「イントゥ・ザ・ウッズ」おとぎ話の主人公たちが集う大人向け辛口映画

映画「イントゥ・ザ・ウッズ」予告編 ジョニー・デップが“狼”に

 メリル・ストリープさんが第87回米アカデミー賞で助演女優賞にノミネートされていたミュージカル映画「イントゥ・ザ・ウッズ」が3月14日から全国で公開される。シンデレラや赤ずきんなど、おとぎ話でおなじみの主人公たちの“その後”を描くという変わった趣向の作品で、原案のブロードウェーミュージカルを映画「シカゴ」(2002年)のロブ・マーシャル監督が映画化した。魔女役のストリープさんに加え、「赤ずきん」のオオカミ役でジョニー・デップさん、シンデレラ役でアナ・ケンドリックさん、王子役でクリス・パインさんらが出演。「大人のための」をうたっているだけあり、従来のおとぎ話とは一味違う作品に仕上がっている。

 魔女(ストリープさん)の呪いによって子供を授からないことを知ったパン屋の夫婦(ジェームズ・コーデンさん、エミリー・ブラントさん)は、その呪いを解くために森の奥へと出かけていく。時を同じくして、シンデレラ(ケンドリックさん)や赤ずきん(リラ・クロフォードさん)、少年ジャック(ダニエル・ハットルストーンさん)も、それぞれの願いを胸に森の中へと入っていく。果たして彼らは自分たちの願いをかなえることができるのだろうか……というストーリー。

 上昇志向の強いシンデレラ、お金を欲しがる少年ジャックなど、ここに登場するキャラクターたちは、私たちがよく知るおとぎ話のかれんな主人公たちとはちょっと違う。あの赤ずきんでさえ、食い意地のはった、できるならおばあさんの家には近づきたくないと思っている少女だ。彼らが、森の中に分け入り、判断に迷いながら欲しいものを選び取り、時には失敗し、何かを失い、何が本当に大切なのかを悟っていく。つまり、ここで描かれる森は人生そのもの、あるいは人間の欲や誘惑の隠喩(いんゆ)であり、主人公たちの迷走がユーモアたっぷりに描かれているが、そこには棘(とげ)がたっぷりちりばめられ、決して素直には笑えない。そういった意味でこの作品は、実に奥が深く、辛口の大人には教訓がたくさんふくまれた作品だ。14日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「ストロボ・エッジ」福士蒼汰と有村架純が揺れる思いを好演 好きになる意味を描く

映画「ストロボ・エッジ」予告編 福士蒼汰が有村架純に“壁ドン”

 「アオハライド」などの咲坂伊緒さんの同名少女マンガを基に実写化した映画「ストロボ・エッジ」(廣木隆一監督)が3月14日に公開される。クールに見えるが優しく学校中の女子から人気を集める一ノ瀬蓮に片思いをする奥手な女子高生・木下仁菜子の恋模様を描く学園青春マンガ。蓮役は福士蒼汰さん、仁菜子役は有村架純さんで、ダブル主演を務め、デビュー以来一度も髪を短くしたことがなかったという有村さんが、役作りのためトレードマークのロングヘアを20センチもカットしたことでも話題を集めている。

 高校1年生の木下仁菜子(有村さん)は、ある日の帰宅途中、女子生徒に人気の同級生である一ノ瀬蓮(福士さん)と電車内で出会う。蓮の一見クールだが優しい言動や笑顔に接するうち、仁菜子は自分が蓮に恋していることに気付く。蓮に中学時代から付き合っている年上の恋人・麻由香(佐藤ありささん)がいることを知っても、仁菜子は自分の気持ちを蓮に告白し、振られてしまう。仁菜子を振った蓮だが、仁菜子の真っすぐな思いに触れるうちに心に変化が生まれていき……というストーリー。

 高校生の青春ラブストーリーで、王道過ぎる配役の感は否めないが、大人が見ても想像以上に感情移入し、共感できてしまう。それが同世代であればなおのこと。片思いの切なさという、どこか苦しいけれど楽しさもあるなんともいえない気持ちを、繊細な演出で見せてくれる。マンガの実写化には賛否両論あれど、福士さんと有村さんによる蓮と仁菜子のマンガの再現度は高く、2人のとにかくキラキラしていてキュートな雰囲気がストーリーにマッチしている。思春期はなにかと心が揺れたり、変な思い込みや自己中心的な考え方をしてしまったりしがちだが、今作を見ていると、ふらつきながらも自分の気持ちに真っすぐでいることの素晴らしさを改めて教えてくれる。最も大人な麻由香に切なくも心底共感した。TOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「イミテーション・ゲーム」コンピューターの生みの親の知られざる素顔に迫る

映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」予告編”

 第87回米アカデミー賞で脚色賞を受賞し、ベネディクト・カンバーバッチさんとキーラ・ナイトレインさんが、それぞれ主演男優賞と助演女優賞にノミネートされた話題作「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(モルテン・ティルドゥム監督)が、3月13日に公開される。映画では第2次世界大戦時、ドイツ軍が誇った世界最強の暗号「エニグマ」の解読に尽力した英国の数学者アラン・チューリングの半生がひも解かれる。

 1939年、ケンブリッジ大学の特別研究員アラン・チューリング(カンバーバッチさん)は、英国政府の機密作戦に参加し、5人の精鋭とともに独軍の暗号エニグマの解読に挑むことになる。しかし自信家で協調性のないチューリングは5人との協力を拒み、一人で解読マシンを作り始め孤立していく。そんな中、ジョーン・クラーク(ナイトレイさん)というクロスワードパズルの天才が仲間に加わることになり……という展開。

 アラン・チューリングという人物を知らなかったが、今作は驚きと感動に満ちた作品だった。チューリングが暗号を解読するまでの緊迫感と、解読できたときの達成感。そして、その後に待ち受ける喪失感……そういったさまざまな感情が物語の進行とともに湧き起こり、チューリングという人物を解き明かすミステリー仕立ての展開とあいまって、最後までスクリーンにくぎ付けだった。今作は、アラン・チューリングという一人の天才数学者の話であるとともに、異端者に冷酷な社会や弱者差別に対する批判、仲間の重要性、愛の意味、反戦、反暴力など、多くのメッセージが込められている。そして、チューリングの研究が、現代のコンピューター科学の礎になっていることを知ることができる。もしチューリングが生きていたら、彼の目に今のデジタル社会はどう映り、またどんなものを生み出していただろうと考えずにはいられない。13日からTOHOシネマズみゆき座(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。 (りんたいこ/フリーライター)

「博士と彼女のセオリー」 主演男優がオスカー受賞 ホーキング博士の愛の物語

映画「博士と彼女のセオリー」日本版予告編”

 宇宙論の最先端研究で知られる理論物理学者スティーブン・ホーキング博士と元妻のジェーンとの愛の物語「博士と彼女のセオリー」(ジェームズ・マーシュ監督)が、3月13日から公開される。主演したエディ・レッドメインさんが、今年度の米アカデミー賞主演男優賞に輝いた話題作。実在の人物を迫真の芝居で演じ度肝を抜かれる。

 1963年、英国ケンブリッジ大学大学院で理論物理学を研究するスティーブン(レッドメインさん)は、友人とパーティーに行き、同じ大学でスペイン詩を学ぶジェーン(フェリシティ・ジョーンズさん)に一目ぼれをする。恋のときめきとともに、研究も順調だったが、スティーブンの体に異変が起こる。筋萎縮性側索硬化症(ALS)で余命2年と宣告されたスティーブン。ジェーンは打ちひしがれた彼を支えようと決め、結婚する。子供にも恵まれ、妻に支えられながら研究に打ち込み、世界的な博士となっていくスティーブン。一方で、夫の介護に子育てにと献身的に立ち回るジェーンだったが……という展開。

 難病の夫と支える妻が困難を乗り越えていく話というだけではだいぶ言い足りない。男女の愛の変遷が物語の太い軸となっている今作は、いくつもの色彩を放つプリズムのように多面的だ。理系男子の可愛らしさが魅力のスティーブンと聡明なジェーンがカップルで過ごす青春は、ちゃめっ気たっぷりで生き生きしている。そして、余命宣告という壁を乗り越えて、母親と息子のような関係になってしまった結婚生活は、倦怠(けんたい)へと変わっていく。第三者が登場した家庭生活では、スリルだけではなく、長年連れ添った夫婦の友情のような深い理解があり、独特の和声を生み出している。家庭の変遷と研究の成果、病気の進行も同じ時間軸の中にあり、極端な「正」と「負」が混在する数奇な人生に思わず引き込まれる。苦難に負けず、好奇心いっぱいのスティーブンの明るさと強さに敬服。死と隣り合わせに生きる人物の「命ある限り希望はある」という言葉が深く心に刺さる。原作は元妻のジェーン・ホーキングさんの自伝本。TOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほかで13日から公開。(文・キョーコ/フリーライター)

「プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪」 40人の歴代プリキュアがダンス

40人が圧巻のダンス!「映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪」本編ダンス映像公開!”

 人気アニメ「プリキュア」(ABC・テレビ朝日系)シリーズの劇場版最新作「映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪」が3月14日、公開される。歌とダンスをテーマとした音楽劇で、放送中のシリーズ第12弾「Go!プリンセスプリキュア」のキュアフローラら3人と歴代のプリキュア37人の計40人が歌とダンスを繰り広げる。

 「プリキュア」は、普通の女の子が妖精たちの力を借りて伝説の戦士・プリキュアに変身し、さまざまな困難に立ち向かう姿を描くアクションファンタジーで、2004年から放送されている人気シリーズ。「春のカーニバル♪」は、劇場版18作目で、歴代ヒロインが総出演する「オールスターズ」シリーズとしては7作目となる。

 「春のカーニバル♪」は、歌とダンスの国・ハルモニアの平和を取り戻すために奮闘する姿が描かれる。40人のプリキュアはハルモニアの春のカーニバルに参加することになるが、イベント中に妖精たちが行方不明になってしまう。カーニバルの司会を務める謎の2人組のオドレンとウタエンが怪しい動きをする中、カーニバルは大混乱となり、同国の守り神・ドラゴンが暴れ出す。プリキュアが混乱を収めるために戦うことになる。

 テレビアニメのエンディングテーマでは、3DCGキャラクターのダンスシーンがおなじみになっているが、「春のカーニバル♪」では、歴代プリキュアの3DCGのキャラクターが、それぞれのオープニングテーマやエンディングテーマに合わせてダンスを披露する。曲に合わせて歴代プリキュアの日常シーンや名場面を楽しめるのもファンにはうれしいポイント。さらに、40人の3DCGのプリキュアによる劇場版の主題歌「イマココカラ」のダンスには圧倒される。同曲の振り付けは、「マツケンサンバ2」などで知られる真島茂樹さんが担当しており、40人のプリキュアがダイナミックかつ美しく踊っている。

 オドレンとウタエンの声優はお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」が担当しており、2人のコミカルな演技にも注目だ。14日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(小西鉄兵/毎日新聞デジタル)

「風に立つライオン」大沢たかおが実在の医師にふんした“熱い魂”の映画

映画「風に立つライオン」予告編 三池崇史監督 大沢たかお、石原さとみ出演”

 シンガー・ソングライターで作家としても活動するさだまさしさんが1987年に発表した楽曲を基に映画化した「風に立つライオン」(三池崇史監督)が3月14日から全国で公開される。ケニアで国際医療活動に従事した実在の日本人医師、柴田絋一郎さんをモデルに作られたという楽曲に感銘を受けた大沢たかおさんが、さださんに小説化と映画化を働きかけ、自ら主演した感動作だ。

 長崎の大学病院からケニアにある熱帯医学研究所に派遣された医師、島田航一郎(大沢さん)は、周辺で戦闘が続く土地で、戦争に巻き込まれ傷を負った人々や負傷した兵士らの治療に尽力する。そんな中、航一郎の下に、心に傷を負った元少年兵が運び込まれ……という展開。

 さださんが大沢さんをイメージして作り上げたという航一郎が実に魅力的で、彼が登場するやいなや、その人間性に引き込まれる。航一郎は、自らの医者としての生き方を模索しながら、周囲の人々には生きる希望を与えていく。元少年兵は、航一郎が医療に打ち込む姿を見て、考え方を変えていく。語らずとも医療に打ち込む後ろ姿で他人に影響を与えていく航一郎とは、なんてすごい人なんだろうと純粋に感動する。バイオレンスやアクション映画を手掛けることが多かった三池監督が、こんなヒューマンな作品を作ったのは意外だった。しかし、主人公の“熱い魂”を描くという点では、三池監督の姿勢にブレはない。むしろ映画にみなぎる力強さや航一郎という人間のおおらかさは、三池監督だからこそ表現できたのだろう。大沢さんのほかに、石原さとみさん、真木よう子さん、萩原聖人さん、鈴木亮平さん、石橋蓮司さんらが出演。14日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「劇場版ウルトラマンギンガS」10人のウルトラ戦士が競演 コスモス役・杉浦太陽も

「劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!」予告編”

 特撮作品「ウルトラマン」シリーズの最新作「ウルトラマンギンガS」を映画化した「劇場版 ウルトラマンギンガS 決戦!ウルトラ10勇士!!」(坂本浩一監督)が3月14日に公開される。「ウルトラマンギンガS」は、2013年に放送された「ウルトラマンギンガ」から2年後の世界を舞台にした物語。映画ではウルトラマンギンガやビクトリー、ティガにゼロなどウルトラ戦士10人が集結し、新たな敵に立ち向かう姿が描かれる。注目はウルトラマンコスモスこと春野ムサシ役の杉浦太陽さんはじめ、ウルトラシリーズに縁のあるゲストが多数登場することで、劇場版に華を添えている。

 平和を取り戻した地球だったが、巨大な時空城が出現。新たな敵がウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーに襲いかかる。特捜チーム・UPGが立ち向かう中、かつてウルトラマンコスモスとして戦っていた春野ムサシ(杉浦さん)と、女戦士アレーナ(小宮有紗さん)が現れ、時空城には多くのウルトラ戦士たちが封印されているといい……という展開。

 ウルトラ10勇士が集う姿はまさに圧巻。しかもギンガとビクトリーが合体したウルトラマンギンガビクトリーが初登場し戦うシーンは見逃せない。約1時間の上映時間ながら、各戦士たちのアクションや必殺技がこれでもかと登場。ド派手で豪華なバトルの連続は、数々の特撮作品に携わってきた坂本監督ならではの演出といえるだろう。さらに杉浦さんや小宮さんなど、ウルトラシリーズや特撮作品に関わりのあるキャストも登場。子供だけでなく往年の特撮ファンへのサービスも心憎い。また音声やSEにもこだわりが感じられ、ウルトラファン納得の完成度だ。ギンガSに詳しくなくとも、スカッと爽快に楽しめる。新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

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