「マレフィセント2」妖精アンジェリーナ・ジョリーのオーラに驚嘆 “究極の愛”を描く
米女優アンジェリーナ・ジョリーさん主演の映画「マレフィセント2」(ヨアヒム・ローニング監督)が、10月18日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほか全国で公開される。前作「マレフィセント」(2014年)の数年後という設定の今作は、オーロラ姫に求婚したフィリップ王子の母イングリス王妃とマレフィセントの“悪女対決”が見られるほか、マレフィセントの出自が明かされるなど、前作以上の驚きと興奮に満ちた仕上がりだ。
前作で、マレフィセント(ジョリーさん)から受けた真実の愛によって永遠の眠りから覚めたオーロラ姫(エル・ファニングさん)は、今は妖精たちが暮らすムーア国の女王として暮らしている。そんなオーロラ姫にアルステッド国の王子フィリップ(ハリス・ディキンソンさん)が求婚。オーロラ姫は喜んで承諾する。フィリップとの結婚を内心では歓迎していないマレフィセントは、渋々ながら、アルステッド城で開かれる晩餐(ばんさん)会にオーロラ姫と向かう。ところが、妖精たちを目の敵にするイングリス王妃(ミシェル・ファイファーさん)の挑発に乗り、怒りを爆発させてしまい……というストーリー。
マレフィセントとイングリス王妃が対峙(たいじ)する場面では、演じるジョリーさんとファイファーさんから放たれるオーラに目がくらむほどだった。
愛するオーロラ姫のためと腹をくくり、自分に忠誠を尽くすカラスのディアヴァル(サム・ライリーさん)から晩餐会用の笑顔の手ほどきを受けるマレフィセントがほほ笑ましい。その一方で、晩餐会でオーロラ姫に非難されたときに見せる愕然(がくぜん)とした表情や、怒りを爆発させたときのすさまじい形相など、前作よりもマレフィセントの人間性(妖精性?)が色濃く描かれていて共感できた。それだけに、彼女が見せる“究極の愛”には驚嘆した。
吹き替え版では、前作に続き、女優の上戸彩さんがオーロラ姫を演じるほか、マレフィセントを声優の深見梨加さん、フィリップ王子を小野賢章さん、ディアヴァルを阪口周平さん、ノットグラス、フリットル、シスルウィットの3人の妖精をタレントの福田彩乃さんが声を担当する。(りんたいこ/フリーライター)
「映画スター☆トゥインクルプリキュア」 ララの想いに大人もほろり 迫力のバトルも
人気アニメ「プリキュア」(ABC・テレビ朝日系)シリーズの第16弾「スター☆トゥインクルプリキュア」の劇場版アニメ「映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想(おも)いをこめて」(田中裕太監督)が10月19日、新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開される。
「スター☆トゥインクルプリキュア」は、宇宙と星座が大好きな星奈ひかるがプリキュアに変身して、宇宙の支配をもくろむノットレイダーと戦う姿を描く。劇場版は、ひかるたちが、言葉は通じないが“うた”で気持ちが通じ合える不思議な生き物ユーマと出会うが、ユーマを狙う謎の宇宙人ハンターが現れる。
「プリキュア」シリーズはこれまで多様性を描いてきた。ユーマは言葉が通じなくて、最初は考えていることも分からないし、姿も人間とは違う。ひかるや羽衣ララたちは、そんなユーマと絆を育もうとする。特に印象的なのが、ララのユーマに対する強い想いだ。本来慎重なはずのララが、意外な行動に出るシーンもあり、大人もほろりとさせられるはずだ。
「プリキュア」の魅力の一つに肉弾戦があり、今作もダイナミックなバトルシーンが見どころになっている。プリキュアが戦う宇宙人ハンターは強敵ぞろい。劇場版のみに登場する12星座ドレスをまとったプリキュアがさらに強く、美しくなって、激しいバトルを繰り広げる。いつもの劇場版よりもバトルシーンが多めな印象で、東映アニメーションのお家芸とも言える迫力の映像を大画面で存分に楽しめるのは劇場版ならではだろう。
ほかにも、絶妙なタイミングで流れる挿入歌、ひかる、ララ、ユーマが訪れるバヌアツ・ヤスール火山やナスカの地上絵、ウユニ塩湖、イグアスの滝などの美しい風景……と見どころが多い作品に仕上がっている。(小西鉄兵/MANTAN)
「楽園」綾野剛、佐藤浩市、杉咲花の迫真の演技に息もつけない 孤独へ追い詰められた姿が衝撃的
綾野剛さん主演の映画「楽園」(瀬々敬久監督)が、10月18日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。杉咲花さん、佐藤浩市さんら豪華キャストが集結。地方の町で起きた少女失踪事件を軸に、閉ざされた社会で追い詰められていく人間の姿を描くサスペンス作だ。
「悪人」「怒り」などのベストセラー作家、吉田修一さんの「犯罪小説集」(角川文庫)から、「青田Y字路」と「万屋善次郎」を組み合わせ、「64-ロクヨン-」の瀬々監督が原作にはいない紡(つむぎ)を登場させ、時間経過を巧みに描き出した。
夏祭りの日。偽ブランド品を売る母(黒沢あすかさん)と、手伝う息子の中村豪士(綾野さん)が男たちからいちゃもんをつけられる。そのいざこざを仲裁した藤木五郎(柄本明さん)は豪士を気にかけてくれていた。間もなく、近くのY字路で五郎の孫・愛華が失踪する事件が起こる。
12年後。愛華とY字路で別れた親友の湯川紡(杉咲さん)は、事件を抱えたまま成長し、ある夜、豪士と偶然出会う。一方、田中善次郎(佐藤さん)は、Y字路に続く集落で、亡き妻の面影を追いながらひっそりと暮らしていた……。
ほかに、紡に思いを寄せる幼なじみの野上広呂に村上虹郎さん、善次郎に好意を寄せる女性、黒塚久子に片岡礼子さん、そのほか、根岸季衣さん、石橋静河さんらが出演している。
女の子2人の運命の分かれ道のようなY字路。美しい光にあふれた印象的な風景として映し出される。一人は失踪し、一人は成長したが、心の奥底で事件を引きずっている紡は、孤独を抱えて生きる豪士と共鳴し合う。このことが希望の光になるのかと思いきや、物語は急展開を見せていく。
途中からY字路の先に住む男・善次郎の物語が始まる。人のいい善次郎は、年寄りばかりの集落の中で頼りにされていたが……。
豪士、善次郎を孤独から狂気へと追い立てたものは何だったのか。普通の人間のドス黒さと集団心理の恐ろしさをあぶり出しながら、坂道を転げ落ちるような人生の急展開に衝撃を受ける。綾野さん、佐藤さん、杉咲さんの迫真の芝居に息もつけない。
主題歌は、上白石萌音さんの「一縷(いちる)」。劇場版アニメ「君の名は。」(2016年)や「天気の子」(2019年)の音楽を手掛けたRADWIMPSの野田洋次郎さんがプロデュースした。(キョーコ/フリーライター)