舞う乱闘シーンから始まり、度肝を抜かれたまま一気に入江監督の作品世界に引きずり込まれる。物語の主な舞台となっている地下ライブハウスも薄暗く怪しい雰囲気がリアルに表現されている。主人公を演じる野村さんは見ているこちら側にまで汗が飛んで来そうなほど過剰で暑苦しい主人公を見事に演じており、入江監督が「SR サイタマノラッパー」シリーズでも表現していた、ひたむきに自己の音楽に向き合う若者の焦りや痛々しさ、そして一本気な情熱がここでも存分に表現されている。バンドメンバーをはじめ竹中直人さんや蛭子能収さんなど脇を固める俳優陣も個性的で退屈しない。二階堂さんがやや荒っぽく「雨あがりの夜空に」を熱唱するシーンも必見。圧巻はラストの屋上での、暴風雨の中のライブシーン。決して意外性のある展開ではないが、有無をいわせず勢いで突っ走るバンドの姿と壮絶なライブに思わずエンドロールまで目がくぎ付けになってしまった。22日から公開。(河鰭悠太郎/毎日新聞デジタル)

「インターステラー」 未知の世界が眼前に広がるノーラン監督最新作

映画「インターステラー」予告編 クリストファー・ノーラン監督作品 壮大な宇宙と主人公の葛藤描く

 映画「ダラス・バイヤーズクラブ」(2013年)で米アカデミー賞主演男優賞に輝いたマシュー・マコノヒーさん主演の映画「インターステラー」が11月22日から全国公開される。新生バットマンシリーズを手掛けたクリストファー・ノーラン監督が、実弟ジョナサン・ノーランさんと書き上げた脚本を映像化。深淵なストーリーを斬新な映像スタイルで撮ることを好むノーラン監督らしい、驚きに満ちたSF大作に仕上がっている。アカデミー賞女優のアン・ハサウェイさんが出演するほか、ジェシカ・チャステインさん、マイケル・ケインさんらが共演している。

 深刻な環境汚染と土壌の枯渇によって地球の寿命が尽きかけている中、元NASAのテストパイロットでエンジニアのクーパー(マコノヒーさん)は、かつての恩師(ケインさん)から、居住可能な惑星を探すというミッションへの参加を請われる。クーパーは、人類の未来を守るために、生きて帰れる保証のないそのミッションに参加することを決意。生物学者のアメリア(ハサウェイさん)らとともに、前人未到の未開の地へと旅立つ……というストーリー。

 作家の桜坂洋さんは自身の小説が映画化されたとき、その映画を見る際の心構えを、「考えるな、感じろ」と話していたが、その言葉が今作にもそっくりそのまま当てはまる。上映時間2時間49分の壮大な話だ。その間、そこで起きることを目撃し、息をのみ、一喜一憂しながらクーパーの帰還を心から願った。「ワームホール」や「バイナリーコード」といった専門的な言葉に首をかしげながらも、眼前に広がる未知の世界にぼう然としたり、ときめいたりした。TARS(ターズ)やCASE(ケース)といったロボットが、よくあるロボットの形をしていないことに驚かされ、「2001年宇宙の旅」(1968年)を彷彿(ほうふつ)とさせる場面には胸を熱くさせられた。「インセプション」(10年)を見たときもそう思ったが、つくづく、ノーラン監督の頭の中は一体どうなっているのだろうと思わずにはいられなかった。22日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「想いのこし」 明日もし消えてしまうとしたらどうするかを笑いと感動で描く

映画「想いのこし」予告編(のこし編)

 岡本貴也さんの小説を基に俳優の岡田将生さん主演で実写化した「想いのこし」(平川雄一朗監督)が11月22日に公開される。今作は、岡本さんの小説「彼女との上手な別れ方」が原作で、金と女にしか興味がない男が世に未練を残した幽霊の最後の願いをかなえるため、奔走する姿を描いている。金と女に目がない“ダメ男”ながらも幽霊と出会ったことで成長していく青年を岡田さんが体当たりで表現。ポールダンサーの幽霊役の広末涼子さんのつやっぽい演技も見逃せない。

 金と女に目がない29歳のダフ屋・ガジロウ(岡田さん)は、ある日、交通事故に遭遇。幸い無傷ですんだが、事故で亡くなったポールダンサーのユウコ(広末さん)らが目の前に現れる。ユウコは小学生の一人息子・幸太郎(巨勢竜也君)を残してきたこと、ルカ(木南晴夏さん)は結婚式が目前だったこと、ケイ(松井愛莉さん)は同級生に思いを寄せていたこと、元消防士のジョニー(鹿賀丈史さん)はやり残した仕事と、それぞれ現世に未練を残して成仏できない“想い”を抱えていた。ユウコたちは自分たちの姿が見えるガジロウに、金と引き換えにやり残したことの代行を依頼。ガジロウは嫌々ながらも大金に目がくらみ未練の解消を引き受けたのだが……というストーリー。

 ある日、突然死んでしまったら……というのは、誰しもが一度ならず考えたことがあるだろう。重めなテーマだが、主人公のガジロウがチャラ男だったり随所にコメディータッチの演出が仕込まれているなど、泣けるのに思わず笑ってしまう作品に仕上がっている。軽い気持ちで笑っていると、次の瞬間には涙腺を刺激されるなど緩急が利いた展開が興味深く、見る者の心を引きつける。ウエディング姿で結婚式をしたり女装姿でポールダンスを踊ったりと多彩な格好で楽しませてくれる岡田さんの演技や、4人の幽霊たちが消えていくシーンには素直に感動でき、登場人物たちを思うといとおしく切ない気持ちでいっぱいになる。本当に大切なものは何か……一日一日を懸命に生きることの大事さとを改めて思い知らされる。丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「西遊記~はじまりのはじまり~」 三蔵法師と孫悟空の出会いと誕生の物語

映画「西遊記~はじまりのはじまり~」予告編

 「少林サッカー」(2001年)、「カンフーハッスル」(04年)、「ミラクル7号」(08年)などの作品で知られる香港の人気俳優チャウ・シンチーさんの6年ぶりの監督作「西遊記~はじまりのはじまり~」が11月21日から全国で公開される。中国で古くから伝わる「西遊記」を題材に、三蔵法師、沙悟浄、猪八戒、そして孫悟空の4人が出会うまでをオリジナルストーリーで描いている。今回、シンチーさんは出演はしていないが、来日時、今作が「ドラゴンボール」の影響を受けていると話し、またエンディングで日本のドラマ「Gメン’75」のテーマ曲を使うなど、日本人にはうれしい仕掛けもある。

 妖怪ハンターの玄奘(ウェン・ジャンさん)は、川に現れた半魚半獣の妖怪退治に失敗。師匠から「修行に励め」と諭される。別の妖怪を取り逃がした玄奘は、師匠から、その妖怪を倒せる人物を教えられ、彼に会うために五指山に向かう……というストーリー。

 冒頭、村人に襲い掛かる妖怪と戦う玄奘……これがどう「孫悟空」の物語につながっていくのだろうかと首をひねっている間にも、次から次へと予想外のエピソードが飛び出す。孫悟空が性格の悪い“おっさん”として描かれ、猪八戒は、コラーゲンでお肌つるつるの美男子、沙悟浄は魚と獣を合体させた水の妖怪というユニークな姿で現れ、彼らもまた、予期せぬ動きを見せる。そもそも、仏教の悟りを開いた三蔵法師が修行中の妖怪ハンターで、その彼が主人公という設定が新鮮。そんな彼らが、どのように関係を築いていくかが見どころだ。

 ほかにも、妖怪の顔を殴りつけるとその顔がゴムのように変形するなど、不気味ながらも笑えるネタがたっぷり入り、“シンチー節”は健在。一方で、今作オリジナルキャラのスー・チーさん演じる妖怪ハンターの段と玄奘のロマンスを盛り込み、ホロリとさせる場面も。もちろん、妖怪と妖怪ハンターのバトルシーンは、コンピューターグラフィックス(CG)を駆使した“ありえない”映像の連続で大いに楽しめた。日本語吹き替え版では玄奘を斎藤工さんが、段を貫地谷しほりさんが声を担当している。シンチー監督によると、続編の構想もあるようだ。21日からTOHOシネマズ有楽座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」 嵐・相葉が初単独主演 王道のクリスマス映画

映画「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」 テーマ曲「クリスマス・イブ」特別PV

 人気グループ「嵐」の相葉雅紀さんが初めて単独主演を務めた映画「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」(犬童一心監督)が11月22日に公開される。歌手の山下達郎さんのヒット曲「クリスマス・イブ」をモチーフにした中村航さんの小説が原作。マンガ家になる夢を持ち続ける書店員の主人公をはじめ、男女4人のすれ違う思いやクリスマスの夜に起こる奇跡を描いている。恋と夢の間で揺れ動く男女を演じる相葉さん、榮倉奈々さん、ハン・ヒョジュさん、生田斗真さん4人が等身大でリアリティーを感じさせる演技を見せている。

 マンガ家を目指す書店員の山本光(相葉さん)は、ある日、世界的な照明アーティストのソヨン(ハンさん)と偶然出会い一目ぼれしてしまう。ソヨンを運命の人と思い込んだ光は、幼なじみの高橋杏奈(榮倉さん)に相談するとソヨンと仕事仲間だという。子供の頃から光に恋心を抱きながらも光の片思いを応援する杏奈。一方、光はソヨンが自分の大学時代の同級生で人気マンガ家の北山一路(生田さん)の元恋人と知ってしまい……というストーリー。

 モチーフとなったのがクリスマスソングだけに、まさに王道のクリスマス映画という印象のキラキラした空気をまとっている。90年代の音楽を使い、トレンディードラマを彷彿(ほうふつ)とさせるストーリー展開でどこかレトロで当時を知る世代には懐かしい気持ちになるが、それでいて現代にマッチした演出や登場人物たちのキャラクターなどに引き込まれる。主人公の光を演じる相葉さんは、優しすぎて気弱というヘタレ全開な役を見事に演じているのだが、失礼ながら相葉さんのパブリックイメージとあまりにも合いすぎて、どこかほっこりしてしまう。また、物語の鍵を握るキャラクター・デビクロくんとの掛け合いも楽しく、実写とアニメを融合させた表現は一見の価値あり。デビクロくんの声を演じる劇団ひとりさんがいい味を出している。TOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「劇場版『進撃の巨人』前編~紅蓮の弓矢~」 未公開場面を加え2部作で再編集

アニメ「劇場版『進撃の巨人』前編~紅蓮の弓矢~」予告編 劇場版の主題歌はリンホラの新曲

 人気アニメ「進撃の巨人」を再編集した劇場版アニメ2部作の前編「劇場版『進撃の巨人』前編~紅蓮の弓矢~」(荒木哲郎監督)が11月22日に公開される。「進撃の巨人」は、諫山創さんがマンガ誌「別冊少年マガジン」(講談社)で連載している人気マンガ。劇場版は2013年に放送されたテレビアニメ全25話の総集編という位置付けで、今作は1~13話を劇場版用に再編集した前編にあたる。ダークで残酷な世界観や、主人公と凶暴な巨人とのダイナミックなバトルは必見だ。

 巨人が支配する世界で、巨人から身を守るために人類は高さ50メートルの巨大な壁を築き侵略を防いでいた。防壁に囲まれた街・シガンシナ地区に暮らす10歳の少年エレン・イェーガー(声・梶裕貴さん)は、まだ見ぬ壁外の世界を夢見ながら日々を送っていたが、壁を越える超大型巨人が出現したことで夢は打ち砕かれてしまう。母親を巨人に食われてしまったエレンは、復讐(ふくしゅう)を誓い巨人と戦う訓練兵団に入団し……というストーリー。

 アニメ放送時から圧倒的な迫力と完成度の高い作画が好評だったが、劇場版ではブルーレイディスク(BD)用の完全修正映像で5.1リマスター音源を使用するなど、ハイレベルなクオリティーで楽しむことができる。単なる再編集にはとどまらず、訓練兵時代のエレンとジャンのエピソードといった未公開シーンなども追加されており、アニメを視聴済でも「進撃の巨人」の世界を新たな気持ちで味わえるのもうれしいところだ。迫り来る巨人や人間を捕食するシーンなどショッキングな展開も、巨大なスクリーンで見ると想像以上に恐怖感と迫力に思わず腰が引けてしまいそうになる。さらに注目は日本アニメ史上初という「4DX」版での公開。公開劇場が限られてしまうが、4DX版なら巨人とのアクションなどもより臨場感を感じさせ、物語世界にいるかのような感覚にとらわれることだろう。来年には劇場版アニメの後編だけでなく実写版も公開予定と、まだまだ「進撃の巨人」熱は冷めそうにない。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。14~25話を再編集した2部作の後編となる「劇場版『進撃の巨人』後編~自由の翼~」は15年に公開予定。(遠藤政樹/フリーライター)

「滝を見にいく」一般人もキャスティング たくしいおばちゃんたちのサバイバル

映画「滝を見にいく」予告編

 幻の滝を見に行く観光ツアーに参加したおばちゃんたちが、なんと迷子に……。山中で7人のおばちゃんたちがサバイバルする「滝を見にいく」(沖田修一監督)が11月22日から公開される。「40歳以上の女性・経験問わず」という条件でオーディションをし、劇団員から素人も含めて7人の女性をキャスティング。本能のままに行動する個性的なおばちゃんたちが女性のたくましさを見せつけている。

 山の中を走る観光バス。乗っているのは、幻の滝を見にいく温泉付き紅葉ツアーの客たちだ。年齢も個性もバラバラな7人のおばちゃんたちと男性ガイドの菅(黒田大輔さん)が1人。2人で参加したクワマンこと桑田三枝(桐原三枝さん)とクミこと田丸久美子(川田久美子さん)は病気の話で盛り上がり、一人で参加したセッキーこと関本百合子(荻野百合子さん)は双眼鏡をのぞいている。写真展のために2人で参加したスミスこと三角道子(渡辺道子さん)と花沢敬子(徳納敬子さん)は撮影に熱中。後方に座っていた一人参加同士のジュンジュンこと根岸純子(根岸遙子さん)とユーミンこと谷由美子(安澤千草さん)が、少しずつ会話を交わし始める。バスを降りて山道を歩く一行。しかし、ガイドの様子がおかしい。「すぐに戻る」と言い残し、ガイドはその場を去っていく。大自然の中で取り残された7人は……という展開。

 企画がユニークだ。主要なキャストのほとんどが一般人。最も主要な役を演じた根岸さんは、ロケハン案内の裏方で参加予定だった一般市民だ。映画女優になる夢をかなえた人もいるという。美しい秋の山の風景の中、女性の生命力の強さをコミカルに描きながら、おばちゃんたちが少女のようになっていく様子がとても愛らしい。日ごろの憂さを発散させるかのように言い合い、危機にひんすると徐々に結束を固めていく女性たち。中盤から一人一人が背負っているものも見え始めていく。道に迷い、一晩を明かし、朝がくる。すると元気になっている。これって、中年以上の女性の日常そのものかもしれない。「南極料理人」(2009年)、「横道世之介」(13年)などの沖田監督は、山という舞台と7人の女優だけで、想像力をかき立てられる奥行きのあるドラマを生みだした。J-MAX THEATER(新潟県上越市)で先行公開中。新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほかで22日から公開。(キョーコ/フリーライター)

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