【映画まとめ】11月14日公開 映画紹介&予告編 「コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)」「ラスト・ナイツ」「媚空-ビクウ-」「『デュラララ!!×2 転』外伝!? 第13.5話『お惚気チャカポコ』」

「コードネーム U.N.C.L.E.」 元ネタは人気ドラマ 米露のスパイがコンビ結成

映画「コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)」予告編
 映画「シャーロック・ホームズ」シリーズ(2009年、11年)のガイ・リッチー監督の最新作「コードネームU.N.C.L.E.」が、11月14日から公開される。1960年代に人気を博したテレビシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」を、リッチー監督自らが脚本を書き、製作も担当した。主演は、ヘンリー・カビルさんとアーミー・ハマーさんというイケメンの2人。彼らが、米露の凄腕スパイに扮(ふん)し、最後まで息をつかせない、それでいて肩ひじ張らない楽しいスパイ映画に仕上がっている。 東西冷戦さなかの1960年代。米国とロシア(ソ連)の緊張関係が続く中、両国は、核兵器で世界破滅を企む凶悪テロ計画の情報をキャッチする。米国CIAのナポレオン・ソロ(カビルさん)は、カギを握るとされる女ギャビー(アリシア・ビキャンデルさん)を確保するためベルリンへ向かう。一方、ロシアのKGBもまた、イリヤ・クリヤキン(ハマーさん)をギャビーのもとに送り込んでいた……というストーリー。 カビルさんといえば、あの「マン・オブ・スティール」(13年)の“スーパーマン”だ。人類のために戦う、筋骨たくましい男を演じた彼がスパイとは、映画を見る前は違和感ありありだった。しかし、これがはまっているのだ。あの憂いを秘めた瞳はそのままに、筋肉のせいで上着がちょっと窮屈そうではあるが、それでも均整のとれた体形でスーツをびしっと着こなし、なかなかの見栄えだ。対するイリヤ役のハマーさんは「ソーシャル・ネットワーク」(10年)で“双子”を演じていた。その彼が、今回は、力はめっぽう強いが性格にやや問題ありの、なまりのキツイ英語をしゃべるロシア人にふんし、アクションもこなし、と見事にスパイになり切っている。クールなソロと、ヒートアップしやすい性格のクリヤキン。国籍も性格もバラバラの彼らが、図らずも難事件を前に手を組むことになり、反目しながら任務に当たる様子がスリリングかつ軽快に展開していく。どこか古めかしく、それでいて気品があり、高級感すら漂う演出が心をつかむ。主演の2人はもとより、ギャビー役のビキャンデルさんも魅力的で好感が持てる。重要な役どころでちらりと姿を見せるヒュー・グラントさんの“実力”は今作では未知数だが、それは今後おいおい(シリーズ化されればの話だが)明かされていくのだろう。続編が楽しみだ。14日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)

「ラスト・ナイツ」 紀里谷和明監督ハリウッド進出作 騎士の潔さと美しい映像に感涙

紀里谷和明監督の初ハリウッド作品!映画「ラスト・ナイツ」予告編
 映画「CASSHERN」(2004年)や「GOEMON」(09年)などを手がけた紀里谷和明監督のハリウッド進出作となる「ラスト・ナイツ」が11月14日に公開される。「忠臣蔵」がモチーフという今作は、ある封建国家を舞台に、主君を死に追いやれた騎士たちが命を懸けて敵討ちする姿を描く。英俳優クライブ・オーウェンさんや米俳優モーガン・フリーマンさん、日本からは伊原剛志さんら全17カ国のキャストとスタッフが集結し、壮大なドラマを生み出した。騎士たちの気高さやスピード感あふれる殺陣アクションに圧倒される。 よこしまな政治がはびこる封建的な帝国で、ある日、権力欲にとりつかれた大臣のギザモット(アクセル・ヘニーさん)への賄賂(わいろ)を断ったバルトーク卿(フリーマンさん)は大臣に刀を向け反逆罪に問われてしまう。その結果、バルトーク卿は自身の愛弟子にして後継者として信頼するライデン(オーウェンさん)による斬首という死罪を言い渡される。断固拒否するライデンだがバルトーク卿に諭され処刑を実行。1年後、騎士たちは身分を隠し報復の機会を待ち続けていたが、隊長であるライデンは酒におぼれる生活を送っており……というストーリー。 映画の基になっている「忠臣蔵」から設定や演出は大きく変えられてはいるが、その精神は薄れることなく作品に込められている。架空の国を舞台に多種多様な人種のキャストが出演。建築物や衣装などはエキゾチックな世界観を持ち、ダークな風合いの幻想的な映像美とマッチし、リアリティーとファンタジックな雰囲気をバランスよく表現している。騎士たちによるアクションシーンはCGではなく俳優が生身で演じており、スロー映像なども使わずスピード感あるバトルが生々しい。ライデン役のオーウェンさん、バルトーク卿を演じたフリーマンさんが骨太で重みのある芝居で物語に深みを与え、見る者をくぎ付けにする。あだ討ちの発端となる事件部分はテンポが遅めな印象も受けるが、全体を通して壮大な仕掛けとエンターテインメント性は十分。時代劇がモチーフではあるが、新感覚アクションとして楽しめる。14日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「恋人たち」 橋口監督7年ぶり長編 絶望から希望の変化の瞬間を巧みにすくい取る

映画「恋人たち」予告編
 橋口亮輔監督が「ぐるりのこと。」(2008年)以来7年ぶりに手がけた長編作「恋人たち」が、11月14日から公開される。この間、橋口監督は、若手俳優のためのワークショップから生まれたオムニバス映画「ゼンタイ」(13年)を手がけている。その「ゼンタイ」に出演していた篠原篤さんと成嶋瞳子さん、また池田良さんという無名の新人俳優を主役に起用し撮り上げた。3人を、光石研さんや安藤玉恵さん、木野花さんらベテランの個性派俳優が脇で支える。彼らが演じる人々の日常をつづることで、人とのつながりの大切さや人間の不器用さといとおしさを、今一度気づかせてくれる感動作に仕上がっている。 数年前に通り魔殺人によって妻を失った篠塚アツシ(篠原さん)は、橋梁(りょう)点検の仕事をしながら裁判のために奔走していた。弁当屋でパート勤めをしている主婦の高橋瞳子(成嶋さん)は、取引先の男(光石さん)と出会ったことで、味気なかった生活に変化が訪れる。同性愛者の四ノ宮(池田さん)は、学生時代の友人(山中聡さん)への思いを胸に秘めながら、エリート弁護士として働いていた。彼らがそれぞれに壁にぶつかりながら“当たり前の日常”の大切さに気付いていく……というストーリー。 これは、特別なカップルの物語ではない。にもかかわらず付けられた「恋人たち」というタイトル。それはおそらく、目に見えない糸でつながっているこの世のすべての人々、つまり私たち自身を表現したものなのだと思う。私たちは、ときに残酷な体験をし、絶望という深みにはまることがある。しかし、ほんのささいなことをきっかけに希望の光を見つけ、そこからはい出すこともできる。そのわずかな“きっかけ”の瞬間を、橋口監督は実に巧みにすくい取っている。正直なところ、映画を見ながら登場人物すべてに違和感や不快感を抱いていた。自分と相いれない考え方を持つ彼らの仕草や理想、そしてぶち当たる現実……すべてにいら立った。しかしそれは、彼らが自分の“合わせ鏡”であり、それをまざまざと見せつけられたことによる嫌悪感なのだと気づいた。それだけに、彼らが、ささやかながらも最後に見いだす光に救われた。最後に映る青空。それは、絶望に駆られたアツシがざぶざぶと入っていった鉛色の水の暗さとは対照的だ。その青空を目にしたとき、自分の毎日、自分の存在、自分の思考、そういったものを、「それでいいんだよ」と肯定されたようで、前を向いて進んでいける気になれた。アツシの上司、黒田の言葉や態度にも救われた。演じているのは黒田大輔さん。ほかに、内田慈さん、山中崇さん、リリー・フランキーさんらが出演。14日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。 (りんたいこ/フリーライター)

「劇場版『媚空−ビクウ−』」 秋元才加の肉体美アクションは必見

秋元才加が主演!劇場版「媚空-ビクウ-」予告編
 元AKB48で女優の秋元才加さんの主演映画「劇場版『媚空-ビクウ-』」(雨宮慶太総監督、大橋明監督)が11月14日に公開される。特撮ドラマ「牙狼<GARO>」シリーズの10周年記念作で、2014年に放送されたテレビシリーズ「牙狼<GARO>-魔戒ノ花-」に登場した孤高の女魔戒法師・媚空を主人公とした物語が描かれる。テレビ版に引き続き媚空を秋元さんが演じるほか、須賀健太さん、朝倉えりかさん、伊藤かずえさん、佐野史郎さん、ミッキー・カーチスさんらが出演し、「牙狼<GARO>」らしい独特の世界観を作り上げている。 闇斬師(やみぎりし)として、闇におちた魔戒騎士や魔戒法師を討伐する媚空(秋元さん)の前に、代知(須賀さん)と名乗る青年が現れ、魔戒法師・ウサミが闇に堕ちていないか確かめろという元老院からの指令を伝える。入心の術を使いウサミの精神世界に突入した媚空は、予想とは異なる状況が発生し、異常を感じたため、真相を確かめるべく師匠である白海法師(ミッキーさん)を訪ねるが……というストーリー。 シリーズを重ねるごとにダークな世界観やスタイリッシュな映像に磨きがかかっていく「牙狼」だが、今回の最大の見どころは、なんといっても秋元さんの長身で身体能力を生かしたアクションシーンだろう。バトルシーンでは、秋元さんの鍛え上げられた肉体美に射抜くような強さを秘めた目力も加わり、ダイナミックで迫力満点のアクションに目を奪われる。独特なビジュアル面をはじめ「牙狼」らしさが存分に詰め込まれているほか、推理や謎解きといった要素も交え、ミステリアスな展開という新たな風も吹き込まれている。シリーズファンだけではなく、今作から「牙狼」に触れる人でも純粋に楽しむことができる。秋元さん自ら主題歌の「繊月~光と闇の傍で~」を歌っている。新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「デュラララ!!×2 転 外伝!?  第13.5話」 本編の合間を埋めるセルティと新羅の恋

「『デュラララ!!×2 転』外伝!? 第13.5話『お惚気チャカポコ』」予告編
 2015年7~9月に放送されたテレビアニメの番外編「『デュラララ!!×2 転』外伝!? 第13.5話『お惚気チャカポコ』」(大森貴弘監督)が11月14日に公開される。「デュラララ!!×2 転」は、成田良悟さんのライトノベルが原作で、東京・池袋を舞台に高校生やカラーギャング、オカルト世界の住人たちが群像劇を繰り広げる。今作は、原作の「デュラララ!!」第7巻の人気エピソード「お惚気チャカポコ」を映像化し、テレビシリーズの第13、14話で描かれたセルティ・ストゥルルソンと岸谷新羅の“愛の旅”で起きた事件の詳細が語られる。 セルティ・ストゥルルソン(声・沢城みゆきさん)と岸谷新羅(声・福山潤さん)は、休日を2人きりで過ごすため、湖畔の見える静かな森へ日帰り旅行に出掛ける。馬車に揺られて木漏れ日の中を行く2人だったが、穏やかな時間を邪魔するように電話が鳴り響く。そして、森には別の住人の姿もあり……というストーリー。 セルティと新羅が小旅行に出かけて、さんざんイチャイチャするというエピソードを映像化した今作は、とにもかくにもセルティの可愛らしさにやられてしまう。原作でもかなりいい雰囲気だが、休日を2人で過ごす中で、いい雰囲気になるたび電話が鳴ったり、休日が吹っ飛ぶような衝撃的な展開があったりと、ラブコメディー要素も交えて、ほのぼのさせられる。その他、おなじみのメンバーも登場して描かれる物語は、本編の合間を埋めるにふさわしい内容だ。第13.5話本編(約25分)に劇場限定のエクストラ映像(約20分)を上映。エクストラ映像は、“愛の旅”に出かける直前のセルティと新羅が、これまでに池袋で繰り広げられたバトルを独自の視点で分析するという総集編「お惚気ファイト」となる。14日からシネマサンシャイン池袋(東京都豊島区)ほかで公開。(遠藤政樹/フリーライター)

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