「名探偵コナン 紺青の拳」劇場版初の海外シンガポールが舞台 傷ついた怪盗キッドに胸キュン
人気アニメ「名探偵コナン」の劇場版23作目「名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)」(永岡智佳監督)が4月12日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開されている。劇場版初の海外、シンガポールが舞台。コナンの宿命のライバル、怪盗キッドと劇場版初登場の空手家、京極真がキーパーソンとして大活躍する。
19世紀末、海底に沈んだとされる世界最大の宝石ブルーサファイア「紺青の拳」を巡り、コナンと怪盗キッドが、シンガポールのリゾートホテル「マリーナベイ・サンズ」近郊で起きた殺人事件や巨大な陰謀に巻き込まれていく……というストーリー。
今回の見どころは何といっても天才マジシャンの怪盗キッドだ。ハンググライダーでシンガポールの空を縦横無尽に飛び回り、お得意の変装も駆使して神出鬼没。そんないつものカッコいい姿をたくさん見られる。それも楽しいが、予告編にもある通り、傷付いた姿も見せて、女性ファンなら母性本能をくすぐられること間違いなし。
別タイプのイケメン、京極真の硬派なカッコよさも見逃せない。新一と蘭の恋愛要素、コナンくんのアクションなども盛り込んで、見どころ満載だ。
高山みなみさん、山崎和佳奈さん、山口勝平さん、小川力也さんらベテラン声優陣は安定感抜群。今作のゲスト声優の山崎育三郎さんは物語の鍵を握るキャラクター、レオン・ロー、河北麻友子さんはレオンをサポートする美人秘書のレイチェル・チェオングの声を担当している。
ダンス・ボーカルグループ「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の登坂広臣さんが、ソロプロジェクト「HIROOMI TOSAKA(登坂広臣 / 三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)」名義で歌う主題歌「BLUE SAPPHIRE」がシンガポールの夜景にぴったりはまっている。
原作は、青山剛昌さんが1994年からマンガ誌「週刊少年サンデー」(小学館)で連載している人気マンガ。小学生探偵の江戸川コナンが次々と起こる難事件を解決する。96年からテレビアニメが放送され、97年からは劇場版アニメも製作されている。(細田尚子/MANTAN)
「多十郎殉愛記」伝説の監督の20年ぶり本格時代劇 高良健吾が瀬戸際で生きる男を色気たっぷりに
高良健吾さん主演の時代劇「多十郎殉愛記」(中島貞夫監督)が、4月12日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほかで公開。「木枯らし紋次郎」(1972年)、「新・極道の妻たち」(91年)などを手がけた日本映画のレジェンド、中島監督が20年ぶりにメガホンをとった。ヒロインには多部未華子さん。生きるか死ぬかの瀬戸際で見つける愛によって突き動かされる侍を、高良さんが色気たっぷりに熱演している。
幕末の京都。貧乏長屋に住む清川多十郎(高良さん)は、親の残した借金から逃れるために脱藩浪人となり、大義も夢もなく無為に日々を過ごしていた。ワケありの小料理屋女将おとよ(多部さん)は、多十郎に思いを寄せ、かいがいしく世話を焼きながら見守っていた。その頃、京都見廻組が浪人の取り締まりを強化。多十郎に危機が迫る……という展開。
多十郎の腹違いの弟の数馬役に木村了さん、敵役の抜刀隊隊長・溝口蔵人役に寺島進さん。永瀬正敏さんが桂小五郎役で特別出演し、それぞれ存在感あふれる芝居を見せている。斬られ役でおなじみの福本清三さんの華麗な散り際や、テレビドラマ「暴れん坊将軍」シリーズなどの栗塚旭さんの円熟した芝居も見逃せない。
高良さん演じる多十郎は、静と動、別の美しさがある。することなくダラリと座っていても、力強い目としなやかな肉体は、何かを探し求めているようだ。追っ手がやって来て逃げ回る姿は、風のように爽快で力強い。おとよからのいちずな愛を受け、やがて愛する人を助けるために刀を持つ選択に至るといったストーリーの中に、斬る・斬られるという肉体を通じた東映京都・太秦時代劇の美学が宿る。クライマックスの殺陣では、一つ一つの動きに魂と熱を感じ、最後まで緊張感が途切れない。
高良さんは、2カ月間殺陣の稽古(けいこ)に励み、エキストラの稽古にも参加する熱の入れようだったという。中島監督の「ちゃんばらを次世代に」という期待に十二分に応えている。中島監督は「くノ一忍法」(64年)で監督デビュー。同作をはじめ、「必殺」シリーズなど数々の時代劇に出演歴のある三島ゆり子さんも今作に顔を出し、高良さんとの絡みを見せている場面も面白い。
「私の男」(2014年)などの熊切和嘉監督が、監督補佐として参加している。主題歌は、中孝介さんの「Missing」。(キョーコ/フリーライター)