「暗黒女子」清水富美加&飯豊まりえW主演 美しい女子高生の黒い部分が恐ろしい…
宗教団体「幸福の科学」への出家を表明したことで話題となった清水富美加さんと「MARS ただ、君を愛してる」(2016年)の飯豊まりえさんがダブル主演した映画「暗黒女子」(耶雲哉治監督)が4月1日、公開される。聖母マリア女子高等学院で、経営者の娘にして全校生徒の憧れの存在だった白石いつみ(飯豊さん)が校舎の屋上から謎の転落死を遂げる。その手にはすずらんの花が握られていた……という学園ミステリー。「あなたの予測をぶち壊す驚愕(きょうがく)のラスト24分!」と銘打っているだけあり、ラストの大どんでん返しの謎解きには本当に驚かされる。また、先生役の千葉雄大さんと飯豊さんのラブシーンが予想以上に数多く挿入されており、つねにドキドキさせられる。 「暗黒女子」は、秋吉理香子さんの同名の“イヤミス”(読後に嫌な気持ちになるミステリー)小説が原作。セレブ女子高生たちが通う「聖母マリア女子高等学院」で、全校生徒の憧れの的の文学サークル会長の白石いつみ(飯豊さん)が謎の死を遂げる。文学サークルの誰かが彼女を殺したといううわさが立ち、いつみの親友だった澄川小百合(清水さん)が会長となり、「いつみの死」をテーマにした自作の物語を朗読する定例会を開催する。サークルのメンバーはそれぞれ別の“犯人”と告発する物語を朗読していくが……というストーリー。清水さん、飯豊さんのほか清野菜名さん、玉城ティナさん、小島梨里杏さん、平祐奈さんらが出演している。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などのヒットアニメを手がけた岡田麿里さんが実写映画の脚本を初めて担当し、「百瀬、こっちを向いて。」(14年)や「MARS~」の耶雲哉治監督がメガホンをとった。 この映画は主演の2人の渾身(こんしん)の演技に尽きる。飯豊さんはこれまで青春ものなど清純な役柄が多かったが、今回は清純と見せかけて“黒い”部分を全開にしたシーンもあるなど、見応え十分。「MARS」に続いてのタッグとなる耶雲監督とは2度目だけにすんなり行くかと思いきや、“黒飯豊”が出てくるまで監督が許してくれず、なかなかオーケーが出ずに撮影で涙を見せたこともあったという。清水さんが演じた小百合は、役柄的に飯豊さんが演じるいつみが太陽だとしたら、月……という地味めな女子かと思いきや、黒い部分が噴き出した瞬間の狂気をはらんだ高笑いといったら、息をのむほど恐ろしい……。古い洋館を再現したセット、制服姿の美少女たち……美しい中に恐ろしさをはらんだ見応えのあるミステリーだ。4月1日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほかで公開。(細田尚子/MANTAN)
「レゴ バットマン ザ・ムービー」レゴ姿のバットマンはじめキュートなキャラが大活躍!
ブロック玩具「レゴ(R)」の世界観をモチーフにした長編映画「レゴ バットマン ザ・ムービー」(クリス・マッケイ監督)が4月1日、公開される。今作は、2014年に公開された「LEGOムービー」に登場した「レゴバットマン」が主人公。世界を乗っ取ろうとする悪者たちとの騒動を描く。DCコミックスの人気キャラクターらのレゴ姿がなんとも可愛らしい。 悪いやつらから街を守るヒーローのレゴバットマンだが、実は寂しがり屋の“かまってちゃん”だった。ある日、元気すぎる新入りのロビンがやって来るが、バットマンはロビンのせいでペースを乱されてしまう。そんな中、ジョーカーが世界乗っ取ろうと悪の軍団を目覚めさせ……というストーリー。日本語吹き替え版では、バットマン役を声優の山寺宏一さん、ロビン役をお笑い芸人の小島よしおさん、バットマンの“宿敵”ジョーカーを子安武人さん、バッとガールを沢城みゆきさんが演じているほか、お笑いコンビ「おかずクラブ」の2人も出演している。 映画に登場する街やキャラクターはCGで描かれているのだが、実際にレゴで作り上げられたかのような造形で、迫力のバトルシーンも、ちょっとホロリとさせられるシーンも、独特の愛嬌(あいきょう)を感じさせてくれる。リズミカルなBGMをバッグにテンポよく進んでいくストーリーは、コメディータッチながら家族愛や友情といったテーマも盛り込まれいて心温まる。バットマンに関する小ネタを至るところにちりばめられ、ファンならニヤリとするはずだ。4月1日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。(遠藤政樹/フリーライター)
「ムーンライト」オスカー作品賞受賞作 無名俳優と名脇役の見事なアンサンブル
大本命の「ラ・ラ・ランド」という予想を覆し、本年度の米アカデミー賞で作品賞を獲得し、助演男優賞、脚色賞の3部門を受賞した話題作「ムーンライト」(バリー・ジェンキンス監督)が3月31日に公開された。マイアミの貧困地域を舞台に、自分の居場所を探し続ける主人公の成長を、三つの時代の中で色彩豊かに語っていくヒューマン作。ブラッド・ピットさんが製作総指揮を務めた。主人公シャロン役に3人の無名俳優を配し、「007 スカイフォール」(12年)などのナオミ・ハリスさんや、「ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス」(14年)などのマハーシャラ・アリさんらハリウッドで活躍中の名脇役をからませて、素晴らしいアンサンブルを生み出している。 シャロン(アレックス・ヒバートさん)は、麻薬常習者の母親のポーラ(ハリスさん)と2人暮らし。学校では、「リトル」と呼ばれ、いじめられていた。麻薬ディーラーのフアン(アリさん)は、そんなシャロンを放っておけず、何かと世話をする。しかし、高校生になってもシャロンはいじめられ続け、麻薬におぼれる母親のいる家にも居場所がなかった。唯一心を開くことができた同級生ケヴィンに、初恋のような感情を抱くシャロンだったが、ある事件が起こり……という展開。 ジェンキンス監督の長編2作目で戯曲を原案にしている。1作目の際に、ピットさんが創立したプランBエンターテインメントのプロデューサーと出会った同監督が、ピットさんが製作したオスカー作品「それでも夜が明ける」(13年)のプレミア上映会で再会し、今作の製作に至ったという。 子ども時代、ティーン時代、青年時代と、主人公の人生を三つの時代に切り取り、成長過程のシャロンと大人の関係がていねいに描かれる。特に父親代わりのフアンが、子ども時代のシャロンに泳ぎを教えるシーンは感動的だ。フアンを演じたアリさんは、米アカデミー賞助演男優賞を受賞し、イスラム教徒の俳優として初のオスカー獲得となった。そして、3人のシャロンと唯一共演をしたのが、母親のポーラ役を演じたハリスさん。タイトな撮影スケジュールの中で、麻薬常習者が堕(お)ちていくさまと親子関係の長い年月を見事に表現しオスカーの助演女優賞にノミネートされた。
主人公を演じたヒバートくん、アシュトン・サンダースさん、トレバンテ・ローズさんの3人は、お互いの演技を見ないで芝居に挑んだという。全く見た目は似ていないが、うるんだ内向的な目が3人の共通点で、主人公シャロンの、家にも学校にも居場所がなく性的マイノリティーという存在の孤独で純粋な心を映し出している。また、実写に色を足して加工したカラーリストがつくり出した美しい映像も注目だ。31日からTOHOシネマズ シャンテ(東京都千代田区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)