【動画まとめ】11月20、21日公開 映画紹介&予告編 「レインツリーの国」「リトルプリンス 星の王子さまと私」「ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション」「劇場霊」「帰ってきたMr.ダマー バカMAX!」「ガールズ&パンツァー 劇場版」「デジモンアドベンチャー tri.」「通学シリーズ 通学途中」

「レインツリーの国」 キスマイ玉森と西内まりやの初々しい演技に胸キュン

キスマイ玉森、西内まりやが出演 映画「レインツリーの国」予告動画
 アイドルグループ「Kis-My-Ft2(キスマイフットツー)」の玉森裕太さんの初主演映画「レインツリーの国」(三宅喜重監督)が11月21日に公開される。モデルや歌手、女優など幅広く活躍する西内まりやさんが、ヒロイン役で実写映画に初出演を果たした。原作は「図書館戦争」などで知られる人気作家、有川浩さんのロングセラーの恋愛小説で、同じ有川作品が原作の「阪急電車 片道15分の奇跡」(2011年)を手掛けた三宅監督がメガホンをとった。玉森さんと西内さんという今をときめく2人の初々しい演技に胸が“キュンキュン”すること必至だ。 大好きだった小説「フェアリーゲーム」の結末が思い出せずにインターネットで検索していた会社員の向坂伸行(玉森さん)は、「レインツリーの国」というブログにたどりつく。そこに書かれていた感想に共感した伸行は、ブログの管理人のひとみ(西内さん)にメールを送り、そこから2人はメールでやりとりするようになる。ひとみがつむぐ言葉に引かれていった伸行は、ひとみに直接会いたいと思うようになるが、ひとみには伸行に会うことができない理由があった……というストーリー。 今作で西内さんが演じる人見利香(ひとみというのは名字だった!)は、高校生のときの事故で感音性難聴を患い、それから自分の殻に閉じこもっているという役柄。それを玉森さん演じる大阪出身の伸行が、飾らない人柄と優しさで利香の心を徐々に開いていく。「レインツリー」はアメリカネムノキの別名で、花言葉は「歓喜、胸のときめき」。利香のブログのタイトル「レインツリーの国」は利香が耳のことを気にせずに伸び伸びと振る舞える場所という意味を込めて付けられた。そこから伸行は外の世界に利香を連れ出そうとする……。 恋愛中のときめきや切なさ、思いがすれ違うもどかしさなどの心模様が美しい映像とともに描かれている。さらに、恋愛だけでなく、それぞれの家族の絆や殻を破って一歩踏み出す生き方なども加わり、単純にすてきな恋愛物語だけで終わらず、人生までも考えさせられるヒューマンストーリーに仕上がった。西内さん演じる利香が髪をばっさり切って、髪をかき上げ、堂々と補聴器を見せるシーンは今作の名シーンの一つだ。さらにラストのキスシーンは、クリスマスのシチュエーションも相まって、美しく感動的な最大の見せ場になった。まさに、この季節にふさわしい王道のデートムービーだ。21日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(細田尚子/毎日新聞デジタル)

「リトルプリンス 星の王子さまと私」 子ども時代に必要な経験を教えてくれる作品

松任谷由実が日本語吹き替え版の主題歌!映画「リトルプリンス 星の王子さまと私」予告編
 サン・テグジュペリ不朽の名作「星の王子さま」から生まれた長編アニメーション「リトルプリンス 星の王子さまと私」(マーク・オズボーン監督)が11月21日から公開される。友達がいない9歳の少女と隣に住むおじいさんとの心の交流と冒険の物語。動く“あの挿し絵の王子さま”にも注目だ。 女の子(声:鈴木梨央さん、マッケンジー・フォイさん)は、お母さん(声:瀬戸朝香さん、レイチェル・マクアダムスさん)と新しい家に引っ越してきた。そこは名門校の学区内。女の子はお母さんの計画した人生設計に従い、分刻みで勉強漬けの毎日を送り、友達もいなかった。隣には古ぼけた家があり、風変わりなおじいさん(声:津川雅彦さん、ジェフ・ブリッジスさん)が住んでいる。ある日、隣から飛んできた紙飛行機を見てみると、そこには物語が書かれてあった。おじいさんはかつて飛行士で、砂漠で小さな王子さまに出会ったという。物語の続きが気になった女の子は、おじいさんの家を訪ねてみると……という展開。 「星の王子さま」の物語を借りながら、美しい映画が誕生した。女の子は、子ども時代の大切な時間を母親に奪われている。そうとも知らず、母親が作ったタイムスケジュールに従って「いい子」として生きている。冒頭から切なくなるが、映画はそんな女の子に初めての友達をプレゼントする。その友達は、風変わりなおじいさんだった。想像すること、誰かを大事に思うこと、そして大切な人を失う時がいつかくるということ……。この映画は、子ども時代に必要なさまざまな経験を教えてくれる。飛行機で冒険するシーンも臨場感たっぷりで、女の子が自力で運命を切り開いていく姿が力強い。現実のシーンがCGアニメーションで描かれる一方で、おじいさんが語る「星の王子さまの世界」は、温かみのあるストップモーションアニメで作られている。赤いバラ園は、ため息が出るほど美しい。「カンフー・パンダ」(2008年)のオズボーン監督の下、約250人のスタッフが集まって作り上げた。音楽は「ライオン・キング」(1994年)で米アカデミー賞作曲賞受賞歴もあり、120本以上の映画音楽を制作した実績のあるハンス・ジマーさん。CGキャラクター監修に、「塔の上のラプンツェル」(2010年)の複雑な髪の毛の監修を手がけた日本人の四角英孝さん。日本語吹き替え版主題歌はシンガー・ソングライターの松任谷由実さんが担当している。21日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

「ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション」 ついに完結! 魂が浄化される幕切れ

映画「ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション」予告編
 米アカデミー賞女優のジェニファー・ローレンスさん主演の人気シリーズ4作目にして最終章「ハンガー・ゲーム FINAL:レボリューション」(フランシス・ローレンス監督)が11月20日から公開される。2012年公開の1作目、13年公開の2作目、日本では今年6月に公開された3作目「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」(14年)と続いてきた同シリーズだが、世界同時公開の今作をもって、ついに完結する。数々の問題が決着するとともに、最終話にふさわしい幕切れが用意されている。 前作の最後で、政府軍から救出されたものの洗脳によってカットニス(ローレンスさん)を敵と認識、彼女に襲い掛かったピータ(ジョシュ・ハッチャーソンさん)。そんな彼を、なんとか正常に戻そうとするヘイミッチ(ウディ・ハレルソンさん)ら反乱軍のメンバーたち。そんな状況の中、政府軍との戦いによって一般市民の犠牲者を増やすことに心を痛めるカットニスは、もはや、悪政を敷くスノー大統領(ドナルド・サザーランドさん)を倒すしかないと考え、彼の暗殺を決行しようとする……というストーリー。 前作は、心理描写に重きが置かれ、このシリーズ特有のゲーム的要素に欠け、正直なところ物足りなさを覚えた。ところが今回はさすがの最終話。首都キャピトルに突入していくカットニスら特殊チームを数々のわなが待ち受け、それをかいくぐりながら中心部へ向かう様子は、まさに劇中でフィニック(サム・クラフリンさん)がいう「第76回ハンガー・ゲーム」そのもの。半面、登場人物の人間模様もそつなく描かれており、ピータが自分を殺しかけたことに深く傷つき、記憶が曖昧な彼に「愛している」といいたくても心にセーブがかかっていえないカットニスの苦悩する姿に胸が痛み、そんな2人のやりとりを複雑な心境で見つめるゲイル(リアム・ヘムズワースさん)の瞳が、また切なさを誘った。さらに、コイン首相(ジュリアン・ムーアさん)とその右腕プルターク(フィリップ・シーモア・ホフマンさん)のツーショットには、ホフマンさん亡きあと、その貴重な映像に思わず目頭が熱くなった。そして何より、この手のアクションアドベンチャーの爽快な幕切れとは異質の、緩やかかつふくよかなエンディングで、心にしみる幕切れに、魂が浄化されたように感じた。20日からTOHOシネマズスカラ座・みゆき座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)

「劇場霊」 AKB48・島崎遥香の主演ホラー 高速で迫る恐怖に身も心も震え上がる

AKB48島崎遥香、ホラー映画で絶叫! 映画「劇場霊」予告編
 人気アイドルグループ「AKB48」の島崎遥香さんの主演映画「劇場霊」(中田秀夫監督)が11月21日に公開される。劇場を舞台に、さまざまな怪奇現象や恐怖が描かれる今作は、「リング」シリーズや「クロユリ団地」(2013年)など数々のホラー映画を手がけてきた中田監督が、忍び寄るような恐怖ではなく、次々と襲いかかるように迫りくる演出で恐怖心をかき立てる。グループの全メンバーを対象にしたオーディションで主人公に選ばれた島崎さんが単独で映画初主演を務めるほか、足立梨花さんや高田里穂さん、劇団EXILEの町田啓太さんらが共演している。 若手女優の水樹沙羅(島崎さん)は、気鋭の演出家・錦野豪太(小市慢太郎さん)の新作舞台に端役だが出演が決まる。主演の篠原葵(高田さん)、野村香織(足立さん)らは火花を散らしながらけいこに明け暮れていた。ある日、劇場内でスタッフの変死体が見つかったのをきっかけに、葵が転落事故に遭うなど不可解な事件が連続して起こる。葵の代役として沙羅は主演に抜てきされるが、舞台に置かれた小道具の人形が動き出すのを目撃。沙羅はスタッフの和泉(町田さん)と人形を制作した作家・児島(中村育二さん)を訪ねるが……というストーリー。 中田監督の作品といえば、じわじわとにじり寄るような怖さが特徴だが、この「劇場霊」はこれまでとはスタイルをガラリと変え、ハイスピードで迫り来る恐怖に身もだえさせられる。怨念がこもった人形が登場することで惨劇が始まるという“Jホラー”の定番ではあるものの、どこか西洋風の雰囲気も漂わせ、恐怖や気味の悪さ、不条理感などをいや応なく感じさせられる。グロテスクさやショックをあおるような直接的な表現を使わず、プリミティブに恐怖をあおる演出を多用することで、ここ一番というシーンの恐怖感や異様さが際立った。ホラー映画でありながら、女優たちの争いなど、舞台の裏側にある人間模様も興味深い。島崎さんの今まで見せたことがない多彩な表情を見せ、普段とのギャップも映画にマッチした。21日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「帰ってきたMr.ダマー バカMAX!」 純度の高いバカさ加減に抱腹絶倒!

映画「帰ってきたMr.ダマー バカMAX!」予告編
 1995年に公開された映画「ジム・キャリーはMr.ダマー」の20年ぶりとなる続編「帰ってきたMr.ダマー バカMAX!」(ピーター・ファレリー監督、ボビー・ファレリー監督)が11月20日に公開される。前作と同じく、主人公のロイドをジム・キャリーさんが演じるほか、ロイドの相棒・ハリーにジェフ・ダニエルズさんが扮(ふん)し、監督・脚本をファレリー兄弟が手がけるなど、メインキャストとスタッフが再集結した。今作では、腎臓移植が必要な病気にかかってしまったハリーのドナーを探すため、ロイドとハリーが珍道中を繰り広げる。 20年の間、精神病院で入院生活を送るロイド(キャリーさん)を見舞い続けてきたハリー(ダニエルズさん)は、ある日、自分が腎臓病を患ったことを知る。そのことをロイドに伝えると突然ロイドが「病気のふりをしていただけ!」と告白。20年かけた大仕掛けに大笑いした2人は、ハリーの腎臓病を治すためにドナーとなり得る血縁者を探しに出かけるが……というストーリー。 続編が見られるとは夢にも思わなかった。20年もの間、ロイドが病気のふりをしてハリーを驚かすという物語の冒頭から、その弾けぶりが破天荒だ。壮大なドッキリのような仕掛けをしてしまうあたり、相変わらず成長しない“おバカ”ぶりで楽しませてくれる。一般的に続編といえば主人公たちが何らかの成長をしていることが多いが、ロイドとハリーの2人は20年前と変わらず、おバカなままなのがうれしい。年齢を経たキャストが笑いに徹した演技をするのは好みは分かれるだろうが、格言めいた小難しい要素もなく、純度の高い過激なコメディーで、思う存分に笑わせてくれる。TOHOシネマズ六本木(東京都港区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「ガールズ&パンツァー 劇場版」 人気テレビアニメの劇場版 大迫力の戦闘シーンに注目

「ガールズ&パンツァー 劇場版」予告編
 少女たちが戦車で対決する姿を描いた人気アニメの劇場版「ガールズ&パンツァー 劇場版」(水島努監督)が11月21日から公開される。完結したテレビアニメのその後が描かれており、テレビアニメの人気キャラクターや敵チームのライバルたち、そして新たに立ちふさがるライバルが登場する。劇場版ならではの大スクリーンで繰り広げられる迫力ある戦車戦が見どころだ。 華道や茶道などと並んで戦車を使った戦い“戦車道”が“たしなみ”とされている世界で、見事全国優勝を成し遂げた大洗女子学園の戦車道チームに所属する主人公・西住みほらは、大会で戦ったプラウダ高校らライバルたちとエキシビジョンマッチを行う。試合を終えて友情が芽ばえたライバルたちと談笑していると、大洗女子学園の生徒会長で戦車道チームの一員・角谷杏が突然学園艦に呼び戻され、そこで衝撃の事実を知る……というストーリー。テレビシリーズと同じく西住みほの声を渕上舞さんが務めるほか、茅野愛衣さん、尾崎真実さん、中上育実さん、井口裕香さんらが出演。「SHIROBAKO」や「監獄学園」の水島監督がメガホンをとる。 2014年中の公開予定から、2度の延期を経てようやく(?)公開となった同作。期待と不安を抱えながら公開を待ちわびていたファンも多いことだろう。物語は、大洗女子学園が見事全国大会で優勝した以降の、かつてのライバルたちとのエキシビジョンマッチからスタートする。テレビシリーズでもおなじみのリアルな描写の戦車による戦闘シーンは相変わらずの迫力だが、手に汗握る臨場感は大スクリーンならでは。大音量で響き渡る砲撃音が楽しめるのも劇場版の強みだ。やや全体に占める戦闘シーンの時間が長いようにも感じられるが、このあたりは好みが分かれる部分かもしれない。詳細は控えるが、まるで王道少年マンガのようなクライマックスには思わず「待ってました!」と膝を打ちたくなった。21日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。(河鰭悠太郎/毎日新聞デジタル)

「デジモンアドベンチャー tri.第1章『再会』」 成長した主人公が新たな冒険に

「デジモンアドベンチャー tri.」予告編
 アニメ「デジモンアドベンチャー」シリーズの最新作「デジモンアドベンチャー tri.第1章『再会』」(元永慶太郎監督)が11月21日に公開される。「tri.」はシリーズ15周年を記念した新シリーズで、1999~2000年に放送されたシリーズ1作目「デジモンアドベンチャー」の続編を全6章で構成。テレビアニメ第2作「デジモンアドベンチャー02」で繰り広げられた最後の戦いから3年後を舞台に、高校生になった主人公・八神太一らの新たな活躍が描かれる。主人公たちの声は成長に合わせてキャストが一新されるが、デジモンたちは坂本千夏さんをはじめ初代の声優陣が演じている。 八神太一(声・花江夏樹さん)ら“選ばれし子どもたち”が、異世界「デジタルワールド」へ渡った夏から6年、八神ヒカリたちとベリアルヴァンデモンとの最後の戦いから3年の月日がたち、デジタルワールドへのゲートは閉じ、平和な生活を送っていた。ある日、クワガーモンが突然、お台場の街に出現して街を破壊。偶然見かけた太一は、クワガーモンの暴走を止めようと追いかける。クワガーモンが太一に襲いかかってきた瞬間、デジヴァイスが大きな光を放ち始め……というストーリー。 15周年を記念して製作された今作は、主人公たちがデジタルワールドではなく現実世界にいるなど、以前の劇場版に近い雰囲気もあって、当時を知る人ならどこか懐かしさも感じるだろう。そうはいっても主人公たちが小学生から高校生へと成長し、性格や考え方などに思春期特有のものが取り入れられており、心の葛藤や成長といった部分が物語に深みを与えている。もちろん、デジモンたちの可愛らしさやカッコよさ、そして衝撃の進化シーンなど、最新の技術とテイストで描かれているデジモンの姿も魅力的だ。ストーリーは全6章あるため、まだまだ序盤だが、以前のシリーズと変わった部分と変わらない部分がバランスよく融合しており、シリーズファンも、今作で初めて「デジモン」に触れるという人も、これから始まる冒険にワクワクできるだろう。21日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国10館で3週間限定公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「通学シリーズ 通学途中」 片思いする方とされる方の両側の思いを切なく描く

中川大志&森川葵がW主演!映画「通学シリーズ 通学途中」予告編
 小説投稿サイト「E★エブリスタ」で人気を集めたみゆさんの小説「通学シリーズ」を基に、中川大志さんと森川葵さんのダブル主演で映画化した「通学シリーズ 通学途中」(川野浩司監督)が11月21日に公開される。7日に公開された同シリーズの「通学電車」と登場人物や舞台が共通しているが、別のストーリーが展開する。今作では、別の男子に片思いをする女子高生と、彼女を温かく見守る同級生という“片思い”を軸にしたラブストーリーが描かれる。 内気で恋に不器用な女子高生・ユキ(森川さん)は、自分が通う塾の近くのコンビニでアルバイトをするキョースケ(赤楚衛二さん)に恋心を抱いている。だが、キョースケにはユカ(藤本泉さん)という恋人がいることを知ってしまう。現実を受け入れようとするが恋心が募るばかりのユキを、同じ美術部のコウ(中川さん)がいつも見守ってくれていたが……というストーリー。 片思いという恋愛をする上では楽しくもつらい感情がテーマになっているだけに、“キラキラ”や“胸キュン”といった青春映画的な雰囲気は詰まっているが、どこか切なく胸に響く物語に仕上がっている。しかも、ヒロインのユキが「一人でいる方が好き」といいながらもどこか寂しさを漂わせる、いたって普通の女子高生なので、男性目線から見ても共感しやすかった。随所に登場する“星”というキーワードをからめたコウが発する“胸キュン”ワードは、聞いていると少々照れくさいが、中川さんがいうとカッコよく感じ、なぜか自然と受け入れてしまうのが不思議だ。「通学電車」ではとてもいい子に見えたユカが、「通学途中」では意外な一面を見せるのも少々怖いが興味深い。21日から渋谷HUMAXシネマ(東京都渋谷区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」 犬250匹の疾走に目を見張るカンヌW受賞作

映画「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」予告編
 2014年の仏カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門グランプリと、優秀な演技を披露した犬に贈られるパルムドッグ賞に輝いた映画「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディー)」(コーネル・ムンドルッツォ監督)が11月21日から公開される。犬好きには見ていてつらい場面はあるものの、“主人公”の犬の表情の豊かさと“脇役”の犬たちの力演に頭が下がる。とりわけ、犬250匹が街を疾走するクライマックスシーンには目を見張る。 母が海外出張中、両親の離婚後、離れて暮らす父(シャーンドル・ジョーテールさん)に預けられることになった13歳のリリ(ジョーフィア・プショッタさん)。父は、リリが一緒に連れてきた愛犬ハーゲンに難色を示す。というのも最近この国では、ハーゲンのような雑種犬を一掃するために、飼い主に重税を課す法律が施行されたのだ。ある日、反抗的なリリに腹を立てた父は、ハーゲンを自宅から離れた場所に置き去りにしてしまう。リリはハーゲンに、「必ず迎えに来る」と約束するのだが……というストーリー。 人っ子一人いないブダペストの街中を、自転車で駆け抜けていくリリ。そこに、野良犬たちがわらわらと押し寄せてくる……衝撃的な映像で幕を開ける今作だが、ハンガリー出身のムンドルッツォ監督は今作に、母国に対する政治的批判を込めたという。だからといって小難しい内容かというとそうではなく、身勝手な人間の犠牲になった犬と、その犬を愛する少女の絆を前面に押し出すことで、作家主義的な作品の枠を飛び越え、見る者の心にしっかりと刻印を残す娯楽性を兼ね備えたヒューマン作に仕上がっている。置き去りにされたハーゲンは、やがて他人の手に渡り、闘犬になるための過酷な訓練を受け、幸せだったリリとの思い出は野生の本能に上書きされていく。そんなハーゲンの行方を必死に探すリリ。“2人”の距離が広がれば広がるほど、人間の身勝手さと残酷さが浮き彫りになっていく。そして圧巻のクライマックスシーン。250匹の犬たちがブダペストの街中を疾走するその場面は、CGを使わずに撮影したというが、荘厳なラストシーンを含め、一体どうやって撮ったのだろうと目を見張らずにはいられない。ハーゲンを演じたルークとボディという2匹の兄弟犬は、シーンごとの表情によって使い分けられたというが、ほかの犬たちの力演にも頭が下がる。21日から新宿シネマカリテ(東京都新宿区)ほか全国で公開。 (りんたいこ/フリーライター)

「Re:LIFE~リライフ~」地位も栄誉も経験した男が第二の人生を選び取る姿描く

映画「Re:LIFE〜リライフ〜」予告編
 多くのロマンチックコメディー作品に出演しているヒュー・グラントさんの最新作「Re:LIFE~リライフ」(マーク・ローレンス監督)が11月20日から公開されている。田舎町を舞台に、落ち目となったハリウッドの脚本家が、自分を再発見して人生の選択をする姿を、ウイットに富んだせりふを交えながら温かく描き出した。 脚本家のキース・マイケルズ(グラントさん)は、15年前にアカデミー賞脚本賞を受賞して騒がれて以来、ヒット作が出ていない。いまや妻には逃げられ、一人息子とは疎遠になっている。エージェントの紹介で、田舎の大学でシナリオコースの講師の職を得たキースだったが、やる気はゼロ。受講生には好みの女子学生ばかりを選び、過去の栄光を振りかざす始末。学科長のラーナー(J・K・シモンズさん)に注意を受けてしまう。やがて、復学したシングルマザーのホリー(マリサ・トメイさん)ら必死に勉強しようとする学生たちに感化され……という展開。 地位も栄誉も経験した中年男が、土壇場で初心に戻る姿に勇気づけられる。今作の主人公キースは、過去の栄光にすがっている。そんな男が変わるきっかけとなったのは、異業種に転職したことだった。お金のために仕方なく始めた講師の仕事。学生たちに教えることによって、キースは大事なことに気づき始める。映画愛が深い学生たちが「なぜ書くのか」という初心を思い出させてくれ、シングルマザーのホリーが見識を広めてくれる。さらに、家族を大事にする学科長の影響を受け、疎遠となった息子と再びつながろうとする。大学のある町は、ビンガムトンというニューヨーク北部の小さな田舎町。作家ロッド・サーリングさんが生んだ人気ドラマで映画化もされた「トワイライトゾーン」に出てくる古い回転木馬がある場所だ。そんな要素もキースに気づきを与え、映画的な魔法をかけてくれる。「噂のモーガン夫妻」(2009年)などを作り上げたグラントさんとローレンス監督の4度目のタッグ作。キースと人々の交流を軽妙に描き出し、グラントさんの芝居は流れる水のようで、笑わされ、心から温かい気分にさせられる。「セッション」(14年)で鬼教師役だったシモンズさんが、家族の話題に涙もろくなる学科長を演じているのも面白い。20日からTOHOシネマズ シャンテ(東京都千代田区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)

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