広末涼子 「日本人男性はシャイ」夫婦愛語る 映画「柘榴坂の仇討」初日舞台あいさつ(2)

 女優の広末涼子さんが9月20日、東京都内で行われた映画「柘榴坂の仇討」(若松節朗監督)の初日舞台あいさつに登場した。主人公の武士・金吾(中井貴一さん)の妻のセツを演じた広末さんが、劇中で心に残った“愛”について「日本人男性はシャイで不器用なところがある中で、感情をちゃんと表現してお互いが通じ合った瞬間に、愛の大きさを感じた」と話すと、中井さんは「『ありがとう』とか『おいしい』とか言いすぎると当たり前になるからダメ! たまに言うのがいいんですよ! そんな男(心)を分かってください!」と夫婦論を展開し、会場を沸かせた。

 舞台あいさつには佐橋十兵衛役の阿部寛さん、秋元和衛役の藤竜也さん、酌婦・ユキ役のAKB48の木崎ゆりあさん、小野寺覚馬役の近江陽一郎さんらも登場。阿部さんは「自分の作品を見ると(自分の)欠点ばかり見えてしまうんですが、この作品は心を打たれて……涙してしまった」と話した。中井さんは「やっと初日を迎えられ、育ててきた娘を嫁がせるような気持ち。花嫁の父ってこんな気持ちなんだろうな」と感慨深げで、「時代劇は日本にとって文化だと思います。その灯を消さないようにこれからも頑張って作っていきます」と前向きに語った。

中井貴一、阿部寛、広末涼子らキャストも涙 映画「柘榴坂の仇討」初日舞台あいさつ(1)

注目映画紹介 「柘榴坂の仇討」同じ傷を持った侍同士の対峙に緊張感ビリビリ

映画「柘榴坂の仇討」予告編

 浅田次郎さんの短編集「五郎治殿御始末」の中の一編を映画化した「柘榴(ざくろ)坂の仇討(あだうち)」(若松節朗監督)が、9月20日から公開される。江戸から明治に移り変わる時代の中で、「桜田門外の変」で主君・井伊直弼を守れず仇討を命じられた一人の武士と、ひっそりと身を潜めて暮らす仇(かたき)の13年間の生きざまを、中井貴一さんと阿部寛さんの2人が静かな情熱を携えた演技で見せている。

 旧彦根藩の下級武士だった志村金吾(中井さん)は、安政7(1860)年の悪夢にいまだにうなされていた。金吾は、大老・井伊直弼(中村吉右衛門さん)の御駕籠(かご)回り近習(きんじゅう)役として仕えていた。季節はずれの雪が舞う3月。行列が桜田門外で水戸脱藩浪士らに襲われたとき、金吾は持ち場を離れていた。刺客の一人を追っていたのだ。両親は自害し、妻セツ(広末涼子さん)は酌婦に身をやつすも、金吾は切腹も許されず、生き残った仇を討つよう命じられる。しかし時代は明治に代わり、彦根藩もなくなり、侍は時代遅れとなった。最後の仇・佐橋十兵衛(阿部さん)は、名を変えて長屋でひっそりと暮らし、人力車夫となっていた。やがて13年の時を経て、2人は出会い……という展開。

 13年前で時が止まってしまった2人の侍の重苦しい胸の内が、新時代になった明るい世の中とコントラストをなして、より一層見る者の胸をしめつける。恩師を守れなかった悔しさに、自害した両親や、苦労をかけている妻への思いも相まって、がんじがらめになっている金吾。その仇である十兵衛もまた、18人の刺客の中でたった一人生き残ってしまい、今を生きることができていない。宿敵同士は、同じ日に同じように心に傷を受けた者同士。時代に流されることなく、己の信念に従って生きる2人の誠実さに心打たれる。映画はどちらか一方に傾くことはなく、両者に感情移入できるように進んでいく。だからこそ、2人が対峙(たいじ)する場面では緊張感でビリビリする。雪の白と椿の赤が対称的な色彩を放ち、中井さんと阿部さんの研ぎ澄まされた芝居で、心情が細やかに伝わる名シーンになった。人間国宝でもある歌舞伎役者・吉右衛門さんが19年ぶりに映画に出演しているのも話題。「沈まぬ太陽」の若松監督が手掛けた。丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで20日から公開。(キョーコ/フリーライター)

中井貴一、阿部寛と現場で話さず プレミア試写会に広末涼子らキャスト登場

阿部寛、中井貴一に近づかないようにするも… 広末涼子も登場 映画「柘榴坂の仇討」プレミア試写会(1)
広末涼子、鑑賞後に涙「爽やかな気分に」 映画「柘榴坂の仇討」プレミア試写会(2)

 俳優の中井貴一さんが9月9日、東京都内で行われた主演映画「柘榴坂の仇討」(若松節朗監督)のプレミア試写会に登場。試写会には中井さんのほか、阿部寛さん、広末涼子さん、真飛聖さん、 若松監督、原作者の浅田次郎さんらが出席。中井さんは、役に入り込むため、阿部さんと現場でほとんど口を聞かなかったというエピソードに触れ、「本当に、ひさびさに寂しいと思いました」と語り会場の笑いを誘った。

 同作は浅田さんの短編集「五郎治殿御始末」(新潮文庫)の中の一編「柘榴坂の仇討」が原作。彦根藩士の志村金吾(中井さん)が桜田門外で殺害された主君・井伊直弼の刺客を明治に入っても捜し続け、ついに仇(かたき)の水戸藩浪士・佐橋十兵衛(阿部さん)を見つけ出す……というストーリー。20日から全国で公開。

中井貴一、阿部寛 現場はピリピリ? 完成報告会に人力車で登場

中井貴一、阿部寛が“ざくろかき氷”をほおばる 映画「柘榴坂の仇討」完成報告会見(1)

 俳優の中井貴一さんと阿部寛さんが7月30日、東京都内で行われた映画「柘榴坂の仇討」(若松節朗監督)の完成報告会見に登場。劇中で敵役を演じた中井さんについて阿部さんは2カ月にわたる撮影中、役に入り込むため日常会話をほとんど控えていたといい、中井さんは「せっかく京都にいるんだし一緒にご飯でも行きたいなと思っていたけれど、交わしたあいさつは『おはようございます』『お疲れさまでした』の二言だけだった」とのエピソードを披露。一緒に会見に臨んだ若松監督は「現場の緊張感が苦しかった」と感想を語った。

 同作は浅田次郎さんの短編集「五郎治殿御始末」(新潮文庫)の中の一編「柘榴坂の仇討」が原作。彦根藩士の志村金吾(中井さん)が桜田門外で殺害された主君・井伊直弼の刺客を明治に入っても捜し続け、ついに仇(かたき)の水戸藩浪士・佐橋十兵衛(阿部さん)を見つけ出す……というストーリー。映画には井伊直弼役として中村吉右衛門さんや金吾の妻役として広末涼子さんなども出演する。

 敵役の阿部さんは「あまり(撮影中は)姿を見せないほうがいいだろうなと思って。京都では役以外ではほとんどお目にかからないようにしようとしていたのですが、初日からメークが隣で。それには意表を突かれました」としつつ、「やはり日常的な会話などはできるだけ控えるようにして役に挑もうと思い、最後までそうしました」と撮影中のエピソードを語った。若松監督は「こんなに仲の悪い役者さんたちはいないんじゃないかと思うぐらい(話さなかった)。それぐらい現場の緊張感がすごくて、それが映像にも出ていると思う」とコメントした。

 また、実際にあだ討ちしたいと思ったことはないかと聞かれた中井さんは「しょっちゅうですね。わりと根に持つほうなので。あだ討ちが許されるものならしたいなと思います」とコメント。阿部さんが「僕は性格がいいのでありません」と返し、場を沸かせるひとコマもあった。会見前には、劇中で重要な鍵となる人力車に乗って登場する演出も。中井さんと阿部さんがタイトルの「柘榴坂」にかけて用意されたざくろシロップのかき氷を仲良く食べる場面もあった。映画は9月20日公開。

中井貴一と阿部寛 殺陣を語る 映画「柘榴坂の仇討」完成報告会見(2)
中井貴一「武士道を出せれば」 阿部寛は? 映画「柘榴坂の仇討」完成報告会見(3)

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