「ミックス。」ガッキー&瑛太がW主演 卓球をテーマに笑えて泣けてキュンとする良質なコメディー
女優の新垣結衣さんと俳優の瑛太さんのダブル主演で、卓球を題材にした映画「ミックス。」(石川淳一監督)が、10月21日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで公開。ドラマ「リーガル・ハイ」や映画「探偵はBARにいる」シリーズなどを手掛けた古沢良太(こさわ・りょうた)さんが脚本を担当。モテない会社員やガングロギャルなど七変化にも挑戦したガッキーのコメディエンヌぶりが際立っている。親子愛や恋愛要素も加え、笑えてほろりとさせられ、キュンキュンもできる良質なコメディーに仕上がっている。
卓球の男女混合ダブルスをテーマにしている。母(真木よう子さん)のスパルタ教育によって、かつて天才卓球少女として将来を期待された独身・富田多満子(新垣さん)。交際していた会社の卓球部のエース江島晃彦(瀬戸康史さん)を美人卓球選手・小笠原愛莉(永野芽郁さん)に取られる。
人生のどん底に突き落とされた多満子は田舎に戻り、亡き母が経営していた卓球クラブで、夢も家族も失った元プロボクサーの萩原久(瑛太さん)と出会い、打倒江島・小笠原ペアを目標に全日本卓球選手権に臨む……というストーリー。
ガッキーのコメディーに外れなし! その言葉を証明するように、今作でもキュートなコメディエンヌぶりで好演している。撮影の3カ月前からみっちり練習したという卓球の腕前が堂に入っている。多満子の「シェーク前陣速攻型」、萩原の「シェークドライブ型」などさまざまなスタイルが登場し、卓球好きも納得のプレーシーンを楽しめる。伊藤美誠選手や吉村真晴選手ら本物の五輪選手との試合シーンもある。
母と天才卓球少女のスパルタ練習シーンは、テレビでよく見たあの選手の子供時代を彷彿(ほうふつ)させ、あまりに似ていて思わず笑ってしまった。ヒロインのライバル役の永野さんと、多満子らの行きつけの中華料理店の中国人店員を演じた蒼井優さんの振り切れた演技にも注目だ。
卓球シーン以外には、主人公・多満子の生き方や瑛太さん演じる萩原の別れた妻子との関係、広末涼子さんが演じる元ヤンのセレブマダムの奥様方との付き合い方などそれぞれの悩みも丁寧に描かれ、笑いながらも人情にほろりとさせられる。ヒロイン多満子の恋の行方は……? ラストはスクリーンで確かめてほしい。(細田尚子/MANTAN)
「斉木楠雄のΨ難」山崎賢人×福田雄一監督で笑い全開の実写化 橋本環奈の振り切れた演技にも注目
俳優の山崎賢人さん主演の映画「斉木楠雄のΨ難(さいきくすおのサイなん)」(福田雄一監督)が10月21日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開。麻生周一さんが「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の同名人気ギャグマンガが原作。目立たないようにしているはずの超能力者・斉木楠雄が、個性豊かな仲間たちのせいで数々のトラブルに巻き込まれる学園生活を描く。ヒロインは橋本環奈さん。
「斉木楠雄のΨ難」は、麻生周一さんが2012年から連載中のギャグマンガ。2016年にはテレビアニメが放送された。とてつもない超能力を持つ斉木楠雄(山崎さん)は、超能力は使わずに普通に生きたいと思っていた。
しかし、クラスメートは変わり者ばかりでいつもトラブルに巻き込まれ、その度にばれないように超能力を使っていた。文化祭の日を迎え、次々と災難が楠雄に降りかかる中、気が付けば地球滅亡の危機が引き起こされようとしていて……というストーリー。新井浩文さん、吉沢亮さん、賀来賢人さん、ムロツヨシさんらも出演している。
実写映画「銀魂」のヒットも記憶に新しい福田監督の最新作は、目いっぱい笑いが詰め込まれた……というか、もはやコメディー要素しかない笑い全開の実写化だ。ツボにはまれば、最初から最後までずっと笑える。
主人公の楠雄は、ピンクの髪に2本のアンテナを付けている風変りな容貌。無表情で突っ立ち、せりふは心の声ながら不思議な存在感がある。原作キャラのビジュアルの再現度の高さに驚き、個性的過ぎる周囲のキャラクターにもくすりとさせられる。特に、橋本さん演じる妄想女子、照橋心美(てるはし・ここみ)の振り切れたコメディエンヌぶりに、思わず「おっふ」(劇中で使われる感嘆詞)と言ってしまいそうになった。(遠藤政樹/フリーライター)
「DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団」DCヒーローと鷹の爪団の異色コラボに笑いと驚き
低予算Flashアニメーション「鷹の爪団」シリーズの劇場版9作目は、米国のDCエンターテインメントのヒーローたちと異色タッグを組んだ「DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団」(FROGMAN監督)。10月21日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開。スーパーマン、バットマン、ワンダーウーマンなどのジャスティス・リーグが、ゆるいキャラクターでおなじみの吉田くんたちと共に、東京の街を救うべく戦いを繰り広げる。両者が同じカットに収まる奇跡のコラボレーションに、笑いと驚きが満載だ。
2017年の東京。シェアハウスに住むジョーカーとハーレイ・クインらは、鷹の爪団の秘密兵器を奪って資金にし、巨大モンスター「シン・入社員」を使って街を壊滅させ、映画をつくろうと企んでいた。
ジョーカーたちを追ってきたジャスティス・リーグのヒーローたちと戦うことになった鷹の爪団だったが、派手なアクションシーンのために映画の予算が足りなくなってしまう。そこで、アメリカまで行き、バットマンの資金力に頼ろうとするが……というストーリー。
バットマンの声を俳優の山田孝之さんが担当しているほか、ハーレイ・クインを知英さん、ジョーカーを安田顕さん、そのほか鈴村健一さん、松本梨香さんらが声優を務めている。
吉田くんたちとDCヒーローたちが同じカットに収まり、独自の世界を作り上げている違和感が楽しい。「ワンダーウーマン」(公開中)、「ジャスティス・リーグ」(23日公開)と、DC作品が次々と日本で公開される中、ヒーローたちが今作で集結し、ド派手なアクションを展開。お陰で予算が減り、雑な作画になってしまうため、戦いを続けられるのか見ているこちらもハラハラさせられる。
自宅に引きこもっているバットマンの、幼少期のトラウマを取り除こうとするくだりなど、ヒーローの人間的な部分も描かれている。世界の人気ヒーローたちが、小ネタいっぱいの鷹の爪ワールドに染まっているのも面白い。
バットマン、スーパーマンらのキャラクターデザインと2Dパートでジャスティス・リーグの持ち前の派手なアクション演出を担当したのは、アニメーション制作会社のGOZO。3DCGパートは劇場版3Dアニメ「STAND BY ME ドラえもん」(2014年)などで知られる白組が担当し、1作の中でさまざまなアニメーションの表現を楽しめる。監督・脚本・原案のFROGMANさんが数年かけてようやく完成させた力作だ。(キョーコ/フリーライター)