「アクアマン」 水陸両生の異色ヒーローが二つの故郷のために立ち上がる!
海の生物と“会話”ができるヒーロー、アクアマンの活躍を描く映画「アクアマン」(ジェームズ・ワン監督)が、2月8日からTOHOシネマズ日本橋(東京都中央区)ほかで公開。DCコミックの中でも水陸両生という異色のヒーローが、海底と地上、二つの故郷のために立ち上がり、縦横無尽の活躍を見せる。 海底帝国アトランティスの若き王オーム(パトリック・ウィルソンさん)は、海の平和を乱す人間に報復するため、七つの海底王国を支配し、地上征服を狙っていた。海底国ゼベルの王女メラ(アンバー・ハードさん)は、この危機的状況を打破するため、今は地上で暮らすアーサー・カリー(ジェイソン・モモアさん)に協力を求めに来る。アーサーはアトランティスの元女王アトランナ(ニコール・キッドマンさん)と人間のトム・カリー(テムエラ・モリソンさん)の間に生まれたアクアマンだった……という展開。 日本語吹き替え版では、アクアマンの声を安元洋貴さんが担当するほか、オームを中村悠一さん、メラを田中理恵さん、アトランナを沢城みゆきさん、アクアマンの少年時代を村瀬歩さんが演じる。 「バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生」(2016年)や「ジャスティス・リーグ」(17年)では脇に徹していたアクアマンが、やっと俺様の出番だぜ!とばかりに大活躍する。筋肉ムキムキの肉体と無造作な長い髪、そしてあごひげのせいで一見近寄りがたいが、実はビール好きの、ちゃめっ気たっぷりのイイヤツで、一気に親近感が湧く。DCコミックの実写映画は「暗い」というイメージがあったが、あっさりと吹き飛んだ。 「ワイルド・スピード SKY MISSION」(15年)などで知られるワン監督が手掛けた。アクションのド派手さは言うまでもないが、キラキラと輝く海底帝国の美しさに見とれていたら、その後に展開するバトルシーンに度肝を抜かれた。アクアマンと異父弟オームの一騎打ちにはゾクゾクさせられた。 出自を受け入れ、二つの故郷のために立ち上がったアクアマンは、冒険を通じて顔付きがみるみる変わっていく。闘争心むき出しの熱い女メラや、断腸の思いで息子を手放したアトランナなど、深みのある人物造形にもうならされた。(りんたいこ/フリーライター)
「BACK STREET GIRLS-ゴクドルズ-」 異色マンガの実写化 極道とアイドルのギャップが笑いを誘う
マンガ誌「週刊ヤングマガジン」(講談社)で連載されたジャスミン・ギュさんのマンガが原作の映画「BACK STREET GIRLS ゴクドルズ」(原桂之介監督)が2月8日から渋谷TOEI(東京都渋谷区)ほかで公開。極道を貫いてきた3人の男が性転換と整形でアイドルとしてデビューする異色コメディーだ。 犬金組の若きヤクザ3人組の山本健太郎、立花リョウ、杉原和彦は、自分たちを拾ってくれた組に強い恩義を感じているが、とある事件で不始末を起こしてしまう。その代償として、3人は組長の思いつきでタイで性転換と全身整形をするはめになり、「今日からお前らはアイドルだ! 芸能界でのし上がって、バッチリ金を稼いでこい!」と告げられる。中身はゴリゴリのヤクザのままキュートな女の子になってしまった3人は、日々葛藤しつつも、アイドルグループ「ゴクドルズ」としてデビューし、人気を集めていくが……というストーリー。 頼れる兄貴・山本健太郎役を白洲迅さん、ダンディーな武闘派・立花リョウ役を花沢将人さん、鉄砲玉・杉原和彦役を柾木玲弥さんが演じる。整形後のアイリ役は岡本夏美さん、マリ役を松田るかさん、チカ役を坂ノ上茜さんが演じる。菅谷哲也さん、浅川梨奈さん、小沢仁志さん、桜田通さん、岩城滉一さんも出演。昨年亡くなった大杉漣さんも友情出演している。「全員、片想い」(2016年)などの原桂之介さんがメガホンをとった。 極道が一転、アイドルとして脚光を浴びるという異色マンガがまさかの実写化だ。冒頭だけは東映の任侠映画……なのだが、性転換&全身整形手術後は、コワモテの極道とキュートなアイドルを行き来する未知のコメディー展開。原作同様、威勢のいい白洲さんら極道組とステージで笑顔を振りまく岡本さんらアイドル組のギャップに、思わずくすりと笑ってしまう。 岡本さん、松田さん、坂ノ上さんが白目をむいたり、変顔をしたり……とアイドルらしからぬキャラクターを伸び伸びと振り切った演技をしているのも見どころの一つ。終盤のアクションシーンでもキレのある動きを披露。ステージでのアイドルぶりと併せて注目したい。(河鰭悠太郎/フリーライター)