「HiGH&LOW THE MOVIE 2/END OF SKY」 “共闘”2本立て! 新たな暴君やターミネーターも?
「EXILE TRIBE」によるエンターテインメントプロジェクト「HiGH&LOW」の劇場版新作「HiGH&LOW THE MOVIE 2/END OF SKY」(久保茂昭、中茎強監督)が8月19日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。2016年公開の「HiGH&LOW THE MOVIE」「HiGH&LOW THE RED RAIN」で描かれた、それぞれのエピソードを集約し、狂気に満ちた“暴君”や刑務所上がりの武闘派集団、まるでサイボーグのような“剣術使い”……と新たな敵も登場。二つの共闘がたっぷりと楽しめるノンストップ・バトルアクション作に仕上がった。
「HiGH&LOW」は、ドラマや映画、SNS、配信、マンガ、オリジナルベストアルバム、ライブなどが連動したプロジェクトで、「山王連合会」「White Rascals」「鬼邪高校」「RUDE BOYS」「達磨一家」の五つのチームが拮抗(きっこう)するSWORD地区を舞台に、男たちのプライドを懸けた壮絶な戦いや仲間との友情、絆などを描いてきた。
「END OF SKY」は、悪名高きスカウト集団「DOUBT」のリーダー・林蘭丸(中村蒼さん)が帰還。暴力で人を束ね、街全体を震え上がらせていた蘭丸は、監獄で知り合ったジェシー(NAOTOさん)を筆頭とする武闘派集団「プリズンギャング」の手を借りて、SWORD地区の支配をもくろむ。
一方、「雨宮兄弟」の長兄・尊龍(斎藤工さん)が命を引き換えに手に入れたUSBメモリーには、反社会組織「九龍グループ」のカジノ建設計画の全貌が入っていた。次男の雅貴(TAKAHIROさん)と三男の広斗(登坂さん)は陰謀を暴くため、「ムゲン」の琥珀(AKIRAさん)と九十九(青柳翔さん)に託す……というストーリー。
SWORD地区では、DOUBTと因縁の深い「White Rascals」のROCKY(黒木啓司さん)と、街を守るためSWORD協定の実現に向けて動いていた「山王連合会」のコブラ(岩田剛典さん)、USBメモリーを巡る戦いでは、かつてSWORD地区で“最強”と並び称されていた「雨宮兄弟」と「ムゲン」の共闘がたっぷりと描かれている。
これまでの劇場版2作品の伏線をきっちりと回収しつつ、今作はいい意味で物語性を極力排除。肉体を駆使したキャストの躍動がメインで、画面いっぱいに繰り広げられるバトルアクションは見応え十分だ。また九龍グループの刺客としてAKIRAたちの前に現れる剣術使い・九鬼源治(小林直己さん)の“ターミネーター(始末人)”ぶりも痛快だ。
なお、さらなる続編となる「HiGH&LOW THE MOVIE 3/FINAL MISSION」は11月11日に公開される。(山岸睦郎/MANTAN)
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」名作ドラマをアニメで美しくリメーク
劇場版アニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」(新房昭之総監督)が8月18日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで公開。今作は「Love Letter」(1995年)などで知られる岩井俊二監督が手がけて93年に放送され、95年に劇場公開もされた名作ドラマが原作。アニメ化にあたっては、映画「モテキ」(2011年)、「バクマン。」(15年)などの大根仁さんが脚本を手がけ、アニメ「化物語」「魔法少女まどか☆マギカ」などで知られる新房昭之さんが総監督を務めた。女優の広瀬すずさんと俳優の菅田将暉さんが声優を務めたことも話題で、実写の名作をアニメ化するにあたって、アニメならではのタイムリープの表現や現代的な要素を加え、さらにみずみずしいひと夏の青春ラブストーリーに仕上がっている。
とある海辺の町が舞台。中学校のクラスメートたちは花火大会を前に「打ち上げ花火は横から見たら丸いのか?」と盛り上がっている中、クラスのアイドル、なずなは母親の再婚のため転校することになった。なずなに思いを寄せる典道は、転校をしたくないなずなから「かけおち」に誘われ、時間が巻き戻る不思議な体験をする……というストーリー。広瀬さんがなずな、菅田さんが声優初挑戦で典道の声を担当し、典道の親友の祐介を声優の宮野真守さん、なずなの母を女優の松たか子さんが演じている。
なずなを奥菜恵さん、典道を山崎裕太さんが演じた実写ドラマも甘酸っぱさが広がる初恋物語だったが、今回のアニメも“ならでは”の表現で初恋や青春を描くことに成功している。ちなみに実写版の2人は小学生だったが、アニメ版では中学生という設定に変更されている。だとしても、なずなは中学生にしては大人びているし、典道は見た目は幼いが菅田さんの声が艶っぽく、2人とも“色っぽい”。
また、今作は「まばゆいばかり」という表現がぴったりの幻想的で美しいシーンが目白押しだ。ビー玉のような“不思議な玉”によって引き起こされるタイムリープのシーン、電車の中でなずなが松田聖子さんの名曲「瑠璃色の地球」を口ずさみ始めると宇宙のような空間に連れて行かれるファンタジックなシーン、追っ手から逃げた2人やクラスメートたちが見上げる花火のシーン……など、うっとりするような美しさ。岩井さん、大根さん、新房総監督ら第一線で活躍するスタッフが2週間に1回ほどの頻度で顔をつき合わせ、半年かけて脚本を練り上げたというだけあって、名作にさらに磨きがかかった。これで、新たな定番作品として生まれ変わった「打ち上げ花火~」が、次にリメークされたらどんな作品になるのか楽しみだ。主題歌はDAOKOさんと米津玄師さんがコラボした「打上花火」。(細田尚子/MANTAN)
「ダイバージェント FINAL」3部作ついに完結! 新たな事実とトリス誕生の秘密が明らかに
米作家ベロニカ・ロスさんの小説を映画化した近未来SFアクション映画「ダイバージェント FINAL」(ロベルト・シュベンケ監督)が、8月19日から角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほかで公開。2014年公開の第1作、15年公開の第2作と合わせて3部作の最後を締めくくる今作では、トリス(シャイリーン・ウッドリーさん)たちがついにフェンスの外に出る。設備の整った中心都市「プロビデンス」が主な舞台となり、それにより、荒廃したシカゴが舞台だった前2作とは作品の趣が異なっている。
「無欲」「平和」「高潔」「勇敢」「博学」の五つの派閥に分けられ管理されていた社会体制がクーデターによって崩壊し、シカゴは生まれ変わるかに見えた。しかし、新たな支配者イブリン(ナオミ・ワッツさん)は、相変わらず、人々がフェンスの外に出ることを拒み、前体制の関係者を次々と処刑していた。フェンスの外に“未来”を見た、五つの派閥のどの特性にも当てはまらない「異端者(ダイバージェント)」のトリス(ウッドリーさん)は、恋人フォー(テオ・ジェームズさん)や、一度はトリスを裏切った兄ケイレブ(アンセル・エルゴートさん)らと脱出作戦を決行する……というストーリー。ほかに、オクタビア・スペンサーさん、マイルズ・テラーさん、ジェフ・ダニエルズさんらが出演している。
前2作と異なる印象を受けるのは、特殊なグローブをはめて操作するドローンのような物体や、3Dホログラムで自分をその場に投影することで遠隔地でも監視できるシステムなどゲーム的な仕掛けが増えたからだろう。個人的に残念だったのは、トリスの葛藤や成長を見せていくドラマ的要素が減り、また、終盤の展開で“端折った感”があったこと。それでも、トリスとフォーの絆は揺るぎなく、フェンスを乗り越える際、配電盤を壊しに向かうトリスに付き添うフォーにはトリスへの愛を感じ、心をくすぐられた。その2人の関係も含め、ダイバージェントにまつわる新たな事実や、トリス“誕生”の秘密が明らかになるなど、完結編だからこその見どころがある。シリーズの最後を、ぜひこの目で見届けたい。(りんたいこ/フリーライター)