「第27回東京国際映画祭」のコンペティション部門に出品された映画「紙の月」（吉田大八監督）の記者会見が10月25日、東京・六本木ヒルズで行われ、主の宮沢りえさんや共演の池松壮亮さん、吉田監督が出席した。

　7年ぶりの映画主演となったことについて宮沢さんは、「10代から映像中心に活動してきた中で、30代になって野田秀樹さん演出の舞台『透明人間』に参加した際に自分の無力さに驚き、このままではいけないと思って、40歳の時に舞台にちゃんと立っていられる女優になることを目標にして来た」と、ここ数年積極的に舞台を経験してきたことを明かし、「40歳になってこれから映像と舞台をバランスよくやっていきたいと思っていたところへ、タイミングよく今回のオファーをいただいた。舞台でつちかってきた経験を、映像の世界ですべて出しきろうと思った」と、久々の映画出演への思いを熱く語った。

　一方の吉田監督は、「蜷川さんや野田さんと仕事をし、映像と距離を取っている宮沢さんの様子に映画側として悔しい気持ちがあったので、今回オファーを受けていただけて嬉しかった。でも、まさかタイミングだったとは……」と茶目っ気たっぷりに語り、すかさず宮沢さんが「もちろんタイミングだけでなく吉田監督（の作品）に興味があったからです！」と笑顔でフォローを入れる一幕もあった。

　「紙の月」は、直木賞作家の角田光代さんのベストセラー小説を「桐島、部活やめるってよ」の吉田監督が映画化。夫と2人暮らしの平凡な主婦・梨花（宮沢さん）が、年下の大学生・光太と不倫関係になり、ふとしたことをきっかけに契約社員として働く銀行の顧客の金に手を出してしまう。梨花の金銭感覚は次第にまひしていき、横領がエスカレートして……というストーリー。11月15日から公開。