「ワンダーウーマン」 美女戦士が“若気の至り”を武器に猪突猛進! ギャップ萌えも?
米DCコミックスのスーパーヒロインの活躍を描く実写映画「ワンダーウーマン」(パティ・ジェンキンス監督)が8月25日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。若き日のワンダーウーマンが、理想を胸に猪突(ちょとつ)猛進する痛快作で、演じるのは昨年公開の「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」に続きイスラエル出身の女優ガル・ガドットさん。しなやかな肉体を駆使した華麗なアクションも必見だ。
ワンダーウーマンは、スーパーマンやバットマンと並ぶDCコミックスの代表的なキャラクターで、1941年の初登場以降、70年以上にわたって不動の人気を誇ってきた。今回の実写映画は、女性だけが暮らす特別な島で生まれ育った好奇心豊かなプリンセスのダイアナ(ガドットさん)が主人公。ダイアナはある日、不時着した米国人パイロットを助けたことから、外の世界で戦争が起きていることを知ると、母親から「一度、島を出たら二度と戻れない」と教えられながも、人々を救うため戦いに身を投じる……というストーリー。第一次大戦下の欧州が舞台で、ダイアナは“美女戦士”ワンダーウーマンとして、大暴れする。
「ワイルド・スピード」シリーズなどで知られるガドットさんが扮(ふん)した今作のダイアナは、純真無垢(むく)な理想主義者で、ヒーローとしてはまだまだ未熟だが、秘めたるパワーは圧倒的。何よりも「悪を倒し、世界を救う」という強い信念がある。時折見せる子供っぽい仕草や表情、“天然”な部分も魅力的で、その美しさや強さとのギャップを備えているという意味でも“最強”だ。
物語的にも、そんなダイアナのキャラクターに引っ張られる形で進行。苦悩や苦戦は最小限にとどめ、どんどん真っすぐに突き進んでいくので、中だるみは一切なし。ワンダーウーマンの活躍を一時も見逃すな!(山岸睦郎/MANTAN)
「関ヶ原」有村架純が本格時代劇デビュー 戦いに花を添える
司馬遼太郎さんのベストセラー小説を、人気グループ「V6」の岡田准一さん主演で映画化した「関ケ原」(原田眞人監督)が、8月26日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほかで公開。放送中のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」でおなじみの有村架純さんが、岡田さん演じる石田三成に仕える忍び、初芽役で本格時代劇デビューを果たした。殺陣などにも挑戦し、見応えのある戦いのシーンに花を添えている。
幼いときに豊臣秀吉(滝藤賢一さん)に才能を認められた石田三成(岡田さん)は、秀吉に忠誠を誓いながらも利害によって天下を治めるのではなく、正義によって世の中を変えようとしていた。秀吉の体調が思わしくない中、徳川家康(役所広司さん)が言葉巧みに武将たちを懐柔し始め……という展開。
1600年、名だたる大名が三成率いる「西軍」と家康率いる「東軍」に分かれて、関ケ原を主戦場に戦った“天下分け目の決戦”を、三成の側から描いた今作。岡田さん、役所さん、平岳大さん、東出昌大さん、松山ケンイチさんら豪華キャストが終結し、スピーディーな会話劇と大迫力の合戦を繰り広げる。トム・クルーズさんの主演作「ラスト サムライ」(2003年)に出演歴があり、第39回日本アカデミー賞優秀監督賞受賞作「日本のいちばん長い日」(15年)を手がけた原田監督最新作。
有村さんが伊賀の忍び・初芽として短刀を振るうアクションシーンに挑戦。三成に引かれてはいるものの、その思いを胸の奥にしまい込み、三成の“犬”として忠誠を尽くし、命を懸けて守ろうとする。有村さんが泥まみれになりながら、けなげで強い女性を演じ、戦いに彩りを与えている。また、忍びの蛇白役・伊藤歩さんのクールな美しさ、尼僧役・壇蜜さんの存在感も印象的。三成に雇われる武将、島左近(平さん)の妻を中越典子さん、北政所をキムラ緑子さんが演じ、多彩な女性キャストも関ケ原を盛り立てている。(キョーコ/フリーライター)
「幼な子われらに生まれ」浅野忠信×新人女優 血のつながらない父娘の対峙にヒリヒリ
浅野忠信さんと田中麗奈さんが出演し、血のつながらない家族の葛藤を描いた映画「幼な子われらに生まれ」(三島有紀子監督)が、8月26日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほかで公開。つまずきながら、家族になろうとする不器用な大人たちと子供たちの物語。浅野さん演じる父親が血のつながらない思春期の長女と対峙(たいじ)するシーンでは、父娘のヒリヒリした心理が巧みに映し出されている。
商社の営業マンの田中信(浅野さん)と専業主婦の妻・奈苗(田中さん)は再婚同士。一緒に暮らす2人の娘は奈苗の連れ子だ。新しい生命を授かった2人だったが、信は迷っていた。思春期の長女・薫(南沙良さん)との関係はギクシャクしており、たびたび反抗的な態度をとられ、良い父親になろうと必死になるほどうまくいかずに悩んでいた。その上、会社では出向を命じられ、仕事も煮詰まる。そんな折、薫は別れた父親に会いたいと言い出して……という展開。
原作は、直木賞作家・重松清さんの同名小説。「共喰い」(2013年)などの脚本家、荒井晴彦さんが重松さんと映画化の約束をし、「少女」(16年)などを手がけた三島監督がメガホンをとった。手土産を片手に精いっぱい良い父親になろうと頑張る信と、今の家族の幸せを手離すまいと、つらい過去を振り切って明るく振る舞う奈苗。反抗的な長女と無邪気な次女。幸せの象徴のようなニュータウンのマンションを舞台に、家族4人の“現在”が、即興のせりふも加えてドキュメンタリー的な撮影方法で撮られ、さらに元妻、元夫とのドラマも展開する。
家族の団らんのひとときも、信の努力は長女の薫には届かず、薫は薫で一人浮いている。父親としてどうしたらよいのか葛藤する信と、思春期ゆえに容赦ない言葉をぶつけてしまう薫のやりとりに、リアルな緊張感が漂う。雑誌「nicola」の専属モデルであり、今作で女優デビューを飾った南さんの体当たりの演技を、浅野さんが大人の包容力で受け止めている。
また、奈苗の元夫役を宮藤官九郎さんが好演。ギャンブルに溺れた男を人間味たっぷりに演じている。そのほか、過去にDVを受けた経験のある奈苗役・田中さんと、信の元妻役・寺島しのぶさんの熱演も見逃せない。(キョーコ/フリーライター)
「劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い」士郎と美遊の絆に感動
劇場版アニメ「劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い」(大沼心監督)が8月26日から角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほかで公開。「Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ」は、TYPE-MOONによる人気ゲーム「Fate/stay night」のスピンオフで、ひろやまひろしさんのマンガが原作。魔法少女となったイリヤことイリヤスフィール・フォン・アインツベルンの活躍を描き、アニメが4期まで制作された。劇場版は第4期「プリズマ☆イリヤ ドライ!!」の最終回後の物語で、美遊とエインズワースとの因縁が明かされる。
真の敵であるジュリアン・エインズワースを退けたイリヤたちは、イリヤの親友・美遊の兄を自称し平行世界で生きる衛宮士郎と、美遊が育った家に身を寄せる。そこで士郎は、あらゆる願いを無差別にかなえる神稚児だった美遊を切嗣と暮らしていた家に引き取り、本当の兄妹のように平穏に暮らしていたこと、美遊を“奇跡”として希求する樹里庵が姿を現したことなど過去を語り始める……というストーリー。テレビシリーズに続きイリヤを門脇舞以さん、美遊を名塚佳織さん、士郎を杉山紀彰さんが担当するほか、第1期を手がけ2期以降は総監督を務めた大沼監督が指揮を執り、全テレビシリーズに携わっている井上堅二さんと水瀬葉月さんが脚本を担当した。
テレビシリーズは、イリヤたち少女中心の物語が可愛らしく平和的に繰り広げられる印象が強かったが、劇場版は第4期「ドライ!!」と同じく、ダークな雰囲気を漂わせ、カッコよさが満載。士郎の美遊に対する思いや2人の絆が胸アツで、士郎が勇ましく戦う姿からは手に汗握るほどの熱量が感じられる。美しく神秘的な印象の作画も世界観にマッチしていて、ド迫力のアクションシーンを一段と盛り上げている。原作には描かれていないオリジナルシーンも必見だ。(遠藤政樹/フリーライター)