【動画まとめ】4月25日公開 映画紹介&予告編 「シンデレラ」「アナと雪の女王/エルサのサプライズ」「寄生獣 完結編」「龍三と七人の子分たち」「王妃の館」「ラスト5イヤーズ」「劇場版 境界の彼方 I'LL BE HERE 未来篇」

「シンデレラ」 現代的ヒロイン像に好感。舞踏会シーンにうっとり

ディズニー映画「シンデレラ」予告編 美しすぎる“変身”シーンも
 ディズニーの不朽の名作アニメーションを実写化した「シンデレラ」(ケネス・ブラナー監督)が4月25日から全国で公開される。「ダウントン・アビー~貴族とメイドと相続人~」のリリー・ジェームズさんと、「ゲーム・オブ・スローンズ」のリチャード・マッデンさんという、ともにテレビドラマでブレークした2人がシンデレラと王子を演じる今作は、原作から表面的には大きなひねりは加えていないが、だからこそ見る者の胸に直球で迫ってくる作品だ。 早くに母を亡くし、貿易商の父も旅先で帰らぬ人となったエラ(ジェームズさん)は、父の再婚相手のトレメイン夫人(ケイト・ブランシェットさん)とその2人の娘(ソフィー・マクシェラさん、ホリデイ・グレインジャーさん)に召使同然にこき使われる。あまりの仕打ちに耐えられなくなったエラは、あるとき森に馬を走らせ、そこで“キット”(マッデンさん)と名乗る青年に出会う。城で“働いている”という彼に好意を寄せるエラだったが……という展開。 当然ながら、見どころはフェアリー・ゴッドマザー(ヘレナ・ボナム・カーターさん)の魔法によってエラが変身するシーン。カボチャが馬車に、ネズミが馬に、さらにエラのドレスが美しい水色のドレスに変化するときのワクワク感といったらない。また、水色のドレスのドレープが流れるように動く王子とのダンスシーンには、女性なら誰もがうっとりせずにはいられないだろう。シンデレラ像に「自分の決断で幸せを切り開いていくヒロイン」という現代的なアレンジがなされており、継母の内面や王子と王(デレク・ジャコビさん)の関係に触れているところに好感が持てる。下卑(げび)た笑い声をあげる、ブランシェットさん演じる憎らしい継母と、相変わらずの“化けぶり”に感心させられるボナム・カーターさん演じる魔法使いが物語のいいアクセントになっており、加えて、エラが可愛がるネズミ一家のキュートな“演技”にも心が和む。新作短編アニメーション映画「アナと雪の女王/エルサのサプライズ」が同時上映。25日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「アナ雪」最新作映像が公開!短編映画「アナと雪の女王/エルサのサプライズ」映像

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「寄生獣 完結編」パラサイトとの激しい攻防の裏で高校生の恋愛が描かれる

映画「寄生獣 完結編」予告編
 岩明均さんの名作SFマンガを実写化した2部作の後編「寄生獣 完結編」(山崎貴監督)が4月25日に公開される。「寄生獣」は謎の寄生生物・パラサイトが右手に寄生した高校生・泉新一と、他のパラサイトとの戦いを描いており、2014年11月に公開された前作の映画では新一が母に寄生したパラサイトを倒すところまでが描かれた。後編で完結編となる今作では、組織化したパラサイト達と人間との市役所での攻防や人間の子を産んだパラサイト・田宮良子の行く末、最強のパラサイト・後藤と新一の壮絶な戦いなど原作のエッセンスを盛り込み見どころ満載だ。そんな激しいアクションの一方で、新一と里美の高校生同士の恋愛にも重点が置かれ、ラブストーリーとしても楽しめる。 前作と同じく主人公・新一役を染谷将太さん、新一の同級生でヒロインの村野里美役を橋本愛さんが演じ、新一の右手に寄生したパラサイト「ミギー」の声を俳優の阿部サダヲさんが担当している。メガホンをとったのは「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005年)や「永遠の0」(13年)、「STAND BY MEドラえもん」(14年)を手がけたVFXの名手、山崎監督だ。 右手に寄生生物ミギーを宿す高校生・泉新一は、要注意人物として人間からもパラサイトからもマークされていた。新一の住む東福山市は、広川市長(北村一輝さん)を中心に組織化されたパラサイト達が、一大ネットワークを構築し、一方、人間側も、寄生生物殲滅を目的とした対パラサイト特殊部隊を結成。アジトと化した東福山市庁舎で人間側が奇襲を仕掛け、激しい攻防が繰り広げられる。一方、人間の子を産み、人間との共存を模索するパラサイト田宮良子(深津絵里さん)は、新一とミギーの存在に可能性を見いだすが、新一は母親を殺された事件をきっかけにパラサイトへの憎悪を募らせる。そんな新一の前に、最強パラサイト・後藤(浅野忠信さん)が現れ、後藤と新一の最後の戦いが始まる……というストーリー。 「寄生獣」は岩明さんが1990~95年に「月刊アフタヌーン」(講談社)で連載した人気マンガで、コミックス10巻分の原作を今回は2部作で実写映画化。実写化に際しては、名作といわれる原作をどうアレンジするかに注目が集まっていた。“愛”の側面で見ると前作では母子の愛に昇華し、完結編では「人間愛」という大きな愛を描きつつ、最後に一組の男女の愛に集約させている。恋愛面のカギを握る里美を演じる橋本さんは、最大の見どころとなるラブシーンでは、リアルな演技で“女優魂”を見せている。また一方の見せ場である最後の戦いの場は、原作のゴミが不法投棄された場所から放射性廃棄物処理場の炎が燃えさかる焼却炉に変更されている。放射能が一つのキーワードになっているところが今日的であり、燃えさかる炎は山崎監督いわく、「キリスト教の煉獄(罪の償いが終っていない死者の霊魂が清めをする期間)」を表現し、新一が守らなくてはならない一つの愛に目覚める瞬間を表現した。 ともあれ得意の最新VFXを駆使した映像で驚かせながらも、そこにおぼれずきっちりと愛の物語を描いた山崎監督に拍手を送りたい。主題歌はロックバンド「BUMP OF CHICKEN」の「コロニー」。「寄生獣 完結編」は25日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

「龍三と七人の子分たち」2年半ぶり北野監督作 元ヤクザのおじいちゃんがパワフル

北野武監督 映画「龍三と七人の子分たち」予告編
 「アウトレイジ ビヨンド」(2012年)から2年半ぶりの北野武監督の最新作「龍三と七人の子分たち」が4月25日から公開される。家族から疎まれている元ヤクザのボスが、かつての仲間を呼び集めて再結成をし、大暴れするコメディー作。主演は藤竜也さんで、近藤正臣さんとともに北野組初参加となった。平均年齢72歳の俳優たちのパワーに圧倒され、ワクワクする映画だ。 龍三(藤さん)は、かつて“鬼の龍三”と呼ばれていた元ヤクザの組長。70歳の今は引退をし、息子夫婦の世話になり、肩身の狭い思いをしており、昔の仲間のマサ(近藤さん)と「義理も人情もない」とボヤいている。ある日、留守番中にオレオレ詐欺の電話にだまされた龍三は、お金の受け渡し場所にやって来た。しかし現れた詐欺師をビビらせ、図らずも撃退してしまう。それをきっかけに、詐欺師連中を束ねる京浜連合のボス・西(安田顕さん)と因縁の関係になってしまった龍三は、昔の仲間を招集し、「一龍会」を結成。若い者に勝手なマネはさせられぬとばかりに、世直しに立ち上がる……というストーリー。 最初から最後まで笑った。同じヤクザが主人公でも、「アウトレイジ」とは全く異なるテイストだ。というのも、こちらは元ヤクザで、体はガタガタ。龍三が仲間を家に呼べば、息子からは「昔のヤクザが家になんて来ないでよ!」なんて怒られる。しかしそこは、演じているのが藤さんなので、ひとたびスーツを着ればダンディーそのもの。上野の西郷さんの下に集まった子分たちは、超個性的で、手はブルブル、足はヨロヨロしているが、心意気だけは忘れておらず、はしゃぐ姿も可愛らしい。オレオレ詐欺、食品偽装など今日的なネタも盛り込みながら、おじいちゃんたちは現役の頃の風情で肩で風を切るが、そこには「トホホ感」たっぷりだ。時代とのズレが、マサが住む古びた団地の様子と呼応し、「失うものなど何もない」という捨て身感も全開で、仁義など忘れたセコい犯罪に手を染める若いヤツらとの対決へとなだれ込む。セスナ機も飛び出し、派手なカーチェイスでストーリーを盛り上げる。藤さん、近藤さん、中尾彬さん、品川徹さんらベテラン俳優たちのせりふの言い回しにも聞きほれる。音楽は北野映画常連のムーンライダーズの鈴木慶一さんが担当した。丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで25日から公開。(キョーコ/フリーライター)

「王妃の館」水谷豊が“もう一人”の右京演じる 現代と中世が交錯するコメディー

水谷豊がおかっぱ姿に 映画「王妃の館」予告編
 俳優の水谷豊さんの主演映画「王妃の館」(橋本一監督)が4月25日に公開される。浅田次郎さんの小説が原作で、ドラマ「相棒」(テレビ朝日系)で杉下右京役を演じる水谷さんが、今作では天才売れっ子作家の北白川右京を演じることでも話題となっている。パリで300年の伝統があり「王妃の館」と呼ばれるホテル「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」を舞台に、作家の北白川(水谷さん)ら個性的な面々が、倒産寸前の旅行会社が企画したツアーに参加したことで騒動に巻き込まれる。奇抜な衣装でユーモラスな演技をする水谷さんと、20日間におよぶロケを行ったという美しいパリの風景が物語を彩る。 パリで伝統と格式を誇り、「王妃の館」と呼ばれる最高級ホテル「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」は、誰もが憧れる最高級ホテル。そのスイートルームを利用して、倒産寸前の旅行会社が窮地を脱するため、一つの部屋を昼夜に分けて豪華なツアーと格安ツアーというダブルブッキングを企てる。各ツアーの参加者は売れっ子小説家・北白川右京ら個性的な面々ばかり。参加者にばれないようツアーを行う旅行会社社長の朝霞玲子(田中麗奈さん)だったが、次第にマイペースな北白川に振り回され……というストーリー。 予告などの前情報で、水谷さん演じる北白川右京の個性的すぎるファッションを知ってはいたが、いざスクリーンで見ると意外にも不思議な魅力が漂い、ファンタジックな世界へと誘われる。知的なせりふは杉下右京のイメージを引っ張ってはいるものの、オーバーなほどに作り込まれた北白川右京は憎いほど面白く、また17世紀のルイ王朝を舞台にした劇中劇での水谷さんの演技も秀逸。劇中劇については、ルイ王朝の物語をあえて日本人キャストのみでミュージカル風に描くという思い切った手法ながら、ルイ14世を演じる石丸幹二さんが凛とした空気感を生みだし、すがすがしさと感動を与えてくれる。劇中劇だけを抽出した舞台公演を見たくなるほどだ。また日本映画では初めてロケが行われたというベルサイユ宮殿をはじめ、パリの街並みは、美しくファッショナブルで、高解像度の映像には目を見張る。ツアー参加客の群像劇と17世紀が交錯しつつ物語が進むシチュエーションコメディー的な面が強く、肩肘張らずにクスクスと楽しめる。丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「ラスト5イヤーズ」 出会いと別れを男女逆の時間軸で描き愛の喜びと切なさを表現

映画「ラスト5イヤーズ」予告編
 2度のトニー賞受賞を誇るソングライターのジェイソン・ロバート・ブラウンさんの同名ミュージカルが原作の映画「ラスト5イヤーズ」(リチャード・ラグラベネーズ監督)が4月25日に公開される。2001年に米「タイム」誌が選ぶ「ベストショー10」に選ばれ、オフブロードウェーでヒットを記録したミュージカルを基に、映画「P.S.アイラヴユー」(08年)のラグラべネーズ監督がメガホンをとって映画化。キャリアに悩む女優の卵と若くして成功した小説家というカップルが過ごした5年間を、女性側は別れから出会いへとさかのぼり、男性側は出会いから別れに向けてと、それぞれ逆行する時間軸で描いている。すれ違う思いが異なる時間軸で描かれることで、愛の喜びと切なさをより際立たせている。 ブロードウェーの舞台に立つことを夢見る女優志望のキャシー(アナ・ケンドリックさん)と、小説家を目指しているジェイミー(ジェレミー・ジョーダンさん)は、ニューヨークで出会い恋に落ちる。やがて結婚した2人だが、小説家として順調に成功していくジェイミーに対し、女優として伸び悩むキャシー。こんなはずではなかったと互いに思うようになり、いつしか2人の思いがすれ違っていく……というストーリー。 ミュージカルが基になっているだけに、音楽面が充実している。登場人物の感情も音楽によって表現され、視覚と聴覚の両方から深く訴えかけてくる。今作では互いに夢に向かって歩き続ける1組の恋人同士が過ごした時間を、プロポーズ・結婚を起点に、男女の時間軸を逆にして描いている。この独特の時間軸を使ったことで一見複雑に感じそうだが、その実、スタイリッシュでテンポよい映像と交互に差し込まれる歌が2人の別れを描いているにもかかわらず、どこか心地よさを感じさせる。多くの人が経験しているであろう出会いと別れ、そして気持ちのすれ違いや価値観の相違など、映画を見ているのに次第に自分の過去に思いを巡らせてしまう、そのリアルすぎる描写にうならされる。メインを演じる2人の歌唱力が圧倒的で、ミュージカルの魅力を十二分に映画でも体現でき、愛の難しさと切なさを際立たせている。ヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「劇場版 境界の彼方 I'LL BE HERE 未来篇」過酷な運命の先にあるものは

「劇場版 境界の彼方 -I’LL BE HERE- 未来篇」予告編
 京都アニメーション制作のテレビアニメの劇場版「劇場版 境界の彼方 I’LL BE HERE 未来篇」(石立太一監督)が4月25日に公開される。鳥居なごむさんのライトノベルが原作で、テレビシリーズから1年後を舞台にした完全新作となる。戦いが終わり普通の日々に戻れると思っていた神原秋人と栗山未来だったが、未来の記憶が失われてしまったことから起きる出来事を描いている。名瀬美月の声を担当する茅原実里さんが主題歌「会いたかった空」を歌っている。 妖夢「境界の彼方」を体内に宿し、人間と妖夢の間に生まれた半妖の少年・神原秋人(声・KENNさん)と、境界の彼方を唯一倒せる異界士・栗山未来(声・種田梨沙さん)は、互いに引かれ合い、一緒に生きる世界を選択。戦いを終えた2人だったが、未来は記憶を失ってしまう。進級し高校3年生となった秋人は、未来の幸せを願い、未来を避けるようになるが、未来は秋人に引かれていく……というストーリー。 「過去篇」は未来と秋人に焦点を当て、絆と愛の物語としてテレビシリーズとは違った観点で楽しませてくれた。「未来編」への期待が高まる中で見たのだが、全編新作で描かれる物語にはキャストやスタッフたちの作品への愛がこれでもかと詰まっていた。未来が記憶を失ってしまったという設定は切なすぎ、秋人が未来の幸せを思って身を引いていく姿には思わずぐっときてしまった。再び戦いに巻き込まれる中、自分が何者であるか悩む未来や、自分の気持ちを抑えきれない秋人など、「本当の幸せとは」という命題を抱え、すれ違いや葛藤が渦巻く中、2人がたどり着く先は……涙なしには見られない結末が待っている。新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

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