「ダンスウィズミー」矢口史靖監督初のミュージカルコメディー 三吉彩花が突き抜けたダンスを披露
映画「ダンスウィズミー」が、8月16日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。「ウォーターボーイズ」(2001年)などの矢口史靖監督が、ワーナー・ブラザース映画と初めてタッグを組んで初挑戦したミュージカルコメディー。主演は、女優でモデルの三吉彩花さん。全シーンを吹き替え無しで挑み、催眠術でミュージカル体質になってしまった女性を力いっぱい演じている。「狙いうち」「年下の男の子」などの懐メロもたくさん流れる楽しい作品だ。 鈴木静香(三吉さん)は一流商社の会社員。ある日、遊園地でうさんくさい催眠術師マーチン上田(宝田明さん)に「ミュージカルスターの催眠術」をかけられてしまう。以来、曲が流れると勝手に歌って踊り出し、会社の会議をぶち壊すなど、失態を繰り返す。術を解いてもらうため、マーチン上田の元を訪れたが、既に姿が無く……。 約500人からオーディションで選ばれた三吉さん。スラリとした手足を生かし、体が勝手に動き出してしまう女性の“突き抜け感”を見事に表現。ジャズダンスからヒップホップ、ポールダンスにも挑んでいる。その三吉さんと凸凹コンビとなる催眠術師の助手の千絵役に、お笑いタレントのやしろ優さん。往年のスター俳優・宝田さんが、スクリーンで55年ぶりに歌って踊るのも見どころだ。 女子社員の憧れのエリート社員に三浦貴大さん、シンガー・ソングライターでモデルのchayさん、ムロツヨシさんら個性豊かな面々が登場する。 静香の会社生活と豪勢な暮らしぶりが映し出された後、催眠術の症状が出たのは、大事な会議のプレゼンの場。オフィスを舞台に、総勢40人でド派手なミュージカルシーンが繰り広げられる。いきなり歌い出す、というミュージカルの要素が、催眠効果に支えられているため、いつ踊り出すのか、静香自身と共にハラハラしてしまう。破壊力のあるアクロバティックな振り付けで、見応えと笑いを振りまくが、静香の深層心理には、ミュージカル嫌いになった苦い思い出も……。 静香と千絵がマーチン上田の行方を追う旅路がロードムービー風に描かれ、最後まで波乱に満ちている。「うさんくさいこと」や、「まやかし」を楽しめる余裕のあった時代の楽曲が何とも懐かしい。 催眠術監修に、催眠術師の十文字幻斎さんが参加。やしろさんが生の玉ねぎをかじるシーンでは、本当に「玉ねぎがリンゴのように甘く感じる」という催眠術をかけて、撮影に臨んだという。ミュージカルシーンの音楽とエンディング曲は「Gentle Forest Jazz Band」が担当。劇判音楽は、矢口監督作「サバイバルファミリー」(2017年)の野村卓史さん、振り付けはQ-TAROさんとEBATOさんらが担当した。(キョーコ/フリーライター)
「イソップの思うツボ」「カメ止め」製作陣再び! 新たな味わいのネタバレ厳禁作 “女性仮面ライダー”も出演
インディーズ作品として昨年、異例の大ヒットを記録した映画「カメラを止めるな!(カメ止め)」(上田慎一郎監督)のスタッフが再集結した映画「イソップの思うツボ」(浅沼直也監督、上田慎一郎監督、中泉裕矢監督)が8月16日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。複雑な家庭環境で育った3人の少女が出会い、そこから巻き起こる騒動を描く。9月にスタートする特撮ドラマ「仮面ライダーゼロワン」(テレビ朝日系)で、シリーズで初めて番組開始時から登場する“女性仮面ライダー”を演じる井桁弘恵さんが、ヒロインの一人として出演することも話題だ。 家族の仲も良く、カメだけが友達という内気な女子大生の亀田美羽(石川瑠華さん)、人気タレント家族の娘で、恋愛体質の女子大生の兎草早織(井桁さん)、父と復讐(ふくしゅう)代行屋を営み、その日暮らしの生活を送る戌井小柚(紅甘さん)。カメ、ウサギ、イヌの名を持つ3人の少女が出会い、予測不能のだまし合い、バトルロワイヤルが繰り広げられる……というストーリー。 あれよあれよという間に社会現象にまでなった「カメ止め」の上田監督、助監督だった中泉さん、スチール担当の浅沼さんの3人で共同監督・脚本を担当。3人の少女が登場し、青春物語が進行……と思いきや、想像とは異なるだまし合いへと発展し、まさに予測不能な展開に。家族愛や人間愛を物語の軸とするのは「カメ止め」と同じだが、決定的に違うのは人の弱さや本音をえぐり出していること。登場人物たちのだまし合いに翻弄(ほんろう)されるだけでなく、今作にも仕掛けられた“どんでん返し”による二重トラップには、カタルシスさえ感じた。3人の監督の思惑や演出が刺激的に融合し、作品の宣伝文句の一つ「騙(だま)される!」の通り、奇想天外で予測できない展開にどっぷりつかると楽しい。(遠藤政樹/フリーライター)