「デスノート Light up the NEW world」東出・池松・菅田共演 前作の遺伝子を継承した新たな争奪戦
人気マンガを基に実写化した映画「デスノート」シリーズの最新作「デスノート Light up the NEW world」(佐藤信介監督)が10月29日に公開される。2006年公開の「デスノート」から10年後を舞台に、「デスノート対策本部」のエース捜査官の三島創(東出昌大さん)、名探偵「L」の後継者・竜崎(池松壮亮さん)、キラ信奉者のサイバーテロリスト・紫苑優輝(菅田将暉さん)らが、6冊のデスノートを巡って争奪戦を繰り広げる。前作に引き続き戸田恵梨香さんが「ミサミサ」の愛称で知られる弥海砂を演じているほか、藤原竜也さん演じる前作の主人公・夜神月(やがみ・らいと)、松山ケンイチさん演じるLが登場することも話題だ。
「デスノート」は、大場つぐみさん原作、小畑健さんが作画を手がけ「少年ジャンプ」(集英社)に連載されたマンガが原作。実写映画のほかテレビアニメや舞台、ドラマ化もされた。名前が書かれた者が死ぬ「デスノート」を使い、犯罪のない“理想郷”を作ろうとしたキラこと夜神月(藤原さん)と、命を懸けてキラを阻止しようとした名探偵・L(松山さん)の対決から10年。米国、欧州、日本で再び犯罪者の不審死が相次ぎ、デスノート対策本部にLの後継者である竜崎(池松さん)も加わり、捜査官の三島(東出さん)らと捜査を進める。そして地上には6冊のデスノートが存在する事が判明。対策本部はデスノートの確保と調査を進めようとするが、突然、世界中のパソコンやスマートフォンがジャックされ、“キラ復活”のメッセージが流れ出し……というストーリー。
「デスノート」の魅力は数多くあるが、やはり独特の世界観なしには語れないだろう。原作マンガに実写映画と、緻密で練り込まれた物語、意外性のある展開、そしてなによりも生々しさを感じさせるキャラクターたちの人物像が作品に深みと彩りを与えている。今作は前作の映画と地続きだが、存在しながらも未使用だった「6冊ルール」を取り入れ、さらにデスノートの争奪戦に3人の天才を参戦させるなど、もはや“続編”という枠組みを超えた完成度だ。ダークで美しい映像はスリリングな展開と相性がよく、壮大な劇伴が大いに物語を盛り上げる。シリーズファンには月やL、ミサミサ、そして死神リューク(声・中村獅童さん)の登場だけでなく、数多くのオマージュも盛り込まれ、思わずニヤリとさせられるはずだ。29日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
「インフェルノ」 トム・ハンクス演じるラングドン教授がダンテ「神曲」を用いた暗号を解く
「ダ・ヴィンチ・コード」(2006年)、「天使と悪魔」(09年)に続くダン・ブラウンさんのベストセラー小説の映画化「インフェルノ」(ロン・ハワード監督)が10月28日に公開される。トム・ハンクスさんが演じるおなじみのラングドン教授が、詩人ダンテの叙事詩「神曲」の地獄(インフェルノ)編を用いた謎の暗号を解きながら、世界を滅亡させようとする生物学者が立てた恐ろしい計画の謎に挑む。
ハーバード大の宗教象徴学者ロバート・ラングドン教授(ハンクスさん)は、フィレンツェの病院で目が覚めた。けがをしていたが、まったく身に覚えがなく、数日間の記憶もなかった。ある日、病室で襲撃に遭い、女医のシエナ(フェリシティ・ジョーンズさん)に助け出されたのち、ラングドンの服のポケットからポインターが出てくる。画像を映し出すと、ダンテの地獄編を基にボッティチェリが描いた「地獄の見取り図」が現れた。そこには、世界の人口増加問題をウイルス拡散によって解決しようと考えた生物学者ゾブリスト(ベン・フォスターさん)の計画にまつわる暗号が隠されていた……という展開。
「ダンテの神曲」「人口増加問題」など、なにやら難しそうな言葉が並ぶが、物語は、ラングドン教授が恐ろしいウイルスのばらまきを阻止しようと奮闘するという、これまでの作品の中では比較的シンプルなものだ。そこに、ラングドンを捕らえようとする輩と、ウイルス拡散を防ごうとするWHO(世界保健機関)の面々が三つどもえとなって、追いつ追われつでめまぐるしく展開されていく。ラングドンは、失われた2日間の記憶と地獄を思わせるような幻覚(これが、リアルで怖い!)、襲い掛かる頭痛に苦しめられながら、先へ先へと進んでいく。
シリーズの楽しみの一つであるロケ地は、イタリアからトルコにまで及ぶ。フィレンツェのベッキオ宮殿、ベネチアのドゥカーレ宮殿、イスタンブールのアヤソフィアと、歴史的な建築物を観賞できるのは楽しい。ラングドンとシエナが逃げ回ることで、宮殿内の迷路のような秘密の抜け道を体感できる。個人的には、ベネチアへの列車のシーンをもう少し長く見たかったが、何せラングドンは急いでいるので……。ラングドンとともに行動する美女には、「博士と彼女のセオリー」(14年)のジョーンズさん。ほか、「最強のふたり」(11年)のオマール・シーさん、「ジュラシック・ワールド」(15年)のイルファン・カーンさんら存在感のある国際派スターが集結。中でも、美貌のアラフィフ、デンマークのベテラン女優シセ・バベット・クヌッセンさんの水中アクションには目がくぎ付けになった。TOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで28日から公開。(キョーコ/フリーライター)
「BOYS AND MEN~One For All,All For One~」 ボイメン、東海から全国へ 名刺代わりの一本
東海エリア発の男性10人組ユニット「BOYS AND MEN(ボイメン)」の映画「BOYS AND MEN ~One For All,All For One~」(植田尚監督)が10月29日に公開される。2010年に結成された同ユニットの歴史を、フィクションとノンフィクションを織り交ぜて仕立てた青春ストーリーで、ボイメンのメンバーが自分自身を演じている。
メンバー10人が「ボイメンハウス」と呼ばれる合宿所で同居しているという設定。合宿所での日常や、それぞれの問題や課題に直面しながらも、グループや個人として輝こうと奮闘する姿が描かれる。ボイメンが所属する事務所の社長を俳優の渡辺いっけいさんが演じたほか、いとうまい子さん、尾美としのりさん、石丸謙二郎さんらも出演している。
昨年、日本ガイシホール(名古屋市南区)で同グループが行った“1万人ライブ”のその後にスポットを当て、メンバーのキャラクターや立ち位置、エピソードを際立たせて描いた名刺代わりの一本だ。
フィクションの部分もあるというものの、名古屋から全国を目指し、日々、ひたむきに活動するメンバーの熱い思いは本物だろう。シリアスなシーンも多いが、メンバー同士の“いちゃいちゃ”など、思わず頰を緩めてしまうシーンも多数ある。結成当初から見守ってきたというファンにも、最近ファンになったという人にも、きっとたくさん、発見があるはずだ。
主題歌は8月に発売された同グループのシングル「YAMATO☆Dancing」で、劇中歌は同グループの「One For All, All For One ~夢は叶えるもの~」が採用された。29日からヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほかで全国公開。(服部美央/MANTAN)
「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」 新恋人と元恋人との間で板挟み…
レニー・ゼルウィガーさんが崖っぷち女子を演じるコメディー映画の3作目「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」(シャロン・マグワイア監督)が、10月29日から公開される。前作から十数年がたち、43歳となったブリジットが、新たな出会いと元恋人との間で恋の板ばさみになる騒動記だ。
今やテレビ局の敏腕プロデューサーとなったブリジット(ゼルウィガーさん)は、独りぼっちの誕生日をロンドンで迎えていた。同僚の誘いで訪れた野外ロックフェスで、イケメンのジャック(パトリック・デンプシーさん)と出会い、うっかりベッドインしてしまう。数日後、再会した元恋人マーク(コリン・ファースさん)ともベッドイン。それから数カ月後、ダイエットをしているのにやせないブリジットは妊娠に気づき、大慌て。ジャックとマークに妊娠を打ち明ける……という展開。
楽天的でめげないヒロイン、ブリジット。1作目から15年もの月日がたち、おデブではなくなり、キャリアも得た。カラフルでごちゃごちゃしていて(でも、そこがブリジットにとっての居心地のいい場所という感じ)、ダサい赤とピンクの部屋着を着て、一人で自分の誕生日を祝う冒頭は、43歳の独身女のリアルな痛々しさを、ギリギリで笑いに持っていく。自分に甘くてドジなところは相変わらず。
そして、妊娠という笑えるかどうかの事態が発生。しかも、相手が分からない。出会ったばかりのIT実業家ジャックなのか、それとも、離婚協議中の元恋人マークなのか……。でもそんな問題にも、めげないところが彼女の持ち味で、2人に正直に告白してしまう。そしてやはり、トホホな笑いにつなげていくのだが、対照的な2人の男性が、未来のパパとして張り合う展開が大いに効いている。母親学級のようなところや病院にも2人でついてきて、周囲のカップルから浮きまくる。真面目なマークと明るく余裕のあるジャックのやりとりが、なんともおかしい。ところで、ブリジットはiPadで日記をつづるようになった。ロンドンの街にできた超高層ビルも映り込み、時代の流れも感じさせる。29日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)