映画まとめ11月15日公開 映画紹介&予告編 「地獄少女」「エンジェルサイン」「下忍 青い影」

「地獄少女」玉城ティナが妖艶な閻魔あいを好演 人気ホラーアニメを実写映画化

地獄少女”玉城ティナが「いっぺん、死んでみる?」 主題歌はGIRLFRIEND「Figure」 映画「地獄少女」予告編
 モデルで女優の玉城ティナさん主演映画「地獄少女」(白石晃士監督)が11月15日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開される。「いっぺん、死んでみる?」の決めぜりふと共に相手を地獄へ送る謎の少女を描くホラーアニメが原作。異形のたたずまいで強烈な印象を残す玉城さんの地獄少女・閻魔あいはもちろん、劇場版アニメ「天気の子」でヒロイン陽菜の声優を務めた森七菜さんの感情をむき出しにした熱演も見どころだ。 原作のテレビアニメは、午前0時にだけアクセスできるサイト「地獄通信」に恨みを書き込むと、地獄少女の閻魔あいが現れ、相手を地獄に送ってくれる、という内容。2005年に第1期が放送され、その後、実写ドラマ化、舞台化されるなど人気となった。2017年には、約8年ぶりの新作でテレビアニメ4期「宵伽(よいのとぎ)」が放送された。 人気アーティスト、魔鬼(藤田富さん)のライブで知り合った南條遥(仁村紗和さん)に魅了された女子高生の市川美保(森さん)は、遥と一緒にコーラスのオーディションを受けることに。遥は合格するが、やがて美保に冷たくなるなど、少しずつ様子がおかしくなる。遥を心配した美保は、魔鬼が遥をライブでの「儀式」のいけにえにしようとしていることを知り、遥を奪い、その命までも奪おうとする魔鬼を地獄送りにするため、うわさのサイト「地獄通信」にアクセスする……。 インディーズアイドルの御厨早苗役で「SKE48」の大場美奈さん、地獄少女の取材を続けるルポライター、工藤仁役で波岡一喜さん、閻魔あいと行動を共にする輪入道役で麿赤兒さん、一目連役で楽駆さん、骨女役で橋本マナミさんも出演する。 物語は、森さん演じる引っ込み思案の女子高生、美保の行動が一つの軸となり進行する。遥と行動を共にする美保の屈託のない笑顔とけなげな姿勢は心温まる。それだけに、後半、「地獄に落としてやる!」と叫び狂乱した姿は、すごみがあって強烈。森さんの感情の振り幅の広い演技にうならされた。そして何といっても、着物姿に黒髪ウィッグといういでたちの玉城さんは、妖艶な閻魔あいそのもの。目線を合わせず、感情を読めない目で「いっぺん、死んでみる?」と決めぜりふを言う姿には底知れない不気味さを感じ、ゾクリとさせられる。劇中では玉城さんが童謡を口ずさむシーンも多く、こちらにも注目してほしい。(河鰭悠太郎/フリーライター)

「エンジェルサイン」北条司が初の実写映画総監督 ディーン・フジオカと松下奈緒せりふ無し演技で魅了

DEAN FUJIOKAが主題歌手がける!北条司が総監督 映画「エンジェルサイン」予告編
 人気マンガ「シティーハンター」などで知られるマンガ家の北条司さんが初の実写映画総監督を務める「エンジェルサイン」が、11月15日からユナイテッド・シネマ豊洲(東京都江東区)ほかで公開された。全編せりふが無く、映像と音楽だけでストーリーが展開していく長編オムニバス映画。各作品をつなぐ「プロローグ&エピローグ」は北条さんの世界観が表れたオリジナルストーリーだ。ディーン・フジオカさんと松下奈緒さんが音楽家カップルを魅力的に演じている。 せりふを使わない短編「サイレントマンガ」を募集するマンガオーディション「サイレントマンガオーディション」のアジア・ヨーロッパの受賞作品を実写化。北条さんが描き下ろした「プロローグ&エピローグ」の他、愛する妻を失い希望を失った鉄道運転士とその飼い犬を描いた「別れと始まり」(落合賢監督)、病気で飼い犬を失ったことを理解できない少女を描く「空への手紙」(ノンスィー・ニミブット監督)、出産目前に命を失いかけた妊婦と死神を描く「30分30秒」(ハム・トラン監督)、父を亡くし希望を失った少女と人間の感情を宿したロボットを描く「父の贈り物」(旭正嗣監督)、戦地へ赴く父と残された娘を描く「故郷へ」(カミラ・アンディ二監督)の五つの物語で構成。「別れと始まり」には緒方直人さんと菊池桃子さん、「父の贈り物」には佐藤二朗さんらが出演している。 「プロローグ&エピローグ」は、恋人同士のチェリスト、アイカ(松下さん)とピアニストのタカヤ(ディーン・フジオカさん)は「いつか2人の音楽で、世界中の人々を感動させたい」と夢を追いかけていたが、「エンジェルサイン」というチェロとピアノの二重奏曲を作り上げた直後、タカヤが帰らぬ人となってしまう。アイカがチェロだけで演奏する「エンジェルサイン」は、やがて世界に広まっていき……というストーリー。 映像と音楽だけでの進行、撮影で使われたのは脚本ではなく北条さんの絵コンテと、斬新な手法が用いられた。せりふは無いが、キャストの表情や身振り手振り、そして絶え間なく流れる音楽が、雄弁に登場人物の感情を物語り、十分に作品世界に没頭することができた。 六つの物語はそれぞれ環境もキャストも異なる独立した作品だが、最初と最後の物語「プロローグ&エピローグ」が5作品をつなぐ役割を果たし、共通する世界観を持つ一つの作品としても見ることができる。 3歳からクラシックピアノを学び、ピアニストとしての顔も持つ松下さんがチェロを演奏する姿はさすがのたたずまいで、目を奪われる。フジオカさんの持つ上品で柔らかな雰囲気も、音楽と共に映し出されるせりふの無い演技にハマっている。キャスティングの妙にうならされた。(河鰭悠太郎/フリーライター)

「下忍 青い影」パトレン1号・結木滉星が初単独主演 「仮面ライダー龍騎」須賀貴匡も 迫力の忍者アクション

“ルパパト”結木滉星が吠える!ド迫力の忍者アクション披露 主演映画「下忍 青い影」予告
 俳優の結木滉星(ゆうき・こうせい)さん初の単独主演映画「下忍 青い影」(山口義高監督)が、11月15日からシネマート新宿(東京都新宿区)ほかで公開される。特撮ドラマ「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」(ルパパト、テレビ朝日系)の朝加圭一郎(パトレン1号)役で話題となった結木さんが演じるのは、琉球武術の使い手の尚。倒幕前夜という時代の変革期を舞台に、因縁のある薩摩藩士と激闘を繰り広げる。因縁の相手、隆正役で「仮面ライダー龍騎」の須賀貴匡さんが出演。アクション俳優・監督の坂口拓さんがアクション監修を担当した。 倒幕を狙う薩摩藩士たちの狼藉(ろうぜき)で庶民の暮らしが脅かされている時代。尚(結木さん)は、薩摩藩士の隆正(須賀さん)といさかいの果て、不穏な空気が漂う江戸へ流れ着く。ある日、尚は女郎屋に売られた少女、千(三上紗弥さん)と出会う。その陰には、西郷隆盛の指令で江戸の動乱に拍車をかけたい隆正の姿があった……。 「ルパパト」でもアクションを披露していた結木さんは、ヒーローではなく忍者としてタイプの異なるアクションで魅せてくれる。武器を手に取り、熱く華麗に戦う姿が泥臭くも美しく、手に汗握る迫力だ。時代の荒波に立ち向かう男たちの悲壮感に満ちた姿、中でも悲しさを爆発させながら戦い続ける尚の姿は胸に迫るものがある。 俳優の寛一郎さん主演の「下忍 赤い影」の前日譚(たん)に当たる物語ということもあり、尚の成長ぶりも見どころの一つ。出会った人や愛する人のために突き進む尚の強さは見ていて心地よく、「赤い影」での尚の立ち居振る舞いにはこういった背景があったのかと納得した。2作は世界観がつながっているため、両方見た方がより楽しめるが、どちらかだけでも、どちらから見ても一つの作品として面白い。(遠藤政樹/フリーライター)

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