映画まとめ10月12、13日公開 「聖☆おにいさん」「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」「ムタフカズ」「覚悟はいいかそこの女子。」「日日是好日」

「聖☆おにいさん」イエスとブッダの日常を福田雄一監督が実写化 松山ケンイチ&染谷将太が好演

松山ケンイチ「超ジョニー・デップに似てるって」 実写ドラマ「聖☆おにいさん」本予告が公開

 俳優の松山ケンイチさんがイエス役、染谷将太さんがブッダ役で人気マンガを実写化したドラマ「聖☆おにいさん」(福田雄一監督)が10月12日から立川シネマシティ(東京都立川市)ほかで期間限定で公開。動画配信サービス「ピッコマTV」でも18日から配信される。中村光さんがマンガ誌「モーニング・ツー」(講談社)で連載中のマンガが原作。俳優の山田孝之さんが制作総指揮し、映画「銀魂」シリーズなどの福田さんが監督・脚本を担当している。

 世紀末を無事に乗り越えたブッダ(染谷さん)とイエス・キリスト(松山さん)は、下界でバカンスを取ろうと、東京・立川のアパートでルームシェアを始める……というストーリー。

 キャスト発表時からビジュアルが話題になっていた。原作の中で女子高生から「ジョニー・デップ似」と言われるイエスに松山さんがはまり過ぎ。大仏頭に福耳の染谷さん演じるブッダは“再現度”がかなり高く、2人のゆるくてユーモラスな掛け合いもイメージにぴったりだ。イエスとブッダの逸話に引っかけた笑いの数々や近所の人たちとの触れ合いなど、原作の世界観を生かしつつ実写版らしさもプラスされ、思わずくすりとさせられる。オリジナルのエピソードも盛り込まれ、ファンならずとも見逃せない、神々しくも楽しいコメディーだ。(遠藤政樹/フリーライター)

「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」阿部サダヲと吉岡里帆の熱唱は必聴

吉岡里帆、“ダブル主題歌”で歌声披露 映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」予告編が公開

 俳優の阿部サダヲさん主演の映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」(三木聡監督)が、10月12日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。“声帯ドーピング”のやり過ぎで喉が崩壊寸前の、阿部さん演じる世界的ロックスターと、吉岡里帆さん演じる驚くほど声が小さいストリートミュージシャンが偶然出会ったことで巻き起こる騒動を描いている。

 驚異の歌声を持つ世界的ロックスター、シン(阿部さん)。しかし、喉は声帯ドーピングで崩壊寸前だった。ある夜、ライブ会場から姿をくらましたシンは、一人の女性・明日葉ふうか(吉岡さん)と出会う。ふうかは、何事にも自信が無く内気で、おまけにストリートミュージシャンなのに声が異様に小さかった。シンの事務所の社長(田中哲司さん)とレコード会社のスタッフでシン担当の坂口(千葉雄大さん)は、シンの行方を必死に捜すが……というストーリー。三木監督作常連の麻生久美子さん、ふせえりさん、松尾スズキさんらも出演している。

 HYDEさん作曲の主題歌「人類滅亡の歓び」を、ド派手で不気味なメークでシャウトするシンに目が点になり、ふうかのびっくりするほど小さい歌声に失笑する。ふうかが下宿するデビルおばさん(ふせさん)とザッパおじさん(松尾さん)の強烈キャラに圧倒される……。そんな個性的な登場人物たちが織りなす奇天烈な物語に、頭の中にクエスチョンマークがいくつも浮かんだ。だが、それこそが三木ワールドだった。

 前半と後半のギャップが著しく、映画そのものの着地点が当初の想像といい意味で乖離(かいり)している。最終的には、とてつもなく格調高い作品を見せられた気がした。素顔のシン(というか、演じる阿部さん)がカッコよく、ボロボロになった喉を抱えながら、「やらない理由を探すな!」とふうかを叱咤(しった)する姿に一瞬にして背筋が伸びた。吉岡さんが半年間に及ぶ歌とギターの特訓の末にマスターした、あいみょんさん作詞・作曲のもう一つの主題歌「体の芯からまだ燃えているんだ」も必聴だ。(りんたいこ/フリーライター)

「ムタフカズ」 「鉄コン」スタッフの異色アニメ 草なぎ剛、柄本時生、満島真之介が強烈キャラ

草なぎ剛が、柄本時生、満島真之介が声優 映画「ムタフカズ -MUTAFUKAZ-」予告編

 草なぎ剛さんや柄本時生さん、満島真之介さんが声優を務める劇場版アニメ「ムタフカズ」(西見祥示郎監督)が10月12日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。劇場版アニメ「鉄コン筋クリート」(2006年)などを手掛けたアニメ制作会社「STUDIO4℃」と、フランスのマンガ家・ギヨーム“RUN”ルナールさん、ゲームや書籍などの制作会社「ANKAMA」とのコラボ作。バイオレンス色の強い独特の世界観や異彩を放つキャラクターデザインなどが魅力の異色作だ。

 舞台は、犯罪者と貧乏人の吹きだまりの街、DMC(ダーク・ミート・シティ)。厭世的なアンジェリーノ(通称リノ、草なぎさん)は、友達思いの親友ヴィンス(柄本さん)とアパートで同居しながら、おしゃべりなウィリー(満島さん)も加えた3人で日々をだらだらと過ごしていた。

 ある時リノは、美少女のルノに一目ぼれし、その直後に交通事故に遭う。以来、リノは事故の影響で奇妙な幻覚を見るようになったり、謎の黒服集団や武装警官に命を狙われ、街中を逃げ回る羽目に陥ったりと、人生を一変させる出来事が立て続けに起こる。ついに絶体絶命の危機に陥るリノだったが、突然スーパーパワーに目覚め……というストーリー。

 真っ黒で丸い頭の主人公に、ガイコツ頭の親友……と、一度見たら忘れられない強烈なインパクトのキャラクターたち。日本のテレビアニメではなかなかお目にかかれない異彩を放つビジュアルに当初は面食らったが、「STUDIO4℃」の、どこかファンタジックでバイオレンス色の濃厚な世界観と調和し、違和感の無い映像に仕上がっている。

 物語は、リノとヴィンスの逃避行を軸に、次第にSF要素も加わり、先の読めない壮大な展開が繰り広げられる。満島さんは劇中でアドリブのラップも披露しているほか、エンディングテーマもウィリー調で担当しているので、エンドロールまでお見逃しなく。(河鰭悠太郎/フリーライター)

「覚悟はいいかそこの女子。」中川大志のヘタレ男子ぶりに思わずキュン

中川大志、唐田えりかから“逆壁ドン”! 映画「覚悟はいいかそこの女子。」予告編が公開

 俳優の中川大志さん主演の映画「覚悟はいいかそこの女子。」(井口昇監督)が10月12日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。椎葉ナナさんが少女マンガ誌「マーガレット」(集英社)で連載したマンガが原作。超絶イケメンだが恋愛経験のない究極ヘタレの主人公・古谷斗和(ふるや・とわ=中川さん)が、彼女を作るために奮闘する姿がコミカルに描かれ、思わずキュンとなる。

 幼い頃から女子たちに囲まれてきた斗和だが、実は誰とも付き合ったことがないヘタレ男子。同級生から「観賞用男子」と言われた斗和は「彼女を作る」と宣言し、学年一の美少女・三輪美苑(唐田えりかさん)に告白するが振られてしまう。現実を受け入れられない斗和はアプローチをかけ続け……というストーリー。公開に先駆けて、前日譚(たん)となる連続ドラマがMBS・TBSのドラマイズム枠で6月から全5話で放送された。

 主人公の斗和が超絶イケメンの「愛され男子」ということで、王道のラブストーリーかと思いきや、恋愛のためにバタバタする姿に共感し、思わず笑ってしまう。中川さんは、二枚目と三枚目を見事に融合させ、ピュアな斗和を好演。コメディータッチで描かれているが、一見カッコ悪く見えることがカッコいいという、大切なことが描かれている。人を好きになるとは、誰かから愛されるためには努力や覚悟が必要ということを、改めてしみじみと考えさせられた。(遠藤政樹/フリーライター)

「日日是好日」黒木華が茶道と共に歩む女性の半生演じる 樹木希林さんの姿に感慨

黒木華が主演 映画「日日是好日」予告編 樹木希林さんも出演
 女優の黒木華さん主演の映画「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」(大森立嗣監督)が、10月13日からシネスイッチ銀座(東京都中央区)ほかで公開。お茶と共に人生を歩む女性の、20歳からの20数年間を描く。9月に亡くなった樹木希林さんが、主人公のお茶の師匠を演じている。主に茶室という狭い世界で繰り広げられる物語だが、そこで目にし耳にする事は、心をふくよかにしてくれる。

 20歳の大学生、典子(黒木さん)は、同じ年のいとこ・美智子(多部未華子さん)と一緒に、典子宅の近所に住む武田先生(樹木さん)に茶道を習い始める。当初は細かい作法に戸惑うばかりだったが、やがてお茶を通して人生の大切なものに気付いていく……というストーリー。人気アイドルグループ「乃木坂46」の山下美月さん、鶴見辰吾さん、鶴田真由さんらも出演している。

 原作は、人気エッセイスト森下典子さんが、自身の体験を綴ったロングセラーエッセー「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」(新潮文庫)。映画を見る前は、森下さんの主観的な文章をどう映像化するのだろうと興味津々だった。大森監督は、一人の若い女性の成長と共に、茶道、ひいては日本の和の魅力を余すところなく伝えている。駆け足で描かれる典子の24年間の中で茶道の奥深さに触れられ、見終えた時は、平凡であろうと毎日を無事に生きられることへの感謝の気持ちが湧いた。

 典子の就職での挫折や大切な人との別れなども描かれているが、大事件は起こらない。ただただ、典子が茶室でお茶と向き合い、そこに武田先生の寄り添う姿があるだけだ。しかし、そこにこそ作品の真髄がある。

 例えば、だるまの掛け軸をじっと見詰める武田先生の姿には、せわしなく生きることが、いかに心を乏しくさせているかを思い知らされた。あるいは、典子が水の音の違いに気付く場面では、一瞬一瞬を五感で味わうことの尊さを教えられた。武田先生の、さりげなくも芳醇(ほうじゅん)な言葉の数々が胸にしみる。今は亡き樹木さんをしのびながら、その言葉をかみ締めたい。(りんたいこ/フリーライター)

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