【動画まとめ】9月24、25日公開 映画紹介&予告編 「GONIN サーガ」「合葬」「ホコリと幻想」「Wake Up,Girls! 青春の影」「チャンス商会~初恋を探して」「ARIA The AVVENIRE」

「GONINサーガ」 銃弾飛び交う暴力アクションは健在 前作から19年後が舞台

東出昌大が主演 映画「GONIN サーガ」本予告編
 俳優の東出昌大さんが主演のバイオレンスアクション映画「GONINサーガ」(石井隆監督)が9月26日から公開される。1995年に公開された「GONIN」の20年ぶりの続編となる作品で、前作から19年後の現代を舞台に、暴力団「五誠会」と五誠会と対決する主人公らとの戦いが描かれる。前作同様、銃弾が飛び交う壮絶なアクションと緊迫感のある展開が見どころだ。     前作の戦いで命を落とした暴力団・大越組若頭の久松茂(鶴見辰吾さん)を父に持つ勇人(東出さん)はある日、前作で死んだ大越組長(永島敏行さん)の息子で、勇人の幼なじみで大越組再興を目指す大越大輔(桐谷健太さん)から母・安恵(井上晴美さん)が父の月命日のたびに父の名誉復権を求めて五誠会に怒鳴りこんでいることを聞かされる。度重なる安恵の嫌がらせに辟易(へきえき)していた五誠会は、ある事件をきっかけに安恵を自殺に見せかけて殺してしまう。復讐(ふくしゅう)心が湧き上がる勇人のもとに、19年前の事件を調べているルポライター・森澤慶一(柄本佑さん)や元グラビアアイドルの菊池麻美(土屋アンナさん)らも集まり、五誠会から現金を強奪する計画を立てる……というストーリー。五誠会の三代目・式根誠司役で安藤政信さん、五誠会に雇われた殺し屋役で竹中直人さんらも出演しているほか、前作の5人組の1人・氷頭要役で根津甚八さんも出演している。 佐藤浩市さんや本木雅弘さん、竹中直人さん、椎名桔平さんら豪華キャストが顔を並べた前作の“5人”からたすきを引き継いだ形になる今作だが、東出さんに桐谷さん、土屋さん、柄本さんと今作でも旬な俳優陣によるすきのない布陣は変わらない。ダメサラリーマン・萩原や刑務所帰りの美少年・三屋らを筆頭にぶっ飛んだキャラクターが次々と登場し狂気に満ちあふれていた前作に比べると、やや作品の“狂気度”は薄まっているが、銃弾と容赦ない暴力が飛び交うバイオレンスアクションぶりは健在だ。“組からの現金強奪”という大筋は前作からそのままに、今作では敵を撃退する場面もあるなど受け身だった前作とは一味違う戦いぶりを見せてくれる。特にラストの「これぞGONIN!」と拍手を送りたくなる大立ち回りは見ものだ。序盤はせりふが多くやや説明的にも感じたが、その分、前作未見の人もすんなり入れるだろう。26日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(河鰭悠太郎/毎日新聞デジタル)

「合葬」移り変わる時代の中で若者が三者三様に翻弄される

映画「合葬」予告編 柳楽優弥、瀬戸康史がW主演
 先ごろ行われた第39回モントリオール世界映画祭のワールド・コンペティション部門に出品された「合葬」(小林達夫監督)が、9月26日から公開される。柳楽優弥さんと瀬戸康史さんがダブル主演。杉浦日向子さんのマンガが原作で、江戸市中を守るために若者たちが結成した「彰義隊」をテーマとした青春群像劇だ。 慶応4(1868)年。第十五代将軍・徳川慶喜(飴屋法水さん)は、江戸城を明け渡した。これに異を唱えて集まった者たちで結成された「彰義隊」は、市中見回りの任に当たっていた。秋津極(柳楽さん)は将軍に忠誠を誓い、彰義隊に自ら加わった。しかし、幕府の解体により、彰義隊は今や反政府的集団と見なされていた。心配した幼なじみの福原悌二郎(岡山天音さん)は除隊を促すが、極は養子先を追い出された幼なじみの吉森柾之助(瀬戸さん)を巻き込み、隊に戻っていく。彰義隊は強硬派が次第に暴走し始め、やがて追い込まれ……という展開。 3人の若者が時代のはざまで翻弄(ほんろう)される姿を、青春映画のようにスクリーンに焼き付けた。幼なじみを演じる柳楽さん、瀬戸さん、岡山さんの表情が素晴らしい。目をギラつかせ、己に課した使命に燃える極。子どもっぽい表情から、キリッとした青年に成長していく柾之助。隊の暴走を止めるために入隊し、巻き込まれ感がハンパない悌二郎。3人に降りかかるのは、時代の大きな流れに流されるしかない悲しい鉄則だった。映画は、若い彼らを華美に演出せず、淡々と出来事として映し出したところに好感が持てる。それだけに、途中流れる横文字の曲には個人的には興ざめ……。ここは好みが分かれそうだ。伝説のマンガ誌「ガロ」に1980年代に連載された原作を用い、80年代生まれの小林監督が手掛けた。時代劇とは思えない新しい試みにも挑んだ。例えば、カヒミ カリィさんのナレーションは、澄んだ声が詩のように響き、とても新鮮だ。脚本は、「天然コケッコー」(2007年)や連続テレビ小説「カーネーション」の渡辺あやさん。出演者はほかに、オダギリジョーさん、門脇麦さん、桜井美南さんら。26日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

「ホコリと幻想」ナックス戸次重幸が自意識過剰で孤独な主人公の再生物語を熱演

戸次重幸が主演!映画「ホコリと幻想」予告編
 演劇ユニット「TEAM NACS(チーム・ナックス)」の戸次重幸さんが主演を務める映画「ホコリと幻想」(鈴木聖史監督)が9月26日に公開される。今作は北海道旭川市を舞台に、東京で挫折し、故郷である旭川へと戻ってきた男が、高校時代の同級生ら周囲の人間と衝突しながら人間模様が繰り広げられる。自らついたうそで追い詰められていく孤独な男・松野を戸次さん、松野の元恋人・美樹を美波さんが演じるほか、遠藤要さん、内田朝陽さん、奥山佳恵さん、本田博太郎さんら実力派キャストが脇を固めている。 高校を卒業して以来、旭川に帰郷した松野(戸次さん)は、元恋人で今は人妻の美樹(美波さん)をはじめ同級生たちと再会する。東京でアーティストとして活躍してきたと自称する松野は、市が募集する木工モニュメント製作のチラシを目にし、モニュメント作りに没頭するが、一向に製作が進展しない状況に同級生たちからは疑われ、次第に追い詰められていく。松野はもう一度自分を取り戻すため、改めてモニュメント製作に向き合うが……というストーリー。 映画は旭川を舞台にしているが、上京して時がたち、やむなく故郷に戻るという経験がある人は少なからずいるはずで、多くの人が共感できるのではないだろうか。もちろん、主人公の松野ほど自分のことを「天才」とか「成功者」などと吹聴する人は少ないだろうが、「自分はまだできる」「自分には運がなかっただけだ」などと言い換えてみれば、共感したくはないものの松野の心情が手に取るように分かってしまうのも事実だ。松野を演じる戸次さんが虚勢を張り、自分勝手な行動ばかりする中で、孤独や再生に向かってもがく男を熱演し、その痛々しさには鳥肌が立つほど。物語としては松野の苦悩にスポットを当て過ぎたためか、美樹との関係性や高校時代のエピソードといったバックボーンが薄めな印象はあるが、テンポ感とキャストの演技が秀逸で見入ってしまう。登場人物たちの心情にそくして感傷に浸りつつ、今の自分はどうかと問いかけたくなる。26日からヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほか全国で順次公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「Wake Up,Girls! 青春の影」ローカルアイドルユニットの新たな物語

劇場版アニメ「Wake Up, Girls! 青春の影」予告編
 劇場版アニメ「Wake Up,Girls! 青春の影」(山本寛監督)が9月25日に公開される。「Wake Up,Girls!(WUG)」は仙台市を舞台に、7人の少女がローカルアイドルユニットとして奮闘する姿を描くオリジナルアニメで、2014年1月に劇場版アニメ「Wake Up, Girls! 七人のアイドル」が公開され、14年1~3月にはテレビアニメが放送された。続編となる劇場版アニメ第2弾は前後編の2部作で、前編の今作では東京に進出したメンバーたちの新たな挑戦の日々など、テレビシリーズのその後の物語が展開される。 仙台発のアイドルユニット「Wake Up, Girls!」は、仙台での活動を通じて少しずつファンを増やし、ついにはアイドル界の登竜門イベント「アイドルの祭典」に東北代表として出場した。イベント終了後、メジャーレーベルのbvexからのデビューの誘いを受け、上京したメンバーたちは東京で新たな挑戦をスタートさせる。一方、アイドル界を引っ張るI-1clubの最新シングルが100万枚に届かず、ゼネラルマネジャーの白木が世代抗争を仕掛ける……というストーリー。 再びスクリーンへと帰ってきたWUGの物語は、舞台を東京へと移してはいるが、等身大の少女たちの姿やアイドルを取り巻く環境をシビアに描き出すという要素は健在だ。地方での人気を足がかりに上京してきたメンバーたちが、数多くのアイドルが存在する東京で悪戦苦闘する姿には思わず感情移入してしまうし、壁にぶつかりながらも立ち向かっていく姿には心打たれる。ストーリーはWUGの7人による会話を中心に進んでいくが、各メンバーのあふれんばかりの個性やそれぞれの成長ぶりを感じられるシーンがいくつもあり、涙腺を刺激する。劇場版第1弾とテレビシリーズのときよりも、少し大人になった7人が互いの意思を尊重しながら物事を進めていく姿には、最初から見ている身としては感動もひとしおだ。12月公開の後編「Wake Up,Girls! Beyond the Bottom」が待ち遠しい。25日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で2週間限定公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「チャンス商会~初恋を探して」ほのぼのとした老いらくの恋に秘密が隠されている

カン・ジェギュ監督 映画「チャンス商会~初恋を探して~」予告編
 頑固な独身のおじいさんが最後の恋に挑む韓国映画「チャンス商会~初恋を探して~」(カン・ジェギュ監督)が9月25日から公開される。「シュリ」(1999年)、「ブラザーフッド」(2004年)など、アクション大作で知られるカン監督が、温かいラブストーリーを生み出した。 チャンスマートで働くソンチル(パク・クニョンさん)は一人暮らし。頑固で口うるさく、海兵隊出身が自慢だ。再開発に町全体が積極的な中、計画に1人で反対している。孤独死も意識し始めていたころ、向かいに引っ越してきたグンニム(ユン・ヨジョンさん)に引かれていく。マートのチャンス社長(チョ・ジヌンさん)にデート指南をしてもらい、ソンチルは初デートをクリアする。以来、デートを重ねていく2人。チャンスをはじめとする町の人たちが、ソンチルの恋を応援していくのだが、そこには秘密が隠されていた……という展開。 古い商店街の小さなスーパーで働くおじいさん、ソンチル。時代に取り残された老人の最後の恋が、ピュアにつづられていく。怒りっぽくて忘れっぽいソンチルのぎこちない態度が笑いを誘い、ベテラン女優ユンさんが演じるマドンナが、ピンクの洋服もよく似合っいて、かれんで可愛らしい。ほのぼのとした恋物語の一方で、再開発に判を押さないソンチルを、あの手この手で乗せようとするチャンス社長との攻防がテンポよくコミカルに展開されていく。この二つの物語が融合し始めたとき、映画は全く違った色彩を帯びてくる。冒頭、ソンチルの家に開かずの間があることが告げられ、この人には秘密があるのだと分かる。しかしこの映画は、秘密の種明かしが重要なのではない。秘密がほどけて違った角度から登場人物が見えたときの、見る者それぞれにもたらされる大きな愛の方が大切なのだ。最近の韓国映画は祖父母世代をリスペクトする作品が多いが、おじいさんを主人公にした今作も、そんな流れの一つかもしれない。ソンチルを演じるベテラン俳優のパクさんは、バラエティー番組などにも出演し、韓国のお茶の間でも人気があるのだとか。また、今作でK-POPグループ「EXO」のチャンヨルさんが映画デビューを飾っている。25日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

「ARIA The AVVENIRE」完全新作含む3エピソードをアニメ化

劇場版アニメ「ARIA The AVVENIRE」予告編
 劇場版アニメ「ARIA The AVVENIRE(アリア・ジ・アッベニーレ)」(佐藤順一監督)が9月26日に公開される。「ARIA」は、天野こずえさんのマンガが原作でイタリアの水の都・ベネチアをモチーフにした街を舞台に、「ARIAカンパニー」で「ウィンディーネ」と呼ばれる「水先案内人」を目指す主人公・水無灯里(みずなし・あかり)が奮闘する姿を描き、これまでに三度テレビアニメ化された。今作はテレビアニメ第1期から10年目を記念し、はるかなる蒼の物語の“それから”を新キャラクターも交えて完全新作アニメとして描く。これまでアニメ化されていない原作2話のほか、天野さんが描き下ろしたストーリー「その 遙かなる未来へ…」という三つのエピソードが楽しめる。 映画は、アイ(声・水橋かおりさん)に付き添う灯里(声・葉月絵理乃さん)は、運河を行き交うゴンドラの中に藍華(声・斎藤千和さん)とアリス(声・広橋涼さん)の姿を見つけたことから、過去のある出来事を思い出してアイに語り始める「その 逢いたかったあなたに…」、ある日、アイは練習中のとても“ミラクル“な体験について灯里に話し始め、その話を聞いていた灯里は妖精のケット・シーとの最後の出会いに思いをはせるという「その 暖かなさよならは…」のほか、オリジナルストーリー「その 遙かなる未来へ…」という3エピソードで構成。 優しい世界観が人気を集めた「ARIA」シリーズの新作は、佐藤監督をはじめ、声優陣もおなじみのキャストがそろうなどファンにはたまらない布陣で、あの頃の雰囲気や空気感に浸らせてくれる。成長したキャラクターの姿には時の流れを感じさせて感慨深く、新キャラクターといったプラス要素からは、安心感や同窓会的なノリだけではない新たな面への強い意気込みが感じられる。時代の変化は映像面でも顕著で、一部の描写には3Dが駆使されるなど進化したネオ・ベネチアも見逃せない。独特なBGMも健在で、ストーリー展開をメリハリを利かせて気持ちよく演出し盛り上げている。原作者の天野さんが7年ぶりに描き下ろした新作を基にしたストーリーには、見たかった、知りたかったことが詰め込まれ、文句なしの完成度だ。3つのエピソードに分かれてはいて各話から感じるものはあるが、通して見ることで深い思いが一層伝わってきた。26日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

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