「キングダム」肉体改造した山崎賢人の激しいアクション 豪華キャストと壮大なスケールのセットは圧巻
俳優の山崎賢人さん主演の映画「キングダム」(佐藤信介監督)が4月19日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。原作は、原泰久さんが2006年から「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載中の人気マンガ。中国の春秋戦国時代を舞台に、後に始皇帝となる秦王・えい政など英雄たちのドラマが描かれる。天下の大将軍を目指す青年・信を演じる山崎さんのキレのあるアクションや、原作の世界観を再現した壮大なスケールの映像が見どころだ。
舞台は紀元前245年、春秋戦国時代の中華西方の国・秦。戦災孤児の少年・信(山崎さん)と漂(吉沢亮さん)は、「天下の大将軍」を夢見て日々、剣術の鍛錬を重ねていた。ある日、漂は王都の大臣・昌文君((しょうぶんくん、高嶋政宏さん)に召し上げられる。
漂が去った後も鍛錬を続けていた信の元へ、数年後、王宮内クーデターで致命傷を負った漂が来訪。「お前に頼みたいことがある」という血まみれの手には、ある小屋を示す地図が握られていた。力尽きた漂から渡された地図を頼りに小屋へたどり着いた信の前に現れたのは、漂にうり二つの、王都を追われた若き王・えい政(吉沢さん)だった。信は、漂がえい政の身代わりで命を落としたと知り激怒するが、漂の遺志を受け止め、王宮奪還を目指すえい政と行動を共にする……。 美しき山界の王・楊端和(ようたんわ)役で長澤まさみさん、山民族の末裔(まつえい)・河了貂(かりょうてん)役で橋本環奈さん、六大将軍の一人、王騎役で大沢たかおさん、えい政の異母弟でクーデターを起こす成キョウ(せいきょう)役で本郷奏多さん、昌文君の副官・壁(へき)役で満島真之介さん、王騎に従う騰(とう)役で要潤さんらも出演する。
累計発行部数が3800万部を超える大人気作品の実写化。俳優陣の豪華さもあって公開前から話題を集めている。映像は期待にたがわず圧巻の一言。特に春秋戦国時代の王宮を再現したという広大なオープンセットや、延べ1万人が参加したというエキストラの兵士たちがそろった様子は壮大なスケール。原作の世界に飛び込んだような感覚を覚える。
山崎さんは食事制限、肉体改造に挑んだといい、高く跳躍し、剣を振り回すバトルシーンではキレのある動きを披露している。凜(りん)としたえい政を演じる吉沢さん、可愛らしい外見の河了貂を演じる橋本さん、憎らしさ全開の成キョウを演じる本郷さん、山の民を束ねる楊端和を演じる長澤さんもそれぞれ魅力的。個人的には大沢さん演じる王騎が不気味なオーラを醸し出していて引きつけられた。(河鰭悠太郎/フリーライター)
「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~」面白くてほっこりする家族映画
人気アニメ「クレヨンしんちゃん」(テレビ朝日系)の劇場版最新作「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~」(橋本昌和監督)が4月19日にTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。シリーズ27作目。しんちゃんのはちゃめちゃなアクションは相変わらずだが、みさえの女心や、ひろしのやせ我慢とも言える男気、家族の絆なども描かれ、面白くてほっこりするファミリームービーに仕上がっている。
新婚旅行に行っていなかったひろしとみさえは、みさえの見つけてきた家族参加オーケーの激安新婚旅行ツアーに一家で参加することに。だが、目的地・豪州に到着早々、ひろしが謎の仮面族にさらわれてしまう……。お宝のカギとなってしまったひろしを巡って、野原一家と仮面族、そして世界中のトレジャーハンターたちの三つどもえの争奪戦が勃発する……というストーリー。
シリーズ最高興収22億9000万円を記録した23作目「映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 ~サボテン大襲撃~」(2015年)を手がけ、シリーズ4度目の登板となる橋本さんが監督を務める。
女優の木南晴夏さんがトレジャーハンターのインディ・ジュンコの声を担当。そのほかお笑いタレントの小島よしおさん、ぺこさんとりゅうちぇるさん夫妻がゲスト声優として出演している。主題歌はシンガー・ソングライターのあいみょんさんの「ハルノヒ」で、あいみょんさんは本人役の声も担当している。
とにかく楽しいしんちゃんの大冒険に、みさえやひろしの切ない恋心や互いへの思いやり、バブル時代の回顧なども絡めて、大人も楽しめる映画に仕上がっている。大人はみさえやひろしに共感し、子供はしんちゃんがらみのギャグに大笑いし、アクションにワクワクするなど、老若男女で楽しみたい。ゴールデンウイーク10連休に家族で見に行くのにうってつけの映画だ。
「クレヨンしんちゃん」は、マンガ誌「週刊漫画アクション」(双葉社)などで連載されていた臼井儀人さんの人気マンガ。「きれいなおねいさん」が大好きなおませな幼稚園児の野原しんのすけが、大人たちを巻き込みながらさまざまな騒動を巻き起こす姿が描かれている。テレビアニメは1992年にスタート。現在は金曜午後7時半に放送されている。(細田尚子/MANTAN)
「シャザム!」大人に変身した子供が大活躍する奇想天外なヒーロー映画 吹き替え版に菅田将暉
米DCコミックのヒーロー「シャザム」が活躍する映画「シャザム!」(デビッド・F・サンドバーグ監督)が4月19日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで公開。スーパーパワーを手に入れた14歳の悪ガキが、世界のため、仲間のために邪悪な勢力に立ち向かう異色のヒーロー映画。日本語吹き替え版は、監修と演出を映画「銀魂」シリーズなどで知られる福田雄一監督が担当し、主人公シャザムの声を俳優の菅田将暉さんが担当する。
天涯孤独の14歳、ビリー・バットソン(アッシャー・エンジェルさん)は、ある日、謎の魔術師(ジャイモン・フンスーさん)からスーパーパワーを与えられる。「シャザム!」と唱えると、筋肉ムキムキの大人に変身することができる上に、スーパーマンも真っ青の能力を発揮できるのだ。
早速ビリーは同じ里親の家で暮らすフレディ・フリーマン(ジャック・ディラン・グレイザーさん)の協力を得て特訓を開始。そんなビリーの前に、科学者のドクター・シヴァナ(マーク・ストロングさん)が現れ……というストーリー。変身したシャザムをザッカリー・リーバイさんが演じる。
日本語吹き替え版では菅田さんのほか、子安武人さん、杉田智和さん、緒方恵美さん、阪口大助さん、平野綾さん、佐藤二朗さん、遠藤綾さん、櫻井孝宏さん、小野大輔さんが声優を務める。
「奇想天外」とは、まさにこういうことをいうのだろう。目からうろこが落ちる展開にまず拍手を贈りたい。クライマックスでの大バトルシーンでは驚天動地のアクションが展開。その一方で、大人の肉体を手に入れて大喜びのビリーが、ビールを飲んでみたり、ストリップバーをのぞいてみたりと思春期の少年らしい笑えるエピソードも挿入されている。
ビリーとフレディの友情が築かれていく過程もしっかりとつづられ、そこからシャザムというヒーロー誕生に無理なくつながっていくところに二度目の拍手を贈ろう。
舞台は米フィラデルフィア。とくれば映画「ロッキー」(1976年)。ひと足先に(?)ヒーローになったロッキー・バルボアにきっちり敬意を表し、映画「ビッグ」(88年)を彷彿(ほうふつ)させる場面もあるなど小ネタを仕込んであるのも心憎い。子供から大人まで楽しめること請け合いだ。(りんたいこ/フリーライター)
「愛がなんだ」岸井ゆきのが成田凌にいちずな思いを貫こうとする恋愛映画
女優の岸井ゆきのさん主演の映画「愛がなんだ」(今泉力哉監督)が、4月19日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほかで公開。一人の男性をいちずに思うあまり暴走していくヒロインの“痛い”日常を描く。前のNHK連続テレビ小説「まんぷく」でヒロイン・立花福子のめいのタカを演じていた岸井さん。全く異なる役を演じている岸井さんに注目だ。
原作は角田光代さんの同名恋愛小説。会社員の山田テルコ(岸井さん)は、友人の結婚式の二次会で田中マモル(成田凌さん)と出会い恋に落ちる。しかし、マモルを好き過ぎるテルコを、やがてマモルは重荷と感じ、距離を置き始める。連絡が途絶えて3カ月。マモルから連絡が入る。待ち合わせ場所にいそいそと出掛けて行ったテルコだったが、マモルは年上の女性すみれ(江口のりこさん)を連れていた……というストーリー。深川麻衣さん、若葉竜也さんらも出演。
テルコは、会社の電話はとらないのにマモルからの着信には即反応する。マモルに誘われれば、すぐに会社をさぼる……どれもマモルが好き過ぎるが故。当然、同僚からは白い目で見られている。そんなテルコも、岸井さんが演じることで、「しょうがないなあ」と同情を寄せたくなる。ドライでがさつなすみれとのライバルであり、同志でもあるという微妙な関係も面白い。
テルコを翻弄し、すみれには翻弄される、いい加減な性格のマモルも、本来ならただのダメ男で終わるが、成田さんが演じることで、放っておけない男になっている。とどのつまり、ここに出てくる男女は皆どうしようもなく不器用で、完璧とはほど遠い人間。だからこそ親近感が湧く。それにしても、マモルに執着するあまりテルコが最後に吐いたせりふは強烈だった。(りんたいこ/フリーライター)