「バースデー・ワンダーランド」原恵一監督最新作 色彩美と共感できる物語に引き込まれる 声優に松岡茉優ら
アニメ「クレヨンしんちゃん」シリーズや「河童のクゥと夏休み」(2007年)などで知られる原恵一監督の新作劇場版アニメ「バースデー・ワンダーランド」が4月26日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。ロシア出身の若手イラストレーター、イリヤ・クブシノブさんがキャラクター、ビジュアルアーティストとして参加。見事な色彩と東欧風の異国情緒あふれる景色など圧倒的な映像美、主人公の少女アカネが勇気を出して一歩踏み出す姿を描いた共感できるストーリーで、スクリーンにぐいぐいと引き込まれる。アカネの声は昨年、映画「万引き家族」での演技が評判となった女優の松岡茉優さんが担当している。 「バースデー・ワンダーランド」は、柏葉幸子さんの児童文学「地下室からのふしぎな旅」(講談社青い鳥文庫)が原作。誕生日の前日、自分に自信がないアカネの目の前に、謎めいた大錬金術師のヒポクラテスと弟子のピポが現れ、「私たちの世界を救ってほしい」と頼まれる。アカネはその場に居合わせた叔母のチィと共に“幸せな色に満ちたワンダーランド”に無理やり連れて行かれる。不思議な動物たちなどが住むカラフルな世界は、色が消えてしまう危機に陥っていた。ワンダーランドの救世主にされてしまったアカネは大冒険を繰り広げ、やがて人生を変える決断を迫られる……というストーリー。 アカネ役は女優の松岡茉優さん、骨董屋を営む自由奔放な性格の叔母チィ役を杏さん、アカネの母ミドリ役を麻生久美子さん、ヒポクラテス役を俳優の市村正親さんが声を担当。また、ヒポクラテスの弟子の小人のピポを東山奈央さん、ワンダーランドから色を奪うザン・グ役を藤原啓治さん、ザン・グの相棒ドロボ役を矢島晶子さんが声優を務めている。挿入歌・イメージソング「Wonderland」は新人シンガー・ソングライターのmilet(ミレイ)さんが歌っている。 とにかく色がきれいだ。これは、原監督がたまたま入った本屋で画集を見て一目ぼれしたというロシア人のクブシノブさんの手によるもの。これまでの原監督の作品にはなかった色彩、東欧風の景色に目を奪われる。そこに原監督が得意とするリアリティーのある人物描写が加わり、大人も子供も楽しめる上質なアニメーション作品に仕上がっている。 声は松岡さんはもちろん、原監督作品に出演経験のある杏さん、麻生さん、市村さん、さらに声優として実力のあるしんちゃんの初代声優の矢島さん、しんちゃんの父ひろしの初代声優の藤原さん、東山さんらの声は、上質で完成されたものでありながらもリアリティーがあり、思わずストーリーに引き込まれる。大冒険の最後にアカネが決断したこととは……。見終わったあとに何か一歩踏み出そうと前向きな気持ちになれる良作だ。(細田尚子/MANTAN)
「アベンジャーズ/エンドゲーム」シリーズがついに完結! 集大成にふさわしい仕上がり
米マーベル・スタジオ製作の最新作「アベンジャーズ/エンドゲーム」(アンソニー&ジョー・ルッソ監督)が、4月26日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。2008年公開の「アイアンマン」を皮切りに、数々のヒーロー、ヒロインを輩出してきたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)。彼らがチームを組んだ「アベンジャーズ」(12年)からシリーズ4作目。ついに完結を迎える。 前作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」(18年)で、六つのインフィニティ・ストーン全てを手に入れ、無限大の力を手に入れた最凶最悪の敵サノス(ジョシュ・ブローリンさん)。彼によって全宇宙の半分の生命が消し去られ、アベンジャーズのメンバーもまた、半数が失われた。アイアンマン(ロバート・ダウニーJr.さん)やキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンスさん)ら残されたメンバーは、深い喪失感にかられながらも再び集結。サノスを相手に史上最大の逆襲(アベンジ)に挑む……というストーリー。 クリス・ヘムズワースさん、マーク・ラファロさん、スカーレット・ヨハンソンさん、ジェレミー・レナーさんらも出演する。 こんなに重苦しいのはシリーズ初ではないかと思うほどの沈痛な空気で開幕。決して予定調和でもご都合主義でもないストーリーが展開していく。残されたメンバーそれぞれが個性を発揮し、世界を救うために立ち上がる過程に、驚き、涙し、手に汗握り、3時間の上映時間を全く感じさせない面白さだった。 最後の深い感動。エンドロールを見ながら、これまでのアベンジャーズの軌跡が走馬灯のように頭をかけ巡った。まさにシリーズの集大成というにふさわしい仕上がり。ぜひ、彼らの雄姿をスクリーンで見届けてほしい。(りんたいこ/フリーライター)
「東映まんがまつり」 29年ぶり復活 おしりたんてい、爆釣バーハンターも
子供向けのアニメや映画などをまとめて上映する東映の「東映まんがまつり」が4月26日、新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開。1967年に始まったオムニバス興行で、約29年ぶりに復活。「おしりたんてい」「爆釣バーハンター」「うちの3姉妹」「りさいくるずー」の4本立て。 「おしりたんてい」「爆釣バーハンター」といった今、子供に人気のアニメをラインアップ。2008~10年にテレビアニメも放送された「うちの3姉妹」の新作、段ボール工作が動き出す「りさいくるずー」と親子で楽しく安心して見られるような作品をそろえた。 「爆釣バーハンター」に伝説の神海魚ポセイドン、「おしりたんてい」にお笑いコンビ「爆笑問題」の太田光さんが声優を務めるアルパチが登場するのは、劇場版ならではだ。 東映まんがまつりという呼称は1967年で初めて使用され、その後は東映こどもまつり、東映まんがパレードなどに名称変更したこともあった。これまで「仮面ライダー」「秘密戦隊ゴレンジャー」「マジンガーZ」「魔女っ子メグちゃん」「Dr.スランプ アラレちゃん」「キン肉マン」「ゲゲゲの鬼太郎」「ドラゴンボール」などアニメや特撮を上映してきた。 作品のテイストはばらばらだが、さまざまな作品の詰まった玉手箱のような東映まんがまつりが今後も続いていくことを期待したい。(小西鉄兵/MANTAN).