「雪の華」名曲モチーフのラブストーリー W主演の登坂広臣&中条あやみが期間限定の恋人同士を好演
ダンス・ボーカルグループ「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の登坂広臣さんと女優の中条あやみさんがダブル主演した映画「雪の華」(橋本光二郎監督)が2月1日から丸の内ピカデリー(東京都千代田区)ほかで公開。中島美嘉さんの楽曲「雪の華」をモチーフにしたラブストーリー。東京とフィンランドを舞台に、“期間限定”の恋が切なく展開する。登坂さんは自分の気持ちを表現するのが苦手な職人気質の悠輔を、中条さんは余命を宣告されながらも無邪気で可愛らしい美雪を好演している。 映画は、中島美嘉さんの同名ヒット曲をモチーフにしたオリジナル作。幼少のころから病弱だった平井美雪(中条さん)は、いつか憧れのフィンランドでオーロラを見るという夢を抱いていた。美雪は、余命1年を宣告された日、ひったくりに遭い、打ちひしがれて声も出せずにその場に座り込んでしまう。そんな美雪の前に現れたのが、ガラス工芸家を目指す綿引悠輔(登坂さん)だった。ひったくり犯を捕まえた悠輔は、動けない美雪を見て「声出していけよ! 声!」と発破をかける。その真っすぐな性格に引かれた美雪は、悠輔が働くカフェが借金で危機に陥っていることを知り、「私が出します、100万円。その代わり1カ月間、私の恋人になってください」と期間限定の恋を持ちかける……というストーリー。 美雪の母・礼子役で高岡早紀さん、悠輔が働くカフェのオーナー、岩永役で浜野謙太さん、美雪の主治医の若村役で田辺誠一さんも出演している。脚本は映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(17年)、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」などで知られる岡田惠和さんが担当している。 ラブストーリーというと、恋敵など2人を取り巻く第二、第三のキャラクターが登場することが多いが、今作はラストまでほぼ2人の世界だ。二転三転……といったハラハラ感はないが、引かれ合い、徐々に距離を縮めていく2人の関係が浮き彫りになり、共感しやすい。ヒロインの美雪は余命を宣告され打ちひしがれるが、恋をすることで明るく積極的な一面ものぞかせる。そんな美雪を、中条さんが無邪気な表情やはしゃぐ姿などキュートに演じ、今作の見どころの一つになっている。序盤は地味な装いの美雪が、悠輔と出会い華やかさを増していく姿にも注目だ。 意外性のあるストーリーではなく、王道な展開ともいえるが、それでもクライマックスのシーンには涙腺を刺激された。フィンランドの美しい街並みや幻想的な風景もスクリーンで堪能できる。(河鰭悠太郎/フリーライター)
「七つの会議」池井戸作品の映画化で野村萬斎がぐうたら社員に 香川、愛之助らの演技合戦が見もの
狂言師の野村萬斎さんがサラリーマン役に初挑戦した映画「七つの会議」(福澤克雄監督)が、2月1日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。原作は人気作家・池井戸潤さんの同名小説。1話ごとに登場人物の視点が変わるオムニバス形式の小説を、長編映画でどう展開させるのか興味津々だったが、「下町ロケット」や「陸王」といった池井戸作品を数多くドラマ化してきた福澤監督が、萬斎さん演じる主人公はもとより、大勢の登場人物それぞれに見せ場を作り、見応えある作品に仕上げている。 東京都内の中堅メーカー、東京建電。営業1課の万年係長・八角民夫(萬斎さん)は、俗に言うぐうたら社員だった。年下で敏腕営業マンの課長、坂戸宣彦(片岡愛之助さん)の叱責にも馬耳東風。その八角は坂戸をパワハラで訴える。パワハラ委員会は坂戸に異動処分を下す。社員たちは、その不可解な裁定に首をかしげるが……というストーリー。ほかに、香川照之さん、及川光博さん、朝倉あきさん、世良公則さん、鹿賀丈史さん、橋爪功さん、北大路欣也さんらが出演する。 見る前は、八角役に萬斎さんはカッコ良過ぎると思った。しかし、会議中に居眠りをするわ、寝転がってドーナツを食べるわ……のぐうたらぶりを、無精ひげと緩んだネクタイ姿で巧みに表現。予想はまんまと覆された。他にも、八角を徹底的に侮辱する坂戸役の愛之助さん、できる社員は褒め、できない社員はとことん追い詰めるモーレツ営業部長・北川誠役の香川さんら豪華俳優陣の演技合戦に引き込まれた。とりわけ、北大路さん演じる東京建電の親会社社長・徳山郁夫が出席する“御前会議”のシーンは、列席した俳優陣の緊迫したやりとりに圧倒された。 パワハラ騒動をきっかけに企業の闇に切り込んでいく作品。自分がもし、この物語の中に入り込んだら、果たしてどう振る舞うだろうかと、思わず考えさせられた。(りんたいこ/フリーライター)
「劇場版『リケ恋』」浅川梨奈と西銘駿の恋の行方は? 理系と文系が恋の定義で激突!
アイドルグループ「SUPER☆GiRLS」の元メンバーの浅川梨奈さんと「仮面ライダーゴースト」などで知られる俳優の西銘駿さんがダブル主演した映画「劇場版『リケ恋~理系が恋に落ちたので証明してみた。~』」(旭正嗣監督、佐藤敏宏監督)が2月1日からシネ・リーブル池袋(東京都豊島区)ほかで公開。恋愛経験のない理系の男女が、「お互いを好き」であることを理論的に証明する“理ア充”ラブコメディー。 累計発行部数40万部超の山本アリフレッドさんのマンガ(フレックスコミックス)が原作で、2018年にドラマ版が放送された。彩玉大学に通うツンデレ理系美女・氷室菖蒲(浅川さん)と雪村心夜(西銘さん)は、恋を理論的に定義にするため、デート実験、好きの構成要素を解明、心拍数計測実験、ムード値の計測など、さまざまな証明実験を始める。どれもうまくいかず限界を感じた雪村は、大学のセミナーハウスでの合宿を提案。そこには別の角度から実験を行う、哲学専攻の神凪悠(桜田通さん)らが滞在していた……というストーリー。 恋愛を理系的なアプローチで考えていくというラブコメは斬新。至るところに理系ネタがちりばめられているが、恋愛というフィルターを通すことでポップに感じられ面白い。映画版には文系メンバーが登場し、また違った角度から恋へのアプローチがあることを楽しめるだけでなく、新たなライバルが現れることで雪村と氷室の関係にも変化が見られるなど、登場人物の感情の動きに一喜一憂させられる。ドラマ版から見ている人なら「理論的最高値のキス」の行方が気になるところ。一風変わったテイストだが、恋愛ものとしてしっかり楽しめる。(遠藤政樹/フリーライター)
「メリー・ポピンズ リターンズ」前作の20年後の英国が舞台 古典と新しさの融合で夢のような冒険に心躍る
ディズニー映画「メリー・ポピンズ リターンズ」(ロブ・マーシャル監督)が、2月1日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。1964年に公開された前作「メリー・ポピンズ」の20年後、大恐慌時代(29〜33年)のロンドンが舞台。大人になったマイケル(ベン・ウィショーさん)の一家に、メリー・ポピンズ(エミリー・ブラントさん)が再び奇跡を起こす。 バンクス一家の長男マイケルは、父や祖父が勤めた銀行で働いていたが、大恐慌で融資の返済期限が切れ、家を失うピンチに立たされる。3人の子供たちがいるが、妻に先立たれ、家が荒れ放題だった。そんな折、魔法使いのメリー・ポピンズが空から舞い降りてきて……という展開。 新曲を含む音楽に乗せてフレッシュに、アニメーションと実写との融合シーンでは2Dを使ってクラシカルに、さまざまな映像的魔法で、老若男女に希望を与えてくれる。 「プラダを着た悪魔」(2006年)などのブラントさん、「007 スペクター」(15年)などのウィショーさんのほか、コリン・ファースさん、メリル・ストリープさんら豪華キャストが顔をそろえた。ブラントさん演じるポピンズは、おしゃれで頼りがいもあって、エッジも利いている。街灯の点灯夫ジャック役には、ピュリツァー賞、トニー賞、グラミー賞に輝くブロードウェイの大スター、リン・マニュエル・ミランダさんが扮(ふん)し、魅力的な歌声でロンドンの街や人々に明かりをともす。 マイケルは、大人になって生活も心も疲弊していた。そこへメリー・ポピンズが空から舞い降りてくる。ワクワクさせられるシーンだ。どうピンチを切り抜けるかというシンプルな物語だが、ハラハラもさせられる。子供たちとの冒険の数々は、観客に子供だった頃の想像力を思い起こさせる。前作へのオマージュとなっているシーンでは、手描きのアニメーションと実写との融合でファンタジックな世界が広がり、まるで夢のようだ。 舞台演出家で振付師でもあり、ディズニー映画「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」(11年)などを手掛けたマーシャル監督が、その後の冒険を、前作に敬意を払いながら、現代的に生き生きと描き出した。ブラントさんとは、「イントゥ・ザ・ウッズ」(15年)以来のタッグとなる。米アカデミー賞の作曲賞・主題歌賞など4部門にノミネートされた。 日本語吹き替え版では、歌手の平原綾香さんがポピンズの声を担当。昨年、ミュージカル版「メリー・ポピンズ」でも同役を演じた平原さんは、エンドソング「幸せのありか」などのミュージカルナンバーを歌っている。(キョーコ/フリーライター)