【映画まとめ】8月19、20日公開 映画紹介&予告編 「青空エール」「ゴーストバスターズ」「健さん」「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」

「青空エール」土屋太鳳、竹内涼真共演 吹奏楽部と野球部のド直球の青春映画

土屋太鳳が主演!共演に竹内涼真 映画「青空エール」予告編
 「高校デビュー」「俺物語!!」などでも知られる河原和音さん人気マンガをNHK連続テレビ小説「まれ」や映画「orange オレンジ」の土屋太鳳さんと「仮面ライダードライブ」「下町ロケット」の竹内涼真さんの共演で実写映画化した「青空エール」(三木孝浩監督)が8月20日に公開される。土屋さん演じる主人公・小野つばさは初心者ながら吹奏楽の名門・白翔高校に入学。竹内さん演じる野球部の山田大介と出会い、「甲子園で戦う大介をスタンドで応援する」と約束を交わし、励まし合いながら、ともに高みを目指す……という青春ストーリー。吹奏楽にしても野球にしてもけがや部員同士の人間関係などさまざまな困難を乗り越えて“勝利”を目指す高校生の青春物語に恋愛も盛り込むというド直球な青春映画。ひねりなしだがズバンと心に響く良作に仕上がっている。 吹奏楽の名門・白翔高校に入学したトランペット初心者の小野つばさ(土屋さん)は全国大会を目指すレベルの高い練習についていけず、何度も挫折しそうになる。クラスメートで野球部員の山田大介(竹内さん)はそんなつばさを勇気づけ、お互い夢に向かって励まし合う。いつの間にかつばさには、大介へのほのかな想いが芽ばえていた。1年生の夏、地区予選の決勝まで勝ち進んだ野球部を吹奏楽部が応援。すると、途中出場した大介のミスで敗退してしまった。グラウンドで立ち尽くす大介のために、つばさは一人で立ち上がってトランペットを吹いてしまい、応援の規律を乱したとして謹慎処分となる。心配して訪ねて来た大介に、つばさは自分の思いを告白するが、フラれてしまう。大介は、仲間の夢を潰してしまった自分が許せないでいた。2人は“両片思い”のままそれぞれの夢を追いかけ、そして、最後の夏が来る……。つばさと大介の恋の行方は? そして2人の夢の行き着く先は? 「青空エール」はヒットメーカーの河原さんが少女マンガ誌「別冊マーガレット」(集英社)で2008~15年に連載したマンガが原作。土屋さん、竹内さんのほか、「まれ」で土屋さんの弟役を演じた葉山奨之さん、NHK連続テレビ小説「マッサン」で一馬役を熱演した堀井新太さんほか、小島藤子さん、松井愛莉さん、平祐奈さん、山田裕貴さんらフレッシュな顔ぶれが集結した。さらに、吹奏楽部の先輩役に志田未来さん、吹奏楽部の顧問教師役には、今回初の指揮者役に挑戦した上野樹里さんが出演です。主題歌はGReeeeNの「キセキ」を妹分whiteeeenがカバーしている。 青春ってこんなにキラキラしていたっけというくらいまばゆいばかりの光を放つ純粋な青春映画。2人とも邪心がなく、夢に向かって真っすぐで、その気持ちが強すぎるため、相手の夢に邪魔になってはいけないと自分の「好き」という気持ちを抑えようとする姿がけなげで切ない。純粋な2人を見ていると、こちら側まで心が洗われるような気持ちになって、知らぬ間に涙がこぼれていた。筆者は吹奏楽部出身だが、全国大会出場の強豪校出身者が監修しているだけあって、劇中で吹奏楽部が演奏している曲のセレクトが的確で心地よかった。20日からTOHOシネマズ日本橋ほか全国で公開。(細田尚子/MANTAN)

「ゴーストバスターズ」リブート版の主役はオタク理系女子 笑って泣ける快作

“マシュマロマン”が復活!?映画「ゴーストバスターズ」予告編
 1980年代に人気を博したSFコメディーのリブート作となる映画「ゴーストバスターズ」(ポール・フェイグ監督)が8月19日に公開される。映画はニューヨークを舞台に、女性4人が「ゴーストバスターズ」として幽霊退治に奔走する姿を描く。メインキャラクターの4人をクリステン・ウィグさん、メリッサ・マッカーシーさん、ケイト・マッキノンさん、レスリー・ジョーンズさんが演じているほか、「アベンジャーズ」のソー役などで知られるクリス・ヘムズワースさんも出演。「ゴーストバスターズ」(1984年)、「ゴーストバスターズ2」(89年)を手がけたアイバン・ライトマンさんがプロデューサーとして参加している。 ニューヨークのコロンビア大学で研究を重ねていた素粒子物理学博士エリン・ギルバート(ウィグさん)は、ある日、幽霊本を出版していた過去がばれてしまい、立場が悪くなる。エリンはヒギンズ科学大学で超常現象研究に打ち込む友人で共著者のアビー・イェーツ(マッカーシーさん)を訪ねるが、その場にいた研究仲間のジリアン・ホルツマン(マッキノンさん)とともに、幽霊騒動が起きた屋敷を調査することに。そこで幽霊に遭遇した3人だったが大学をクビになってしまう。そこで3人は超常現象の調査会社を設立するが……というストーリー。 リブート版である今作は、主役はオタク理系女子で、メインキャスト4人の掛け合いに笑わせられ、オリジナル版へのリスペクトが随所に感じられるなど、新旧どちらのファンも存分に楽しめる。数多くのゴーストの中でも、緑色のスライム状のゴーストは前作から引き続き登場し、思わず懐かしさを感じる人も多いだろう。コンピューターグラフィックス(CG)で描かれたファニーなゴーストたちがうごめく姿はぜひ3D版で楽しみたい。痛快なストーリーの流れも良好で、各登場人物もキャラが立っているほか、旧キャストが意外な形で登場しているのもファン心をくすぐる。日本語吹き替え版では、エリン役を友近さん、アビー役を渡辺直美さん、そのほか椿鬼奴さん、「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代さんも出演しており、テンポのいい掛け合いを楽しむなら吹き替え版をオススメしたい。予想の斜め上いく天然キャラぶりで楽しませてくれるヘムズワースさんの怪演ぶりが、絶妙なスパイスとなっている。19日からTOHOシネマズ(東京都新宿区)ほかで全国で公開。3Dも同時公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「健さん」国境を越えて親しまれた映画人の人生が浮かび上がる

映画「健さん」予告編
 2014年に亡くなった映画俳優・高倉健さんについてのドキュメンタリー作「健さん」(日比遊一監督)が8月20日から公開される。マーティン・スコセッシ監督、ジョン・ウー監督、山田洋次監督ら映画人や、元付き人、映画支配人、実妹ら国内外20人以上のインタビューから、生前語られなかった高倉健さんについて浮き彫りにしていく。 「単騎、千里を走る。」(2005年)で共演したチュー・リンさんが、健さんの主演作を上映する大阪の名画座に入る。「健さんは大スターだと聞いていたが、若手俳優にも優しくしてくれた」と撮影当時を懐かしむチュー・リンさん。続けて「ブラック・レイン」(1989年)で共演したマイケル・ダグラスさんが健さんから感銘を受けたことを語り、健さんの代表作「君よ憤怒の河を渉れ」(76年)の再映画化を福山雅治さん主演で進めているジョン・ウー監督。さらにマーティン・スコセッシ監督、降旗康男監督、山田洋次監督ら国内外から健さんゆかりの人々が登場して思い出を語り出す……という展開。 高倉健さんゆかりの人々の証言を使って、その足跡を追う旅のような作品だ。国境を越えて親しまれた人物像が浮かび上がってくる。登場するのは、巨匠と呼ばれる世界的な監督、海外の俳優、日本の監督など仕事関係者だけではない。健さんの実の妹、元付き人、映画館を訪れた一般の人、さまざまな人にカメラは向けられる。マーティン・スコセッシ監督の語る知られざる交友話も、喫茶店の主人が語る思い出話もすべて同列に扱われている。そして、健さんについて語るとき、誰もが優しい表情になる。スクリーンの中のみならず、健さんは出会った人みんなを一瞬にしてファンにしてしまうのだろう。 中でも健さんのことを親しみを込めて「だんな」と呼ぶ、元付き人さんが語る思い出話は楽しい。元付き人さんの御子息の結婚式でスピーチするプライベート映像もある。お二人の交友の深さが感じられて、目頭が熱くなる。健さんの肉声や、写真もちりばめられて、さまざまな表情が登場する。「一生懸命な男を演じたい」「むしろ言葉が少ないから伝わるものもある」……そんな健さんの人生哲学も紹介され、映画隆盛の時代とともに存在した一人の俳優の人生に、じんわりと胸を熱くさせられる。語りを中井貴一さん、音楽を「レッドクリフ Part1」(08年)や「利休にたずねよ」(13年)などで知られる岩代太郎さんが担当している。20日から渋谷シネパレス(東京都渋谷区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」子どもから大人まで楽しめるアイルランドの美しいアニメ

映画「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」予告編
 第87回米アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされるなど、世界の映画祭で話題の「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」(トム・ムーア監督)が、8月20日から公開される。アザラシの妖精が出てくるアイルランドの伝承を基にした兄と妹の大冒険を、絵本のような美しい映像と可愛らしいキャラクター造形で展開していく。 海辺の家で、両親と共に暮らしていたベン(声:デビッド・ロウルさん)は、おとぎ話や歌を聞かせてくれる優しい母親に「世界一のお兄ちゃんになるわ」と言われ、妹の誕生を心待ちにしていた。海の歌が聴こえる古い貝がらをもらい、翌日、目覚めると、生まれた赤ちゃんを残して母親が姿を消してしまう。妹のシアーシャ(声:ルーシー・オコンネルさん)のせいで母親がいなくなったと思ったベンは、妹に優しくなれない。6年が過ぎて、おばあちゃんに連れられて街に出た兄妹は、父親と愛犬クーのいる我が家へ帰ろうとする途中で、フクロウの魔女マカの手下たちに連れ去られてしまう……という展開。 これは小さな子どもから大人まで楽しめる本当に美しい映画だ。幾何学的な描線が印象的な絵と、光と闇が美しい映像。物語もファンタジックで美しい。海ではアザラシ、陸では人間の姿の「セルキー」という、アイルランド西海岸に伝わる妖精がベースとなっている。人と妖精が混在する世界観が、人も自然の一部だと感じさせる。話は兄妹が家に無事に帰りつけるのだろうかというシンプルなものだが、2人の不思議な冒険から目が離せない。二次元のスクリーン上とは思えないほど、空間を広げて場所を移動していくからだ。どこにいざなわれていくのか、楽しみで仕方がなくなってくる。クライマックスの荒れた海のシーンでは、波にのまれる感覚になるほど、水に表情がある。キャラクター描写も面白い。欠点もあるからこそ親しみが湧く。最初、兄は妹に意地悪だ。おばあちゃんは、子どもの気持ちを無視している。フクロウの魔女マカは、「あなたのために言っているの」というせりふからして巨大化した母性を持て余しているが、実は独りぼっちでさびしくてたまらないようだ。 冒険は、お兄ちゃんが真のお兄ちゃんになれるまでの成長も描いている。旅路の間に、妹を守ろうという感情が芽生えていく兄のベンを、母親目線で見守るのも楽しい。“ポスト・スタジオジブリ”と本国アイルランドで称されるカートゥーン・サルーン製作。日本語吹き替え版では、本上まなみさん、リリー・フランキーさんらが声で出演している。20日からYEBISU GARDEN CINEMA(東京都渋谷区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

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