「チア男子!!」横浜流星と中尾暢樹がW主演 猛特訓で身に着けた息の合ったチアに注目
俳優の横浜流星さんと中尾暢樹(なかお・まさき)さんダブル主演の映画「チア男子!!」(風間太樹監督)が5月10日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。原作は「桐島、部活やめるってよ」などで知られる直木賞作家・朝井リョウさんが早稲田大学在学中に男子チアチーム「SHOCKERS」をモデルに執筆した小説。横浜さん演じる坂東晴希が、中尾さん演じる橋本一馬らと共に男子チアチーム結成を目指すスポ根青春物語だ。
道場運営者の長男に生まれた晴希は幼い頃から柔道を続けてきたが、連戦連勝の姉・晴子と違って自分には才能が無いと悩んでいた。けがをきっかけに柔道から距離を置いていた晴希に、幼なじみで親友の一馬は「一緒に新しいことを始めよう」と持ちかける。
「新しいこと」とは、前代未聞の男子チアリーディング部の創設だった。晴希と一馬は大学内で徐々に仲間を増やしていき、ついに7人のメンバーをそろえ「BREAKERS」を結成。技を覚え、猛特訓のかいもあって順調にチアリーディングの腕前を上げていく「BREAKERS」。だが、柔道をやめた晴希は晴子との確執があり、他の6人もそれぞれに悩みや葛藤を抱えていた。そしてメンバー間の歯車は少しずつ狂い始め……という展開。
「BREAKERS」のメンバーとして、浅香航大さん、瀬戸利樹さん、ダンス&ボーカルグループ「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」の岩谷翔吾さん、菅原健さん、小平大智さんが出演している。
横浜さんは3月まで放送されていた連続ドラマ「初めて恋をした日に読む話(はじこい)」(TBS系)での“無敵ピンク”から一転、黒髪で悩める青年・晴希を熱演。物静かでどこか愛敬のある晴希を見事に演じ、芝居の幅の広さにうならされる。目標に向かって努力を重ね、仲間と絆を深めていくストーリーは王道の青春ものといった趣で、メンバーそれぞれがチアリーディングの技術を身に着けていく姿にはわくわく、どきどきした。
最大の見どころは7人の息の合った躍動感あふれるパフォーマンス。横浜さんら「BREAKERS」の面々は、撮影前に3カ月間計100時間超の練習をこなしたといい、その成果は劇中で存分に見ることができる。特に横浜さんは空手の世界チャンピオンになった身体能力を生かして華のあるパフォーマンスを見せている。集大成となるラストの舞台は……出来栄えとメンバーの絆をスクリーンで見届けたい。(河鰭悠太郎/フリーライター)
「映画 としまえん」北原里英NGT48卒業後初主演 浅川梨奈、松田るか、小宮有紗も 夜の遊園地の恐怖
元NGT48で女優の北原里英さん主演の映画「映画としまえん」(高橋浩監督)が5月10日からユナイテッド・シネマとしまえん(東京都練馬区)ほかで公開される。東京・練馬にある遊園地「としまえん」が舞台。同園が全面協力し、シーンの90%以上が園内で撮影されたホラー映画だ。友人数人と共にとしまえんへ遊びに来たヒロインらが、うわさになっていた“としまえんの呪い”を試したことで、恐ろしい現象に巻き込まれていく騒動を描く。
大学生の辻本早希(北原さん)は、高校時代から仲良しの友達と一緒に、としまえんへ遊びに行く。ネット上でうわさになっていた“としまえんの呪い”があるという古い洋館を園内で見つけた早希たちは、軽い気持ちでうわさを試してみる。その直後、恐ろしい現象が次々と発生し、メンバーが一人、また一人といなくなっていく……というストーリー。
ほかに、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」で注目を集めた小島藤子さん、アイドルグループ「SUPER☆GiRLS」の元メンバーの浅川梨奈さん、女優の松田るかさん、声優の小宮有紗さんらが出演している。
昼間は楽しげでも、閉園後に人がいなくなった夜の遊園地は、言葉にできない怪しさや不気味さを感じ、映画全体を通してそこはかとない恐怖を感じた。呪いを扱ったホラーなのだが、それより恐ろしいのは、遊園地を訪れる早希たち女子グループの人間模様だ。グループ内の力関係や仲間外れになりたくない思いを利用したいじめ、ありがちなドロドロした状態、悲しい結果を招いてしまう恐ろしさが描かれ、思わず背筋が寒くなった。(遠藤政樹/フリーライター)
「僕に、会いたかった」EXILE TAKAHIROが初の長編映画単独主演 記憶を失った元漁師と家族との絆
「HiGH&LOW」シリーズなどに出演し俳優としても活躍するEXILE TAKAHIROさんが、初の長編映画単独主演した「僕に、会いたかった」(錦織良成監督)が、5月10日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。ある事故で記憶を失った元漁師と家族との絆と再生を描いたヒューマンドラマ。TAKAHIROさんが無精ひげを生やし、苦しい思いを胸に抱きながらも、今を懸命に生きる元漁師を演じ、新境地を開いている。隠岐諸島の美しい自然を舞台に、人との絆と温もりがじんわりと描き出されている。
池田徹(TAKAHIROさん)は、島で1,2を争うすご腕の漁師だったのだが、12年前の漁で嵐に遭い、記憶喪失になってからは漁に出られなくなった。過去を振り返ることも、未来へ動き出すこともできない息子を、母親の信子(松坂慶子さん)は見守ってきた。そんなある日、3人の高校生が島へ留学にやって来て、徹と交流を持ち始める……というストーリー。
TAKAHIROさんと松坂さんが親子を演じ、食事風景の自然なやりとりが温かいシーンになっている。島留学にやって来る高校生役は、オーディションで選ばれたという。ある思いを持って島にやって来た高校生、木村めぐみ役には、「相棒-劇場版IV-」(2017年)などに出演した山口まゆさんが演じている。ボーカルダンスユニット「M!LK」の板垣瑞生さん、「くちびるに歌を」(15年)などの柴田杏花さんと、フレッシュな顔ぶれがそろった。また、出演している劇団EXILEの秋山真太郎さんは、錦織監督との共同脚本を執筆している。
華やかなステージに立っているボーカリストのイメージから離れ、TAKAHIROさんが、荒々しい海で生きる男、過去を失って苦悩する姿を、目の色や風貌で表現する。アイデンティティーを失い、前へ進めずにいる男を、顔なじみの島の人々が見守る様子が温かい。
その中心に、息子を思いやる母の姿があり、松坂さんが熟練の芝居で優しく深く包み込んでいる。高校生たちのドラマも丁寧に描出され、高校生が徹にどう絡んでいくのかにも興味をそそられる。停滞する男に対し、未来を夢見る高校生がキラキラと輝いて見え、人の幸せを、人と人のつながりの大切さへとつなげていく。
「RAILWAYS-49歳で電車の運転士になった男の物語-」(10年)や、「たたら侍」(17年)などの監督し、本作のロケ地、隠岐がある島根県出身の錦織監督がTAKAHIROさんをイメージしながら脚本を書いた。エグゼクティブプロデューサーのEXILE HIROさんの提案で、TAKAHIROさんを漁師役に決めた。TAKAHIROさんは撮影前に漁協で仕事を手伝い、趣味の釣りのシーンもあり、島の風景に溶け込むことに成功した。ロケ地の隠岐諸島は絵画のように美しい。同じく島根県出身の浜田真理子さんの歌う主題歌のタイトルにもなっている、雲のすき間から太陽光線が放射状に地上へ降り注ぐ「天使のはしご」も絶景だ。(キョーコ/フリーライター)