「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」 壮大なサーガのターニングポイントに

映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」予告編

 アイアンマン、キャプテン・アメリカ、マイティ・ソーら米マーベルコミックが誇るスーパーヒーローたちが一堂に会した人気シリーズ「アベンジャーズ」のパート2「エイジ・オブ・ウルトロン」(ジョス・ウェドン監督)が7月4日、公開される。人類の抹殺をもくろむ人工知能「ウルトロン」との死闘が繰り広げられる。

 “アイアンマン”ことトニー・スタークら「アベンジャーズ」は、欧州の小国ソコヴィアに潜む悪の組織「ヒドラ党」の残党からソーの弟、ロキの杖を取り戻すが、ヒドラ党によって生み出された超人、ワンダの心理操作による幻覚を見せられてしまう。アベンジャーズもろとも人類が滅ぼされる幻覚を見せられたトニーは、仲間たちにも内緒で人工知能による完璧な平和維持システム「ウルトロン計画」に着手。しかし、ウルトロンはトニーの想定を超え、平和を維持するための最善策として全人類の抹殺を導き出し、自己進化と自己増殖に乗り出す……というストーリー。

 アクションや演出の痛快さは前作を上回っている印象だ。トニーが作った新アーマー「ハルクバスター」とハルクとの対決は、ビームなどもほとんど使わず、スーパーパワー同士の殴り合いで見ていて痛快だし、地上から持ち上がっていく空中都市のシーンは名作「天空の城ラピュタ」を彷彿(ほうふつ)とさせる。また、「自己進化」「自己増殖」という要素は、偶然の一致だろうがアニメ「機動武闘伝Gガンダム」の悪役「デビルガンダム」にも通じるものを感じ、にやりとさせられた。

 昨今とりあえず「人工知能」という言葉を使って物事を“格上げ”する傾向が散見されるが、今作で描かれる自己進化につながる人工知能の発達は、英物理学者のスティーブン・ホーキング博士も危険性に言及するなど、現実社会でも賛否両論のあるテーマで、既述の傾向とは一線を画している。

 マーベルコミックの人気悪役で宇宙の帝王「サノス」が前作のラストで登場したため、当初今回の悪役はサノスだと思われていたが、人間が作り出したウルトロンが悪役と知って驚いたアメコミファンも多かったのではないか。しかし、心理操作によって内側から瓦解(がかい)していくアベンジャーズの姿と相まって、現実感に乏しい“宇宙からの侵略者”よりも、リアルな迫力をもって人工知能の脅威や人間ドラマが描かれている。また、ことあるごとに意見の相違をみせた“アイアンマン”トニーと“キャプテン・アメリカ”スティーブ・ロジャースの関係は、今後の作品の伏線にもなっているのかもしれない。壮大なアベンジャーズサーガのターニングポイントにもなりそうな大作だ。4日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(立山夏行/毎日新聞デジタル)

「映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」人気クレイアニメ初劇場版化

「映画 ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」予告編

 「ウォレスとグルミット」シリーズでおなじみの英国の「アードマン・アニメーションズ」が製作したクレイアニメーション「映画ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」(マーク・バートン監督、リチャード・スターザック監督)が7月4日から公開される。NHK Eテレで放送中の「ひつじのショーン」(2007年~)シリーズ初の劇場用長編だ。

 英国の片田舎。同じ日課の牧場生活に退屈したヒツジのショーンたちは、牧場主を眠らせて“休暇”としゃれ込む。ところが、牧場主を乗せたトレーラーが突然動き出し、大都会に向けて暴走し、それを追った牧羊犬ビッツァーまでもが消息を絶ってしまう。ショーンたちは意を決して牧場主とビッツァーを捜しに大都会へと向かうが……というストーリー。

 テレビシリーズは1話7分の短編だが、今回は85分という“超”長編。しかもテレビシリーズ同様せりふはなし。果たして最後まで飽きずに見られるかと心配だったが、そんな懸念は始まってすぐに吹き飛んだ。“主人公”のショーンにはじまり、子羊ティミー、牧羊犬ビッツァー、さらに3匹のいたずらブタにいたるまで、愛らしさ全開の“演技”と表情の豊かさに見とれるばかり。トレーラーの暴走や、シリーズ初の“悪役”で、動物収容センターの捕獲人トランパーとのやりとりなど、普段のテレビシリーズでは味わえないスリルとサスペンスが盛り込まれている。半面、思わず涙ぐんでしまうような場面も……。大都会だから登場する人間も動物も多く、それでなくても製作に時間がかかるクレイアニメに、今作は約100人のスタッフ(ちなみに05年の「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」のときは250人だったそう)が、構想から約2年かけて作り上げたという。地道にコツコツという仕事ぶりには頭が下がる。なお、最後の最後に特別映像が用意されているので、エンドロールが終了するまで席は立たない方がいい。4日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「それいけ!アンパンマン ミージャと魔法のランプ」 大島優子がゲスト声優で好演

映画「それいけ!アンパンマン ミージャと魔法のランプ」予告編 大島優子、ナイツがゲスト声優

 人気アニメ「それいけ!アンパンマン」の劇場版シリーズ第27作「それいけ!アンパンマン ミージャと魔法のランプ」(矢野博之監督)が7月4日に公開される。「それいけ!アンパンマン」は1988年から日本テレビで放送されている長寿アニメで、劇場版最新作では魔法のランプの世界の精霊である小さな女の子・ミージャが、壊れてしまった魔法の腕輪を直すために冒険の旅に出る。ゲスト声優として女優の大島優子さんがミージャ役を、またお笑いコンビ「ナイツ」の塙宣之さんと土屋伸之さんがそれぞれランプの精霊とお菓子の魔人を担当している。同時上映は短編「リズムでうたおう!アンパンマン夏まつり」。

 クリームパンダ(声・長沢美樹さん)とコキンちゃん(声・平野綾さん)が拾った不思議なランプから小さな精霊・ミージャ(声・大島さん)が現れる。ミージャの魔法で3人はランプの世界に入るが、ミージャの魔法の腕輪が壊れてしまい、元の世界に戻れなくなってしまう。3人は腕輪を直すため魔法の泉を目指すが、ケンカばかり。3人を救うため、アンパンマン(声・戸田恵子さん)もランプの世界に向かうが、ばいきんまん(声・中尾隆聖さん)もやって来て……というストーリー。

 作者のやなせたかしさんが亡くなってから初めて作られた劇場版には“やなせイズム”が脈々と受け継がれている。ミージャ、クリームパンダ、コキンちゃんという3人が各自ばらばらの考え方をしながらも、行動を共にするうちに次第に協力したり、誰かのために行動を起こしたりすることを学んでいく姿には、今作のテーマである「思いやり」という言葉がふさわしく、しみじみと感じさせてくれる。個人的にはばいきんまんが久々に敵役らしい活躍(?)をしてくれているのもうれしい。ミージャを演じる大島さんも元気いっぱいのキュートな声で好演。友情やひたむきに頑張る姿、そして安心感あるアンパンマンの雄姿など、期待を裏切らない完成度だ。ヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「コードギアス 亡国のアキト 第4章 憎しみの記憶から」 終結に向け運命が動き出す

映画「コードギアス 亡国のアキト 第4章」予告編

 人気アニメの最新劇場版アニメ「コードギアス 亡国のアキト 第4章 憎しみの記憶から」(赤根和樹監督)が7月4日に公開される。「コードギアス」は、2006~07年に「反逆のルルーシュ」、08年に続編の「反逆のルルーシュ R2」が放送され人気を集めたシリーズで、映画は新たな主人公・日向アキトがブリタニア帝国に戦いを挑む姿を描く。全4部作の予定だったが、新たに最終章(第5章)である「愛シキモノタチへ」の製作が決定。今秋に上映が予定されている。第4章では首都でのクーデターが発生したりと、ユーロ・ブリタニアとユーロピア共和国連合(E.U.)の戦いが転機を迎える中、アキトたちの運命も大きく動き出す。

 ユーロピア共和国連合(E.U.)を混乱に陥れたテロリスト「方舟の船団」が、ユーロ・ブリタニアの計略であることを見破った日向アキト(声・入野自由さん)らは大型飛行艇ガリア・グランデへ乗り込み、因縁の敵アシュレイ(声・寺島拓篤さん)と激しい戦いを繰り広げる。戦闘を見守るレイラ(声・坂本真綾さん)だったが、突然アキトたちからの連絡が途絶えてしまう。そんな中、アキトたちが不在のヴァイスボルフ城がユーロ・ブリタニアの襲撃を受け、さらにE.U.の首都パリではスマイラス将軍(声・石塚運昇)がクーデターが起こし……というストーリー。

 第3章はキャラクターの内面を描く描写が多く、戦闘シーンは少ない印象だったが、第4章ではその鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように戦闘シーンが最大の見どころとなっている。中でも予告にも描かれているアシュラが操るアフラマズダの戦闘は見応え充分で、5.1chの音響を生かした内容はぜひ大きなスクリーンで味わってほしい。もちろんボリュームたっぷりのアクションだけでなく、人間模様もきっちりと描かれ、クライマックスに向けて各登場人物の運命が動き出していく様子が感じ取れる。サブタイトルの「憎しみの記憶から」が意味するものも登場し、ファンならずとも確認しておきたいところ。ストーリーが盛り上がったことで新たに5章が追加されたが、4章までの展開を見る限り、さらなる楽しみが増えたといえそうだ。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「フレンチアルプスで起きたこと」 父親の威信回復なるか? 米国リメーク決定の北欧映画

映画「フレンチアルプスで起きたこと」予告編

 ある出来事から、自ら父親の信頼を失墜させた男とその家族の姿を描き、2014年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞に輝いた映画「フレンチアルプスで起きたこと」が7月4日から公開される。リューベン・オストルンド監督はスウェーデン人。人間の社会的行動を的確かつユーモラスに描くことに長け、その鋭い洞察力から「北欧のミヒャエル・ハネケ」といわれている。そのオストルンド監督の日本初の劇場公開作だ。

 スウェーデンからフレンチアルプスに5日間のスキーバカンスにやってきた家族4人。普段、仕事に忙しい父トマス(ヨハネス・バー・クンケさん)は、ここぞとばかりに家族サービスに精を出す。久しぶりのトマスとのひとときに、妻エバ(リサ・ロブン・コングスリさん)も、2人の子供たち(クララ&ビンセント・ベッテルグレン姉弟)もうれしそう。そんな中、“事件”は起きた。トマスの父としての威信はあっけなくついえ、妻子との間に亀裂が入る。トマスは“理想のパパ”の座を取り戻そうと必死にあがくが……というストーリー。

 最初は、何が起こるのか予測がつかなかった。ドキュメンタリーかとさえ思った。それほど独特の空気をかもし出していた。「1日目」のテロップが現れ、5日間の物語である今作における、トマスの危機的状況の“カウントダウン”が始まる……。ときおりゲレンデでは大砲のような爆発音が鳴り響き、それがまた家族に多大な影響を与えることになる。家族仲よくスキーに出掛けたのに、そこでの出来事によってあっさり父親の威信は失われ、必死にそれを取り戻そうとするがどんどんドツボにはまっていくトマス。幼い子供たちもあきれ顔。妻は「なんでこんな人と一緒になったの」的な表情で夫を見る。人間、危機的状況に陥ると本性が出るものだが、それにしてもトマスがとった行動はあんまりだ。その一方で、自分だったらどうするだろうと考えてしまう。他人事で済まされない話を、緊張感を持続させながら描いている。なるほどオストルンド監督は「北欧のミヒャエル・ハネケ」といわれるのもうなずける。なお、米国で今年の米アカデミー賞で作品賞など4部門に輝いた「バードマン」の製作スタジオによるリメークが決定しているという。4日からヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/フリーライター)

「ルック・オブ・サイレンス」加害者に対峙する被害者遺族にカメラ向けた衝撃作

映画「ルック・オブ・サイレンス」予告編

 1965年から66年にかけてインドネシアで起きた100万人規模の大虐殺事件。その被害者の遺族が加害者と対峙(たいじ)する姿にカメラを向けたドキュメンタリー映画「ルック・オブ・サイレンス」が7月4日から公開される。同じ虐殺事件を加害者側にカメラを向け、日本では昨年4月に公開された「アクト・オブ・キリング」(2012年)と対をなす作品で、前作に引き続きジョシュア・オッペンハイマー監督がメガホンをとった。

 65年、インドネシア。当時のスカルノ大統領の親衛隊の一部がクーデター未遂事件を起こす。事件の背後にいたのは共産党とされ、100万人とも200万人ともいわれる“共産主義者”が虐殺された。当時、兄を殺され、その後、弟として生まれたアディ・ルクンさんは、今は眼鏡技師として働く。アディさんは「亡き兄のため、今もおびえて暮らす母のため、彼らに罪を認めさせたい」と今も権力の座にとどまり続ける加害者たちに「無料の視力検査」を行いながら、当時のことを聞き出していく……という展開。

 前作「アクト・オブ・キリング」を見たときには、打ちのめされた。なぜ人間はこうも残酷になれるのかと。そして、大量虐殺を行った張本人たちが、その後も地元の権力者としてのうのうと暮らしていることに驚くと同時に、憤まんやるかたない思いを抱いた。その思いは、今作を見て一層強くなった。被害者側の視点で捉えることで、事件が今もなおその土地の人々に暗い影を落としていることが実感できた。その中で、兄の虐殺の様子が語られるインタビュー映像をじっと見つめるアディさんの姿が印象的だ。加害者たちに静かに語り掛けるその冷静さには、驚くと同時に崇高さすら覚えた。加害者に同情の余地はない。もちろん共感などできない。しかし、彼らの証言から浮かび上がる「大罪を犯し得る心理的メカニズム」は、誰もが持つものだと思い知らされ、複雑な心境になった。4日からシアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。 (りんたいこ/フリーライター)

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