「リベンジgirl」桐谷美玲2年ぶり主演作 元彼を見返すため首相を目指して奮闘する選挙ラブコメ
女優の桐谷美玲さんが2年ぶりに主演した映画「リベンジgirl」(三木康一郎監督)が12月23日から新宿バトル9(東京都新宿区)ほかで公開。東京大学を首席で卒業しミスキャンパスグランプリという輝かしい経歴を持ちながら、極度の性格ブスというヒロインの宝石美輝(たからいし・みき)が、フラれた相手を見返すために初の女性首相を目指して選挙活動に奔走する姿をコメディータッチで描く。
自意識過剰で自己中心的な性格以外はパーフェクトな美輝(桐谷さん)は、政治家一家の御曹司の斎藤裕雅(清原翔さん)にまさかの失恋をしてしまう。美輝は首相になって裕雅にリベンジすることを決意。ひょんなことから秘書を務めることになった門脇俊也(鈴木伸之さん)の厳しいレッスンを受けるうちに、美輝の中に別の気持ちが生まれていく……というストーリー。馬場ふみかさん、佐津川愛美さん、斉藤由貴さんらも出演している。
美輝は才色兼備というハイスペックな役どころだが、桐谷さんが演じると説得力が感じられた。空回り気味に炸裂(さくれつ)する「私を誰だと思ってるの? 宝石美輝よ」という決めぜりふは、嫌みに聞こえるはずなのに思わず同意してしまいそうになるから不思議だ。
選挙関連のシーンは、知っているようでよく知らない選挙の裏側を見られて興味深い。桐谷さんは「ヒロイン失格」(2015年)でもコメディエンヌぶりを発揮していたが、今作でもくるくると変わる表情で楽しませてくれる。選挙がテーマだがラブ要素もあり、1人の女性が成長していく姿をほほ笑ましく見守ることができる。(遠藤政樹/フリーライター)
「勝手にふるえてろ」松岡茉優演じる恋愛暴走女子が理想と現実のはざまで…
女優の松岡茉優さんの初主演映画「勝手にふるえてろ」(大九明子監督)が、12月23日から新宿シネマカリテ(東京都新宿区)ほかで公開。綿矢りささんの同名小説が原作で、中学の同級生にいまだ片思い中の会社員のヨシカ(松岡さん)が、会社の同僚に告白されて、理想と現実の恋に揺れるさまを多彩なキャラクターで描いたラブコメディー。ヨシカが男子2人と一緒に乗るエレベーターのシーンは、交わることのない視線に緊張感がある静かな名場面だ。
ヨシカは24歳の会社員。家では絶滅した動物を調べ、アンモナイトを愛(め)でる毎日。中学の同級生イチ(北村匠海さん)に10年間も片思い中だ。ある日、同僚のニ(渡辺大知さん)から告白され、人生初の出来事に舞い上がるものの、乗り気ではなかった。家で電気ストーブによるボヤ騒ぎを起こしたヨシカは、死ぬ前にイチに再会したいと思い立つ……というストーリー。
自分の思いに真っすぐな“暴走女子”を、共感できる人物として松岡さんが好演。「脳内恋愛」と「リアル恋愛」の相手役には、共に音楽畑のアーティストが配された。クールで少し陰のあるイチを、「君の膵臓をたべたい(キミスイ)」(17年)での好演も記憶に新しい「DISH//」の北村さん、いちずな思いをヨシカにぶつける熱い男ニを、連続テレビ小説「まれ」などに出演した「黒猫チェルシー」の渡辺さんが演じている。黒猫チェルシーは主題歌「ベイビーユー」も。
そのほか、石橋杏奈さん、趣里さん、前野朋哉さん、古舘寛治さん、片桐はいりさんらがヨシカに関わる印象的な役柄で登場する。
ヨシカの「脳内彼氏」であるイチの住む高層マンション。ヨシカとイチと、ヨシカに思いを寄せるニの3人は、エレベーターという同じ空間に入り込む。ヨシカはイチの背中を凝視し、ニは腕組みをして正面を向いている。3人の微妙な距離感に、恋した時の一方通行な感情が見て取れる。誰もが似たような経験を思い出すに違いない。
「でーれーガールズ」(15年)の大九監督が、「放課後ロスト」(14年)などでタッグを組んだ松岡さんをヒロインに据え、コメディエンヌぶりを引き出している。今作は、今年の第30回東京国際映画祭のコンペティション部門の観客賞を受賞した。(キョーコ/フリーライター)
「カンフー・ヨガ」ジャッキー・チェンがカンフーアクションとヨガとノリノリのダンスを披露
アクション俳優ジャッキー・チェンさん主演の映画「カンフー・ヨガ」(スタンリー・トン監督)が、12月22日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほかで公開。ジャッキーさんは、失われた財宝を追って中国、アラブ首長国連邦(UAE)、インドを駆け巡る。得意の棒術やカンフーアクションのほかボリウッドダンス(印映画のミュージカル場面に登場する踊りの総称)を披露。製作総指揮とアクション指導も務める。正月映画らしく楽しい作品に仕上がっている。
中国の考古学者ジャック(ジャッキーさん)の元を、インド宮殿博物館のアスミタ博士(ディシャ・パタニさん)が古い地図を携えて訪ねてくる。地図には伝説の財宝の隠し場所。ジャックは博士らと共に、地図が示す山脈の氷河地帯に向かう。一方、インドの大富豪ランドル(ソーヌー・スードさん)も同じ財宝を狙っている……というストーリー。ジャックの助手を男性アイドルグループEXOのレイさんが演じ、中華圏の人気俳優アーリフ・リーさんがトレジャーハンターのジョーンズ役で出演する。
中国の使節団とインド象の部隊が財宝を巡って戦う冒頭から、がっちり心をつかまれる。約1400年前に実際にあった事件。ジャックとジョーンズの手合わせや、氷の洞窟(どうくつ)でのランドル一行との大バトルなど、ときにユーモアを交えたアクションの見せ場が目白押し。
目を奪われたのは、UAE・ドバイでの大胆極まりないカーチェイスだ。ランボルギーニやマクラーレン、フェラーリなど超高級車ばかりが登場。これらの車はドバイから無料で貸し出され、破損時用の代車も用意されたというから驚く。
そのカーチェイスでは、ジャッキーさんの車の後部座席にライオンが! 見た時は、ありえない、どうせCG(コンピューターグラフィックス)だろうと思ったが、実際に本物のライオンを乗せていたというから恐れ入る。
中印合作映画らしく、出演者たちのボリウッドダンスでの大団円。笑顔でノリノリのダンスを披露するジャッキーさんが実にチャーミングで、サービス精神が随所に感じられる。最後の最後まで楽しめる作品だ。(りんたいこ/フリーライター)