「ダンボ」愛らしい子象に心奪われる オリジナル作のファンも楽しめる仕掛けも
ディズニーの名作アニメーション「ダンボ」(1941年)を実写化した「ダンボ」(ティム・バートン監督)が、3月29日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。「アリス・イン・ワンダーランド」(2010年)などの作品で知られるバートン監督が、アニメ版への敬意を表しつつオリジナルの展開を加え、老若男女が楽しめる作品に仕上げている。 メディチ(ダニー・デビートさん)率いるサーカス団に、元看板スターのホルト(コリン・ファレルさん)が戦争から戻ってくる。ホルトが任されたのは、出産間近の象ジャンボの世話係。やがて生まれた待望の子象は大き過ぎる耳のせいでみんなを失望させてしまう。しょんぼりする子象をホルトの子供たち(ニコ・パーカーさん、フィンリー・ホビンズさん)が元気付けていると、子象が鳥の羽根を吸い込み、くしゃみをした拍子に体が浮き上がり……というストーリー。日本語吹き替え版では、ホルトの声を俳優の西島秀俊さんが担当する。 ぷっくり丸い頭につぶらな青い瞳で、母ジャンボの脚にじゃれついたり、音楽に合わせて頭を振ったりするダンボの愛らしい仕草にすっかり心を奪われた。ジャンボがおりに閉じ込められた時には体ごと伸び上がり、短い鼻を精いっぱい伸ばすいたいけな姿に切なくなった。それだけに、ダンボが初めて飛んだ時は胸が熱くなった。 可愛いダンボだけが見どころではない。ホルトとその子供たちの家族再生の物語としても、ダンボを利用して金儲けを企む大興行師ヴァンデヴァー(マイケル・キートンさん)との対決ものとしても、ジャンボ救出に挑むダンボの成長物語としても楽しめる。ダンボと命名される経緯も描かれている。 アニメ版のネズミのティモシー、蒸気機関車ケイシー・ジュニアやピンクの象が、形を変えて登場するのもオリジナル・ファンにはうれしい。アニメ版の劇中歌「ベイビー・マイン」が効果的に使われ、感動を後押しする。日本語版エンドソングとしても使われ、歌手の竹内まりやさんが歌詞の翻訳監修と歌唱を担当している。(りんたいこ/フリーライター)
「クロガラス2」2.5次元俳優出演 前作を上回るアクションと二転三転するストーリー
ミュージカル「刀剣乱舞」などの崎山つばささんや舞台「弱虫ペダル」などの植田圭輔さんら「2.5次元俳優」出演の映画「クロガラス2」(小南敏也監督)が3月30日からシネマート新宿(東京都新宿区)ほかで1週間限定のレイトショー公開される。新宿歌舞伎町を舞台に解決屋「クロガラス」たちの姿が描かれる。9日公開の「エピソード1」の続編。またも、最後まで気の抜けない展開になる。 崎山さんや植田さん、最上もがさんら「クロガラス」メンバーたちが引き続き出演し、依頼人として「SUPER☆GiRLS」元メンバーの浅川梨奈さんが登場する。浅川さん演じる援助交際グループ「JKC」リーダー千鶴は、美音(栗林藍希さん)と共に1000万円以上の大金を持って金さえ払えばどんな依頼も引き受けるクロガラスの事務所を訪れる。千鶴らは街のチンピラに脅され、みかじめ料を要求されていたのだった。 あきれながらも千鶴の依頼を引き受け、チンピラの調査を始めた黒斗(崎山さん)や悠哉(植田さん)、日菜(最上さん)ら。だが、事件の裏には想定外の事態が待ち受けていた……。 先の読めないストーリーに、白黒判断つかない魅力的なクロガラスのメンバーたち……とエピソード1で見せた独特の世界観は健在。会話の中で突然放たれる崎山さんの豪快な机蹴りも見どころだ。アクションシーンは前作よりもさらにボリュームが増し、崎山さんは鮮やかな回し蹴りなど軽快な動きを披露している。 目的のためなら手段を選ばない、世間の裏街道をいくダークヒーローの物語だが、黒斗のクールな人間性の裏にどこか温かみのようなものも感じられ、鑑賞後は不思議とすがすがしさを覚えた。(河鰭悠太郎/フリーライター)
「レゴ ムービー2」続編は宇宙へ! 笑えて泣けるアドベンチャー
デンマークのブロック玩具「レゴ」の世界観を描く映画「レゴ ムービー2」(マイク・ミッチェル監督)が3月29日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほかで公開。2014年に公開され、世界興行収入500億円のヒットを記録した映画「レゴ ムービー」の最新作。前作の「ブロックシティ」が襲われた事件から数年後が舞台。青年エメットが、謎の宇宙人に連れ去られてしまった仲間を救うべく、宇宙を冒険する姿を描く。 事件から数年後、ブロックシティの秩序は崩壊し、世界はすさんでいた。それでも明るくお気楽なエメットの前に、ある日、謎の宇宙人が現れ、ルーシーやバットマンら仲間たちを連れ去ってしまう。エメットは仲間たちとの日常を取り戻すため、宇宙へ向かうが、とんでもないクイーンが支配する「すべてがミュージカル」の惑星にたどり着き……というストーリー。前作から引き続き、声優の森川智之さん、山寺宏一さん、沢城みゆきさんらが日本語吹き替えを担当している。 パート2はパート1を超えられないといった意見はよく耳にするが、「レゴ ムービー」に関しては、そんなことはなかった。小難しいことを考える必要は一切ない。前作同様、ジョークやダジャレ、マニア心をくすぐるパロディーなどがふんだんに盛り込まれ、ニヤリとさせられる。メタとフィクションをバランス良く詰め込んだ構成や、SFにミュージカルという新たな味付けもはまり、世界観にぐっと引き込まれた。ストップモーションのような映像表現も斬新で楽しい。(遠藤政樹/フリーライター)