「高台家の人々」 綾瀬はるかが妄想好きなヒロインを好演 新感覚ラブコメに胸キュン
「ごくせん」「デカワンコ」などで知られる森本梢子さんの人気マンガを基に、綾瀬はるかさん主演で実写化した映画「高台家(こうだいけ)の人々」(土方政人監督)が6月4日に公開される。綾瀬さんが演じるスケールの大きな妄想が趣味の女性会社員・木絵と、斎藤工さんが演じる人の心が読める能力を持つイケメンでエリートサラリーマンの光正の恋模様を、光正の家族も巻き込んだ騒動をコミカルに描く。 妄想が趣味で口べたな女性会社員の平野木絵(綾瀬さん)が勤める会社に、ある日、名門・高台家の長男である光正(斎藤さん)が転勤してくる。長身でイケメン、さらに祖母が英国人というクオーターで、東大卒、オックスフォード大に留学経験もあるという光正だが、まるで接点のない木絵をいきなり食事に誘う。木絵は驚くが、実は光正は人の心が読める“テレパス”であり、木絵の妄想をのぞくうちに引かれていったのだった。2人は順調に関係を深めていくが……という展開。綾瀬さん、斎藤さんのほか、高台家の面々を水原希子さん、間宮祥太朗さん、大地真央さん、市村正親さんが演じる。歌手の西野カナさんが主題歌「You & Me」を担当している。 もしも人の心が読めたなら……なんていうことを考えたことがある人もいるのでは。今作は、そんなテレパシー能力を持ったイケメンとヒロインのラブコメが展開していくが、人の心が読めるという興味の前に、綾瀬さん演じる木絵が繰り出す妄想の破壊力がとてつもない。ぶっ飛んだ内容もさることながら、斎藤さんがさまざまな衣装を披露してくれるほか、木絵の上司役で妄想世界にも登場するお笑いコンビ「ドランクドラゴン」の塚地武雅さんが演じるキャラクターが秀逸で、油断していると思わず声を出して笑ってしまいそうになる。綾瀬さんのキュートなコメディエンヌぶりに時間を忘れて夢中になること必至だ。 恋物語としては王道の展開ではありながら、そこに特殊能力という要素が加わることで、能力者たちの葛藤や恋愛における悩みや衝突などを描き、じんわりと心にしみてくる。華やかさ満載のエンタメを楽しみつつ、人を好きになるということを改めて考えさせられた。4日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)
「デッドプール」毒舌キャラと仰天アクションが刺激的な異色のヒーロー映画
マーベル・コミックの異色のヒーローが大暴れする映画「デッドプール」(ティム・ミラー監督)が、6月1日に公開された。米国はもとより世界120カ国で大ヒットを記録。毒舌キャラと仰天のアクションシーンが留飲を下げる刺激的なエンターテインメント作だ。 特殊部隊の兵士上がりで、今は悪いやつらをこらしめ金を稼ぐ生活を送るウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズさん)。恋人バネッサ(モリーナ・バッカリンさん)との結婚を決意し、幸福の絶頂間近と思われた矢先、末期がんを宣告され奈落の底に。そこへ、がんを治せるという男が現れ、藁(わら)にもすがる思いでその誘いに乗ったものの、実はそれは、余命宣告された者たちを実験台に、戦闘マシンとして肉体改造するという恐ろしいプロジェクトだった。ウェイドは被験者となり不死身の肉体を手に入れるが、大きな代償を支払うことになってしまう……という展開。 とにかく、ストーリー、構成、人物設定、どれをとってもユニーク。がん治療が災いし、マスクを付けて戦わざるを得なくなったヒーローだなんて斬新だし、オープニング早々の、ハイウエーでの大活劇にも驚かされる。極めつきは、自身が背負わされた悲劇を悲劇と感じさせない破天荒なキャラクター。毒舌だし、傍若無人だし、徹底的にアンチヒーローを決め込むが、そんな彼を戦いに駆り立たせるもの……それはズバリ、恋人への愛。そんな真の姿に結構胸キュンとさせられ、ほかにも、手でハートマークを作ったり、手すりに腰かけ足をブラブラさせたりと、やることがなかなかおちゃめで、決して憎めないキャラなのだ。 そのデッドプールを演じるのが、「[リミット]」(2010年)や「黄金のアデーレ 名画の帰還」(2015年)などで知られるライアン・レイノルズさん。かつてデッドプール役を打診され、やる気満々だったにもかかわらず企画はボツに。その後、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(09年)でデッドプールを演じるも、評判はイマイチ。その彼が今回、プロデューサーも兼任し、完成させたというのだから、役への入れ込みようがうかがい知れる。2本の刀と拳銃を駆使した戦いっぷりは相当過激で、飛ぶ血しぶきの量も半端ではない。米国でのR指定もうなずけるが、そうした血生ぐさい描写とチャーミングなキャラのギャップがむしろ新鮮で、見終わったときは、爽快感に包まれたほどだ。続編が楽しみだ。1日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」 岩ちゃん&高畑の胸キュン必至のラブストーリー
ダンス・ボーカルグループ「EXILE」「三代目 J Soul Brothers」のメンバー、岩田剛典さんと、女優の高畑充希さんの映画初主演、初共演作となる「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」(三木康一郎監督)が6月4日から公開される。原作は「図書館戦争」シリーズや「阪急電車」などの著書で知られる有川浩さんの同名小説。さすが有川さんの作品の中でも「胸キュン度が最も高い」と評判の小説が原作だけあり、存分に胸を締め付けられるピュアなラブストーリーに仕上がっている。 不動産会社で働く河野さやか(高畑さん)は、冬のある夜、アパートの前で倒れていた「樹(いつき)」と名乗る青年(岩田さん)に、一夜の宿を提供する。それをきっかけに、「半年間」という期限付きで同居生活を始める2人。苗字も明かさず、野草に詳しいという以外は謎の樹だったが、家事全般を引き受け、週末ごとに河原や土手での野草刈りに連れて行ってくれる彼との生活は、さやかの味気なかった毎日を、徐々に張り合いのあるものに変えていく。しかし「半年」の期限は容赦なく迫ってきて……というストーリー。 正直に打ち明けると、さやかと樹の出会いの場面を見たとき、いくらイケメンで悪い人に見えなくても、素性の分からぬ男性を、嫁入り前の若い娘が自宅に上げるなど無防備過ぎやしないかと思った。しかし、その思いは、ものの数分で消え去った。それはひとえに、岩田さんと高畑さんの魅力があればこそ。岩田さんの爽やかな笑顔の引力に抗うのは至難の業だし、高畑さんの、フォトジェニックな顔立ちとくるくると変わる表情に、見入られずにはいられなかった(ついでに、岩田さんのエプロン姿のすてきなことといったらない)。そんな2人が手を取り合って土手を下ったり、河原で採取した野草を一緒に調理したりと、見ていてほほ笑ましくなるエピソードが満載で、樹の言動に対するさやかのリアクションがいちいち愛らしく、また、それをうれしそうに見つめる樹の柔らかい笑顔に、これまた心をくすぐられ……と、胸はキュンキュンしっ放し。極め付けは、さやかが本心をぶちまけ、“引き金”を引いてしまったときの樹のリアクション。これには、一体どれだけの女性客が悲鳴を上げるのだろうか、と思わずにはいられなかった。 そんな2人が織りなすラブストーリーは、同時に、野草の存在とそのありがたみをさりげなくアピールする。ノビルにフキ、ワラビにクレソンなど、野草を使った料理にこれほどまでに心を癒やされるとは思わなかった。4日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)
「探偵ミタライの事件簿 星籠の海」 玉木宏が天才探偵 複雑に絡み合う難事件に挑む
俳優の玉木宏さんの主演映画「探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海」(和泉聖治監督)が6月4日に公開される。映画は、小説家・島田荘司さんの推理小説「天才探偵・御手洗潔シリーズ」の「星籠の海」が原作で、瀬戸内海近辺を舞台に、次々に発生する奇妙な事件に天才脳科学者の御手洗が挑む姿を描く。主人公を玉木さん、映画オリジナルのキャラクターを広瀬アリスさんが演じるほか、石田ひかりさん、小倉久寛さん、要潤さん、谷村美月さん、吉田栄作さんが出演。「相棒シリーズ」などの和泉監督がメガホンをとった。 天才的な頭脳で数々の難事件を解決してきた脳科学者の御手洗潔(玉木さん)。ある日、大学まで訪ねてきた出版社の女性編集者の小川みゆき(広瀬さん)から、瀬戸内海に浮かぶ小さな島に、身元不明の死体が半年間で6体流れ着くという難事件の話を聞く。興味を持った御手洗は現地に飛ぶと、福山で捨てられた死体が瀬戸内の複雑な海流でこの入江に流れ着いたことを突き止め、福山へと移動。すると、外国人女性の変死体が発見されるなど奇妙な事件が連続して発生し……というストーリー。 名探偵ものは数多くあれど、御手洗のようなタイプはなかなか見かけない。一見するとTシャツにジーンズ、コートといったラフな服装で分からないが、その実、謎をこよなく愛するIQ300以上の天才で、常人ではとても追い付けないスピードで事件を推理する。そんな神秘的な人物を演じる玉木さんの演技が実にクールで謎めいていて、原作ファンならずとも“御手洗ワールド”に一気に引き込まれていく。瀬戸内海を舞台に巻き起こる複数の事件が複雑に絡み合い、簡単に解決したかと思いきや二転三転を見せ、さらには歴史ミステリーも絡むなど知的好奇心を存分に刺激してくれる。謎解きに挑むもよし、御手洗の活躍に酔いしれるもよしという、見応え十分の上質なミステリーに仕上がっている。映画オリジナルの御手洗の相棒役を務めるみゆき役の広瀬さんのエネルギッシュな演技が、御手洗の変わり者ぶりとコントラストを描き魅力を深めている。4日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)