「ゴースト・イン・ザ・シェル」スカヨハ主演 サイバーパンク感満載で映像美にくぎ付け

ハリウッド実写版「攻殻機動隊」の日本オリジナル本予告が公開 少佐の派手なアクションシーンが続々

 士郎正宗さんのマンガを押井守監督がアニメ化した「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」を米ハリウッドで実写映画化。映画「ゴースト・イン・ザ・シェル」(ルパート・サンダース監督)が4月7日、公開される。近未来の電脳化社会を舞台に、少佐が率いるエリート捜査組織「公安9課」がサイバーテロ組織と対決し、捜査するうちに自分の記憶が操作されたことに気づく……というストーリー。草薙素子に相当する主人公の少佐役は「アベンジャーズ」(2012年)や「LUCY ルーシー」(14年)などアクション作で活躍するハリウッドスターのスカーレット・ヨハンソンさんが扮(ふん)し、少佐の上司・荒巻役をビートたけしさんが日本語で演じている。

 近未来、悲惨な事故から命を助けられ、世界を脅かすサイバーテロリストを阻止するために完璧な戦士として生まれ変わった少佐(ヨハンソンさん)は、脳以外は全身“義体”という世界最強の存在となっていた。この時代、テロは脳をハッキングし操作するという驚異的レベルに到達し、少佐率いるエリート捜査組織・公安9課がサイバーテロ組織と対峙(たいじ)する。捜査を進めるうちに、少佐は自分の記憶が操作されていたことに気づく。自分の命は救われたのではなく、奪われたのだ……。自分は何者なのか?と自問自答する少佐は、他に犠牲者を出さずに犯人を突き止めるため動き出す……という展開。

 少佐の片腕バトー役はデンマーク出身の俳優ピルー・アスベックさん、テロ事件をくわだてる謎の男クゼにマイケル・ピットさん、少佐を生み出したオウレイ博士というオリジナルキャラクターをフランスの名女優ジュリエット・ビノシュさんらが演じている。日本語吹き替え版には田中敦子さん、大塚明夫さん、山寺宏一さんというオリジナルのアニメ版の声優が起用されている。

 オリジナルアニメへのリスペクトを感じさせつつ、基になった作品を見たことがない人でも楽しめるように万人向けにアレンジしたストーリーで一気に見せる。義体だが自身のアイデンティティーに悩み苦しむ少佐を、ヨハンソンさんが無機と有機を絶妙なバランスで体現し、好演している。少佐が着用しているヌードカラーのスーツはヨハンソンさんのスタイルや筋肉の動きを生々しく表現していて、ある程度はCGだろうと分かってはいてもドキドキさせられる。たけしさんの荒巻はその存在感だけで圧倒させられ(全編日本語のせりふで通しているのだが、それは海外の観客にはどのように感じるのだろうか)、目にレンズを組み込むバトーの再現率の高さにも驚かされる。

 全体を通して、1980年代に「ブレードランナー」を見たときのようなサイバーパンク感満載で、その映像は驚きの連続だった。全編スクリーンにくぎ付けで、見終わったあと電磁波を浴び続けたような気分になり、脳への影響はないか気になったほどだ。後半に桃井かおりさんが重要な役柄で登場するのでお見逃しなく。7日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。(細田尚子/MANTAN)

「T2 トレインスポッティング」ユアン・マクレガーの当たり役 20年ぶり続編で歳月の重さが伝わる

 日本でも大ヒットした「トレインスポッティング」(1996年)の続編「T2 トレインスポッティング」(ダニー・ボイル監督)が4月8日に公開される。ユアン・マクレガーさんら前作のキャストが、ボイル監督、脚本家ジョン・ホッジさんの下に再び集結。それぞれの当たり役を約20年ぶりに演じている。

 仲間を裏切り、大金を持ち逃げして以来、20年ぶりに故郷スコットランドのエディンバラに帰ってきたマーク・レントン(マクレガーさん)。しかし、旧交を温め合うどころか、気のいいジャンキーのスパッド(ユエン・ブレムナーさん)は、家族に愛想を尽かされ絶望中。パブ経営を隠れみのに、売春、ゆすりで金を稼いでいるシック・ボーイことサイモン(ジョニー・リー・ミラーさん)は、マークへの憎しみをあらわにする。一方、殺人罪で服役中のベグビー(ロバート・カーライルさん)は、仮出所申請を却下され、脱走をくわだてるが……というストーリー。

 同じ俳優が演じることで、20年という歳月の重さがリアルに伝わってくる。しかし、変わったのは容姿だけで、中身は相変わらずなのがこの4人。大学生の息子にとんでもないことをさせるベグビーのバカ親ぶりには特にあきれるが、マークへの“復讐(ふくしゅう)”に向かうときに息子に掛ける言葉には結構ホロリとさせられた。前作では、ヘロインを打ち幻覚症状に陥ったマークがカーペットごと沈んでいく描写があったが、今回もそれに匹敵するシュールな表現を見ることができるなど、トレスポファンにはたまらない仕掛けがたっぷり。今作にノスタルジーという言葉は当てはまらないが、大人になり切れない4人を見ながら、「それでも彼らは生きている。だからあなたも大丈夫」と、自分の生き方を肯定されたような気がした。8日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「おそ松さん 春の全国大センバツ上映祭」厳選エピソード&新作でついに六つ子が映画に進出!

劇場版アニメ「おそ松さん 春の全国大センバツ上映祭」予告編

 テレビアニメ「おそ松さん」(テレビ東京系)の特別編集版「おそ松さん 春の全国大センバツ上映祭」(藤田陽一監督)が4月7日、公開される。「おそ松さん」は、赤塚不二夫さんのマンガ「おそ松くん」を約27年ぶりにテレビアニメ化し、2015年10月~16年3月に放送。六つ子が成長して大人になった姿を描き人気を集めた。特別編集版は六つ子それぞれの厳選エピソードに、JRAとコラボレーションした特番「おそ松さん おうまでこばなし」の一部エピソードと新作ショートエピソードを加え、各映画館でスクリーンが「おそ松部屋」「カラ松部屋」など六つに分かれて上映される。

 「おそ松部屋」は「逆襲のイヤミ」「スクール松」、「カラ松部屋」は「カラ松事変」「逆ナン」、「チョロ松部屋」は「面接」「ダヨーン族」、「一松部屋」は「エスパーニャンコ」「一松事変」、「十四松部屋」は「恋する十四松」「十四松とサンタ」、「トド松部屋」は「トド松と5人の悪魔」「希望の星、トド松」をそれぞれ上映。テレビ版に引き続き、おそ松を櫻井孝宏さん、カラ松を中村悠一さん、チョロ松を神谷浩史さん、一松を福山潤さん、十四松を小野大輔さん、トド松を入野自由さんが担当している。

 ついにあの六つ子たちが映画に進出し、本編と同じで何が飛び出すか分からない面白さには常に驚かされる。映画のために製作された新作パートはもちろん、「逆襲のイヤミ」のばかばかしいほどの主役争奪レースや、十四松の意外な(?)一面を垣間見られる「恋する十四松」など、改めてナンセンス過ぎる笑いに打ちのめされる。六つの部屋に分かれての上映なので、誰から見るか、どの順で見るかなどいろいろな楽しみ方もできる。7日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで期間限定公開。(遠藤政樹/フリーライター)

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