「スノーホワイト/氷の王国」 あまりにも美し過ぎて恐ろしい姉妹女王が強烈!

水樹奈々が「お姉さま、黙って!」 「スノーホワイト」続編の日本語吹き替え版予告編が公開

 グリム童話「白雪姫」に大胆アレンジを加えた「スノーホワイト」(2012年)から4年、続編となるアドベンチャー大作「スノーホワイト/氷の王国」(セドリック・ニコラス・トロイヤン監督)が、5月27日に公開された。鏡の覇権争いをめぐって、美し過ぎる女王と戦士たちの闘いを繰り広げる。

 邪悪な女王ラヴェンナ(シャーリーズ・セロンさん)には、フレイヤ(エミリー・ブラントさん)という妹がいた。姉とは違って穏やかな性格だったフレイヤは、あることをきっかけに自暴自棄となり、強力な魔力を手に入れて氷の女王として新たな王国を築いていた。フレイヤが作った軍隊で成長したエリック(クリス・ヘムズワースさん)とサラ(ジェシカ・チャステインさん)は恋に落ちて脱走を図るが、フレイヤの逆鱗に触れ、2人は離れ離れに……。その7年後、エリックはウィリアム王子(サム・クラフリンさん)からの依頼を受けて、邪悪な力の根源である鏡を探す旅に出ていた……というストーリー。

 今作は、前作を真ん中にはさみ、前と後の物語を描いている。といっても、前作を見ていなくても楽しめる。新たなキャラクターであるラヴェンナの妹フレイヤが物語の核になっているからだ。氷を自在に操る彼女の王国には、「愛してはならない」という掟があり、集めた子どもたちで軍隊を作っている。フレイヤが「愛は幻想」と子どもたちに説く姿は、まるで自分に言い聞かせているようでもの悲しい。そんな冷たい王国で育ったにもかかわらず、エリックとサラは愛を育む。この2人が再び愛を取り戻せるのか……。そして、例の鏡は誰の手に渡るのか、というシンプルなストーリーだ。

 視覚効果のアーティストだったセドリック監督が、寒々しい氷の王国、妖精が飛び交う幻想的な森など、メリハリのある映像で効果的に見せることに成功している。後半は、シルバーと黄金のゴージャス衣装の姉妹女王が、あまりにも美し過ぎて恐ろしいほど。視覚的に強烈なので、エリックとサラの印象が消えそうな勢いだ。特にセロンさんの美しさは完璧で、迫力もあって見ほれてしまう。「美」と「権力」にすがる女性の執念は恐ろしい限りだが、一方の男性は地道。ヘムズワースさん演じるマッチョなエリックが、コツコツと鏡探しをしたり、全身打ち身だらけになって(想像)城へ入ったり、体を張って愛する人を守ろうとする姿が可愛らしく見え、愛嬌(あいきょう)たっぷりのゴブリンにもホッとさせられる。製作は、前作や「マレフィセント」(14年)などのジョー・ロスさん。衣装を担当したのは「アリス・イン・ワンダーランド」(10年)などのコリーン・アトウッドさん。27日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

「オオカミ少女と黒王子」 二階堂ふみ・山崎賢人W主演 恋に目覚める女子の心の揺れにキュン

山崎賢人&二階堂ふみが仲良すぎ!メーキング&インタビュー公開 映画「オオカミ少女と黒王子」特別映像

 八田鮎子さんの大ヒット少女マンガを実写映画化した「オオカミ少女と黒王子」(廣木隆一監督)が5月28日から公開される。彼氏のふりをしてもらったことで巻き起こった、奥手な女子とドS男子の恋愛の行方を丁寧に描き出した。国内外で評価の高い実力派女優、二階堂ふみさんと最近の活躍が目覚ましい山崎賢人さんのダブル主演。

 高校1年生の篠原エリカ(二階堂さん)は、恋愛経験豊富な友だちに見えを張って「彼氏がいる」とうそをついてしまい、街で偶然見かけたイケメン男子を撮った写真を友達に見せてしまった。しかし、その男子は学校で人気の佐田恭也(山崎さん)で、友達は騒然。恭也に事実を打ち明けると、彼氏の振りをしてくれるというが、実は“ドSな黒王子”だった。恭也に「俺の犬になれ」と言われてコキ使われるエリカだったが……というストーリー。

 恋に恋する少女が次第に可愛くなっていくさまがほほ笑ましく、笑ったり、泣いたりとコロコロ変わる表情が可愛らしい。人物の心情を風景に溶け込ませるという臨場感あふれる演出で、観客はエリカの揺れ動く感情にすっかり共感させられながら、うそから始まった本気の恋の行方を見守っていくことになる。時に違う男子とデートしたり、クラスの男子に思いを寄せられたりしながら、自分の本心に気づいていくエリカ。一方の黒王子こと恭也は「恋愛ごっこ」をバカにしながらも、エリカの優しさに触れて、少しずつ感情が目覚めていく。友達にカッコつけたい10代が自分の気持ちに素直になるって、なかなか勇気がいるもの。心の葛藤を抱えながら日々成長していく2人の姿がすがすがしい。これまでの友達と距離ができたとき、寂しさとともに自分の気持ちに気づいていく2人の姿が頼もしく見える。

 原宿、水族館、カフェ、神戸の街などデートのロケーションもバラエティー豊かで、同世代なら行ってみたくなるだろう。二階堂さんが、少女マンガ原作の恋愛ものに挑んでいるのも新鮮で、ドS王子に振り回されながら徐々に好きになっていく心のひだを繊細に演じた。「ストロボ・エッジ」(2015年)など、マンガ原作の映画化も手がけたことがある廣木監督の作品。廣木監督の作品は、6月11日に有村架純さん主演の「夏美のホタル」も公開予定だ。今作の主題歌は、3人組バンド「back number」の「僕の名前を」。28日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」 侵略先9カ国の驚くべきシステムとは!?

映画「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」予告編

 「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002年)などで知られるマイケル・ムーア監督が“侵略者”となって世界を旅する「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」が、5月27日から公開される。労働環境、学校給食、刑務所などを見て回り、その国の常識となっているいいところをムーア監督が略奪するという内容で、見ている方も“目からうろこ”の驚きでいっぱいになる。

 米国はこれまで侵略戦争を繰り返してきた。政府の天敵だったはずのムーア監督に、国防総省の幹部が相談を持ちかける。それは、ムーア監督が“侵略者”となって世界各国へ出動するというもの。まず、イタリアで1年間の休暇が8週間だと知らされ驚き、さらに、フランスの小学校で高級レストラン並みの給食を児童と一緒に食べる。死刑制度のないノルウェーの刑務所を訪れ、服役中の囚人と自由に会話を交わすなど、自国にはない他国の常識を“略奪”していく……という展開。

 銃社会、イラク戦争、医療制度など、自国の問題に切り込んできたムーア監督が、海外に飛び出して何をするやらと思っていると、いつもよりも柔和な表情で取材もなんだか旅気分の様相。他国の「いいところ」を乗っ取りながら、米国の社会に足りないものについて語るというアイデアが面白い。世界9か国で紹介される常識は、日本でも驚くべきものばかり。有給休暇の多いイタリアや宿題がないのに世界での学力1位のフィンランド、囚人が一軒家の刑務所に住むノルウェーなどで、アポありの取材を展開していく。フランスの小学生に米国の給食を「キモいソース」と言われたり、アイスランドのご婦人には「米国になんて住みたくない」と言われたり。ムーア監督が「!!」となる表情がユーモラスだ。

 紹介する国の順番も絶妙だ。ノルウェーのオスロで起きた爆破事件の遺族が後半になって登場し、映画が進むに従い、社会的な背景の濃いエピソードが重なっていく。復讐(ふくしゅう)を望まない心や、女性の視点を大事にすることに行きつきながら、いつしかお金よりも大事なものに気づかされる。「なぜ米国でできないのか」「元は米国のアイデアじゃないか」と一人ごちるムーア監督からは、いつものように自国への愛が伝わってくる。かくいう日本も、戦後どんな社会を目指してきたのだろうか。労働と教育の環境整備がどれほど大切か。人にとって何が幸せなのか。一緒になって立ち止まって考えさせられる。TOHOシネマズみゆき座(東京都千代田区)ほかで27日から公開。(キョーコ/フリーライター)

「ヒメアノ~ル」 正気と狂気は紙一重を見せつけるV6森田剛の演技に圧倒される

V6森田剛、初主演映画で狂気に満ちた姿 映画「ヒメアノ~ル」予告編

 アイドルグループV6の森田剛さんの初主演映画「ヒメアノ~ル」が、5月28日から公開される。濱田岳さん、ムロツヨシさんらも出演する今作は、過去に「ヒミズ」が映画化され、過激な内容から実写化不可能といわれてきた古谷実さんによる同名マンガを、「銀の匙 Silver Spoon」や「麦子さんと」(共に2013年)などの作品で知られる吉田恵輔監督が脚色し映像化した。森田さんが、名だたる演出家たちの舞台に立ってきたことを知る演劇ファンや、森田さんのファンには怒られそうだが、森田さんが主演で、しかも殺人鬼を演じるということに、いささかの不安があった。しかし、それが杞憂と感じられるほど、森田さんの演技には圧倒された。

 地方から上京し、ビルの清掃会社でパートタイマーとして働く25歳の岡田進(濱田さん)は、ある日、先輩の安藤勇次(ムロさん)とともに、安藤が思いを寄せる女性、阿部ユカ(佐津川愛美さん)が働くカフェを訪れる。そこで、高校時代の同級生、森田正一(森田さん)と再会した岡田は、その後、ユカから、彼女が森田らしき人物からストーキングされていることを知らされる。実は森田は、ある事件をきっかけに、欲望のままに人を殺す快楽殺人者になっていた……というストーリー。

 映画が始まってしばらくの間は、概ね、岡田と安藤が中心となり、自虐的なギャグを交えながら和やかに進む。ところがそこに森田の物語が交わると空気は一変。それまでのおかしみやユーモアはうそのように消え失せ、サイコサスペンス、あるいはホラー映画の様相を呈し始める。圧巻は、2組の“カップル”、一方は岡田とユカの、もう一方は森田とある人物の、生々しい行為を交互に映し出す場面だ。

 森田さんの、正気と狂気は紙一重であることを見せつける怪演もさることながら、朴訥(ぼくとつ)とした、しかし、あわやというときには体を張って恋人を守ろうとする男気あふれる岡田を演じていた濱田さん、ひねくれ者だが、なかなかいいヤツじゃんと思わせる安藤役のムロさん、さらに、愛らしい外見に似合わない大胆な演技を披露していた佐津川さんら、出演者がみな、ひねりのあるキャラタクーを好演。理由はどうあれ、森田の行動を容認することはできない。しかし人間、何がしかの欲望は心の奥深くに渦巻いており、森田の存在は、それがいつ何時、何かの拍子にブチリと音を立てて暴走してもおかしくないことを証明しているようで、薄ら寒くなった。原作とは異なるラストに、なんともいえないやるせなさを感じた。28日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「燐寸少女 マッチショウジョ」 SKE48・佐藤すみれ初の単独主演 妄想渦巻くダークな物語

SKE48佐藤すみれが単独初主演 映画「燐寸少女 マッチショウジョ」予告編

 アイドルグループ「SKE48」の佐藤すみれさんの主演映画「燐寸少女 マッチショウジョ」(内田浩監督)が5月28日に公開される。今作は、アンデルセンの童話「マッチ売りの少女」をモチーフとした鈴木小波さんのマンガが原作で、謎の少女から寿命と引き替えに人間の心に潜む妄想を具現化する“妄想燐寸(マッチ)”を渡された人々が巻き込まれていく騒動を描く。心に闇を持った人の前に現れる謎の少女・リン役で佐藤さんが初の単独主演を務めるほか、東海エリア発の男性10人組ユニット「BOYS AND MEN」の小林豊さんや本田剛文さん、アニメ「黒子のバスケ」などの声優・小野賢章さんらも出演している。

 高校で“ウジ虫”と呼ばれ、イジメを受けている氏家治(本田さん)は、自分も女子にもてたい、彼女がほしいと願うあまり、イケメンで人気者のクラスメートが害虫になれと妄想する。一方、美大生の岸田叶人(小野さん)は「二画展」に3年連続入賞を決めるが、さらに上を目指して「東都展」への出品を決意するが、周囲が自分の才能をどう思っているのか気になり、心の中をのぞくことができないか妄想。そんな心に闇を抱えた人々の前に謎の少女・リン(佐藤さん)が現れ、寿命1年と引き換えに妄想を具現化する“妄想燐寸”を売っていき……というストーリー。

 妄想を具現化してみたいということは、きっと多くの人が考えたことがあるかもしれない。この映画は、まさにその“妄想を具現化”したストーリーが展開されていく。原作のモチーフとなっているのは「マッチ売りの少女」だが、果たしてマッチをすることで夢を見ることは幸せなことだろうかという疑問提起に、どこか薄ら寒さを感じるのは気のせいではないだろう。ごく普通の人間が特別なマッチを渡されることでまぎれ込んでしまう非日常は、ある種のカタルシスを得られる反面、耐え難い闇を映し出すことにもなってしまうのかもしれない。主演の佐藤さんが物語の中で唯一、異質な存在であるリンをミステリアスに好演し、ダークな世界観に説得力と彩りを出している。妄想や想像は楽しく、誰しもがする行為だが、現実になることはいいことなのか……。それこそ妄想して楽しみたい。28日からシネ・リーブル池袋(東京都豊島区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

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