「キングスマン:ゴールデン・サークル」ブラックでありながら爽快なスパイアクション第2弾
世界で4億ドル(約450億6000万円)を超える大ヒットを記録したスパイアクション「キングスマン」(2014年)の続編「キングスマン:ゴールデン・サークル」(マシュー・ボーン監督)が、1月5日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほかで公開。前作で超国家スパイ機関キングスマンの候補生だったエグジー(タロン・エガートンさん)が、一人前のエージェントに成長。米国の同盟機関「ステイツマン」のメンバーと、恐るべき陰謀に立ち向かっていく。前作で死んだはずのハリー(コリン・ファースさん)が復活。ハリーとエグジーの共闘シーンはもちろん、世界のポップスター、エルトン・ジョンさんの活躍など見どころ満載だ。 ロンドンの高級テーラーに本部を置く国際諜報機関「キングスマン」が、謎の組織「ゴールデン・サークル」によって壊滅させられる。エグジーとメカニック担当のマーリン(マーク・ストロングさん)は、米国の同盟機関「ステイツマン」と手を組み、ゴールデン・サークルの恐るべき陰謀を阻止しようと奮闘する……というストーリー。 ジュリアン・ムーアさんがゴールデン・サークルのボス、ポピーに扮(ふん)するほか、チャニング・テイタムさん、ジェフ・ブリッジスさん、ハル・ベリーさんらがステイツマンのメンバー役で出演する。 敵と格闘しながらのカーチェイスという、痛くて危険、かつ、かなりハイグレードなアクションに始まり、アルプスの雪山での攻防、ポピーのサイコパスぶりを見せつける残酷ながら笑えるシーンなど、ボーン監督らしい、ブラックでありながら爽快、潔くもウルッとさせられる展開が待ち受けている。ハリーが生きていたのにはびっくりしたが、復活の理由に違和感はなく素直に納得できた。 そのハリーとエグジーの共闘シーンは、2人の抜群のコンビネーションと鮮やかな身のこなしに見入ってしまった。エルトン・ジョンさんの、ただのゲスト扱いではない大活躍にも大いに興奮させられた。名曲「カントリー・ロード」が、これほど胸に響いたことはないというぐらい効果的に使われていたのも印象深い。1作目に引き続きメガホンをとったボーン監督には第3弾の構想もあるそうで、今作ではその「種まき」もしてあるというから、ぜひ、そのあたりも意識しながら見てほしい。(りんたいこ/フリーライター)
「嘘八百」中井貴一と佐々木蔵之介が安定感ある笑いを披露するお宝コメディー
コメディー映画「嘘八百」(武正晴監督)が、1月5日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで公開。千利休ゆかりの茶器が発見されるというめでたい(?)物語が、中井貴一さんと佐々木蔵之介さんのダブル主演で繰り広げられていく。笑いあり、ホロリとさせられるエピソードありの人情コメディーだ。 武監督と脚本の足立紳さんは映画「百円の恋」(2014年)が高く評価された。NHK連続テレビ小説「てっぱん」(10年)などの脚本家、今井雅子さんもシナリオ作りに加わった。 お宝を求めて大阪・堺の町にやって来た古物商の小池則夫(中井さん)は、由緒ありそうな蔵付き日本屋敷の家主、野田佐輔(佐々木さん)に蔵の中を見せてもらう。山ほどの骨董(こっとう)品の中から、千利休のものと思われる国宝級の茶器が見つかる。骨董のことは分からないという佐輔に則夫は破格の安値で蔵のものすべてを引き取ると申し出、佐輔も快諾するが……というストーリー。 近藤正臣さんが大御所鑑定士に扮(ふん)するほか、芦屋小雁さん、前野朋哉さん、木下ほうかさん、坂田利夫さんらが出演する。 だましたつもりがだまされて、これでは面目丸つぶれと、中井さん演じる古物商が、腕は立つのに落ちぶれ、くすぶっていた佐々木さん演じる陶芸家と結託。2人がそれぞれの矜持(きょうじ)を懸け、自分たちに一杯食わせた人間に挑んでいく。前半の、則夫と佐輔の軽妙なやりとりで物語に勢いをもたせる。いざ作戦決行!となった折には、茶器作りの手管をじっくりと見せて利休ファンの心をくすぐる薀蓄(うんちく)を登場人物に語らせ、古美術ファンを楽しませてくれる。 個人的には終盤の展開はサービス過多と感じた。ともかく、中井さん、佐々木さんの演技はやはり素晴らしく、佐々木さん演じるぐうたらオヤジが一念発起し、茶器作りに没頭するときのひょう変ぶりと殺気立った目には心底感服。そんな佐輔をサポートする中井さん演じる則夫の鷹揚(おうよう)な態度がこれまた頼もしく、この2人だからこその安定感ある笑いを大いに楽しんだ。佐輔の妻に扮した友近さん、いつも何かを食べている則夫の娘役、森川葵さん、学芸員役の塚地武雅さんもいい味を出し、作品に軽やかな笑いをもたらしている。(りんたいこ/フリーライター)
「牙狼<GARO>神ノ牙‐KAMINOKIBA‐」栗山航演じる流牙が井上正大扮するジンガと再び激突!
特撮ドラマ「牙狼<GARO>」シリーズの劇場版最新作「牙狼〈GARO〉神ノ牙-KAMINOKIBA」(雨宮慶太監督)が1月6日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。2005年の特撮ドラマ第1作放送以降、映画やアニメ、マンガ、舞台などで人気を集めている「牙狼<GARO>」シリーズ。今作は、「牙狼<GARO>~闇を照らす者」、「牙狼<GARO>-GOLDSTORM- 翔」の続編で、黄金騎士ガロの称号を持つ道外流牙(どうがい・りゅうが)の新たな活躍を描く。 魔戒騎士の鎧が奪われる事件が発生し、流牙は真相究明の指令を受ける。事件には、流牙の仲間だった蛇崩猛竜(じゃくずれ・たける)と楠神哀空吏(くすがみ・あぐり)が関与しているという。倒したはずのジンガも姿を現し……というストーリー。 流牙役の栗山航さん、猛竜役の池田純矢さん、哀空吏役の青木玄徳さん、ジンガ役の井上正大さんのほか、南里美希さん、桑江咲菜さん、泉谷しげるさんらが出演している。 猛竜と哀空吏が久々に雄姿を見せ、魔戒法師リュメなどシリーズでおなじみのキャラクターが一堂に会し盛り上げてくれる。復活を遂げた宿敵ジンガとの再戦もあり、とにかく熱量が高い。迫真のアクションシーンが、ますますパワーアップしていて驚かされた。 哀空吏と蛮美(ばんび)の恋模様や、流牙と莉杏(りあん)の関係性など、ファンなら気になるキャラクターたちの思いが交錯したドラマも楽しめる。独特の撮影法による映像は幻想的で、作品の世界観とマッチし、ストーリーに奥行きを感じさせてくれる。流牙シリーズの集大成にふさわしい完成度だ。(遠藤政樹/フリーライター)