ベストセラー小説家の湊かなえさんのミステリー小説の実写映画「母性」（廣木隆一監督）に、女優の戸田恵梨香さん、永野芽郁さんが出演することが6月6日、分かった。戸田さんは母性を持てず、娘を愛せない母親・ルミ子、永野さんは母性を求め、母に愛されたい娘・清佳を演じる。2人はドラマ「ハコヅメ～たたかう！交番女子～」で先輩後輩役を演じたが、本作では初の母娘役に挑戦する。

　ルミ子の実母“お上品なママ”役には大地真央さん、ルミ子の夫の母“口が悪すぎる義母”役には高畑淳子さんが決定。演技派のベテラン女優2人が狂気の母親を怪演する。さらに、ルミ子の夫“無関心父”役を三浦誠己さん、ルミ子の親友“わけ知り顔女”役を中村ゆりさん、ルミ子の義妹“依存しすぎ娘”役を山下リオさんが演じる。映画が11月23日に公開されることも発表。特報映像も公開された。

　映画は、数々の傑作を生み出してきた湊さんが「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説」とまで語った渾身（こんしん）の作品「母性」（新潮文庫）が原作。女子高生が自ら命を絶った。その真相は不明。事件は、なぜ起きたのか。普通に見えた日常に、静かに刻み込まれた傷痕。愛せない母と、愛されたい娘。同じ時・同じ出来事を回想しているはずなのに、2人の話は次第に食い違っていく……。母と娘がそれぞれ語るおそるべき「秘密」。二つの告白で事件は180度逆転し、やがて衝撃の結末へ……というストーリー。

　特報では、戸田さん演じるルミ子の「愛能（あた）う限り、娘を大切に育ててきました」という告白めいたセリフとともに、地面に横たわる女子高生の姿とネット上の高2女子死亡記事が映し出される不穏な雰囲気で幕を開ける。そして“一つの事件”が母（戸田さん)と娘（永野さん）それぞれ“2人の証言”で語られていく。燃え盛る家から娘を背負いながら逃げる母の姿と泣き崩れる娘。最後には首にロープがかかった状態で横たわる娘に手を差し伸べ「愛してる」とささやきながら、怒りとも嘆きともとれる狂気の表情を浮かべる母の姿が……という展開。