映画まとめ6月8日公開 映画紹介&予告編 「万引き家族」「羊と鋼の森」「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」「Vision」

「万引き家族」リリー・フランキー主演 是枝監督が家族の本質を描くパルムドール受賞作

是枝裕和監督作品 映画「万引き家族」本予告編
 先月開催された第71回カンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」に輝いた「万引き家族」(是枝裕和監督)が、6月8日にTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。古びた平屋に肩を寄せ合って暮らすある一家の日常を通して、是枝監督が「家族の本質とは……」と問いかけてくるヒューマン作だ。ぬくもりと同時に心がヒリつくような痛みを覚え、見終えてしばらくの間はあらゆる感情が湧き出してくる……そんな映画だ。 母・初枝(樹木希林さん)の家で暮らす、柴田治(リリー・フランキーさん)と妻・信代(安藤サクラさん)、治と信代の息子・祥太(城桧吏さん)、信代の妹・亜紀(松岡茉優さん)。一家は、初枝の年金を当てにし、足りない生活品は万引きでまかなっていた。ある夜、治と祥太が“仕事”から帰る途中、ベランダで寒さに震えている少女がいた。見兼ねた治は少女を家に連れて帰る。「ゆり」と名乗るその少女(佐々木みゆちゃん)の体に虐待のあとを見つけた信代は、ゆりを自分の娘として育てることにするが……というストーリー。ほかに、池松壮亮さん、柄本明さん、高良健吾さん、池脇千鶴さんらが出演している。 家族とは、血のつながりとは、と問いかけてくる今作。治は息子・祥太に万引きを教え、祥太はゆりに“兄”として万引きを教える。しかし、祥太はあるとき、父の行為は“何か違う”と感知する。そのときの目や、なじみの駄菓子屋の前にたたずんだときの表情、そして、世話になっている恩返しのつもりなのか、万引きに手を貸すゆりのいたいけさに、身につまされる思いがした。その一方で、治や信代たち大人一人一人のまなざしからは、それぞれが抱く愛情や葛藤が伝わってきた。縁側で花火の“音を聞く”6人。周囲は暗いのに、この家からだけは明かりがもれている。「ああ、彼らは家族なんだ」と心の底から感じた瞬間だった。 カンヌの審査委員長を務めたケイト・ブランシェットさんが絶賛したという安藤さんの涙のシーン。観客にさまざまなことを推測させる涙だ。安藤さんはもちろん素晴らしいが、“悪役”に徹し、その涙を引き出した池脇さんを、あえてここではたたえたい。そして、とうもろこしがゆで上がるときの匂いや、雑然とした部屋特有の匂いといった生活臭までもが漂ってきそうな、陰影ある画(え)を撮った近藤龍人さん(撮影)と藤井勇さん(照明)、何より、今作を作り上げた是枝監督に、改めて最大限の賛辞と拍手を贈りたい。(りんたいこ/フリーライター)

「羊と鋼の森」山崎賢人が調律師の青年を好演 音と映像で感動が生まれる

山崎賢人がピアノ調律師を熱演 映画「羊と鋼の森」予告編 EDテーマは久石譲&辻井伸行の豪華タッグ
 俳優の山崎賢人さんが主演した映画「羊と鋼の森」(橋本光二郎監督)が6月8日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。原作は、「2016年 本屋大賞第1位」を受賞した宮下奈都さんの小説(文藝春秋)。ピアノの調律に魅せられた主人公の青年が自ら調律の道を志し、専門学校を出て調律師として働きながら成長していく姿を描く。 北海道の田舎で育った外村直樹(山崎さん)は、高校で出会ったピアノの調律師・板鳥宗一郎(三浦友和さん)が調律したピアノの音に、「森の匂い」を感じる。調律の仕事に魅せられた外村は、専門学校に通った後、板鳥のいる楽器店で調律師として働き始める……というストーリー。先輩調律師・柳伸二役で鈴木亮平さん、ピアニストの姉妹役で上白石萌音さん、萌歌さん姉妹らが出演している。 小説を実写映画化した作品は数多くあるが、中でも今作はピアノと調律を中心とした物語だけあり、音が出せる映画のメリットを大いに生かした描写がとてもみずみずしく心に響いた。小説には小説のよさがあるのはもちろんだが、読者が想像するしかなかった音色や調音といったものが、実際に音として表現されると、そこにはまた新たな感動が生まれる。さらにロケ地の北海道の美しく豊かな自然の映像が、情感をさらに深めることに成功している。自身の未熟さを認め、悩みながらも成長していく山崎さん演じる外村の姿に、ストレートに心を打たれた。(遠藤政樹/フリーライター)

「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」榮倉奈々と安田顕が夫婦を好演 笑えてじんわり

榮倉奈々が死んだふりする理由は… 映画「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」予告編が公開
 女優の榮倉奈々さん主演の映画「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」(李闘士男監督)が6月8日から角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。結婚し、「3年目の浮気」ならぬ「3年目の壁」を前に、帰宅すると必ず死んだふりをしている妻と、妻の真意がつかめず戸惑う夫が織りなす、コミカルながらも心温まるラブストーリーだ。妻役の榮倉さんと、夫役の“ヤスケン”さんこと安田顕さんの、ほほ笑ましいやりとりに笑顔をもらえることうけあい。 3年前、バツイチの会社員、加賀美じゅん(安田さん)と結婚した専業主婦のちえ(榮倉さん)。2人は結婚するとき、「3年たったら、これからも結婚生活を続けるかどうか、お互いの意志を確認し合おう」と約束していた。その期限が間もなくやって来る。1度目の結婚が3年目で破綻したじゅんは、心中穏やかではない。そんなある日、じゅんが帰宅すると、ちえが口から血を流しリビングで倒れていて……というストーリー。大谷亮平さん、野々すみ花さんらも出演。2010年の「Yahoo!知恵袋」への投稿をきっかけに、翌年発売されたコミックエッセーを実写化した。 ちえのバリエーション豊かな“死んだふり”には驚かされる。あるときはワニに食われ、あるときは名誉の戦死、またあるときは落ち武者……。果ては、「それ、死体じゃないじゃん」というものまで現れ、笑えるやらあきれるやら。そんなキテレツな夫の“出迎え方”をするちえが、とにかく愛らしく、演じる榮倉さんの、棒のようなコキコキした動きや屈託ない笑顔を見ているだけでうれしくなる。 かたや、死んだふりのちえをどう扱っていいか分からず、オロオロしながら付き合うじゅんからは、優しさがにじみ出ていて、演じるヤスケンさんが、なんともいえないおかしみを醸し出し、榮倉さんとの相性はぴったり。些細だけれど琴線に触れる言葉も多く、とりわけ「人生は三つの坂でできている……」は名言だった。笑えて、じんわりして、夫婦関係について考えさせられる、なんともチャーミングな作品だ。(りんたいこ/フリーライター)

「Vision」ビノシュ×永瀬正敏W主演 岩田剛典が河瀬組初参加 奈良を舞台にした幻想的な作品

岩田剛典が涙… 永瀬正敏との料理シーンも 映画「Vision」最新予告編が公開
 仏女優ジュリエット・ビノシュさんと俳優の永瀬正敏さんがダブル主演した「Vision」(河瀬直美監督)が、6月8日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで公開。河瀬監督の生まれ故郷である奈良の大自然を舞台に、男女の運命と未来が交錯するさまを神秘的に描き出している。圧倒的な存在感のビノシュさんと、「あん」(2015年)、「光」(17年)に続いて河瀬作品3作目の主演となった永瀬さんの2人が放つオーラに、河瀬組初参加の「EXILE」「三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE」の岩田剛典さんの青年らしい初々しさが混じり合う幻想的な作品だ。 ある夏。奈良・吉野の山奥に住む山守の智(永瀬さん)は、「ビジョン」と呼ばれる薬草を求めて日本にやって来たフランス人エッセイストのジャンヌ(ビノシュさん)と出会う。言葉や文化の壁を越えて心を通わせる2人。やがて別れが来て、秋になり、ジャンヌが山を再訪すると、智は謎の若者・鈴(岩田さん)と一緒に住んでいた。ジャンヌは次第に、過去の男(森山未來さん)の姿を2人に重ね合わせるようになる……というストーリー。夏木マリさん、田中泯さん、美波さんらが出演。音楽は、ジャズピアニストの小曽根真さん。 愛犬とひっそりと暮らす山守の智と、美しいフランス人ジャンヌ、冒頭から断片的に登場する猟師(田中さん)や老婆アキ(夏木マリ)らが、どうつながっていくのか……。見進めていくと、その関係性が少しずつ分かっていくとともに、古代を感じさせる奈良・吉野の神がかった山の風景と相まって、命の輪廻を感じさせる。 永瀬さんは、実在の山守からチェーンソーの扱い方などを教わり、相棒の紀州犬コウと時間を過ごして準備をし、森と共に生きてきた人間そのものになり切っている。表情豊かなコウの芝居にも注目。鈴役の岩田さんは、昨夏に映画祭で河瀬監督とあいさつを交わしたつながりで、念願の河瀬組に初出演を果たした。英語のせりふでの芝居に挑戦しただけでなく、大ベテランに胸を借りながら、河瀬監督に内面を引き出され、重要な役柄を演じ切っている。撮影中は山の中に住み込み、ライブツアーの合間の短い日程で役に没頭したという。今年は、3月公開された「去年の冬、きみと別れ」のほか、今後も主演作「パーフェクトワールド 君といる奇跡」(10月公開予定)など、出演作が目白押しだ。 デビュー作「萌の朱雀」(1997年)でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人賞)、前作の「光」で同映画祭エキュメニカル賞を受賞したほか、15年にはフランス芸術文化勲章を叙勲するなど、世界で絶賛される河瀬監督が、「イングリッシュ・ペイシェント」(97年)などに出演したビノシュさんと映画を作りたいという思いから始まったという今作。怖いくらい美しい森や太陽、雲、雨風……。人間には制御できない、目に見えない大きなものを通じて、母性を真正面から捉えた圧巻の映像だ。(キョーコ/フリーライター)

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