「一週間フレンズ。」春奈&賢人W主演 記憶障害を抱えつつ思いを伝え合う高校生の純愛物語
女優の川口春奈さんと俳優の山崎賢人さんのダブル主演映画「一週間フレンズ。」(村上正典監督)が2月18日、公開される。1週間で友達の記憶を失ってしまう女子高生と彼女に引かれていくクラスメートの男子との純愛を描く。青春時代のひたむきさと切なさが詰まったピュアな物語に心が癒やされる。 「一週間フレンズ。」は葉月抹茶さんが「月刊ガンガンJOKER」(スクウェア・エニックス)で2012~15年に連載した人気マンガが原作。14年にはテレビアニメが放送され、舞台版も上演された。同級生の藤宮香織(川口さん)に思いを寄せる高校2年生の長谷祐樹(山崎さん)は、「友達になってください」と声をかけるが拒否されてしまう。実は香織は「友達のことを1週間で忘れてしまう」という記憶障害を抱えていた。祐樹は香織の記憶がリセットされるたびに会いに行き、やがて交換日記を始めて距離を縮めていく。ある日、香織の過去を知る転校生・九条一(上杉柊平さん)が現れ……というストーリー。映画「電車男」(05年)などの村上監督がメガホンをとり、男性2人組ユニット「スキマスイッチ」が今作のためにアレンジした「奏(かなで) for 一週間フレンズ。」が主題歌に採用されている。 記憶が1週間でリセットされてしまうという壁がある中、それでもめげずに気持ちを伝え続ける祐樹がとてもけなげだ。心に残るシーンはいくつがあるが、インパクトがあるというよりも、香織と祐樹が交換日記を始め、“友達以上、恋人未満”といった雰囲気で意識し合う姿には胸の高鳴りを感じつつ、どこかノスタルジックな気分にもさせられる。川口さんと山崎さんの爽やかな笑顔に心温まること必至だ。18日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開。(遠藤政樹/フリーライター)
「愚行録」貫井徳郎の“イヤミス”が原作 週刊誌記者役・妻夫木が人間の愚かさを暴く
俳優の妻夫木聡さんが、迷宮入りした殺人事件の真相を追う週刊誌記者に扮(ふん)した映画「愚行録」(石川慶監督)が2月18日から公開される。人間の愚かさを暴いていく今作は、記者が取材を進める中で、被害者夫婦と関係者の“素顔”が徐々に明らかになる過程にゾクゾクさせられる。 1年前に起こって迷宮入りした一家惨殺事件について、週刊誌記者の田中武志(妻夫木さん)が追跡取材を開始する。関係者への取材を重ねるうちに、“理想の家族”として知られていた被害者の田向(たこう)浩樹(小出恵介さん)と妻・友季恵(松本若菜さん)の“実像”が浮かび上がってくる……という展開。直木賞候補にもなった貫井徳郎さんの同名小説が原作で、田向夫妻の関係者を臼田あさ美さん、市川由衣さん、中村倫也さん、眞島秀和さんらが演じ、ほかに田中の妹・光子役で満島ひかりさんが出演している。 原作の読後感もよくなかったが、映画は冒頭から嫌な気分にさせられる。ここに登場する人間たちは誰もが、多かれ少なかれ腹黒さを持っている。映画は冒頭で原作にはない状況を用意し、そのことをほのめかす。市川さん扮する浩樹の元恋人・稲村恵美や、臼田さん扮する友季恵の大学の同期生・宮村淳子から田中が話を聞く場面では、彼女たちのねたみや虚栄心や保身がのぞき、人間の底知れぬ暗黒面を見た気がした。脚本は「マイ・バック・ページ」(2011年)や「聖の青春」(16年)などで知られる向井康介さん。石川監督はこれが長編映画デビュー作だが、緻密な演出と大胆な構成、さらに陰影に富んだ映像で人間の二面性を際立たせることに成功している。18日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで公開。(りんたいこ/フリーライター)