「神様はバリにいる」 堤真一演じる破天荒なアニキがくり出す笑えて深い言葉に共感

映画「神様はバリにいる」(李闘士男監督)予告編 堤真一がパンチパーマに

 俳優の堤真一さんが主演を務める映画「神様はバリにいる」(李闘士男監督)が1月17日に公開される。今作は、「出稼げば大富豪」(KKロングセラーズ)が原案で、バリ島を舞台に、“自称爽やか”な日本人大富豪の主人公が、独自の人生哲学で出会った人々の人生を変えていく様子を描いている。まゆ毛がなく、コテコテの関西弁を駆使した堤さんの怪演は目を見張り、ミュージシャンのナオト・インティライミさんが初めて本格的な演技に挑戦することも注目を集めている。

 婚活ビジネスに失敗し借金を背負った元起業家の祥子(尾野真千子さん)は、失意の中、訪れたインドネシアのバリ島で謎めいた日本人大富豪のアニキ(堤さん)と出会う。胡散(うさん)くさそうな風貌ながら、眼科医のリュウ(玉木宏さん)をはじめ島の住人から慕われているアニキ。人生をやり直したい祥子は、わらをもつかむ思いで金持ちになるための人生哲学をアニキから学び始めるが、あまりにも破天荒な「教え」に、祥子は自分がだまされているのではと疑念を抱くようになり……という展開。

 今作の見どころは、なんといってもアニキの度を越すぐらい型破りなキャラクターだろう。堤さんはアクが強いキャラクターを演じさせたら最強だ。さらにアニキとは真逆のタイプの玉木さんが演じる訳ありの青年・リュウとの掛け合いが絶妙で楽しませてくれる。映画にはアニキの経験から生まれた数々の金言がちりばめられ、実話を基にしているため説得力があり、前向きなパワーと勇気がもらえる。成功哲学が詰まった作品と聞いて、やや説教めいているのかと思いきや、ダジャレや笑いの要素がたっぷりでツッコミどころ満載。コミカルなテイストが好印象で、バリの美しい風景を見ながら、自分を見つめ直すいいきっかけとなるはずだ。余談だが、男性陣にはリュウの恋人・香奈を演じる菜々緒さんの水着シーンも見逃せない。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「アゲイン 28年目の甲子園」中井貴一主演 再び夢へ向かうおやじたち

映画「アゲイン 28年目の甲子園」予告編 浜田省吾10年ぶり新曲も披露

 ドラマ・映画化原作も多い重松清さんの小説「アゲイン」(文芸誌「小説すばる」で連載中)の映画化「アゲイン 28年目の甲子園」(大森寿美男監督・脚本)が1月17日から公開される。ある出来事がきっかけで疎遠になっていた元球児の中年世代が、高校野球のOBたちの夢の舞台「マスターズ甲子園」への出場を懸けて奮闘する物語。過去の苦い思い出を乗り越えて球児に戻るおやじたちの姿がほほ笑ましい。主演は中井貴一さん。

 元高校球児・坂町晴彦(中井さん)は、離婚した妻を亡くし、一人娘とは絶縁状態が続いていた。人生に疲れていた時、亡くなった元チームメートの娘・美枝(波瑠さん)が訪ねてくる。美枝は、父親の典夫がチームメート全員に宛てた年賀状を27年間出さずにいた理由を知りたいと思っていた。マスターズ甲子園の学生ボランティアをしている美枝は、坂町に大会への参加を勧める。しかし、坂町はその話にまったくなびかない。甲子園に行けなかったことを美枝の父親のせいだと思い、苦い記憶を抱えていたのだ……という展開。

 「柘榴坂の仇討」(2014年)では、逝(い)き遅れた武士役の中井さんに感嘆させられたが、かつての高校球児役の中井さんに再び感嘆した。家に押しかけてきた美枝に接するときの表情のこまやかさ……。大会参加を渋る坂町が、娘のような美枝と接するうちに少しずつ心がほぐれ出す様子に心寄せながら、ついつい心の中で応援してしまう。美枝との出会いが、チームメートや娘とのほつれた糸を再びつないでいく。過去にけりをつけられなくて、心にわだかまりを抱えてしまった元球児たち。彼らが高校時代の続きのようにけんかをし、言い合い、そして再び降ってきた夢へ向かって進んでいく姿に勇気づけられる。出演は和久井映見さん、柳葉敏郎さんのほか、元プロ野球投手の工藤公康さんを父親に持つ俳優の工藤阿須加さんが主人公の高校時代を演じる。主題歌は、マスターズ甲子園にテーマ曲を提供している浜田省吾さんの10年ぶりの新曲「夢のつづき」。TOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで17日から公開。(キョーコ/フリーライター) 

「ジャッジ 裁かれる判事」Wロバートの演技に注目 ヒューマンな仕上がりの法廷劇

映画「ジャッジ 裁かれる判事」予告編

 「アイアンマン」(2008年、10年、13年)や「シャーロック・ホームズ」(09年、11年)の両シリーズでおなじみのロバート・ダウニーJr.さんと、「ゴッドファーザー」(1972年)や「地獄の黙示録」(79年)、最近では「アウトロー」(2012)などの作品で知られるロバート・デュバルさんが親子を演じた「ジャッジ 裁かれる判事」(デイビッド・ドブキン監督)が、1月17日から全国公開される。殺人容疑をかけられた判事である父と、その弁護に立った息子。わだかまりを抱える父と息子の関係修復に重点を置いた法廷劇になっている。ダウニーJr.さんが製作総指揮も務めた。

 大都会の米シカゴで活躍する弁護士ハンク・パーマー(ダウニーJr.さん)は、依頼人が有罪でも金さえ積めば無罪とするほどのやり手だ。そんな彼が弁護することになったのは、自分の父であり、故郷インディアナ州の田舎町で42年間、判事を続けている父ジョセフ(デュバルさん)。ジョセフにかけられたのは殺人容疑。厳格で、法の下では正義を貫くことを信条とする父が殺人など犯すはずがない……。父の無罪を信じて疑わないハンクだったが、いざ裁判になると父に不利な証拠ばかりが出てきて……という展開。

 なんといっても見どころは、2人のロバートさんの“演技対決”だ。過去のある出来事から父ジョセフに遠ざけられ、以来、ずっと父に認められたいと思い続けてきたハンク。「正義は理想だが現実は別」と、金のために動く弁護士に成り下がってしまってはいるが、そもそも彼が弁護士になったのは父に認めてもらいたかったからだ。そんな息子をダウニーJr.さんが軽妙に表現した。一方のデュバルさんも、息子を思いながらがんこな性格が災いし拒絶してしまう父親を、苦虫をかみつぶしたような顔で重厚に演じてみせる。緊迫感たっぷりの法廷劇を想像していたため、裁判を通じて父と息子がわだかまりを解いていくというヒューマンな仕上がりに少々戸惑ったが、“ダブル”ロバートの共演は見応えがあった。ジョセフとハンクを追い詰めるクールな検事をビリー・ボブ・ソーントンさんが好演。ほかに、「マイレージ、マイライフ」(09年)のベラ・ファーミガさん、米ドラマシリーズ「ゴシップガール」(07~12年)のブレア役でブレークしたレイトン・ミースターさんが作品に彩りを与えている。17日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

映画「烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE」 ブレイブとイマジネーションで悪と激闘

映画「烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE」予告編

 放送中のスーパー戦隊シリーズ「烈車戦隊トッキュウジャー」と前作「獣電戦隊キョウリュウジャー」が共演する「烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE」(渡辺勝也監督)が1月17日に公開される。今作は、二つの戦隊がスクリーンで共演を果たす「スーパー戦隊VSシリーズ」の最新作。未知のエネルギー体にのみ込まれ、地球に落ちてきた宇宙ステーションから現れた謎の怪人に、トッキュウジャーとキョウリュウジャーが立ち向かう。列車と恐竜の共闘に加え、敵の力で子供の姿にされてしまい変身する“こどもトッキュウジャー”の活躍ぶりが可愛くもカッコいい。また、お笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆきさんが紅蓮神官サマラズ役の声優として出演している。

 謎のエネルギー体にのみ込まれた宇宙ステーションが地球へ落下し、見たこともない怪人が出現。ライト(志尊淳さん)らトッキュウジャーは怪人に戦いを挑むが、攻撃が効かない。すると桐生ダイゴ(竜星涼さん)らキョウリュウジャーが登場し、敵を倒す。敵の正体が悪の創造主デビウスであることを教えられたトッキュウジャーは、キョウリュウジャーと協力して戦おうとするが、シャドー怪人の能力でトッキュウジャーは子供の姿に変えられてしまい……という展開。

 恒例のVSシリーズ最新作では、キョウリュウジャーがトッキュウジャーを子供扱いしていると思ったら、敵の能力でトッキュウジャーが子供の姿に変えられてしまうなんて、なかなかユーモラスな展開だ。トッキュウジャーの設定からすれば、子供姿のほうが合っていたりするのだが、オリジナルメンバー全員が子供の姿で変身するのは史上初で、戦隊ファンなら見逃す手はない。さらに各戦隊がそれぞれの敵しか倒せないなど、今まで以上にと協力して戦う意味が強く出ているのも合点がいく。戦闘シーンもバラエティーに富んだ戦い方で胸を熱くさせてくれる。またVSシリーズ恒例の仕掛けはもちろん、意外な展開もあり、見どころ満載だ。久々に見られるキョウリュウジャーの“ブレイブ”な姿がカッコよく、ほんわかした雰囲気を持つトッキュウジャーの持ち味も加わり、どちらの個性も生かされたストーリーで最後まで飽きさせない。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「アップルシード アルファ」 士郎正宗のSFマンガの前日談を描く3DCGアニメ

劇場版CGアニメ「アップルシード アルファ」予告編

 士郎正宗さんの人気SFマンガの前日談を描く3DCGアニメ「アップルシード アルファ」(荒牧伸志監督)が1月17日に公開される。「アップルシード」は、「攻殻機動隊」などの士郎さんのメジャーデビュー作で、2125年を舞台に第5次非核戦争を生き抜いた元特殊部隊のデュナンと全身をサイボーグ化した恋人のブリアレオスの活躍を描いた。「アルファ」では大戦後、デュナンとブリアレオスがアイリスとオルソンと出会い、理想都市オリュンポスにたどり着くまでの経緯が明かされる。圧倒的な迫力で描かれるバトルシーンなど、精密で完成度の高いビジュアルがストーリーを彩る。

 第5次非核大戦後、荒廃し廃虚となったニューヨークで、元SWATのデュナン(声・小松由佳さん)は全身サイボーグの恋人・ブリアレオス(声・諏訪部順一さん)と、ギャングから依頼された仕事をこなす日々を送っていた。ある日、2人は自動兵器に襲われているアイリス(声・悠木碧さん)とオルソン(声・高橋広樹さん)と名乗る男女を助け……という展開。

 今作は、フルCGで製作されており、その完成度の高さには驚かされる。建物や風景などの描写はまるで実写かと思うほどで、手触りや質感を手に取るように感じることができる。また説明過多でストーリーが分かりづらい……といったことは一切なく、デュナンとブリアレオスにフォーカスした物語と舞台が限定されたことで、緊張感あふれる明快なストーリーに仕上がっている。さらアクションシーンが丁寧に描かれ、音楽との相乗効果もあって問答無用にクールだ。“続編”ではなく“新しいアップルシードを作る”という位置づけの作品だけに、これまでの作品を知らなくても堪能でき、もちろん従来のファンにとってはあらゆる角度から深読みが楽しめたりもする。CGアニメもここまで来たか……と感慨深い。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「ジミー、野を駆ける伝説」ケン・ローチ監督最新作 無名の活動家の生き様に感動

映画「ジミー、野を駆ける伝説」の予告編

 アイルランドの近代史に実在した無名の活動家の生き様を描いた「ジミー、野を駆ける伝説」(ケン・ローチ監督)が1月17日から公開される。権力者たちの弾圧に屈せず自由を追い求める庶民の姿をみずみずしく描き出す。キャストに演劇界で活躍するアイルランド生まれの実力派を据え、アイリッシュダンスや音楽も楽しめる。

 1932年。内戦終結から10年が経過したアイルランドの片田舎。地域のリーダーとして信頼を集めていた元活動家のジミー・グラルトン(バリー・ウォードさん)が、米国から帰国した。年老いた母親とともに、穏やかな暮らしをするはずだったジミーに、閉鎖されたホール(集会所)の再開を若者たちが願い出る。かつて仲間たちと芸術やスポーツを楽しみ語り合ったホールの復活により、住民たちに活気が戻るが、それをよく思わないシェリダン神父(ジム・ノートンさん)らが弾圧に乗り出し……という展開。

 権力VS庶民。社会的な重いテーマだ。しかし鑑賞後は、一陣の風が吹いたかのような爽やかさが残る。さすが名匠ローチ監督だ。主人公のジミーは、まるで理想のリーダーのようで、常に仲間たちと共にいる、その姿のすがすがしいこと。権力にただ抵抗するのではなく、むしろ内包してしまう懐の深さも見せ、敵をもうならせる。映画界ではまだ無名だが、ジミーを演じる俳優ウォードさんの温かなまなざしが魅力的だ。自由の場であるホールには、仲間と集まって音楽やダンスを楽しむささやかな庶民の姿があって、ジミーと元恋人との優しい時間も流れる。そして、子どもによる歌とダンスの可愛らしいこと。自由を愛する人々の思いに胸を打たれる。しかし、悲劇的な事件も起きてしまう……。1カ所を舞台にさまざまなシーンが繰り広げられ、無名の活動家の魂が記憶にしっかりと刻まれる。脚本は「カルラの歌」(96年)以来ローチ監督と組んできたポール・ラバティさん。新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで17日から公開。(キョーコ/フリーライター)

「ワンダフルワールドエンド」 橋本愛と蒼波純W主演で音楽と映画の刺激的コラボ

映画「ワンダフルワールドエンド」予告編

 ミュージシャン・大森靖子さんのミュージックビデオを基に映画化した「ワンダフルワールドエンド」(松居大悟監督)が1月17日に公開される。今作は、大森さんの「ミッドナイト清純異性交遊」「君と映画」という2本のミュージックビデオに、同作品を手がけた松居監督が新たに撮り下ろしたパートと大森さんの楽曲を加えて1本の映画として完成させた。女優の橋本愛さんと「ミスiD2014」のグランプリに輝いた蒼波純さんがダブル主演を務め、現実と虚構が入り交じった不思議な世界観で、2人の少女の物語が展開していく。

 モデルとして活動する17歳の早野詩織(橋本さん)は、ブログやツイキャスを駆使してファン獲得に励むも、なかなか売れないでいる。惰性で付き合い半同棲中の恋人・浩平(稲葉友さん)からも、必死すぎる姿を見られ、あきれられていた。ある日、詩織は撮影会にやって来た、自分のファンらしき13歳の木下亜弓(蒼波さん)と出会い……という展開。

 大森さんの音楽世界がベースになっているだけあり、リアルな感触とファンタジックな空気感が混在した独特な味わいを持っている。主演を務める橋本さんと蒼波さんが対照的ながらも存在感ある少女を演じ、特に今作が映画デビューとなる蒼波さんが放つ無垢(むく)でいて強さを持ったオーラには圧倒される。ブログやツイキャスなど、今では当たり前となったガジェットの数々を用いて描かれるコミュニケーションの描写が秀逸で、今どきのアイドル事情や女子のライフスタイルが垣間見える。大森さんの歌声と音楽がグイグイと物語を引っ張り、まるで曲を聴いているかのように楽しめる。放送中の特撮ドラマ「仮面ライダードライブ」で仮面ライダーマッハ役を演じる稲葉さんの、ヒーローとはおよそ真逆なダメ男ぶりにも注目だ。新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(遠藤政樹/フリーライター)

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