俳優の菅田将暉さんが8月5日、東京都内で行われた沢田研二さんとダブル主演を務める映画「キネマの神様」(山田洋次監督、8月6日公開)の公開記念舞台あいさつに登場。コロナ禍で撮影が長期中断となるなど困難に見舞われた映画の公開を翌日に控え、菅田さんは「本当にいろいろなことがあったな、と」としみじみ語り、「映画は、公開するとお客様のもの、という感覚があるので、公開するまでどれだけその映画に携われるかが毎回楽しみ。そういう意味では、今回の作品は今までで最長の長さを公開まで一緒にいれた。十分いっぱい愛(め)でる時間をいただけたと解釈すれば、すごく感謝だなと思いました」と感慨深げに語った。
映画は、当初は昨年3月に死去した志村けんさんと菅田さんがダブル主演を務める予定だった。舞台あいさつでは、ダブル主演を務める沢田さんのコメントをMCが代読する場面もあり、「志村さんのお気持ちを抱きしめ、やりとげる覚悟です。あの日から、新型コロナとともに歩んだ72歳の精いっぱいの姿です。詮無いですが、志村さんのゴウが見たかった。この作品を封切館で初めて見ようと思っています」というコメントが読み上げられた。
一度沢田さんの現場を見学したという菅田さんは、「ものすごく集中されていて、誰も近づけない空気があって。(役に)臨む思いがあふれ出ていたので楽しみにしていました」と印象を明かし、「同じ人物を演じられたというのはすごく光栄です」と喜びも語った。
舞台あいさつには野田洋次郎さん、北川景子さん、宮本信子さん、山田監督も出席した。
映画は、人気小説家の原田マハさんの同名小説が原作。1920年に松竹の前身となる松竹キネマ合名社が設立され、今年で100周年を迎えることを記念して製作された。ギャンブル漬けで借金まみれのゴウ(沢田さん)は、たった一つだけ愛してやまないものがあった。それは「映画」。若き日のゴウ(菅田さん)は助監督として、青春を謳歌(おうか)していた。しかし、初監督作品「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大けがをし、作品は幻となってしまう。半世紀後の2020年、あの日の「キネマの神様」の脚本が出てきたことで、ゴウの中で止まっていた夢が再び動き始める……というストーリー。