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 俳優の斎藤工さんが出演する映画「ブルーハーツが聴こえる」が4月8日に公開される。1995年に解散したパンクバンド「THE BLUE HEARTS」の楽曲を、6人の映画監督がそれぞれ自由な解釈で映像化したオムニバス映画で、その一編「ラブレター」(井口昇監督)で、映画の脚本の執筆中に高校時代へタイムスリップし、片思いの相手と再会する脚本家を演じた斎藤さんに、学生服姿で熱演した同作の見どころや撮影秘話を聞いた。

 映画は、2015年のブルーハーツのバンド結成30周年を機に企画され、公開まで2年間を経て、8日から全国公開となる。「ラブレター」は、自分の高校時代を題材にシナリオを書いていた脚本家・大輔(斎藤さん)が、片思いをしていた美少女・彩乃(山本舞香さん)が事故で亡くなった日に、親友の純太(要潤さん)とともにタイムスリップする。彩乃と再会した大輔は、彼女を死なせまいと奮闘する……というストーリー。

 ◇クリスマスに便器から…

 主人公・大輔のモデルは井口監督自身で、「監督から(メールで)『僕の役をやってほしい』と、深い、熱い、短めのメッセージが届きました。『そんなことを言っていただけるなら、全力で』と即答で返信した気がします」と振り返る。

 トイレの便器を使ってタイムスリップするというユニークな設定で、クリスマスに撮影したといい、斎藤さんは「クリスマスに便器の中から世の中をのぞいていましたね。印象的な冬でした。(便器から見る風景は)壮観でしたね。今までの価値観がひっくり返るというか、顔がすっぽりはまる」と苦笑した。

 撮影現場では、斎藤さんらの演技に、井口監督が思わず笑ってしまい、NGになることもあったといい、「監督は本当に撮りたいものを撮っている方なので、(うまくいくと)監督が笑っちゃう。それは、本当に幸せな、愛にあふれた現場でした」と振り返った。

 ◇密着取材からも2年…「やっと点と線が」

 斎藤さんは現在35歳。撮影は約2年前で、劇中での自身の学生服姿については「客観的に見たらつらいですよ! 便座に挟まったりもするし。『いいおっさんなのに……』と思っていました」と明かしつつ、「ほぼ同世代の要潤さんが同じ目にあっているので痛み分けかな」と語る。

 映画の撮影中には、ドキュメンタリー番組「情熱大陸」(MBS・TBS系)の密着取材を受けており、「学ランで、草原みたいなところで映画を語っているんです(笑い)」と当時の放送内容を明かしつつ、「当然映画が近々公開する予定で、そのシーンが組み込まれていたんですが、(公開まで2年かかったため)当時のテレビを覚えている方、見てない方もいると思うんですが、やっと点と線がつながったのが救いです」と笑った。

 同映画の、満を持しての公開については「日の目を見ない映画もたくさんあるので、珍しいことではない」としながら、「この作品を16年に映画祭に出したりして、これはいいんじゃないかと、見た方たちが口コミ的に広めてくれた。観客の方たちが火をつけてくれた感じがします。プロセスを含めて、非常に映画的な体験でした」と感謝の思いをにじませていた。

<プロフィル> さいとう・たくみ。1981年8月22日生まれ、東京都出身。映画「愛と誠」(2012年、三池崇史監督)、「虎影」(15年、西村喜廣監督)、「団地」(16年、阪本順治監督)など数々のドラマや映画に出演。映画好きとしても知られ、映画監督などにも挑戦している。今年は、「ブルーハーツが聴こえる」をはじめ、高視聴率を記録し話題となったドラマの劇場版「昼顔」(6月10日、西谷弘監督)などの公開も控えている。

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