【動画まとめ】10月24、25日公開映画 「小野寺の弟・小野寺の姉」「ヘラクレス」「シャンティデイズ 365日、幸せな呼吸」「イコライザー」「シャトーブリアンからの手紙」紹介&予告編まとめ

映画「小野寺の弟・小野寺の姉」メガネ男子にクラッ 不器用な姉弟の心温まる物語

映画「小野寺の弟・小野寺の姉」予告編
 俳優の向井理さんが主演する映画「小野寺の弟・小野寺の姉」(西田征史監督)が10月25日から全国で公開される。向井さんが演じるメガネをかけた引っ込み思案の弟と、片桐はいりさんが演じる生真面目な姉が織りなすコメディータッチの心温まる物語だ。 映画は、両親を亡くし2人で暮らす弟の小野寺進(向井さん)と姉のより子(片桐さん)の家に届いた誤配達の郵便をきっかけに、それぞれの恋と人生が動き始める……という展開。進が恋する岡野薫役で山本美月さん、より子がひそかに思いを寄せる営業マン浅野暁役で及川光博さんが出演するほか、大森南朋さん、麻生久美子さん、ムロツヨシさんも出演する。原作の同名小説を手がけた脚本家の西田さんが監督と脚本を担当している。 33歳の弟と40歳の姉。“いい年”をした姉と弟が一軒家で暮らす2人きりの生活は、他人から見たら少し変わっているのかもしれないが、当人たちはどこ吹く風。ときにはぶつかり合ったりもするが、それは互いのことを一生懸命考え、思い合っているから。不器用ながらもそれぞれのやり方で互いを思い合い、もがきながらも自分の人生の針を少しずつ進めようとしていく2人がとても愛おしく思えてくる映画だ。 東京郊外にあると思われる2人が暮らす古い一軒家やおばあちゃんの家にありそうな台所の入り口に掛かっているのれん、進がより子や薫と遊びに行く遊園地など映画に登場する場所や小道具の数々はどこか懐かしく、ノスタルジーを感じる。個人的には“メガネ男子”で調香師という役どころの向井さんの姿に何度もクラッときてしまった。25日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(堀池沙知子/毎日新聞デジタル)

映画「ヘラクレス」神話をベースに現代にマッチするよう作られたアクション活劇

映画「ヘラクレス」予告編
 映画「ワイルド・スピード」シリーズでおなじみのドウェイン・ジョンソンさんが、ギリシャ神話に登場する半神半人のヘラクレスに扮(ふん)したアクション映画「ヘラクレス」(ブレット・ラトナー監督)が10月24日から全国公開される。「神話をネタにした、ハリウッドお得意のアクション活劇。まさに、ドウェイン・ジョンソンさんの“俺様映画”」と思っていたが、今風の味付けがなされ、さらに3Dの特性をうまく生かした撮り方をされた満足のいく仕上がりになっていた。 神々の王ゼウスと人間の女性の間に生まれたヘラクレス(ジョンソンさん)は、恐るべき怪物と戦う「12の難業」を成し遂げ、生ける伝説となった。時は流れ、紀元前358年。彼は金のために戦う傭兵となり、5人の仲間とともにギリシャ諸国をさまよっていた。そんななか、トラキアの王コテュス(ジョン・ハートさん)から、邪悪な戦士レーソス(トビアス・ザンテルマンさん)率いる反乱軍から国を助けてほしいと頼まれる。ヘラクレスは謝礼目当てで依頼を引き受けるが、その先には過酷な戦いが待っていた……というストーリー。 これまで、多くの作品でヘラクレスは、圧倒的な力を持つ英雄として描かれてきた。しかしここでの彼は、5人の仲間を引き連れて兵士として生きる普通の人間として描写されており、神話を扱いながらそれを基に、アクションヒーローもので、戦いのドラマとして現代にマッチするよう作られているのが新鮮。ヘラクレス役のジョンソンさんもさることながら、兵士仲間のイアン・マクシェーンさん、ルーファス・シーウェルさんら、普段、悪役もこなす俳優が個性的なキャラクターを演じている姿に見応えがある。一方、ジョセフ・ファインズさんとピーター・ミュランさんが、アテネの王エウリュステウスと、コテュスの腹心シタクレスを憎らしさたっぷりに演じていたのも印象的だった。24日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

映画「シャンティデイズ 365日、幸せな呼吸」価値観の異なる2人の女性の友情物語

映画「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」予告編
 映画「愛の渦」(2014年)で印象に残る演技を見せた門脇麦(かどわき・むぎ)さんと、トップモデルの道端ジェシカンさんがダブル主演する映画「シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸」(永田琴監督)が10月25日から全国で公開される。ヨガをきっかけに知り合った、性格も境遇も価値観も違う2人の女性の友情と成長を描いた作品だ。 青森から憧れの東京にやって来た本沢海空(ほんざわ・みく、門脇さん)、21歳。テレビで見かけた人気モデル兼ヨガインストラクターのKUMI(道端さん)の美しさに一目ぼれし、KUMIがいるヨガスタジオに通い始める。自分に付きまとう海空に、最初はイラついていたKUMIだったが、ひょんなことから海空を自宅に泊めることに。それをきっかけに、2人の奇妙な同居生活が始まる……という展開。 海空は、田舎者丸出しのど根性娘で、他人の懐にずかずかと入っていく。でもちっとも嫌味を感じさせない。純朴さと人のよさが体からにじみ出ていて、それを表現する門脇さんのあっけらかんとした演技には好感が持てる。海空は、字幕が入らないと分からないような津軽弁をしゃべるが、演じる門脇さんは東京出身。当初はアクセントの難しさに悪戦苦闘していたそうだが、最終的にはアドリブに対応できるレベルにまで上達したというからその“ど根性”にも恐れ入る。一方のKUMIを演じる道端さんは、今作が映画初出演。自身も熱心なヨガ愛好家だそうだが、今作で見せるヨガのポーズや、モデルとしてカメラの前に立つ姿はやはり板に付いている。道端さんのセンスが生かされた衣装や小物、さらに洗練された身のこなしは、同世代の女性たちの“お手本”となること請け合いだ。海空とKUMIを見ながら、人間は誰しも、悪いことがあればいいこともある。すべてをひっくるめてその人そのもの。自分たちの生活が常に“バランス”を保ちながら回っているんだなと感じられたことも収穫だった。ほかに、海空とKUMIのよき理解者となるバーのマスター役の村上淳さんはじめ、ディーン・フジオカさん、石田ニコルさん、鶴見辰吾さんらが出演している。25日からシネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

映画「イコライザー」 デンゼル・ワシントンが二つの顔を持つ男に

映画「イコライザー」予告編
 デンゼル・ワシントンさんが、「トレーニング デイ」(2001年)のアントワーン・フークア監督と再びタッグを組んだサスペンスアクション「イコライザー」が10月25日から全国で公開される。ワシントンさんは、昼と夜の二つの顔を持つ男に扮(ふん)し熱演。プロデューサーも兼任している。ワシントンさんが演じる主人公に“夜の顔”を思い出させる若い娼婦をクロエ・グレース・モレッツさんが演じている。 昼はホームセンターで働くロバート・マッコール(ワシントンさん)は、仕事をそつなくこなし、周囲からの人望も厚い。あるとき、近所のダイナー(レストラン)で言葉を交わすようになった娼婦のテリー(モレッツさん)がロシアンマフィアに暴行される場面を目撃した彼は、テリーの雇主が経営するロシア料理店に単身乗り込み、彼女を自由にしてほしいと頼み込む。しかし、その願いを一笑に付されたことで、眠っていたもう一つの顔が目を覚まし……という展開。 今作の面白さの要因はいくつかある。まず、マッコールの過去を少しずつ明かしていき、そのスリルを味わう楽しみ方が一つ。もう一つは、マッコールがホームセンターの気のいい従業員から“イコライザー”に変貌したときに味わえる高揚感。そして、マッコールが、灰皿やフォーク、コルクスクリューなど身近の生活用品を武器に悪者を仕留めていく様子が、実に鮮やかに表現されていることだ。 最近は悪徳警官や凶悪犯、アルコール中毒のパイロットなど“グレーゾーン”の人間を演じることが多かったワシントンさんだが、今作のマッコールは、グレーゾーンに身を置いてはいるが、その行為は正義に裏打ちされている。それまでの柔らかい物腰から一転、本性をあらわにした時に見せるその暴力性に驚くとともに、彼がいかに過酷な状況を生き抜き、重い十字架を背負っているかがうかがえる。また、読書を日課としているマッコールの読んでいる本が、そのときの彼の心情と重なるようになっているなど、アクションだけに頼らず、人物造形に重きを置いているフークア監督らしさが随所に見られる作品に仕上がっている。25日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)

映画「シャトーブリアンからの手紙」 独兵による仏人銃殺をドイツ人監督が描いた秀作

映画「シャトーブリアンからの手紙」予告編
 ナチ占領下のフランスで、早過ぎる死を遂げて伝説となっている少年ギィ・モケの悲劇を基に描かれた「シャトーブリアンからの手紙」(フォルカー・シュレンドルフ監督)が10月25日から公開される。ドイツ将校の暗殺に対する報復として銃殺される運命のフランス人と執行する側のドイツ軍人らの葛藤を、緊張感たっぷりに見せている。「ブリキの太鼓」(1979年)の名匠シュレンドルフ監督の下にフランスとドイツのキャストとスタッフが集結した。 1941年10月19日。ドイツ占領下のフランスのシャトーブリアン郡にあるショワゼル収容所には、占領に反対する者や政治犯などが収容されていた。17歳のギィ・モケ(レオポール・サルマンさん)は、映画館で占領批判のビラをまいて収容された。収容所では、デモを行った大学生のクロード・ラレ(マルタン・ロワズィヨンさん)と仲良しだ。ギィは、塀の向こうの女子収容所にいるオデット(ビクトール・デュポワさん)に恋をしていた。翌日、ドイツの将校が暗殺され、ヒトラーは収容所にいるフランス人150人の銃殺を命じる。パリのドイツ軍司令本部では、無謀なこの命令を回避しようとしたが、執行の先延ばしができただけだった。フランス人の副知事が、銃殺される人質のリスト作りを命じられ、ドイツ軍の司令官は政治犯の多いショワゼル収容所からも人質を選ぶことを選択する。そのリストには、まだ17歳のギィや釈放されるはずだったラレの名前もあった……という展開。 1941年10月19~22日の4日間が流れるように描かれている。報復の銃殺を阻止しようとするドイツ軍人や難題を突き付けられるフランス人の葛藤、人質となった者たち、一人一人の心象が、センチメンタルに傾くことなく、現実感を伴って浮き彫りになる。処刑を前に遺書を書く人質たち。フランスの名優ジャンピエール・ダルッサンさんが演じる神父が、複雑な表情で手紙を預かっていく。そこから処刑場までの時間が、鉛のようにズシリと重い。思考の欠如と全体主義の恐ろしさの前に、死にゆく者たちがどこまでも気高い。架空の人物としてドイツ軍の少年兵を登場させ、彼の視点から見つめた風景が突き刺さるように心に残る。ノーベル文学賞作家ハインリヒ・ベルさんの小説と、作家で思想家のエルンスト・ユンガーさんの回想録から着想を得たシュレンドルフ監督が脚本を書いた。次回作も第2次世界大戦下の物語になるという。シアター・イメージフォーラム(東京都渋谷区)ほかで25日から公開。(キョーコ/フリーライター)

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