「ラストレター」岩井俊二ワールド全開 松たか子、広瀬すず、福山雅治…オールスターキャストで心の機微を繊細に描く

広瀬すず、森七菜が姉妹役 岩井俊二のラブストーリー 映画「ラストレター」予告編

 岩井俊二監督の最新映画「ラストレター」が1月17日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。「Love Letter」「スワロウテイル」などの名作を世に送り出した岩井監督が、自身の出身地・宮城を舞台に、手紙の行き違いがきっかけで始まる二世代の男女の恋愛模様と、心の再生や成長を描くラブストーリー。松たか子さん、広瀬すずさん、福山雅治さん、神木隆之介さんら主役級のオールスターキャストが顔をそろえている。それぞれの心の機微を美しく描き出す“岩井節”とも言える演出で繊細な感動作に仕上がっている。

 宮城に住む岸辺野裕里(松さん)は、姉の遠野未咲の葬儀で、未咲の一人娘の鮎美(広瀬さん)から、未咲宛ての高校の同窓会案内と未咲が鮎美に残した手紙の存在を知らされる。未咲の死を知らせるために裕里が同窓会へ足を運ぶと、姉と勘違いされあいさつさせられる。そこで姉と同学年だった初恋の相手、乙坂鏡史郎(福山さん)と再会し、勘違いから不思議な文通が始まる……というストーリー。

 広瀬さんは未咲の高校時代も演じ、森七菜さんが裕里の高校時代と裕里の娘の颯香を演じている。裕里の夫・宗二郎役は映画監督の庵野秀明さんが演じている。「Love Letter」の中山美穂さんや豊川悦司さんが登場するシーンもある。

 全編にわたり岩井ワールドに包まれ、みずみずしい描写や美しい風景、琴線に触れる音楽などに心を奪われっ放しだった。特に広瀬さんと森さんのみずみずしさ、今しか撮れないきらめきを見事に切り取った描写は秀逸の一言に尽きる。福山さんが無精ひげを生やした落ちぶれた作家を、普段のスターオーラを消し去って演じ切り、新境地を開いている。とぼけた雰囲気の庵野監督の演技は……ぜひスクリーンで確認してほしい。

 インターネットやSNS全盛の時代に、肉筆でしたためられた手紙のぬくもり、すれ違いの妙を、この映画を見ているひと時だけでも堪能したい。森さんの歌う主題歌「カエルノウタ」(作詞:岩井監督)の素朴な歌声にも引き込まれた。(細田尚子/MANTAN)

「mellow メロウ」おしゃれな花屋役で田中圭が主演 片思いの心の揺れを丁寧につづった群像劇

“独身・彼女なし”田中圭、ともさかりえの告白に戸惑う 主演映画「mellow」本予告映像が公開

 今年、芸能生活20周年を迎える田中圭さんの最新主演映画「mellow メロウ」(今泉力哉監督)が、1月17日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開される。田中さん扮(ふん)するおしゃれな生花店主と、父親から譲り受けたラーメン店の女性店主を軸にした恋愛群像劇。不器用な人たちの実らない恋模様が丁寧に描かれている。

 夏目誠一(田中さん)は、独身で彼女なし。花店「mellow」を営んでいる。常連客には中学生の宏美(志田彩良さん)、主婦の麻里子(ともさかりえさん)、近所の古いラーメン店の女性店主・木帆(岡崎紗絵さん)らがいる。

 夏目は、木帆の亡父の仏壇用の花を届けに行き、ラーメンを食べながら他愛のない会話を楽しむ日々を送っていた。ある日、いつものように花を届けに行った夏目に、思いもよらぬ出来事が降りかかる……。

 花に囲まれ、静かなたたずまいで、話し相手にもなってくれる。受け身だがモテる夏目役は田中さんにとってハマリ役だ。ヒロイン木帆役には、「午前0時、キスしに来てよ」(2019年)などに出演した岡崎さん。芯の強さと優しさを併せもつ女性を爽やかに演じている。

 もう一人のヒロインとも言える宏美役には、今泉監督の「パンとバスと2度目のハツコイ」(2018年)などに出演した志田さん。

 一軒家のような店構えのおしゃれな花店、古いラーメン店、昔ながらの美容院など、レトロな舞台設定も相まって、人の温もりを感じさせる。花を扱う仕事と丁寧に向き合う夏目の日常に、年齢の異なる複数の女性の思いが絡まっていく。大事件は起こらないが、登場人物それぞれの心の迷いや、揺れ動く気持ちが丁寧につづられ、じわりじわりと映画の世界へ引き込まれていく。

 幾つもの恋模様は、時にコミカルで時に切ない。女性たちの思いを、夏目がどう受け止め、はたまた、夏目の心はどこにあるのか。花に込めたり、文字にしたためたり、思いを伝えるアクションがさまざまな形で出てきて、恋愛だけにとどまらず、人と人のつながりが優しく照らし出している。

 「愛がなんだ」(2019年)「アイネクライネナハトムジーク」(2019年)など、ちょっぴり不器用で愛すべき人たちを描くことに長(た)けている今泉監督のオリジナルストーリー。田中さんとの初タッグ作となった。主題歌は、並木瑠璃さんの「花になる」。(キョーコ/フリーライター)

「太陽の家」長渕剛が20年ぶりの映画で人情味あふれる大工の棟梁に 共演に飯島直子、広末涼子

飯島直子、長渕剛に強烈ビンタ 映画「太陽の家」予告編

 シンガー・ソングライターの長渕剛さん主演の映画「太陽の家」(権野元監督)が、1月17日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。長渕さんにとっては「英二」(1999年)以来20年ぶりの主演作。熱くておせっかいで曲がったことが大嫌いな主人公・川崎信吾のキャラに長渕さんがぴたりとはまっている。

 大工の棟梁(とうりょう)の川崎信吾(長渕さん)は、現場で作業中、一人の女性と知り合う。保険の営業をしながら8歳の息子の龍生(潤浩<ゆんほ>君)を育てているシングルマザーの池田芽衣(広末涼子さん)。父親を知らず、人見知りの龍生が気になった信吾は、芽衣にいいところを見せたいのと、持ち前のおせっかい心がむくむくと動き出し、芽衣が仕事を終えて帰宅するまでの間、自分が龍生を預かると申し出る。しかしそれが、信吾自身の家族関係に波風を立たせることになる……。

 信吾の妻・美沙希役は飯島直子さん。信吾と美沙希の娘・柑奈を山口まゆさん、信吾の弟子・河井高史を永山瑛太さんが演じる。「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」(2017年)などの脚本で知られる江良至さんのオリジナルストーリーを、WOWOWの連続ドラマ「頭取 野崎修平」(2020年)や「相棒」シリーズの権野監督が映画化した。

 いい話だ。熱血漢の男とその家族が、シングルマザーとその息子を助けるという一見単純な内容だが、物語が進むにつれ、彼らがそれぞれに抱えるやっかい事がぽろぽろと見えてきて引き込まれた。長渕さんが作詞・作曲した主題歌「Orange」が感動を後押しする。

 信吾は、人情に厚いが直情的で、自分の都合で周囲の人間を振り回す。振り回されるほうはたまったものではないが、そこには“絶対の愛”と真っ当さがあるから受け入れられる。とはいえ、時にはやり過ぎることもあり、それを軌道修正するのは気風(きっぷ)のいい妻・美沙希の役目だ。亭主関白に見えて美沙希に頭が上がらない信吾。この2人のコンビネーションが、作品のテーマ「愛」と「信念」を揺るぎないものにしている。

 もう一つ、気持ちを持っていかれたのは、信吾が作業場で黙々と体を鍛えている場面。エクササイズバンドを柱にくくりつけて引っ張ったり、懸垂したりと、ストイックに筋トレに励む信吾(というか長渕さん)は一見の価値あり。(りんたいこ/フリーライター)

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