「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」ゴジラだけじゃない! 世界最高峰のCGを駆使した怪獣たちに胸熱
人気特撮映画シリーズ「ゴジラ」のハリウッドリメーク版「GODZILLA ゴジラ」(2014年)の続編「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」(マイケル・ドハティ監督)が、5月31日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。今作はゴジラだけでなく、モスラ、ラドン、キングギドラら神話時代の怪獣たちが復活。世界の覇権をかけて戦いを繰り広げる怪獣同士の激しいバトルが圧巻の映像で描かれている。それだけでなく、世界の破滅をもくろむ人間たちとそれを阻止しようとする特務機関モナークの攻防や人間ドラマも描かれ、見どころ満載だ。 「X-MEN:アポカリプス」(16年)や「スーパーマン リターンズ」(06年)などで原案や脚本を担当したドハティ監督が、脚本も手がけた。共同脚本はプロデューサーも務めるザック・シールズさん。キャストは、前作から引き続き、“ハリウッド俳優”渡辺謙さんが芹沢猪四郎博士役を演じているほか、カイル・チャンドラーさん、ベラ・ファーミガさん、サリー・ホーキンスさん、チャン・ツィイーさん、米人気ドラマ「ストレンジャー・シングス」で知られるミリー・ボビー・ブラウンさんらが出演している。日本語吹き替え版には芦田愛菜さん、木村佳乃さん、田中圭さんらが声の出演を果たした。 前作「GODZILLA ゴジラ」の5年後が舞台。ゴジラと、復活した神話時代のモスラ、ラドン、キングギドラらの怪獣たちとの戦いと、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようとする未確認生物特務機関モナークの活躍を描く。 とにかく現時点での世界最高峰のCGを駆使して作り出された怪獣たち、とりわけ身長119.8メートルというゴジラの迫力はシリーズ最高といってもいいだろう。登場しただけで恐ろしさで背筋がゾクッとするほどだ。三つの頭を持つキングギドラも怖さなら負けない。怪獣たちの造形、動作、その生命体の背景にはこれまでの65年の歴史を刻んだゴジラへの崇拝と作品への愛にあふれており、ファンならずとも胸が熱くなる。 マーク・ラッセル(チャンドラーさん)と別れた妻で博士のエマ(ファーミガさん)、娘マディソンの家族の絆や人間愛も描かれ、作品に厚みを増している。渡辺さんがイベントで「最後は僕もヤバいことになっているので、お楽しみに」と予告した通り、芹沢博士の行く末をスクリーンでぜひ確認を。(細田尚子/MANTAN)
「さよならくちびる」小松菜奈と門脇麦のハーモニーが心にしみる 付き人役で成田凌も
女優の小松菜奈さんと門脇麦さんダブル主演の映画「さよならくちびる」(塩田明彦監督)が、5月31日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開。解散を決めたインディーズの人気女性ギターデュオと、成田凌さん演じる付き人の最後のツアーでの出来事を描く。門脇さんの涼やかな歌声と、小松さんの落ち着いたアルトの歌声の柔らかなハーモニーが心にしみる。 インディーズで人気を集めていた女性ギターデュオ「ハルレオ」のハル(門脇さん)とレオ(小松さん)、そして付き人のシマ(成田さん)の関係は、結成以来それなりにうまくいっていた。ところがある事をきっかけにぎくしゃくし始め、それぞれの道を行くために解散を決意。3人を乗せた車は最後のツアーに出発する……というストーリー。 主題歌をシンガー・ソングライターの秦基博さん、挿入歌2曲をシンガー・ソングライターのあいみょんさんが作詞・作曲した。小松さんと門脇さんは、数カ月のレッスンを経て、それら3曲のギター演奏と歌唱にチャレンジした。 解散ツアーという現在進行形の物語に、ハルとレオの出会いの経緯やシマとの関係が回想シーンとして挿入される。物語が進むにつれ、きれいな三角形だった3人の関係が少しずついびつになり、それと共に、ハルとレオの胸のうちにも虚しさや焦燥感、かなえられない思いへの切なさが募っていく。その過程が丁寧に紡がれていく。 解散という選択を、何かが、誰かが止めてくれるに違いない。そう思いながらずるずると引き返せないでいるハルとレオに共感。同時に、青春のきらめきに胸を突かれた。 一見だらしないが、ハルレオのことはしっかり考えているシマを成田さんが好演。かなえられない愛を胸にたたえ、歌でその思いを昇華させようとするハルを門脇さんが、ハルとのすれ違う感情の切なさをレオとして小松さんが、巧みに表現している。(りんたいこ/フリーライター)
「LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘」 絶体絶命でも不二子は美しい… 激しいアクションも注目
人気アニメ「LUPIN THE IIIRD」シリーズの新作「LUPIN THE IIIRD 峰不二子の嘘」(小池健監督)が、新宿バルト9(東京新宿区)ほかで5月31日公開。2012年放送のテレビアニメ「峰不二子という女」や劇場公開された「次元大介の墓標」「血煙の石川五ェ門」に続く作品。不二子に絶体絶命の危機が迫る。 父親の横領した5億ドルの鍵を握る少年ジーンと、彼と行動を共にしていた不二子が、呪いの力で人心を操る殺し屋ビンカムに命を狙われる。声優の沢城みゆきさんが不二子を演じるほか、ルパン三世役の栗田貫一さん、次元大介役の小林清志さんが声優として出演。不二子の敵ビンカムはシリーズ初参加の宮野真守さんが演じる。「次元大介の墓標」「血煙の石川五ェ門」を生んだクリエーターが再集結する。 キャッチコピー「ヤバいぜ、不二子。」は言い得て妙。これまで、賢さと美貌、抜群のプロポーション、話術でルパンすらも手玉に取り、欲しいものを手に入れようとしてきた不二子。そんな魅力を存分に楽しめる上、ジーンへの母性のようなものも垣間見える。 不二子とビンカムのアクションシーンも見どころだ。ショートパンツ姿で髪をポニーテールにまとめ、ビンカムと格闘する不二子は、強く、格好いい。ビンカムに追い詰められ、絶体絶命のピンチの時すら美しいと感じた。 4月に肺炎のため死去した「ルパン三世」の生みの親でマンガ家のモンキー・パンチさんは、この作品発表時、「小池さんの手で、新たな峰不二子を生み出していただけること、楽しみでなりません。どんな不二子に出会えるか、皆さんと一緒に期待したい」とコメントしていた。見たことのない新しい不二子がどう描かれるのか。ぜひスクリーンでその魅力を味わってほしい。(岡本温子/MANTAN)
「長いお別れ」蒼井優、竹内結子が姉妹役 認知症の父と家族の日々を温かく描き出す
直木賞作家・中島京子さんの実体験に基づいた小説の映画化「長いお別れ」(中野量太監督)が、5月31日からTOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほかで公開。認知症の父親と家族の7年間を描くヒューマン作。父親役を山崎努さん、娘たちを蒼井優さん、竹内結子さん、母親役を松原智恵子さんが演じている。変化する父親に戸惑いながらも受け入れて、時間を重ねていく家族の姿が温かい。 2007年秋、東(ひがし)家の父親・昇平(山崎さん)の70歳の誕生日に、母親・曜子(松原さん)の呼び掛けで、久しぶりに一家4人が集まった。長女の麻里(竹内さん)は、夫の転勤先の米国で暮らしている。次女の芙美(蒼井さん)は、スーパーのお惣菜係として働きながらカフェ経営の夢を温めていた。帰省した娘2人に曜子から、中学校校長も務めた厳格な昇平が認知症になったと告げられ……。 気難しそうな父親が少しずつ変化していくさまを、山崎さんがユーモアも交えて、味わい深い芝居で魅せる。夫を支える松原さんは、時に頼もしく、時に可愛らしい演技で、献身的な愛情を表現している。蒼井さんと竹内さんは、まるで本当の姉妹のような会話劇をリズミカルに交わす。竹内さんの夫役で北村有起哉さん、蒼井さんの恋人役で中村倫也さんが出演している。 認知症を、アメリカでは「Long Goodbye(長いお別れ)」と表現するという。仲のいい家族が父親とお別れしていく長い長い時間がつづられていく。 父親の変化と共に、娘たちそれぞれが生き方に思い悩むエピソードも展開。麻里は米国になじめず、夫と距離ができている。芙美は、恋に仕事にと、自分の道を模索している。2人の人生がどう開けていくのかも見応えがある。 認知症になった昇平が、家族との関係を新たに作っていくさまに明るさもあり、孫に与える影響も見逃せない。家族間の愛情がしっかりと紡がれ、幸福と切なさの両方が垣間見えてくる。 宮沢りえさん主演作「湯を沸かすほどの熱い愛」(2016年)で初めて長編映画を手がけ、日本アカデミー賞優秀監督賞などを受賞した中野監督が、初めて小説の映画化に挑み、脚本も手掛けた。主題歌は、石橋凌さんと原田美枝子さんの長女でシンガー・ソングライターの優河(ゆうが)さんの「めぐる」。(キョーコ/フリーライター)