「HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION」岩田剛典、AKIRAが最終章で壮絶アクション
映画「HiGH&LOW THE MOVIE 3/FINAL MISSION」(久保茂昭・中茎強監督)が11月11日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで公開。「HiGH&LOW」は、ドラマ、映画、SNS、配信、マンガ、オリジナルベストアルバム、ライブなどが連動する「EXILE TRIBE」のエンターテインメントプロジェクト。今作は劇場版の最新作にしてシリーズ最終章。五つのチームが覇権を争うSWORD地区を舞台に、男たちのプライドを懸けた最後の戦いを描く。
悪名高きスカウト集団「DOUBT」と武闘派集団「プリズンギャング」の戦いに勝利したSWORDのメンバーだが、政府と裏でつながり“大人の力”を振りかざす九龍グループが乗り込んできて事態が一変する。一度は逮捕された九龍グループの総裁は証拠不十分で釈放。九龍グループが総力を結集し、“SWORD壊滅”の動きが加速していく……というストーリー。
AKIRAさんや岩田剛典さん、青柳翔さん、TAKAHIROさん、登坂広臣さん、町田啓太さんら「EXILE TRIBE」のメンバーのほか、窪田正孝さん、林遣都さん、津川雅彦さん、岸谷五朗さん、小泉今日子さんら豪華なキャストが顔をそろえた。
キャストたちが体当たりでアクションに挑む姿にワクワクする今シリーズだが、よりスケールアップし、爆破シーンやカーアクションなどもあり、最近の映画ではあまり見られない男くささや泥くささ、ド派手なアクションなどにグッと胸が熱くなる。今回は戦いの中に大人の論理が持ち込まれるなど、拳(こぶし)だけでは解決できない問題にも直面。登場人物たちが見せる新たな表情も見どころだ。
世界観の広がりと魅力あるキャラクターが多数いるため、目移りするかもしれないが、物語に一区切りをつけたという意味では、最後までスピードを緩めず全速力で駆け抜けていて爽快だ。(遠藤政樹/フリーライター)
「一礼して、キス」池田エライザ×中尾暢樹 高校の弓道部を舞台にした波乱の恋物語
モデルで女優の池田エライザさんの初主演映画「一礼して、キス」(古澤健監督)が11月11日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。加賀やっこさんの同名マンガ(小学館)が原作。高校の弓道部を舞台に、弓道に青春をささげてきた高校3年生の先輩女子・岸本杏(池田さん)と、杏が弓道に励む姿に恋をし、いちずに思いを寄せる後輩男子・三神曜太(中尾暢樹=なかおまさき=さん)の恋模様を描く。
中学・高校の6年間、弓道に打ち込んできた杏は、弓道部長として高校3年の夏の大会に挑むも、満足のいく結果を出せず終わってしまう。一方、普段から練習をあまりしない後輩の三神は、入部当初から才能を発揮し、大会でも簡単に優勝を飾る。三神に対し複雑な思いを抱える杏は引退を決意し、三神に部長を引き継ぐことに。しかし、それを知った三神が杏に予想外のお願いをする……というストーリー。
中尾さんは2016年の特撮ドラマ「動物戦隊ジュウオウジャー」(テレビ朝日系)の主演でデビューしたイケメン。三神の親友・由木直潔役で人気グループ「超特急」のタカシこと松尾太陽さん、杏らを取り巻く弓道男子として、特撮ドラマ「特命戦隊ゴーバスターズ」で桜田ヒロム/レッドバスターを演じた鈴木勝大さん、男女5人組ダンス・ボーカルグループ「lol(エルオーエル)」の佐藤友祐さんらが若手注目株のイケメンが多数出演している。
恋愛はいくつになってもままならい。それが両思いだとしても……今作はそんな恋のもどかしさが痛いほど伝わってくる。三神のいちずすぎる愛が暴走し、杏は振り回されてしまうのだが、いきなりキスしたり、壁ドンしたりと胸キュンシーンが満載で、ドキドキ感が楽しめる。躍動感ある弓道シーンも見応え十分だ。当事者からすると、困っていても好きな相手からいろいろされるのはうれしいのかもしれない……。恋愛で素直になるのは難しいけれど、大切なことなんだと感じた。(遠藤政樹/フリーライター)
「はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~」38年ぶりアニメ化 紅緒と忍の胸キュン恋が復活
大和和紀さんの人気少女マンガが原作の劇場版アニメ「はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳」(古橋一浩監督)が11月11日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開。原作の連載40周年を記念した企画で、約38年ぶりのアニメ化。大正時代を舞台に、剣道が特技でじゃじゃ馬な“はいからさん”こと花村紅緒が、婚約者の陸軍少尉・伊集院忍との結婚に反発しながらも、少しずつ引かれていく胸キュンな恋の様子などが描かれる。
女学校に通う17歳の紅緒は、ある日、笑い上戸のイケメン少尉・忍と出会う。実は忍が祖父母の時代から決められていた許嫁(いいなずけ)だと知った紅緒は反発し、愛のない結婚を阻止するためにさまざまな騒動を起こす。だが忍に少しずつ引かれていき……というストーリー。
声優の早見沙織さんが紅緒、宮野真守さんが忍の声を担当。梶裕貴さんが紅緒の幼なじみ・藤枝蘭丸、櫻井孝宏さんが出版社の社長・青江冬星、瀬戸麻沙美さんが紅緒の親友・北小路環、中井和哉さんがシベリアに出兵した軍曹・鬼島森吾の声を担当する。
「後編 ~花の東京大ロマン~」は18年に公開される。
原作は、1975~77年に「週刊少女フレンド」(講談社)で連載され、第1回講談社漫画賞少女漫画部門を受賞した人気マンガ。78~79年に全42話のテレビアニメが放送されたほか、87年に南野陽子さん、阿部寛さん主演の実写映画が公開された。79、85、2002年にテレビドラマも放送された。
一世を風靡(ふうび)した人気作が再び劇場版で帰ってきた。期待に胸躍らせて見始めると、冒頭から紅緒のハイテンションぶりが際立っていて、一瞬で「はいからさん」ワールドに引き込まれていく。快活で小気味よく、メリハリの利いた語り口には、「まさに紅緒!」とうならせられた。
絵柄こそ現代風のアレンジがなされているものの、反発しつつも引かれていくという王道の“胸キュン”展開を軸に、サクサクと進むテンポの良さ、紅緒の心理描写、忍の非の打ちどころのないイケメンぶり……と、原作の魅力が忠実に再現されているように感じられた。
テレビアニメシリーズでは未完だった原作エピソードが今作では完結まで描かれるということで、急展開の後編がどのようになるのかも楽しみだ。(河鰭悠太郎/フリーライター)
「予兆 散歩する侵略者 劇場版」夏帆、染谷将太でスピンオフ 侵略者が出現したとき別の街では…
夏帆さんや染谷将太さんらが出演している映画「予兆 散歩する侵略者 劇場版」(黒沢清監督)が11月11日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開。演出家の前川知大さんが手がけた人気舞台を映画化した「散歩する侵略者」のスピンオフで、WOWOWで放送された全5話の連続ドラマを劇場用に再編集。夏帆さん演じる、不可解な出来事に巻き込まれていく女性を主人公に、侵略者がやって来たときに別の街では何が起きていたかを描くアナザーストーリーだ。音響はドルビーデジタル5.1chサラウンドにアップグレードされたほか、映像の細部にも変更が加えられている。
山際悦子(夏帆さん)は、「家に幽霊がいる」と言う同僚の浅川みゆき(岸井ゆきのさん)の自宅に向かうが、そこにはみゆきの父親がいるだけだった。心配した悦子は夫辰雄(染谷将太さん)が働く病院の心療内科へみゆきを連れて行くと、家族という概念が欠落していると診断される。病院で悦子は、辰雄から新任の外科医・真壁司郎(東出昌大さん)を紹介されるが、何とも言えない違和感を覚え……というストーリー。
最初から一本の映画として撮ったのではと思うほど、場面転換に違和感がなく、クオリティーもかなり高い。映画のスタッフが再結集して製作したのだから、それも納得だ。
「蛇の道」(98年)以来、19年ぶりに黒沢監督とタッグを組んだ高橋洋さんの脚本も、映画版とはテイストの違った不穏さと恐怖に満ちた展開で楽しませてくれる。見た目ではなく演出による恐怖シーンは秀逸だ。
キャストも熱演で、思わず登場人物の誰もが侵略者かと疑ってしまう。中でも映画版に出ていてた別人の役でスピンオフにも登場する東出さんの怪演ぶりが光っていた。(遠藤政樹/フリーライター)
「南瓜とマヨネーズ」魚喃キリコの世界が臼田あさ美、オダジョー、太賀でほろ苦くよみがえる
マンガ家・魚喃(なななん)キリコさんの恋愛マンガの金字塔と呼ばれる代表作を臼田あさ美さん、オダギリジョーさん、太賀さんら個性的なキャストで映画化した「南瓜とマヨネーズ」(冨永昌敬監督)が、11月11日から新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほかで公開。同居中の恋人と、再会した元恋人との間で揺れる女性の心情を臼田さんがリアルに表現。元恋人役のオダギリさん、自分の夢を追う現恋人役の太賀さんが絶妙なアンサンブルを奏でている。
ミュージシャン志望のせいいち(太賀さん)と一緒に住むツチダ(臼田さん)は、ライブハウスで働く傍ら、キャバクラでも働いて生活を支えていた。自分の抜けたバンドがレコード会社と契約したことで落ち込んでいたせいいち。ダラダラと毎日を過ごしていたが、ツチダがキャバクラで働いていたことを知り、自分も働き始める。そんな折、昔の恋人ハギオ(オダギリさん)と再会したツチダは、ハギオとの関係にのめり込んでいく……という展開。
時間経過で形を変えていく人間関係。男女間のどうしようもなさが、なれ合いの仲になった現在の恋人と元恋人とのトライアングルの中で絶妙に描かれ、ほろ苦い若き日々の風景が浮かび上がる。愚直に音楽を追求するせいいちと、自由人でのらりくらりと生きる楽しいハギオ。2人の間にいるツチダの葛藤を、臼田さんがリアルに演じ、「こういう女性いるよね」と思わせる。冨永監督が「彼女以外はありえない」と配役しただけあって、原作の雰囲気を引き継いで好演している。
臼田さんは「ランブリングハート」(2009年)から8年ぶりの主演作。太賀さんは主演作「ポンチョに夜明けの風はらませて」が公開中。オダギリさんは「パビリオン山椒魚」(06年)以来、冨永監督と約11年ぶりにタッグを組んだ。原作は、90年代カルチャーを牽引(けんいん)した「CUTiE Comic」(宝島社)に1998~99年にかけて発表され、04年には復刻版も出版された人気の同名マンガ。魚喃さんと冨永監督は以前から親交があり、企画がスタートして5年越しで映画が完成したという。浅香航大さん、若葉竜也さん、大友律さん、清水くるみさん、岡田サリオさん、光石研さんも出演している。(キョーコ/フリーライター)