俳優の成田凌さんが12月14日、東京都内で行われた初主演映画「カツベン!」(周防正行監督)の公開記念舞台あいさつに登場し、約2分にわたる口上を披露した。同作で、音声が付いていない映画の上映中に、傍らでその内容を解説をする「活動弁士」(活弁=カツベン)に憧れる主人公・染谷俊太郎を演じた成田さんは、役作りのため、半年にわたり活弁を猛特訓したという。
成田さんは、約500人の観客の前で「厳寒の時節、森羅万象、白い吐息を漏らす折から、賑々(にぎにぎ)しご来館を賜りまして、関係者・出演者一同になり代わり、主演・成田凌、厚く厚く御礼申し上げます。この『カツベン!』は映画を愛する皆の力で艱難(かんなん)辛苦を乗り越え、なれど苦労は詳しく言わぬが花の吉野山。多くの皆様にご覧いただきたく、日々宣伝活動にいそしんでまいりました。思えば、共に走り続けてきた、この(オーディションから公開日までの)616日。私自身、片時たりとも、『カツベン!』を忘れたことはございません。昨日、初日を迎えましたこの作品はもはや皆々様のものでございます。我が子を送り出す心持ちでお届けいたしますこの作品、末永く愛していただけましたら、我ら歓喜じゃくやく、身の幸せ。本日のみならず、これからも映画『カツベン!』ご高覧のほど! よろしくお願い申し上げます!」と、発する言葉のスピードに緩急、そして強弱を付けながら披露。観客から大きな拍手を浴びた。
口上を披露した成田さんは「こんなに緊張する舞台あいさつは初めて。なかなか声は出ていた。昨日まで鼻水ずるずるで、せきも止まらなかった。朝起きたらピタッと止まって。これが『カツベン!』の力かと。これが主演の力かと思いました(笑い)」と充実した表情を見せた。
舞台あいさつには、共演の黒島結菜さん、永瀬正敏さん、高良健吾さん、竹中直人さん、井上真央さん、竹野内豊さん、周防監督も出席した。成田さんと同じく活動弁士の山岡秋聲(しゅうせい)を演じた永瀬さんは、成田さんの口上について「気持ちが分かるので、俺もドキドキしちゃって。すごいよ! すごい!」と絶賛。周防監督は「舞台あいさつで口上するなんて。すごいことを強いてしまった」と話し、苦笑いを見せていた。
「カツベン!」は、周防監督の約5年ぶりの最新作。活動弁士に憧れながらも、ニセ弁士として泥棒一味の片棒を担うことになってしまった俊太郎の姿を描く。