「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」第2弾はピーターの父現る! 激しいバトルも
米マーベル・コミックを題材に、銀河のはみだし者たちの活躍を描くSFアクション映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(ジェームズ・ガン監督)が5月12日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開。2014年に公開された前作に続く第2弾。なりゆきで結成されたチーム“ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー”が、前作以上の激しいバトルを繰り広げる一方で、主人公の父を名乗る男が現れたり、前作で大木だった樹木型ヒューマノイドが身長25センチの小さな木として復活し大奮闘したりと、熱くて愉快、そして泣ける物語が展開する。
ピーター・ジェイソン・クイル(クリス・プラットさん)やガモーラ(ゾーイ・サルダナさん)らガーディアンズのメンバーは、小遣い稼ぎのために請け負った仕事をきっかけに、黄金の惑星“ソブリン”の無敵艦隊から総攻撃を受ける羽目に。そんな彼らを救ったのは、エゴ(カート・ラッセルさん)と名乗る男。「自分はピーターの父親だ」と言うのだが……というストーリー。
シリーズ2作目にしてクイルの父親が現れたのには驚いたが、心を奪われたのはアライグマのロケット(声:ブラッドリー・クーパーさん)の懸命なお世話で見事に蘇ったベビー・グルート(声:ビン・ディーゼルさん)の愛らしさ。それは、冒頭のバトルシーンから全開。ピーターたちの苦闘をよそに、つぶらな瞳をキラキラさせ、音楽に合わせて踊る姿は胸キュンもの。ピーター育ての親ヨンドゥ(マイケル・ルーカーさん)もいい味を出している。まさか彼絡みのエピソードで落涙させられるとは思わなかった。
日本語吹き替え版では、前作に続きピーターを声優の山寺宏一さん、ロケットをお笑いコンビ「極楽とんぼ」の加藤浩次さん、ベビー・グルートを俳優の遠藤憲一さんが担当。今回初登場のマンティス(ポム・クレメンティエフさん)の声を元AKB48の秋元才加さんが演じている。(りんたいこ/フリーライター)
「サクラダリセット 後篇」野村周平と黒島結菜がW主演した2部作後編 特殊能力者が暮らす街の謎に迫る
河野裕さんの同名ライトノベルを2部作で実写化した映画「サクラダリセット 後篇」(深川栄洋監督)が5月13日に公開。特殊能力者が半数を占める街「咲良田(さくらだ)市」を舞台に、能力のせいで亡くなった少女を再生させようとする高校生たちの物語。俳優の野村周平さんと女優の黒島結菜さんがダブル主演している。能力者の消滅をたくらむ公的機関「管理局」と戦いを繰り広げる。
見たことを完全に記憶する能力を持つ浅井ケイ(野村さん)は、世界を最大3日巻き戻せる「リセット」の能力を持つ春埼美空(はるき・みそら、黒島さん)と共に、リセットの影響で2年前に亡くなった相麻菫(そうま・すみれ、平祐奈さん)の再生に成功する。
しかし、それが原因で“能力の暴発事件”が発生。能力者たちを制御・監視する公的機関「管理局」の対策室室長、浦地正宗(及川光博さん)の一掃計画で街から能力が消滅してしまう。唯一、能力があった記憶を持つケイは咲良田の謎を追い始め……というストーリー。
前編から積み重ねられたエピソードと伏線はクライマックスに向けて回収されていき、ケイと美空の関係性の変化や菫の死の真相など予想外のスリリングな展開で楽しませてくれる。
浦地を演じる及川さんの怪演ぶりが際立ち、屋上での対決シーンは見応え十分だ。登場人物の能力や思惑が複雑に絡み合う物語は、青春とサスペンスの両面を味わえ、ほんの少しのセンチメンタルな雰囲気も楽しめる。13日からユナイテッド・シネマ豊洲(東京都江東区)ほかで公開。(遠藤政樹/フリーライター)
「破裏拳ポリマー」溝端淳平が切れ味抜群のアクション タツノコ異色ヒーローアニメの実写版
俳優の溝端淳平さん主演の映画「破裏拳ポリマー」(坂本浩一監督)が5月13日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。特殊装甲スーツを着た者同士の人間離れしたバトルもさることながら、主人公・鎧武士を演じる溝端さんのキレッキレの生身のアクションに目を奪われる。父と子の絆、友情、正義とは……など、さまざまなテーマが詰め込まれたストーリーにも注目したい。
「破裏拳ポリマー」は、「ガッチャマン」「タイムボカン」シリーズなどを生み出したタツノコプロによるアニメが1974年10月~75年3月に放送され、元ストリートファイターの探偵で奥義“破裏拳”を操る鎧武士が悪と戦う姿が描かれた。実写映画は、警視庁と防衛省が極秘裏に開発した特殊装甲スーツ“ポリマースーツ”が奪われてしまい、警視庁は拳法・破裏拳の継承者で探偵の鎧武士(溝端さん)に捜査の協力を求める。実は武士は、最強のポリマースーツを起動できるただ一人の男だった。武士はポリマースーツの研究者・稗田玲(原幹恵さん)や新米刑事の来間譲一(山田裕貴さん)らと事件を追う……というストーリー。柳ゆり菜さん、長谷川初範さん、神保悟志さんらも出演する。
まず、切れ味抜群の溝端さんの格闘シーンに引きつけられる。今作のために4カ月間、格闘トレーニングを積んできたというその動きは、ポリマースーツ着用後の現実離れしたバトルにも説得力を与えている。個人的には、ポリマースーツを着用してからの振り切れたド派手アクションもいいが、なにより生身の肉体で戦うシーンの流れるような動きに目を奪われた。
王道のヒーローとは一味違ってクセがあり、少々抜けている主人公の性格も溝端さんの醸し出しす雰囲気とマッチしており、違和感なく楽しめた。とはいえ、要所で放たれる「この世に悪のある限り……」の決めぜりふはいかにも王道ヒーローといった趣で、“ヒーローもの”を見に足を運んだ観客の期待にも応えてくれるだろう。セクシーな女性陣のアクションにも注目。(河鰭悠太郎/MANTAN)
「夜空はいつでも最高密度の青色だ」新人・石橋静河と池松壮亮が都会に生きる若者を繊細に表現
俳優、石橋凌さんと女優、原田美枝子さんの娘で新人の石橋静河さんと、映画に引っ張りだこの池松壮亮さんがダブル主演の映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」(石井裕也監督)が、5月13日から東京で先行上映後、27日から全国で順次公開。現代詩集として異例の累計売り上げ2万7000部を記録した最果タヒさんの同名詩集の映画化。東京の片隅で生きづらさを抱える男女の恋愛模様が、さまよい歩く街の風景と共に切なく映し出される。
日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作「舟を編む」(2013年)の石井監督が、詩から得た感情の映画化に挑戦した。看護師の美香(石橋さん)は東京の女子寮で1人暮らし。患者の死に囲まれて、孤独と不機嫌を抱えながら生きていた。夜はガールズバーでアルバイトをしている。建設現場で日雇い労働をする慎二(池松さん)は古いアパートで1人暮らし。ある夜、同僚とガールズバーへ行った慎二は、そこで美香と出会い……というストーリー。
大勢の人が互いに無関心に行き交う都会での、ひんやりとした孤独。ほかのみんなとは違うという感覚。生きづらさを抱えながらも、信じるものを求め続ける美香と慎二。不器用に近寄っていく関係を、演技派の池松さんとフレッシュな石橋さんが繊細に演じている。共演に松田龍平さん、市川実日子さん、田中哲司さん、三浦貴大さんら存在感のある役者がそろった。
池松さんは「ぼくたちの家族」(14年)、「バンクーバーの朝日」(同)に続いて石井作品に出演。「デスノート Light up the NEW world」をはじめ、出演作が昨年10作の池松さんは、今作で左目がほとんど見えない青年という難しい役柄を通して、見えない未来への不安をリアルに演じ切った。
石橋さんは映画初主演。昨年「ファンケル カロリミット」のCMで注目を浴びた石橋さんは、出演作「PARKS パークス」が先月公開されたばかりで、今後の活躍に期待が募る。
今作は2月開催のベルリン国際映画祭フォーラム部門で公式上映された。13日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)、ユーロスペース(東京都渋谷区)で先行上映。27日から全国で順次公開。(キョーコ/フリーライター)
「ブレイブウィッチーズ ペテルブルグ大戦略」第501統合戦闘航空団の元隊員と初共闘!
アニメ「ブレイブウィッチーズ ペテルブルグ大戦略」(高村和宏監督)が5月13日、公開。テレビアニメ「ストライクウィッチーズ」シリーズ新作「ブレイブウィッチーズ」の第13話という位置づけで、第7話「聖なる夜に」と第8話「君の瞳にぶどうジュース」の間の物語を描いている。第501統合戦闘航空団の元隊員2人と、第502統合戦闘航空団が初めての共闘戦線を展開する。
「サトゥルヌス祭」翌日。第502統合戦闘航空団に補給物資を持ってきたエイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉(声・大橋歩夕さん)とサーニャ・V・リトヴャク中尉(声・門脇舞以さん)は、ペテルブルグ基地で休暇を過ごすことに。そこへネウロイ襲撃の報が……というストーリー。
特殊な魔法力を持ったウィッチと呼ばれる少女たちだけが操れる「ストライカーユニット」と呼ばれる飛行脚を装着し、空を飛びながら戦うという独特な世界観が人気のシリーズ。今作でもその魅力を最大限に発揮している。「ブレイブウィッチーズ」と「ストライクウィッチーズ」のキャラクターが共同して戦うシーンは、シリーズファンなら胸アツものだ。ストライカーユニットを身に着ける際の定番ともいうべき、ちょっとセクシーな要素も健在で、美少女たちのキュートな姿に癒やされる。13日から角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほかで公開。(遠藤政樹/フリーライター)